新美健のレビュー一覧
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新美健『満洲コンフィデンシャル』徳間文庫。
久し振りに本当に面白い冒険小説を読んだ。船戸与一の『山猫の夏』、胡桃沢耕史『天山を越えて』と並ぶ、大傑作冒険小説である。冒険小説好きならば絶対に読むべき作品である。
何ということか、最後の最後に素晴らしい感動の場面が待ち受けていた。終盤で湊春雄の過去の真実が明らかになり、それだけでも感動したのに。感動で二度泣きした。そうか。そうだったのか。
湊春雄が主人公かと思って読み進めば、湊は物語の語り手に過ぎず、本当の主人公は西風だったようだ。これは船戸与一の『山猫の夏』の構造にも似ている。
『開幕』。時は現代。北陽座という名の古い映画館を営む館長の湊 -
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新美健『違法捜査官』小学館文庫。
先に読んだ『満州コンフィデンシャル』『レストア家族』が面白かったので、本作への期待は高い。
二転三転のストーリー展開、事件解決のためなら何でもやるという破天荒な登場人物のキャラクターが面白い。面白いのは確かであるが、『満州コンフィデンシャル』のレベルまでは到達しなかった。
サボり上手で一筋縄ではいかない30歳になる警察官の仲條晴臣は、初代の相棒と2代目の相棒に去られ、出勤早々に新しい3代目の相棒を紹介される。3代目の相棒は警視庁から来た40歳半ばの芹沢卓巳警部補で、仲條のさらに上をいくサボり魔で、違法捜査も厭わない無茶苦茶な警察官だった。
2人が捜査 -
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新美健『レストア家族』小学館文庫。
文庫書下ろし。先に読んだ『満州コンフィデンシャル』が非常に面白かったので期待は高い。
家族と自動車整備工場の再生を描いた感動の小説。『満州コンフィデンシャル』は超えることはなかったが、なかなか読ませる作品だった。
60歳を迎え、最近身体にガタを覚えるヤハギ自動車商会の社長の矢作雄造は交通事故で一人息子の秀一を亡くし、妻も血液の癌で失い、独り暮らしを続けていた。
ある日、雄造の元に秀一の元嫁の裕子が息子の悟を連れて8年振りにやって来た。裕子はヤハギ自動車商会で雇って欲しいと雄造に頭を下げる。裕子は車好きだった夫の気持ちを理解したい一心で専門学校に通い -
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ネタバレ昭和15年の満洲、満鉄調査部に赴任した青年に与えられた任務は満映の甘粕の不正の証拠か弱みを掴む事。
以下ネタバレです
面白かったか、つまらなかったかと問われると「面白かった」。
だけど書店で手に取った際に想像していた雰囲気とはかなり違ったので少し評価が低めです。
甘粕を追い込むために権謀術数を巡らせ追いつ追われつの手に汗握る謀略小説をイメージしていましたが、本書は満洲が舞台の当時の時代背景を映した青春冒険活劇でした。
勝手な私の思い込みなので書評を低めにするのは的はずれかもしれませんが。
甘粕正彦は当然ですが伊達順之助、尾崎秀実、植芝盛平、工藤忠、霍殿閣、李香蘭、川島芳子 と実在の人 -
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歴史小説界に風穴をあけんとする作家集団「操觚(そうこ)の会」による
伝奇時代小説アンソロジー登場!
■朝松健「夢斬り浅右衛門 ――小伝馬町牢屋敷死罪場」
■秋山香乃「草薙剣秘匿伝 ――葛城皇子の章」
■芦辺拓「浅茅が学問吟味を受けた顚末 ――江戸少女奇譚の内――」
■彩戸ゆめ「神楽狐堂のうせもの探し」
■神野オキナ「ころりの木壺」
■蒲原二郎「江都肉球伝」
■坂井希久子「万屋馬込怪奇帖 月下美人」
■鈴木英治「熱田の大楠」
■新美健「妖しの歳三」
■早見俊「ダビデの刃傷」
■日野草「遠夜」
■誉田龍一「血抜き地蔵」
■谷津矢車「生き過ぎたりや」