あらすじ
震災あるところ、人情あり――。安政の大地震の後を懸命に生きる町人たちを描いた、珠玉の時代小説。舞台は幕末の江戸。商家の箱入り娘、おようは、安政大地震で行方がわからなくなった父母や祖母、そして座敷牢に入っていた叔父の消息を探す。混乱に乗じて泥棒や人さらいが跋扈するなか、人の情けに支えられたおようはお家の再建を目指し立ち上がる――竹問屋手代、鰯売り、飛脚人、船頭、こそ泥ら、震災と復興下の江戸に織りなす町人たちの人間模様を、味わい深い筆致で描いた心に沁みる時代小説。
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出久根さんお得意の人情話と…
中身は題の通り。なんとなく温かい気持ちになるような、しんみりするような、出久根さんお得意の人情話が幾つか収録されています。
しかしそれだけでは飽き足らず、この小説は後書きまでがきっちり楽しめるようになっています。
どんでん返しにどんでん返し。
そのどんでん返しを起こさずにはいられなかった経緯も、面白い。
読んで損はない一冊です。
小説とは
小説とは架空の物語である。にもかかわらず出久根さんの小説はまるで本当にあった事のように感じられる。同じ印象を司馬遼太郎さんの文章にも感じた事があります。それほど出久根さんの小説はどれも面白いです。