あらすじ
法治国家の欺瞞を暴くリーガルサスペンス!
駆け出し弁護士・川村志鶴のもとへ、突如、当番弁護の要請が入った。荒川河川敷で起こった女子中学生連続死体遺棄事件――遺体には証拠隠滅のため漂白剤がまかれ、冷酷な犯人像が推測された。容疑者には被害者の中学校に侵入し、逮捕された過去があったが、断じて犯行には関与していないと志鶴に訴える。警察による自白強要が疑われた。
志鶴が刑事司法を志した背景には、高校時代の友人のバイク事故死がある。自動車運転過失致死と処理されたが、彼女は冤罪を疑っている。そんな過去を持つ志鶴は、依頼人の潔白を晴らすため奔走する。
そこに立ちはだかるのは起訴有罪率が99・9%という現実だった。逮捕イコール犯人という世間の目。「人質司法」とも称される長時間勾留で有利に捜査を進めようとする警察・検察。共同弁護を務める先輩すら有罪前提の弁護方針を説き始めるなか、孤立無援の志鶴は依頼人を救い出すことはできるのか――?
構想・取材期間8年に及ぶ超弩級リーガルサスペンス。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
荒川河川敷での女子中学生連続死体遺棄事件。死体には強制性交と、漂白剤による遺伝子損壊による証拠隠滅の跡あり。
逮捕された容疑者は、警察・検事の恫喝・脅迫により自白を強要。
過去にトラウマを抱える正義感溢れる女性弁護士。性格の悪そうなベテラン検事と部下の爛漫さを出す女性検事。
冤罪を信じて戦う主人公と、批判的な目線で眺める先輩弁護士。
もうどこまでも、これまでに千度なぞられたリーガルものでしかなく、ラストまでストーリーに驚きはない。
それが何だと、冤罪リーガルもののど真ん中を、すさまじい、勉強に基づく知識と、圧倒的筆致で、猛然と駆け抜ける一冊ではないか。
600ページ2段組と、ベストセラーコーナーなど歯牙にもかけず、やりきった大作。胸熱。
これまでラノベ的な作品しかなく初見の作家さんですが、今年の読書体験のベストかもしれない。
もちろんリビングのベストコーナーに所蔵。
読書たまらねぇ、再確認させてくれる、渾身の名作。
Posted by ブクログ
ものすごい熱量を感じるし、丁寧に取材を重ねて書かれたであろうことが伝わる。
スッキリ勝利!みたいな結末でないことも、リアリティを感じた。
何より、夢中で読み進めてしまう面白さ。
Posted by ブクログ
「人質の法廷」(里見蘭)を読んだ。
《いや、もうね、こいつとこいつとこいつとできればこいつにぎゃふんと言わせてやってくれ。》
てなくらいのめり込んでしまったよ。
(って、そういうレベルの低い話ではないんだけどね)
日本の司法制度の問題点矛盾点に鋭く斬り込む力作。
(なにしろ二段組599頁だぜ)
ちょっとグロテスクな章もあるんだけど。
ギッチリと詰め込まれた物語は読者の心を掴んで離さない。
見事!
Posted by ブクログ
600ページ、2段組の超長編。読み出したら止められない、まるで映画を見ているような感じがしてきて、ハラハラ、ドキドキ、文字通り、夢中になって読んだ。
駆け出し弁護士の志鶴が、女子中学生2人を殺害遺棄した罪で逮捕された、増山の弁護を引き受けたことで話が始まる。任意の聴取、脅されて、意に反した調書に署名してしまってからの逮捕、取り調べ、勾留、裁判‥。一連の流れがわかりやすく解説されつつ、一年目とは思えない、志鶴のエネルギッシュな弁護活動が展開されていく。
ソリの合わない先輩弁護士の田口、インターン先での恩師、都築弁護士と協力しながら、地道な調査を続け、なんと真犯人に繋がる情報もゲットする。公判では裁判官や検察官たちと、丁々発止のやり取りをこなす。無実だと確信していても、最初から全てを話さない増山には、粘り強く諭し励まし、増山の老いた母親のフォローも忘れない。いやいや、志鶴さん、頭が下がります、本当に。
