里見蘭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
<古書カフェすみれ屋>シリーズ第二作。
『紙野君がお客様に本を薦めるとき、なにかが起こる』
カフェに来た客の悩みを聞いた紙野が本を薦めるという形で事の真相を教えるという変則的ななぞ解きものになっているのだが、このシリーズが単なるなぞ解きではないのがその先。
真相に気付いた当人が自分でその先の一歩に向けて解決策を導き出し動く。それこそが紙野の狙いなのだろう。
人の心も性格も千差万別。同じ本でも受け止め方は人によって違うように、同じ真相でもその先の一歩が違えばその先の道も分かれていく。何が間違いで何が正しいかではなくて、その人それぞれの生き方を自身で納得した上で選んで進んで行ってねというメッセージなのだろう。
作品ではどれもその選択や行動は良い結果を生んでいるが、必ずしもそうなるとは限らない。だが紙野がこうしろと言うのではなく自分で動いた結果なら受け入れられるはず。
今回は紙野が薦める本も一味ちがっていた。
例えば上手くいったと思っていた初デートの後、相手が連絡をくれなくなってしまったことで悩む女性には古典落語の『長屋の花見』を、新人書店員に人気でも仕事ぶりでも追い抜かれ嫉妬心に悩む後輩書店員にはデッサンの教本『脳の右側で描け』といった具合。
一体どう繋がっているのかとワクワクしながら読んだ。
紙野がいわゆる勿体ぶりの天才名探偵タイプならイラっとするところだが、彼もまた『自己懐疑にとらわれて臆病に』なったり『仕事の意義を見失いそうに』なったりした経験があるゆえの一歩引いたスタイルということで素直に受け止められる。
また客が自身で真相に気付く間のワンクッションとして、すみれも同じ本を買って自分なりに真相を突き止めようとするシーンが入るのも良い。
特にデッサン教本の話は私も絵心なしなので興味深い内容だった。
さらに今回はすみれの得意分野である料理にもなぞ解きが向けられる。老人性うつ症状で悩む高齢女性のために『ジョーさんのハンバーガー』なるものを再現しようと奮闘するのだ。
ここでも紙野はウディ・アレンの本でヒントを出す。一体どれだけ博識なのか。
シリーズの変化としては、繁盛し続ける<すみれ屋>に将来カフェを開きたいという森緒ほまりが雇われることになる。これで紙野も少しは一息つけるかも。
そしてすみれは初めて紙野の部屋に…と言っても色っぽいものではなく紙野が飼っている猫キビを見に行き、持参した手作りランチ(もちろん気合は入っている)を食べるという至って健全なもの。
だが『自分ですべてをコントロールすることにこだわりすぎていた』すみれの考えや物の見方を変えさせてくれる紙野のことはますます尊敬し慕っているようだ。
第三作も楽しみ。
※シリーズ作品
①「古書カフェすみれ屋と本のソムリエ」
レビュー登録あり -
Posted by ブクログ
絶品メニューと名著が味わえる日常ミステリーの第3弾。
深く追求しなければ、「こんな事もあった」だけで終わってしまいそうな出来事。
だけどそのままだとお互いが納得いかずに関係性も悪くなってしまう…という日常の謎に本を紹介し、読んでもらって解決する。
その古書担当の紙野君が紹介する本に凄さを感じる。
なぜ、その本⁇なのか…
今回4冊とも読んだことのない本なので内容がわからなかったことに関係するのかも…⁇と思ったが、
やはり最後まで完璧に予想はできなかった。
「シェアハウスのランチ部事件」は、アッパレとしかいいようがなかった。
この中で勧めていたカーポティ短篇集「銀の酒瓶」は読んでみたいと思った。
(アメリカの小さな田舎町のクリスマスの空気感が伝わる…。
自分がそこに居合わせたような臨場感…。)
この一冊で他の本の魅力も感じられるのが良い。
そして毎回、すみれさんの料理の美味しさが紙面からも伝わってくる…(食べに行きたい)
すみれさんと紙野君のジリジリする距離感。
ちょっとは、近づいたのかなぁ。
スルーしがちな続編シリーズを教えて頂き感謝です。
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Posted by ブクログ
読み進めるうちにだんだんとハマっていく。。
なにしろ古書店カフェのオーナーすみれさんが作るランチとビストロ、バルは、凄く凝ってるうえにおしゃれで美味しそうで、近くにあれば通うの間違いないと思わせる。
それだけでなく聞き上手というか、人の心をほどかせる何かをもっている。
それを上回るのは、古書店主の紙野君。
一見、クールに見えてなかなか人の気持ちを汲み取るのが上手い人だとわかる。
悩める人に勧める一冊の本は、まるで魔法か…と思うくらい完全に心を動かす本、その人のベストな一冊なのだから…
5話あるが、お勧めの本はすべて名著である。
「にんじん」と「料理歳時記」をもう一度読みたいと思った。