長谷部恭男のレビュー一覧

  • 憲法と平和を問いなおす

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    憲法というものを考えるとき、憲法そのものがどのようにして考えられているのか、憲法の問題とは何なのか、どうして憲法と平和が関連するのか。
    そういった基本の内容を初学者向けにまとめた良書。

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    2012年11月28日
  • これが憲法だ!

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    憲法学者である長谷川氏の自説に対して政治学者の杉田氏がツッコミを入れ、それに長谷川氏が反論するという形を取っており、長谷川憲法学を立体的に理解できるようになっている異色の憲法本。
    長谷川憲法学の特徴は、なんといっても文言解釈に拘らない点。憲法の「コトバ」よりも憲法が何を守れるか、いかに機能しえるかという観点からダイナミックな解釈を展開しています。
    また、杉田氏のツッコミも鋭く長谷川氏がうろたえる場面も見受けられますが、何とか答えようとする姿に自説の自信も感じられます。

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    2013年01月10日
  • 憲法と平和を問いなおす

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    ネタバレ

     「そもそもなぜ憲法が成立したのか」、「なぜ憲法が必要なのか」といったことを問う「立憲主義」という立場から憲法について論じた本。著者は、外国勢力に対抗するため、改憲を声高に主張するタカ派の言説にも、9条を金科玉条とするハト派の言説にも欠けているのが「立憲主義」だと述べる。

     立憲主義とは国家権力を憲法によって制御することで、国民の多様な価値観を擁護するという考え方。

     他に日本のタカ派とハト派に共通しているのは「平和ボケ」なのではないかと思った。タカ派は外国が大挙して日本を攻撃・侵略しようとしている、と言うし、ハト派は「9条があるからミサイルが日本に飛んでこない」とか「改憲=戦争のできる国

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    2011年06月05日
  • 憲法とは何か

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    メモ
    憲法が国家の、属する人々の在り方そのものである。故に戦争とは相手国の憲法の否定である。

    立憲主義が「公」と「私」の区別によって、価値観・文化の違いを内包させつつ国家を成立させている。故に本来的に、人間としては受け入れ難い。

    憲法典を変えたからといって憲法が変わるとはかぎらない。

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    2011年01月25日
  • 憲法とは何か

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    とても分かりやすく憲法や政治制度について書かれている。
    主に憲法改正論議の矛盾を突く内容。
    日本の統治構造、という中公新書の本を読んだ後だったので議院内閣制がなぜ大統領制より優れているかと言った問題については非常に興味深かった。

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    2010年12月21日
  • 憲法と平和を問いなおす

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    特に面白いのが、多数決の正当性の根拠である。

    昼食を決めるのも、クラスの出し物を決めるのも、政治家を決めるもの、何かを決める際には、我々は無批判的に多数決を利用している。

    ではなぜ多数決なのか?
    本書では、多数決の根拠として4つがあげられているが、そのすべては決定的な問題を抱えている。

    詳しくは本書に譲る。
    モノの見え方が変わる本だとは思うので、ぜひ読んでみて欲しい。

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    2010年08月29日
  • これが憲法だ!

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    従来の議論においては、憲法というものは特別な地位を与えられていたように思われる。

    護憲派については、憲法が成立するまでの闘いや、憲法の規定の素晴らしさ等を強調し、それを根拠に護憲を訴えていたし、

    一方、改憲派については、特別な地位を与えていたからこそ、自分たちで決めなおそう、という主張になる。

    しかし、長谷部の理解によれば、憲法にはそのようなロマンチシズムなどはなく、単に「調整問題の解」にすぎない、ということになる。

    調整問題とは、大勢の人が、みんなと同じ行動をしたいと思っているときに、多くの選択肢があるときに発生する問題である。
    例えば、車を走らせるのに、右を走るべきなのか、左を走る

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    2010年08月31日
  • 憲法とは何か

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    憲法については、左右どちらかの立場から感情的に論じられることが多く、左の立場からは、憲法改正は絶対に認めない、まして9条改正などもっての他、右の立場からは、アメリカが短期間で書き殴った憲法など改正するのが当然、軍隊の存在を認めない9条など真っ先に改正すべき、という論議になりがちです。

    この本は、左右どちらの立場にも偏らず、きわめて冷静に、論理的に憲法改正の無意味さ、大統領制よりも、議院内閣制がいかに優れている制度か、を論じています。

    9条に関しては、「たしかに自衛のための実力の保持を認めていないかに見えるが、同様に、「一切の表現の自由」を保障する21条も表現活動に対する制約は全く認められ

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    2010年02月27日
  • 憲法と平和を問いなおす

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    立憲主義の意味と限界を丁寧に端的に指摘している
    「憲法で決まっていること」にどれほどの重みがあるのか

    あとがきにあるように、
    凝り固まった憲法観を持つ人ではなく、
    なんとなく「じゃあ何が問題なのよ」って人向け

    どっぷりと楽しめた

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    2009年10月04日
  • これが憲法だ!