強力な証拠であったDNA鑑定を突き崩すことに成功し、一つ、また一つと、増山が犯人ではないという証拠を築き上げ、ついには、被害者の母親をして「間違った人を罪に問わないでほしい」と言わしめる。志鶴を懐疑的な目で見ていた田口は、検察官の無理筋な提案に対して、感情を爆発させた渾身の「異議あり!」を繰り出す。そして志鶴の、一世一代ともいえる、魂を込めた最終弁論。胸が熱くなった‥泣きそうになった‥。
無罪判決が出ることを恐れた検察側は、増山の起訴を取り消すという、異例の判断をする。増山の不利な証拠を捏造して、再び起訴するのでは?と志鶴たちは推測する。しかし、増山の取り調べを担当した刑事が志鶴たちの事務所を訪れ、警察が真犯人の身元を特定したことを、秘密裏に教えてくる。この刑事は若手で、増山を犯人と信じて、先輩たちの過酷な取り調べを静観していたものの、公判を通じて考えが変わった模様。裁判長も、判決前の協議で、増山の犯人説を否定する。志鶴たちの弁護が、身を結んだと言える、嬉しい場面だ。
増山の事件をメインとして、志鶴はキャバ嬢の事件も担当する。ストーカー化した客に殺されそうになり、必死の反撃で相手の男は死んでしまう。正当防衛を否定され一審は懲役13年。調査を尽くして万全の用意で臨んだ控訴審では、執行猶予が付いたものの、懲役3年。無罪を信じていた志鶴は、無力感に苛まれる。この事件でも、増山の事件でもあった、被害者遺族参加制度。遺族が容疑者に直接質問することができる、貴重や機会だ。しかし、容疑者を犯人だと信じている遺族が慟哭する様子は、推定無罪の壁をやすやすと超えてしまう。諸刃の剣だと思った。
志鶴が弁護士を志すきっかけになった、高校時代の親友のオートバイの交通事故でも、親友が原因で起きた事故だとされる。民事でやっと、事故相手の白バイ警官が悪かったという判決が出て、志も読者も安堵するのだ。しかし、死者は帰って来ない。
この話では、実際にあった冤罪事件にも触れている。フィクションの世界で、増山やキャバ嬢の境遇に胸を掻きむしられる思いなのに、実際の事件での冤罪被害者たちの絶望感は察するに余りある。おそらく、今どきの世の中の人の多くは、「警察イコール正義」という概念が揺らいでいるのではと思う。不祥事多いし。こうして冤罪は作られていくのかと思うと、コワイし、マスコミの報道も一歩引いた目で見なくては、となる。
一つ、注文するなら、真犯人の逮捕、裁判、死刑判決まで書いて欲しかったなとは思う。胸糞悪いヤツなので、ザマミロ!と溜飲を下げたかった。
あと、もしこれから読む人がいるなら、女子中学生の殺害場面は気分が悪くなるかもしれないので、ご注意を。
作者、法学部で学んだ人か、元法曹界の人かと思ったら、普通に文学部だった。しかも、日本ファンタジーノベル大賞受賞。ジャンルが違いすぎてオドロキ。取材は大変だっただろう。参考文献の多さが、それを物語っている。
自信を持って人にお薦めできる、貴重な一冊である。
Posted by ブクログ
ものすごい超大作を読んでしまった…
実際にあった冤罪事件が物語の中にも出てきて、本当にリアルで恐ろしく感じた。
どうやって冤罪事件が起こるのか、こんなにも分かりやすく描かれた作品を初めて読んだ気がする。
こんなの誰でも被害者になり得るのでは…?
いつもの日常を送っていただけなのに、いきなり身に覚えのない犯罪の犯人に仕立てあげられていく恐怖。
長時間に及ぶ違法な取り調べに耐えきれず、やってもいない事件を自白強要させられる恐怖。
とにかく恐怖しかない。
言葉巧みに犯人に仕立てあげていく検察と警察…一体何を信じればいいのか…正義ってどこにあるんだろう。
弁護士によっても考え方が全然違うのだなぁと感じた。
保守的な弁護士もいれば正義の人権弁護士もいる。
日本の司法についてものすごい考えさせられた。
とても勉強になった。読んで良かった。
全てが解決する訳では無いところもリアリティがあった。
真犯人はまた人を殺すのだろうな…
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法治国家の欺瞞を暴くリーガルサスペンス!
