出久根達郎のレビュー一覧
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日本人の美風
著:出久根 達郎
勤倹力行、篤志、陰徳、義理、思いやり・・。この国には、不朽の礎がある。大津波から村を救った異能の実業家、分度を守り復興を成し遂げた二宮尊徳。日本人の美点を体現した人びとの凄みを、歴史の襞の中から見つけ出す秘話7篇。
本書は以下の8章から成る。
①ニホン人の美点
②天才と砕身
③無名の志
④勤倹力行の提唱者 二宮尊徳の凄味
⑤陰徳を積む
⑥義理がたい
⑦狂歌の伝統
⑧よく耐えてこられましたね
日常生活において当たり前のように体現されている高いレベルでの礼儀・礼節・マナーは日本人の良さである。そして、困難に見舞われ、苦行を乗り越える中で人間の本質は表面化され -
購入済み
出久根さんお得意の人情話と…
中身は題の通り。なんとなく温かい気持ちになるような、しんみりするような、出久根さんお得意の人情話が幾つか収録されています。
しかしそれだけでは飽き足らず、この小説は後書きまでがきっちり楽しめるようになっています。
どんでん返しにどんでん返し。
そのどんでん返しを起こさずにはいられなかった経緯も、面白い。
読んで損はない一冊です。 -
Posted by ブクログ
出久根さんの自伝的作品である。
出久根さんは、昭和半ばに故郷の茨城県から中卒集団就職として、東京月島の古書店に「丁稚」として就職した。生家は村で唯一の電気も水道もない貧家だったそうな。
そして古書店で勤務すると当然ながら沢山の書籍に目を通すことになる。しかも、出久根氏は父親譲りの投稿マニアであり、投稿で貰う賞品・賞金をほまち(内職)にしていたのだから、自然文章に熟達することになる。
出久根氏の文章は飽きない。次々さらりと未知の語彙が出てくる。しかし難しい漢語や述語ではなく、今は余り使わなくなった日常的な語彙がである。
さて、この出久根氏の自伝だが、あまりに彼の文章が上手いので、 -
Posted by ブクログ
古本屋になりたいという漠然とした夢を持っていて、この本は言わばそのための勉強(?)として読んだ。本を売る商売には、もちろん書物への愛は必要なのだろうが、「所詮は売り物」という割り切りもなければやってゆけない。そんなことを学んだ。
出久根達郎という古本の達人は文章の達人でもある。それはなぜかと言えば、古本への愛ばかりでなく、人間への愛があるからだ。このエッセイを読むとそれがよくわかる。どれだけ本が好きでも、それで自動的に文章が書けるわけではない。
2年ほど前からメルカリという「フリマアプリ」で本を売るということを覚えて、ちょっと古本屋気分を味わっている。死ぬ前に、自分の蔵書をこれで売りつくす -
購入済み
小説とは
小説とは架空の物語である。にもかかわらず出久根さんの小説はまるで本当にあった事のように感じられる。同じ印象を司馬遼太郎さんの文章にも感じた事があります。それほど出久根さんの小説はどれも面白いです。