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    憲法学者と政治学者の対談。
    内容は深いけど、めっちゃおもしろい。

    朝日新書ということで、結局は護憲(というか改憲反対)なのはご愛敬。

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    2009年10月04日
  • 憲法と平和を問いなおす

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    筆者は立憲主義と民主制とを峻別する。これ自体は目新しい思考態度ではない。民主主義と自由主義とを区別したHayekや、市民的法治国的憲法はあらゆる政治制度に対する制約を目的とし民主制もその例外ではありえないとしたSchmittもその流れにある。
    民主主義は何でもなしうるという、素人=「市民」的理解を長谷部は採用しない。
    そして、立憲主義の適切な理解こそが、「憲法と平和」ついて語る鍵であるとする。
    では、長谷部は平和主義とは何と語っているのか?
    …語っていない。諸概念を列挙はしている。しかし、終始「〜ではない」の論法に徹している。それについて歯がゆく思うかもしれないが、それは当然に予定されたこの書

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    2009年10月04日
  • 法の概念〔第3版〕

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     「法とは何か」という当時執拗に繰り返されていたらしい質問を、分析哲学を持ち込んで解答しようとした書である。初版1976年。しかし、著者ハートは分析哲学のエキスパートではなかったのか、明らかに「法とは何か」について述べていない。解説のレスリー・グリーンは「法とは力の威嚇によって支えられた主権者による一般的命令である。」と定義している。「命令」が何なのかについて他に解する必要があるので、さらに検討が必要に思われる。
     代案を出すと、我々にとっては、「法とは、その命題が真となったと政府が十分に確からしく確信を持った時に、その専有する暴力装置を作動させる、あらかじめ記載された命題集(命題の集合)であ

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    2025年11月07日
  • 憲法とは何か

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    戦後憲法学の世代区分には諸説あるが、ざっくりと20年刻みで言えば、戦前から活躍した宮沢俊義、清宮四郎を第一世代とすれば、戦後世に出た芦部信喜、樋口陽一、佐藤幸治らが第二世代、戦後生まれでポスト冷戦期の90年代以降第一線に登場した長谷部恭男、松井茂記、やや遅れて石川健治あたり迄が第三世代、宍戸常寿や曽我部真弘など、現在の中堅どころがこれに続く。長谷部らの第三世代は彼らの生まれの年を冠してより狭く「55年組」と言われたりもするが、この世代はかつて「新人類」という言葉があったように、上の世代との間に明らかな断絶がある。

    そのリーダー格たる長谷部の憲法学は一言で言えば「クール」という言葉が似つかわし

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    2025年08月30日
  • 歴史の逆流 時代の分水嶺を読み解く

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    有識者3名による鼎談。歴史から学ぶ現代の施策の方向を見直すことが大切だと思った。多数意見に流される日本人の特質も歴史から成立している部分もあるとの指摘は新鮮だった。2012.11.6

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    2023年11月06日
  • 憲法とは何か

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    憲法とは、同質の価値観が維持されていた中世の宗教世界が崩れた近代において、多様な価値観・世界観を抱く人々の公平な共存を図るための枠組みであり、国家の構成原理である。

    憲法は国家の構成原理であり、近代における多くの戦争は異なる憲法を攻撃目標とする敵対であるという点、国家の憲法と憲法典が違うという点は新しい視点だった。

    長谷部先生の本は初めて読んだのだが、結構保守的な立場から書いてあるように感じた。
    憲法典を変えても憲法が変わるわけではないし、変更の必要がある場合でも、解釈や一般法の制定で対処できるといった改憲についての議論は納得できる部分もあるが、九条については明らかに無理のある解釈をしてい

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    2023年04月29日
  • 歴史の逆流 時代の分水嶺を読み解く

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    まさに戦後の歴史の転換期に入ったなと痛感。読み応えあったが、過去から学ばないのがヒトという生き物。「ちょっと緩めると、とてつもなく邪悪で下劣なことの加担者になりかねない。どんな体制、制度であろうが、いつも気をつけていないといけない」しっかり声上げていく事が大事だけど…。

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    2023年02月26日
  • 歴史の逆流 時代の分水嶺を読み解く

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     安部菅政権は全く否定している。
    今の岸田自民党政治は過去の歴史は否定、立憲政治も否定し集団的自衛権などは憲法違反、議会政治、民主政治は蔑ろにされていると断じている。
     今の選挙制度を見直し、政治を身近なものにして政治意識を啓発しなければと言っている。

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    2023年01月22日
  • 学問の自由が危ない

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    法的に見て明らかに違法な任免拒否。
    国会での議論を行わず、解釈だけでも運用を変更してしまう内閣に底知れない怖さを感じる。
    また、これを見過ごして、何も考えずに自民党に投票してしまう国民が情けない。
    再び戦争を起こす事が無いよう、この本は全ての国民に読んで欲しい。

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    2021年03月16日
  • 憲法とは何か

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    ネタバレ

    憲法改正論議を理解する参考文献として読んだ。
    憲法学者の重鎮ということで、この著者の本をとりあえず読まねばという義務感で選書。

    全然期待してなかったけど、表題どおり、憲法とは何か を知るために良い教科書的な本で、読んで良かった。

    「憲法とは」基本的なことを知ってから改正論議をしないとダメだとわかった。ダイジェストでこの内容を国民みんなに知らせないで改正の是非を投票させるのは、ものすごく問題があると思う。

    憲法典とは原理を示すもので、そこに書いてあることは法令で定めないと実行されない。改正して書き込んだことが必ず実行されるものではない。
    例:アメリカ南北戦争後、黒人の人権を認めることを憲法

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    2021年03月16日
  • ナチスの「手口」と緊急事態条項

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    東日本大震災や新型コロナによって、緊急事態条項が注目されているが、強力な権限になる恐れがあるため、著者は非常に慎重な姿勢。特にナチスの歴史に照らし合わせ、その危険性を指摘している。

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    2021年03月10日