駆け出し弁護士・川村志鶴のもとへ、突如、当番弁護の要請が入った。荒川河川敷で起こった女子中学生連続死体遺棄事件――遺体には証拠隠滅のため漂白剤がまかれ、冷酷な犯人像が推測された。容疑者には被害者の中学校に侵入し、逮捕された過去があったが、断じて犯行には関与していないと志鶴に訴える。警察による自白強要が疑われた。
志鶴が刑事司法を志した背景には、高校時代の友人のバイク事故死がある。自動車運転過失致死と処理されたが、彼女は冤罪を疑っている。そんな過去を持つ志鶴は、依頼人の潔白を晴らすため奔走する。
そこに立ちはだかるのは起訴有罪率が99・9%という現実だった。逮捕イコール犯人という世間の目。「人質司法」とも称される長時間勾留で有利に捜査を進めようとする警察・検察。共同弁護を務める先輩すら有罪前提の弁護方針を説き始めるなか、孤立無援の志鶴は依頼人を救い出すことはできるのか――?
構想・取材期間8年に及ぶ超弩級リーガルサスペンス。
【編集担当からのおすすめ情報】
国家が犯す最大の犯罪である冤罪――その絶望と向き合う個人の闘いを、圧倒的リアリティをもって描き切った本作品に、各界から称賛の声が寄せられています。
この国の刑事司法に「正義」はあるのか。それを知りたくて、一気に読みました――村木厚子(元厚生労働事務次官)
自由と民主主義と法の支配を標榜する「近代国家」日本には「人質司法」という名の迷宮が潜んでいる。ときに市井の民が予期せずにこの迷宮に囚われる。われわれ刑事弁護人は、迷宮に落ち込み、出口を求めて奔走する人々の伴走者である。里見蘭はこの伴走者の苦悩と矜持をリアルに描くことに成功した稀有な小説家である――高野隆(弁護士)
Posted by ブクログ
駆け出し弁護士・川村志鶴のもとへ、当番弁護の要請が入り、荒川河川敷で起こった女子中学生連続殺人死体遺棄事件の容疑者の弁護人となり、田口や都築と共に無罪を勝ちとるべく闘う。
600ページ(上下段)の長編ではあったが、時間を忘れて没頭するほどの内容だった。
刑事弁護人の苦悩と矜持をリアルに描いている。
警察官、検察官、裁判長がグルになって弁護士を潰しにかかっているのでは…とすら思えてくる。
こうやって冤罪は作られるのか…というのを目の当たりにした感じである。
99.9パーセントの起訴有罪率は現実なのか…というより、当然の如くして有罪に持っていこうと虚偽、捏造しているではないかと。
犯罪被害者のために真実を明らかにする科警研でも警察や検査が犯人視した人をサポートするのが仕事みたいな…検察側の鑑定しかしないというような、嫌な組織の一面を見てしまった。
特に第八章審理からの終章までは一気読みになるほどのめり込んでしまった。
Posted by ブクログ
とても長い。読み応えありました。
5章だったか、犯人の女子中学生殺害の描写が、これでもかと細かに描かれて胸が悪くなりました。
冤罪とはこんなふうに作られていくんだなぁと。
被疑者がキモいおっさんだったから、余計に犯人に仕立て上げられやすいのか。
なんの落ち度もないのに、性癖やら暴露されて可哀想でした。
Posted by ブクログ
『人質司法』という言葉を聞いたことがあるだろうか。
被疑者・被告人を長期間勾留することで自白を強いる日本の刑事司法は「人質司法」と呼ばれ国際的にも批判されている。
人権侵害とみなされるような人質司法がなぜいまだにまかり通っているのか。警察・検察・裁判所の関係性、公正でない鑑識など問題だらけの司法制度にメスを入れる。
2段組600頁の大ボリューム。法律用語が多く出てくるけどエンタメ要素も盛り込まれておりぐいぐい読める。そして何よりストーリーが面白い!弱みにつけこんだ執拗な取り調べから逃れるためにやっていない罪を自白させられてしまった男性の運命はいかに。初めから終わりまで圧倒的な密度で書かれていて読みごたえ抜群、読み終えたときは感謝の気持ちでいっぱいになった。人質司法がなくなる未来へ向かって、この本が大勢の人に楽しんで読まれますように。
