新美健のレビュー一覧
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新美健『満洲コンフィデンシャル』徳間文庫。
久し振りに本当に面白い冒険小説を読んだ。船戸与一の『山猫の夏』、胡桃沢耕史『天山を越えて』と並ぶ、大傑作冒険小説である。冒険小説好きならば絶対に読むべき作品である。
何ということか、最後の最後に素晴らしい感動の場面が待ち受けていた。終盤で湊春雄の過去の真実が明らかになり、それだけでも感動したのに。感動で二度泣きした。そうか。そうだったのか。
湊春雄が主人公かと思って読み進めば、湊は物語の語り手に過ぎず、本当の主人公は西風だったようだ。これは船戸与一の『山猫の夏』の構造にも似ている。
『開幕』。時は現代。北陽座という名の古い映画館を営む館長の湊春雄とアルバイトの大庭日陽という女子大生が登場する。北陽座は時代の流れで、今まさに閉館しようとしていた。
本編に入り、時代は昭和15年に遡る。元士官候補生の22歳の湊春雄は不祥事で海軍を追われ、大連の満州鉄道調査部に入社する。しかし、直ぐに新京にある満州映画協会に向かい、甘粕正彦を内偵するよう密命が下される。
大連から満州へと向かうために駅へと向かう途中に湊は、西風という謎の大陸浪人に助けられる。新京行きの鉄道列車に乗り込んだ湊は車内で西風と再会する。その後、この西風という謎の男は湊の運命を翻弄していくのだ。
甘粕正彦、愛親覚羅溥儀、植芝盛平、李香蘭、川島芳子といった実在の人物が幻のような満州国での冒険物語に華を添える。
『閉幕』。再び現代。湊春雄の見た幻の正体……
本体価格820円
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新美健『違法捜査官』小学館文庫。
先に読んだ『満州コンフィデンシャル』『レストア家族』が面白かったので、本作への期待は高い。
二転三転のストーリー展開、事件解決のためなら何でもやるという破天荒な登場人物のキャラクターが面白い。面白いのは確かであるが、『満州コンフィデンシャル』のレベルまでは到達しなかった。
サボり上手で一筋縄ではいかない30歳になる警察官の仲條晴臣は、初代の相棒と2代目の相棒に去られ、出勤早々に新しい3代目の相棒を紹介される。3代目の相棒は警視庁から来た40歳半ばの芹沢卓巳警部補で、仲條のさらに上をいくサボり魔で、違法捜査も厭わない無茶苦茶な警察官だった。
2人が捜査するのは、飲酒運転の検問突破を試みて、横転した軽トラックから死体が転がり落ちるという前代未聞の死体遺棄事件だった。仲條は、芹沢に振り回されながら捜査を進めるが、芹沢は事件に関係する芹沢のエスであるブラジル人を意図的に逃がすと自らも姿を消す。
そんな中、警視庁の監察官の北山重行が所轄署に姿を見せると、単なる死体遺棄事件は予想外の大事件へとつながっていく。
本体価格620円
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新美健『レストア家族』小学館文庫。
文庫書下ろし。先に読んだ『満州コンフィデンシャル』が非常に面白かったので期待は高い。
家族と自動車整備工場の再生を描いた感動の小説。『満州コンフィデンシャル』は超えることはなかったが、なかなか読ませる作品だった。
60歳を迎え、最近身体にガタを覚えるヤハギ自動車商会の社長の矢作雄造は交通事故で一人息子の秀一を亡くし、妻も血液の癌で失い、独り暮らしを続けていた。
ある日、雄造の元に秀一の元嫁の裕子が息子の悟を連れて8年振りにやって来た。裕子はヤハギ自動車商会で雇って欲しいと雄造に頭を下げる。裕子は車好きだった夫の気持ちを理解したい一心で専門学校に通い、自動車整備士の資格を取得していたのだ。
裕子と悟を受け入れることにした雄造だったが、ヤハギ自動車商会の経営は危機的な状況にあった。
雄造の弟で車のチューンナップをメインにする整備会社を経営する敬司の妨害や、ヤハギ自動車商会の整備士の裏切りがあったりと様々な困難を乗り越えながら、深まる家族と仲間の絆。
そんな中、ヤハギ自動車商会のメインバンクが融資を引き上げる。ついに年貢の納め時かと腹を括る雄造だったが……
本体価格670円
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警察官の仲條晴臣は、面倒ごとが嫌いで手柄が欲しいと思わず、立身出世も望まない。
野心、虚栄心は身を滅ぼすと思い、脚光を避け、忍ぶことこそ最高の処世術だと言う変人である。
単独行動が気楽でいいのだが、初代も二代も壊れてペア解消になり、三代目が警視庁から来た芹沢卓巳警部補だった。
ペア早々、緩い感じの芹沢にやる気のなさやどこにでもいそうな顔を褒められ⁇失礼にもほどがあると思いながら芹沢の提案する違法捜査に翻弄されてしまう。
検問突破し、横転した軽トラから落ちた死体の結末が、予想外の大事件に繋がるのには驚いた。
だがもっと唖然とさせられたのは、警官のモラルから逸脱した芹沢の知識と技術は刺激的であり、「な?面白かったろ?」と仲條をスカウトすることだった。
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ネタバレ昭和15年の満洲、満鉄調査部に赴任した青年に与えられた任務は満映の甘粕の不正の証拠か弱みを掴む事。
以下ネタバレです
面白かったか、つまらなかったかと問われると「面白かった」。
だけど書店で手に取った際に想像していた雰囲気とはかなり違ったので少し評価が低めです。
甘粕を追い込むために権謀術数を巡らせ追いつ追われつの手に汗握る謀略小説をイメージしていましたが、本書は満洲が舞台の当時の時代背景を映した青春冒険活劇でした。
勝手な私の思い込みなので書評を低めにするのは的はずれかもしれませんが。
甘粕正彦は当然ですが伊達順之助、尾崎秀実、植芝盛平、工藤忠、霍殿閣、李香蘭、川島芳子 と実在の人物が続々と登場します。
主人公?語り部?の湊春雄と掴み所のない大陸人の西風の約5年間の活躍譚が4話構成。
気軽にさっくり読める活劇小説でした。 -
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歴史小説界に風穴をあけんとする作家集団「操觚(そうこ)の会」による
伝奇時代小説アンソロジー登場!
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■秋山香乃「草薙剣秘匿伝 ――葛城皇子の章」
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■蒲原二郎「江都肉球伝」
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