長谷部恭男のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
憲法とは何か、国とは何か、なぜ人は社会のなかで法律を守らなければならないのか?
といったいわゆる立憲主義の成り立ちについて考察がなされています。
また、その立憲主義と平和がどう結び付いているかについて言及がなされており、最終的には憲法9条に対しての著者の考えが述べられている作品です。
もともと一人では幸福に生きていけない人間が、それぞれの異なる価値観を衝突させないよう一定のルールを定めたものが憲法とすれば、一つの「正解」となる価値観が存在しない以上、憲法も国の数だけ様々なものになる。
その国家間の価値観が衝突したときに戦争が起こり、個々人の衝突とは比べ物にならないほどの規模での悲劇が起 -
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[ 内容 ]
日本国憲法第九条を改正すべきか否か、私たち一人ひとりが決断を迫られる時代が近づきつつある。
だが、これまでの改正論議では、改憲・護憲派ともども、致命的に見落としてきた視点があった。
立憲主義、つまり、そもそも何のための憲法かを問う視点である。
本書は、立憲主義の核心にある問い―さまざまな価値観を抱く人々が平和に共存するための枠組みをどう築くか―にたちかえり、憲法と平和の関係を根底からとらえなおす試みだ。
情緒論に陥りがちなこの難問を冷静に考え抜くための手がかりを鮮やかに示す。
[ 目次 ]
憲法の基底にあるもの
第1部 なぜ民主主義か?(なぜ多数決なのか? なぜ民主主義なのか? -
Posted by ブクログ
憲法を護持しようと考えている人にも、改正すべきと思っている人も、日常生活で憲法と自身の関係性を見いだせていない人にも、参考になる指摘の多い本だと思います。憲法学者としてメディアへの登場も昔に比べれば増えてきた感のする著者ですが、その思考や発想の基礎を知る上でも良いと思います。
憲法そのものへの問いかけではなくて、立憲主義という思想を理解してそれを現代の日本国憲法(正確には憲法典)が掲げる主義・思想とのバランスに議論の焦点がさだめられているところが特徴と言えます。立憲主義が前提する「違い」を当然視して受容し、相違を前提とした社会形成が実現するまでの途方もなく長い旅路を想起させる内容にはなってい -
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試験で必要だから買って読んだ。
絶対自分の積極的な意思では買わないであろう本です。
憲法に興味がなければ書いてあることすら意味がわからないかと思うし、何を書きたかったのか理解することすら放棄するでしょう。
流行の簡単な文章
難解な文章
の間くらいでしょうが、おそらく現代人にとっては難しいと感じる本でしょう。
内容は読んでください。
さまりーじゃなくてレビューなので内容は書きませんー
あ、『オデュッセイア』を出して
「それにしても、率いた兵士をことごとく失ったうえ、故郷で待ちつづけた妻への求婚者たちを皆殺しにする男のどこが英雄なのか理解に苦しむ。やはり異なる世 -
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1月?
「憲法とは何か」という題名に似合うほど、全体は首尾一貫した内容にはなっていなかったが、各章ごととても面白かった。憲法は、各種試験のために勉強する機会が幾度かあったが、判例中心の学習であったので、本の内容は新鮮な印象がした。
本書によると、立憲主義とは、多様な考え方を抱く人々の公平な共存を図るために、生活領域を公と私の2つに区分しようとするものである。私的領域では、各自がそれぞれ信奉する価値観・世界観に沿って生きる自由が保障され、一方で公的な領域では、社会のメンバーに共通する利益を発見し、それを実現する方途を冷静に話し合い、決定することが必要になるという。現代憲法にある、思想の自由、信 -
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憲法とはなにか、という入門書。のはずが自分の読解力が乏しすぎて所どころわからないところが…
憲法改正という言葉はニュースを見ていれば時々(よく?)出てくるが、いったい憲法の何を改正するのか?誰が改正の是非を決めるのか?という知識は曖昧だったので、そういう意味ではこの本は根本的なことを知るうえで便利だ。
憲法改正のプロセスやその手順で重要なことなど、いろいろ考えさせられるような内容だった。憲法はその時の政権にとって都合のいい物として改変されてはいけない。普遍的で、なるべくすべての国民にとって望ましいものでなければいけないから、改憲をする場合は手短に、というわけにはいかない。開かれた場所で改憲賛成 -
Posted by ブクログ
立憲主義の発想について解説するとともに、そうした観点から現在の憲法をめぐるさまざまな問題について、著者自身の立場から明快に議論を展開している本です。
立憲主義そのものについては、おなじく新書で刊行されている『憲法と平和を問いなおす』(ちくま新書)のほうが、理論的および歴史的な側面からていねいに論じられているように感じました。本書でも立憲主義そのものの説明は手際よくまとめられていますが、むしろ立憲主義という発想をじっさいに使いこなすためのさまざまな視座が示されているように思います。
また、現在の憲法改正をめぐる議論には、改憲派・護憲派双方に、憲法の改正そのものが日本社会に革命的な変化をもたら -
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出張中に読んだ「憲法と平和を問いなおす」(長谷部恭男著:ちくま新書)。筆者は先日の国会参考人意見陳述で 「安保法案は違憲」を明晰な論理で断じたこの国を代表する憲法学者。情緒や感情と一線を画した民主主義、立憲主義、平和主義を論じ憲法と平和を冷静に考えさせる。「理」の世界に浸る感覚で読む、終章が見事。電車で時々居眠りしつつ18時間。
朝日歌壇(7日)にあった歌、「総理大臣からその国をまもらねばならないといふこの国の危機」。原発やTPP、そして安保法案、加えて消費増税、ひどい話がこれでもかこれでもかと続く。だが、何となく別の胎動が聞こえるような気もするこの頃。 -
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違憲証言で脚光を浴びた著者。「憲法とは何か」と同様、憲法の本質を哲学的、政治学的に追究していく一方で、立憲主義と民主主義の両立しない側面、立憲主義と平和についての矛盾点?を追究していく。これまた内容の濃いコンパクトな一冊!。今回の安保法案は両立しえない典型例だった!平和を囚人のジレンマ命題、またチキン・ゲームに譬えての説明はユニークで斬新に感じた。絶対平和主義を唱えることが非常に危険であることも諄々と説いていく姿勢に感銘さえした。自民はこの点でこの人を国会召致したのかも。しかし、立憲主義の大切さを訴えることからすると自民は浅薄だった!次の言葉があった。「集団的自衛権は自国の安全と他国の安全を鎖