Posted by ブクログ
辞書並みの厚さに慄いたが、圧倒的没入感
目の前で論戦が展開される。
被害者の中学生2人の家庭の対比が貧富の差で表されており、最後のそれぞれの母親の対応の差につながる。
幸いにも実体験はないが、たまたま担当になった弁護人の質で罪の重さが変わるのは恐ろしいと感じた。
人の命の重さについてもあらためて考えさせられる。
最後に希望が描かれていたが、現実世界でもこの希望はあるのか心配にもなる。
映像化されるかもしれないが、2時間で終わる映画にはしないでほしいと思うほどの読後感と余韻がある。
Posted by ブクログ
東京都荒川区で発生した女子中学生連続殺人事件で増山淳彦が逮捕された。
本書は駆け出し弁護士、川村志鶴の弁護活動、裁判の展開について詳述されており、志鶴の弁護活動における課題や警察と検察の圧力による非協力的な警察組織や増山を有罪にしようとする検察との対立。
上司命令により先輩弁護士田口と組むことになったが意見は対立。そして、真犯人の追求に焦点を当てている。
終盤には、事件の真相をさらに追求するためのアクションがまとめられており。
個人的に圧巻のパフォーマンスで読者を魅了する作品だと感じた。
幾度となく繰り返されてきた裁判で、いよいよ最終審議の日が訪れるが、志鶴の増山への信頼と、絶対に冤罪から救いたいという切なる思いが法廷内に伝わる。審議での志鶴の発言は、時に涙腺を崩壊させ、共に応援したくなる思いに寄せられていく。
Posted by ブクログ
圧巻です。。。年間を通しても稀にしかお目にかかれない熱量をもった作品でした。この分量だけを見ても、もはや執念と言って間違いないかもしれません。
スポットを当てるのは冤罪の問題。『ある男』の映画化でも耳目をあつめている(かもしれない)、司法の闇がテーマです。警察による長い勾留期間。その背後にある、検察庁エリートたちによる失点回避争い。それはつまり、無罪判決=出世コースからの脱落であり、これこそが有罪率99.9%の裏の顔でした。
真っ向から蟻の一穴を穿とうとするドンキホーテのような本作は、法廷ミステリーファンだけではなく、私のように冤罪とはなんだかんだ対岸の火事と思っている一般の方にも味わっていただきたい。それくらい峻烈でした。自分の身に置き換えたらと思うと怖すぎます。
Posted by ブクログ
おんんんんんもろしろかった!!!!
600頁超えって読んでる途中で読む行為に身体が飽きちゃうので避けていたんだけど‥しかも開いてビックリ2段組っていう。笑
でもね、めちゃくちゃ良かった!価値アリ◎大アリ◎!
序盤は結構イライラしちゃって、私これダメかもなぁ‥って少し弱気になったんだけど読み進めるにつれて濃い濃い濃い!
法治国家日本、起訴有罪率99.9%
逮捕イコール犯人?「人質司法」で有利に進めようとする警察、検察‥。
もうね、視点が変わるだけでこうも変わるかと。
神様視点で読んでいるから分かることってあるんだって本当に思う。
現実の世界でも『冤罪』って絶対にあるし、捕まってみないと分からない事だったり警察にならなければ分からない、検察でなければ、弁護士でなければ‥ほんとそういう世界なんだよなぁ‥と。
すごく怖い。きっとこれからも冤罪は生まれるし人質司法も変わらないんじゃないか、恐ろしい話だけど。
裁かれるべき人がきちんと裁かれるべきだ。
Posted by ブクログ
濃厚な長編が好きな自分としてはかなり好みの作品!
「もしも冤罪事件に巻き込まれたら?」そんなことを考えさせられた!フィクションだと分かっていてもモヤモヤするし、こっちが言い返したくなるくらいの理不尽な不幸が続く、、
一個人と国家、、裁判とは、正義とは、
法律に詳しくなくてもちゃんと理解できるストーリーでした!
