里見蘭のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
荒川河川敷での女子中学生連続死体遺棄事件。死体には強制性交と、漂白剤による遺伝子損壊による証拠隠滅の跡あり。
逮捕された容疑者は、警察・検事の恫喝・脅迫により自白を強要。
過去にトラウマを抱える正義感溢れる女性弁護士。性格の悪そうなベテラン検事と部下の爛漫さを出す女性検事。
冤罪を信じて戦う主人公と、批判的な目線で眺める先輩弁護士。
もうどこまでも、これまでに千度なぞられたリーガルものでしかなく、ラストまでストーリーに驚きはない。
それが何だと、冤罪リーガルもののど真ん中を、すさまじい、勉強に基づく知識と、圧倒的筆致で、猛然と駆け抜ける一冊ではないか。
600ページ2段組と、ベストセラーコー -
Posted by ブクログ
ネタバレ600ページ、2段組の超長編。読み出したら止められない、まるで映画を見ているような感じがしてきて、ハラハラ、ドキドキ、文字通り、夢中になって読んだ。
駆け出し弁護士の志鶴が、女子中学生2人を殺害遺棄した罪で逮捕された、増山の弁護を引き受けたことで話が始まる。任意の聴取、脅されて、意に反した調書に署名してしまってからの逮捕、取り調べ、勾留、裁判‥。一連の流れがわかりやすく解説されつつ、一年目とは思えない、志鶴のエネルギッシュな弁護活動が展開されていく。
ソリの合わない先輩弁護士の田口、インターン先での恩師、都築弁護士と協力しながら、地道な調査を続け、なんと真犯人に繋がる情報もゲットする。公判で -
Posted by ブクログ
ものすごい超大作を読んでしまった…
実際にあった冤罪事件が物語の中にも出てきて、本当にリアルで恐ろしく感じた。
どうやって冤罪事件が起こるのか、こんなにも分かりやすく描かれた作品を初めて読んだ気がする。
こんなの誰でも被害者になり得るのでは…?
いつもの日常を送っていただけなのに、いきなり身に覚えのない犯罪の犯人に仕立てあげられていく恐怖。
長時間に及ぶ違法な取り調べに耐えきれず、やってもいない事件を自白強要させられる恐怖。
とにかく恐怖しかない。
言葉巧みに犯人に仕立てあげていく検察と警察…一体何を信じればいいのか…正義ってどこにあるんだろう。
弁護士によっても考え方が全然違うのだなぁと感じ -
Posted by ブクログ
駆け出し弁護士・川村志鶴のもとへ、当番弁護の要請が入り、荒川河川敷で起こった女子中学生連続殺人死体遺棄事件の容疑者の弁護人となり、田口や都築と共に無罪を勝ちとるべく闘う。
600ページ(上下段)の長編ではあったが、時間を忘れて没頭するほどの内容だった。
刑事弁護人の苦悩と矜持をリアルに描いている。
警察官、検察官、裁判長がグルになって弁護士を潰しにかかっているのでは…とすら思えてくる。
こうやって冤罪は作られるのか…というのを目の当たりにした感じである。
99.9パーセントの起訴有罪率は現実なのか…というより、当然の如くして有罪に持っていこうと虚偽、捏造しているではないかと。
犯罪被害者のた -
Posted by ブクログ
『人質司法』という言葉を聞いたことがあるだろうか。
被疑者・被告人を長期間勾留することで自白を強いる日本の刑事司法は「人質司法」と呼ばれ国際的にも批判されている。
人権侵害とみなされるような人質司法がなぜいまだにまかり通っているのか。警察・検察・裁判所の関係性、公正でない鑑識など問題だらけの司法制度にメスを入れる。
2段組600頁の大ボリューム。法律用語が多く出てくるけどエンタメ要素も盛り込まれておりぐいぐい読める。そして何よりストーリーが面白い!弱みにつけこんだ執拗な取り調べから逃れるためにやっていない罪を自白させられてしまった男性の運命はいかに。初めから終わりまで圧倒的な密度で書かれてい -
Posted by ブクログ
東京都荒川区で発生した女子中学生連続殺人事件で増山淳彦が逮捕された。
本書は駆け出し弁護士、川村志鶴の弁護活動、裁判の展開について詳述されており、志鶴の弁護活動における課題や警察と検察の圧力による非協力的な警察組織や増山を有罪にしようとする検察との対立。
上司命令により先輩弁護士田口と組むことになったが意見は対立。そして、真犯人の追求に焦点を当てている。
終盤には、事件の真相をさらに追求するためのアクションがまとめられており。
個人的に圧巻のパフォーマンスで読者を魅了する作品だと感じた。
幾度となく繰り返されてきた裁判で、いよいよ最終審議の日が訪れるが、志鶴の増山への信頼と、絶対に冤罪 -
Posted by ブクログ
圧巻です。。。年間を通しても稀にしかお目にかかれない熱量をもった作品でした。この分量だけを見ても、もはや執念と言って間違いないかもしれません。
スポットを当てるのは冤罪の問題。『ある男』の映画化でも耳目をあつめている(かもしれない)、司法の闇がテーマです。警察による長い勾留期間。その背後にある、検察庁エリートたちによる失点回避争い。それはつまり、無罪判決=出世コースからの脱落であり、これこそが有罪率99.9%の裏の顔でした。
真っ向から蟻の一穴を穿とうとするドンキホーテのような本作は、法廷ミステリーファンだけではなく、私のように冤罪とはなんだかんだ対岸の火事と思っている一般の方にも味わって -
Posted by ブクログ
おんんんんんもろしろかった!!!!
600頁超えって読んでる途中で読む行為に身体が飽きちゃうので避けていたんだけど‥しかも開いてビックリ2段組っていう。笑
でもね、めちゃくちゃ良かった!価値アリ◎大アリ◎!
序盤は結構イライラしちゃって、私これダメかもなぁ‥って少し弱気になったんだけど読み進めるにつれて濃い濃い濃い!
法治国家日本、起訴有罪率99.9%
逮捕イコール犯人?「人質司法」で有利に進めようとする警察、検察‥。
もうね、視点が変わるだけでこうも変わるかと。
神様視点で読んでいるから分かることってあるんだって本当に思う。
現実の世界でも『冤罪』って絶対にあるし、捕まってみない -
Posted by ブクログ
作品紹介に「構想•取材期間8年に及ぶ超弩級リーガルサスペンス」とあるが、まさしくその通りで、600ページで上下2段組という膨大な文量も、そのリアリティと熱いストーリーに引き込まれて何ら負担と感じる事なく次へ次へと読み進める事になった。
冤罪へと突き進む警察、検察、更には裁判所を相手に、何としても冤罪を防がんとする弁護士都築、志鶴、田口の3人其々の経験から来る正義感に突き動かされた攻防は、時に熱くスリリングで読み応えがあった。
著者インタビューによれば、登場人物の都築弁護士のモデルとなった高野隆弁護士、川村志鶴弁護士のモデルとなった須崎友里弁護士と、実在の弁護士さんの言動にインスパイアされて描か