長谷部恭男のレビュー一覧

  • 憲法と平和を問いなおす
     「そもそもなぜ憲法が成立したのか」、「なぜ憲法が必要なのか」といったことを問う「立憲主義」という立場から憲法について論じた本。著者は、外国勢力に対抗するため、改憲を声高に主張するタカ派の言説にも、9条を金科玉条とするハト派の言説にも欠けているのが「立憲主義」だと述べる。

     立憲主義とは国家権力を...続きを読む
  • 憲法とは何か
    メモ
    憲法が国家の、属する人々の在り方そのものである。故に戦争とは相手国の憲法の否定である。

    立憲主義が「公」と「私」の区別によって、価値観・文化の違いを内包させつつ国家を成立させている。故に本来的に、人間としては受け入れ難い。

    憲法典を変えたからといって憲法が変わるとはかぎらない。
  • 憲法とは何か
    とても分かりやすく憲法や政治制度について書かれている。
    主に憲法改正論議の矛盾を突く内容。
    日本の統治構造、という中公新書の本を読んだ後だったので議院内閣制がなぜ大統領制より優れているかと言った問題については非常に興味深かった。
  • これが憲法だ!
    従来の議論においては、憲法というものは特別な地位を与えられていたように思われる。

    護憲派については、憲法が成立するまでの闘いや、憲法の規定の素晴らしさ等を強調し、それを根拠に護憲を訴えていたし、

    一方、改憲派については、特別な地位を与えていたからこそ、自分たちで決めなおそう、という主張になる。
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  • 憲法と平和を問いなおす
    特に面白いのが、多数決の正当性の根拠である。

    昼食を決めるのも、クラスの出し物を決めるのも、政治家を決めるもの、何かを決める際には、我々は無批判的に多数決を利用している。

    ではなぜ多数決なのか?
    本書では、多数決の根拠として4つがあげられているが、そのすべては決定的な問題を抱えている。

    詳しく...続きを読む
  • 憲法とは何か
    憲法については、左右どちらかの立場から感情的に論じられることが多く、左の立場からは、憲法改正は絶対に認めない、まして9条改正などもっての他、右の立場からは、アメリカが短期間で書き殴った憲法など改正するのが当然、軍隊の存在を認めない9条など真っ先に改正すべき、という論議になりがちです。

    この本は、...続きを読む
  • 憲法と平和を問いなおす
    立憲主義の意味と限界を丁寧に端的に指摘している
    「憲法で決まっていること」にどれほどの重みがあるのか

    あとがきにあるように、
    凝り固まった憲法観を持つ人ではなく、
    なんとなく「じゃあ何が問題なのよ」って人向け

    どっぷりと楽しめた
  • これが憲法だ!
    憲法学者と政治学者の対談。
    内容は深いけど、めっちゃおもしろい。

    朝日新書ということで、結局は護憲(というか改憲反対)なのはご愛敬。
  • 憲法と平和を問いなおす
    筆者は立憲主義と民主制とを峻別する。これ自体は目新しい思考態度ではない。民主主義と自由主義とを区別したHayekや、市民的法治国的憲法はあらゆる政治制度に対する制約を目的とし民主制もその例外ではありえないとしたSchmittもその流れにある。
    民主主義は何でもなしうるという、素人=「市民」的理解を長...続きを読む
  • 歴史の逆流 時代の分水嶺を読み解く
    有識者3名による鼎談。歴史から学ぶ現代の施策の方向を見直すことが大切だと思った。多数意見に流される日本人の特質も歴史から成立している部分もあるとの指摘は新鮮だった。2012.11.6
  • 憲法とは何か
    憲法とは、同質の価値観が維持されていた中世の宗教世界が崩れた近代において、多様な価値観・世界観を抱く人々の公平な共存を図るための枠組みであり、国家の構成原理である。

    憲法は国家の構成原理であり、近代における多くの戦争は異なる憲法を攻撃目標とする敵対であるという点、国家の憲法と憲法典が違うという点は...続きを読む
  • 歴史の逆流 時代の分水嶺を読み解く
    まさに戦後の歴史の転換期に入ったなと痛感。読み応えあったが、過去から学ばないのがヒトという生き物。「ちょっと緩めると、とてつもなく邪悪で下劣なことの加担者になりかねない。どんな体制、制度であろうが、いつも気をつけていないといけない」しっかり声上げていく事が大事だけど…。
  • 歴史の逆流 時代の分水嶺を読み解く
     安部菅政権は全く否定している。
    今の岸田自民党政治は過去の歴史は否定、立憲政治も否定し集団的自衛権などは憲法違反、議会政治、民主政治は蔑ろにされていると断じている。
     今の選挙制度を見直し、政治を身近なものにして政治意識を啓発しなければと言っている。
  • 憲法とは何か
    憲法改正論議を理解する参考文献として読んだ。
    憲法学者の重鎮ということで、この著者の本をとりあえず読まねばという義務感で選書。

    全然期待してなかったけど、表題どおり、憲法とは何か を知るために良い教科書的な本で、読んで良かった。

    「憲法とは」基本的なことを知ってから改正論議をしないとダメだとわか...続きを読む
  • 学問の自由が危ない
    法的に見て明らかに違法な任免拒否。
    国会での議論を行わず、解釈だけでも運用を変更してしまう内閣に底知れない怖さを感じる。
    また、これを見過ごして、何も考えずに自民党に投票してしまう国民が情けない。
    再び戦争を起こす事が無いよう、この本は全ての国民に読んで欲しい。
  • ナチスの「手口」と緊急事態条項
    東日本大震災や新型コロナによって、緊急事態条項が注目されているが、強力な権限になる恐れがあるため、著者は非常に慎重な姿勢。特にナチスの歴史に照らし合わせ、その危険性を指摘している。
  • これが憲法だ!
    憲法学者の長谷部恭男と政治学者の杉田敦の対談を収録しています。

    おおむね杉田が長谷部の考えに対して疑問をぶつけることで、いくつもの興味深い論点が浮き彫りにされていきます。まずは、「立憲主義」を「価値観、世界観の多元性を前提にした上で、その間の公平な共存を図るための手立てだ」とする長谷部憲法学の根本...続きを読む
  • 日本国憲法
    知っているようで知らない、自分が住む国の前提となっている憲法。
    その現行の憲法と、大日本帝国憲法、そして現行憲法の成立に関わった宣言や現行憲法に基づいて作られた条約など、憲法を立体的に読み解くための材料が提供される。
    まったく断絶していると思っていた旧憲法と現憲法に驚くほど共通点があったりと、いざ現...続きを読む
  • ナチスの「手口」と緊急事態条項
    小政党の一つに過ぎなかったナチスがいかに権限を拡大して独裁国家を作り上げたかを解説し、日本で審議されている緊急事態条項のナチスの手口との類似点、危険性に言及。この分野は門外漢なのでとにかく難しかった。憲法学者は言葉のチョイスに厳格だなあ。一応理解した中で印象深かったことをメモ。
    ・ユダヤ人に職を奪わ...続きを読む
  • 憲法とは何か
    ・近代立憲主義
    立憲主義は国家の権力を制限しようとする古くからある考え方。近代立憲主義は多元的な近代を制御するために生まれた考え方で、公私を区別し、国家は私的な領域に踏み込まず、私的信条は公共に持ち込まれない体制。これは人間の自然的欲求に反する。人は自らの信じることが社会全体に行き渡って欲しいと思う...続きを読む