ラストだけはもう一個何かあったらなと欲しがってしまいました。。
Posted by ブクログ
600頁の分厚さ、しかも2段組という京極夏彦の妖怪シリーズを彷彿とさせるボリュームの小説だが途中でダレる事もなく一気読み。読後に思わずため息が出るくらい超絶に面白かった。田口弁護士や被告人、被害者の母親の言動など思わず涙する場面も何度かあり、喜怒哀楽様々な感情を揺さぶられた。
最初はこんなに弱い証拠で起訴するなんて非現実的だと思ったが、逆にその程度でも無理矢理に起訴してくる、実際に冤罪を繰り返してきた人質司法に恐怖を感じた。主人公の弁護士が述べる「正義」の下りで、同じくボリュームたっぷりの「冤罪と人類」を再読したくなった。
Posted by ブクログ
厚さに驚いたが読み始めてすぐに引き込まれた。読者には真犯人が明かされるので、実は冤罪じゃないかもと疑うことなく読み進められたのも良かった。自分が裁判員だとしてこの内容を冷静に考えることはできそうもないな。
Posted by ブクログ
作品紹介に「構想•取材期間8年に及ぶ超弩級リーガルサスペンス」とあるが、まさしくその通りで、600ページで上下2段組という膨大な文量も、そのリアリティと熱いストーリーに引き込まれて何ら負担と感じる事なく次へ次へと読み進める事になった。
冤罪へと突き進む警察、検察、更には裁判所を相手に、何としても冤罪を防がんとする弁護士都築、志鶴、田口の3人其々の経験から来る正義感に突き動かされた攻防は、時に熱くスリリングで読み応えがあった。
著者インタビューによれば、登場人物の都築弁護士のモデルとなった高野隆弁護士、川村志鶴弁護士のモデルとなった須崎友里弁護士と、実在の弁護士さんの言動にインスパイアされて描かれているそうで、現実に「人質司法」と批判される日本の刑事裁判の闇と闘う弁護士さん達が存在する事を誇らしく思う。
Posted by ブクログ
絶望の中に希望もあった
冤罪を生む種はどこにでも、誰にでもあるのだろう
自分に闘う力が、正しい判断をする力があるだろうか
燃え上がる闘志を持つ志鶴のなんと強いことか
彼らの無念と悲しみと怒りに思いを馳せろ。そのすべてを己の闘う力に変えろ。
Posted by ブクログ
長編だけど、新年一冊目からめちゃくちゃ面白かった。読んでて色々な感情を揺さぶられた。最近では袴田さんの無罪判決がありましたね。袴田さんと、長年一緒に戦ったお姉さんのことも読みながらよぎりました。
Posted by ブクログ
怯んでしまうほどの厚さだったが、面白くてページをめくる手が止まらなかった。
自分や家族がこういう状況に陥ったら…と考えると、とても怖いと思った。
それにしても検事とか、弁護士とか難しい言葉を使うんだなぁ。自分が裁判員に選ばれたりしたら、ちゃんとついていけるのかな…と考えたりもした。
Posted by ブクログ
やばい。
もっと読みたい。でも寝ないと寝不足になる。でも、先が読みたい。
だんだんと減っていく残りページ。寂しさも感じながら。
海外のリーガルドラマが好きな私は、この本にどっぷりハマりました。
ネットで注文したので、届いた時の分厚さに最初は圧倒されましたが、あっという間の1週間でした。
いつか自分裁判員として選出されたとしたら、この裁判をどういう判決に達していただろうと思う。
ってか被害者家族の発言は反則だろ。って思う。
Posted by ブクログ
厚い本且つ開いた瞬間目に入る二段構成。『蜜蜂と遠雷』との長期戦を思い出しました。
内容について、犯罪から裁判までの流れや法廷のシーン等において、専門的な言葉が多く出現しますが、相当解りやすい説明が入るため、知識がなくとも馴染みやすかっです。
また、章の構成が抜群です。特に、読者のみに許された聖域である「犯人目線の章」の設置のされ方は、以後の物語において、常に先が気になるような餌に思えました。貪るように読みました。
冤罪の怖さ、もしも冤罪で勾留された場合はどうするか等、自身や身近な人に置き換えて深く考えさせられるような書籍でした。
Posted by ブクログ
オーディブルにて。
とても長かったけど、とても面白かった…!
被疑者が可哀想な人じゃなくて、本当に疑われそうで共感を抱けないタイプの人物像なのも良い。それでも応援したくなるような、そんな主人公の弁護士。
リーガルドラマを見たような満足感。
Posted by ブクログ
冤罪のことを知れば知るほど、冤罪を他人事と思えるのは、これまで自分や身近な人が巻き込まれていないだけで(それ自体は幸せなことかもしれないけれど)、本当は全然他人事なんかじゃないと思い知らされる。
本書の容疑者も、あっという間に警察によって“犯人”にされてしまう。描写がリアルで辛くて目を背けたくなったところもありつつ、事件の全貌が分かってくるにつれ、後半はノンストップ。最後まで一気に読んでしまった。
Posted by ブクログ
力作。
読みがいのある一冊。
しかし、あまりに詳細な描写が多く、法律に一定の素養がないと読みこなすのにくたびれる人もいるだろう。読み手を選ぶ一冊。
Posted by ブクログ
オーディブルで聴いたのだが、日本の警察・検察という組織がいかに冤罪を生み出してしまう問題点をリアルに描いている。この著作を8年かけて書いたようであるが、とても素晴らしい本である。
組織にとって最も大きな価値は組織の防衛であり、一度犯人と決めつけて組織が動いた以上、どんなに不合理な点があろうが真実よりも組織を優先するという実態を描き切っているのがすごい。
Posted by ブクログ
長い…が、ディテール好きであれば、そこまで苦にはならないかなと思う。物語はサスペンス的内容で進む。特段の捻りは無いが、良くある事件とも思える内容が、裁判制度の現状を際立たせているとも思える。
Posted by ブクログ
重い、厚い、中身だけじゃなく本自体も。二段組600ページ、 里見さんの本じゃなかったら手に取らなかったかも。
でも面白い。一気に読んでしまった。
女子中学生を暴行して殺した上に漂白剤をかけて証拠隠滅を図った犯行。
捕まったのは過去に女子中学生の体操服目当てに中学校に忍び込んだ経歴のある中年男性の増山。彼が無実を訴える。
本人の自白もあり、彼のDNAが付着したタバコの吸い殻が現場から発見されている。絶望的な状況でも彼の無実の訴えを信じ弁護する志鶴。
自分が同じ立場でこれだけ信じられるだろうか
冤罪がどのように作られていくのかよく分かったし、自分がこんな状況に立たされたらと思うと怖かった
Posted by ブクログ
読み終わった直後の感想としては重厚な内容の中に作者が伝えたいものがしっかり詰まっている作品だと思えます。
ですが前半、キャバ嬢の裁判や弁護士と警察検察との衝突が長くて長くて何度も途中で読むのを辞めようかと思いました。
犯罪・裁判等にまつわる小説を読むと、低くない割合で腐敗した警察検察裁判官を描いています。
中でも本作は特に描写が細かく、今まで読んできた作品では触れられていなかった手続きなどを知ることができました。
刑事ものや法廷ものが好きで解像度を上げたい人にはおすすめです。
Posted by ブクログ
すごい長かった。
物語というよりルポタージュ感があると言うか…。
弁護士会の作った被疑者ノートなどの冊子とかのあたりは説明的というか、多分実際に本当にこういうものがあって、8年かけて取材したことを、著者としては余すことなく伝えたくなったんだろうなぁって感じを受けた。
私はといえば、完全に娯楽小説のノリで読み始めたのでこの感じには正直面食らった。
この点は著者が描きたかったことと、読者たる私が物語に何を求めて本を手に取ったかと言う視点のすれ違いなので、よく調べもしないで読んだのが悪い。
そんな不幸な巡り合わせのために、600ページもあるのに物語としては、少々物足りなさを覚えてしまった。
…いや、確かに弁護士は探偵じゃないんだけどさぁ!
なんというかあまりにも現実的な解決に呆けてしまったというか。
法廷での弁論はほんとに見事でスカッとしたんだけど!でも!私は!
あのクズ野郎の真犯人が地獄に落ちるところを見たかったんだよおおお!(血涙)
そんな不満はさておき、ここで描かれてるのは恐ろしい話で、被疑者になったら志鶴ちゃんみたいなスーパー弁護士が駆けずり回ってなりふり構わないレベルで死ぬほど努力してくれない限り、マジで死刑になる可能性あるって…まともな精神では受け止め切れるものではない狂気の沙汰。
そんでもってそんな気の毒すぎる境遇におかれる増山君の好感度の低さがまたリアル。
なんというか…主人公のアンチテーゼというか賢いわけでもなく、誠実なわけでなく、かわいいわけでもなく、なんなら倫理的にちょい問題のある、序盤は助けてあげたい!って共感するのがかなり難しいキャラで読みながら思わず「物語の訴求力としてどうなん?」と思った。申し訳ない。
ただこここそ、おそらく作者が描きたかったであろう冤罪の恐ろしさ、どんな人間にもやってないことに対して罰せられるべきではないという原則や、誰もが持っている権利というものを読者にとっくりと理解させるのにうってつけの人材ではあるのかなと読み終えてから感じた。
読みたかった話ではないけど、最後まで読まないのは残念かもしれない。私は最後まで読んでよかったと思う。
で、我ながらちょろくて本当申し訳ないんですが、やっぱり私はエンタメを求めてたので、田口先生が段々事件に向き合って本気出してくれるところ、特に大声出すとこ、アツい展開で好きでしたよ!
(でも序盤の態度は本当酷かったからある意味ズルいキャラかも)
それを思うと、やっぱり、弁護士になったばかりなのに一貫した誠実さ、へこたれなさ、正道を貫く勁さをもった志鶴こそ、正真正銘主人公だと思う。
いや、ほんとスーパー弁護士だわー。こんな人マジでいるのかな。