出久根達郎のレビュー一覧

  • 御書物同心日記 虫姫

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    お名前は存じ上げていたけれど、恥ずかしながら出久根さんの作品を読んだのは2007年最後辺り。「おんな飛脚人」(これもシリーズ、オススメ)とこのシリーズ1冊目「御書物同心日記」を古本屋で見つけて読んで、面白い!と2008年頭に一気に買ったのだった。

    将軍家の御文庫に勤める同心、丈太郎が主人公。何より本が大好きで、稀本珍本に目を輝かせる丈太郎は、本好きならきっと共感出来る筈。もともと出久根さんが古本屋をやっておられたからか、本に対しての細やかな愛情が感じられるのだ。この珍しい職業設定が丁寧に書かれているので、書物同心の仕事ぶりを読むだけでも面白い。

    一応事件簿ではあるのだろうけど、天下揺るがす

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    2010年08月20日
  • 作家の値段

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    恥ずかしながら、私は近代文学をほとんど読んでいません。この本に取り上げられている作家の中では、宮沢賢治が好きで全集を読んでいますが、それ以外はぽつぽつ程度。直木三十五や火野葦平に至っては一冊も読んでいません。
    なので、こうして出久根達郎さんが丁寧に解説してくださるのは大変ありがたいです。「どの作家にも、『玄関の扉』的な作品がある。作家の予備知識を教えてくれる作品である。それさえ読めば案内なしに、まごつくことなく奥座敷に行くことができる。」つまり、この本は取り上げられた作家たちの読書案内としても有用だということだと思うのです。
    私は樋口一葉著『通俗書簡文』の「猫の子をもらひにやる文」が気にいった

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    2010年06月20日
  • 本のお口よごしですが

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     ご存じ古本屋主人の名エッセイ集。少し軽いエッセイを読みたいと手にとったのですが、うーん、100以上ある単文がそれぞれ軽そうに見えて渋みのあるエピソードで読み飛ばすことができず、時間がかかってしまいました。

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    2010年06月01日
  • おんな飛脚人

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    偶然同じ日に飛脚問屋で働き始めたふたりの飛脚。
    ひとりは珍しい女飛脚。

    江戸の町を駆け抜けて手紙と人情を運びます。
    読みやすく、爽やかな読後感。
    おもしろかった♪

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    2010年04月22日
  • 作家の値段

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    なかなか奥深い世界だ。
    本は好きだが、古本はあまり好きでなかったが、この本を読んで、興味を持った。
    昔、学生時代、古本屋の好きな友達がいて、一緒に神田の古書店を廻ったものだが、買う本がなく、ただ眺めていただけだ。
    今だったら、違った意味で楽しめたのではないだろうか。

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    2010年04月10日
  • 御書物同心日記

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    将軍家の御文庫に勤める同心のお話。
    捕り物とかじゃない人も「同心」なんだーと知りました。
    珍本稀本がいっぱい出てきて大変おもしろい。

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    2010年01月29日
  • 本のお口よごしですが

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    著書を読んでいると
    出久根さんはやさしい人なんだろうなぁと感じます。

    新聞の人生相談の回答者として、その存在を知ってから
    本を書かれていることを知りました。

    出久根さんの著書を読んでいると
    懐かしく、やさしい空気感に包まれます。

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    2009年10月04日
  • 無明の蝶

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    正直、めちゃめちゃ面白い。文章のリズムが心地よく、読み終わるのが勿体なかった。読書の醍醐味って、つきつめれば「読んでて心地いいかどうか」だと思う。直木賞候補作にもなった本作。なのに、何でこの本が絶版なのか!?解せない。
    古本屋「芳雅堂」を営む「私」が語り手の、連作短編集。ユーモラスで、どこか奇妙な古本屋のお客や友人たちとのやり取り。「私」の名前は出てこず、かつ、著者が営んでいた古書店の名前も「芳雅堂」であるが故、虚実ない混ぜになった感が面白い。

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    2009年10月04日
  • 御書物同心日記

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     漸くきました。以前、哲学生なのに「紅葉山文庫について」なんて論文を15枚ほど書いて、方向性を失っていた私。いよいよ、あの論文が役に立ちました!
    主人公は紅葉山御文庫に務める新米同心。本大好き人間、と聞き私は興味を惹かれるばかりです。内容は短編集。本の知識とか、彼らの仕事とかわかります。事件とゆぅほどの大事件ではないけど、毎回何かしら騒動があったりと。
    シリーズモノです。このシリーズも気になりますが、作者の出久根さんに私は興味を惹かれました。古書店経営者にして直木賞作家ですよ!

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    2009年10月04日
  • 出久根達郎の古本屋小説集

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    出久根さんの本に触れ、また講演でお会いして早18年が過ぎる。古本屋にまつわる小説も数多読んできたが、氏の生業が題材であるだけに虚構なのか実録なのか判じかねることしきり。極めて日常的な話の流れからして体験に基づくモノなのだろう。いずれにせよ、どれほどの儲けがあるのやら、帳場であれほど暇な稼業でよく食べていけるなと、失礼ながらいつも思う。まあ氏は作家、それも直木賞作家と二足の草鞋で心配には及ばぬだろうが。されど、受賞までの20年は古本屋一本だからね。いずれにせよ今回も素敵な日本語を数多く教えていただきました。

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    2024年01月10日
  • 出久根達郎の古本屋小説集

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     古本にまで手を伸ばしたら収拾がつかなくなるので、あまり古本屋巡りをすることはなかったが、古書・古本に関する本を読むことは好きだった。今では文学全集を筆頭に古書の価格は下落しているし、大体の価格もネットで分かる時代になってしまったが、自分が上京してきた頃は、文学書の初版を収集したり掘り出し物を一所懸命探す人も身近にいたものだった。

     本書の作者出久根さんは元々古書店主だった人だが、本書に収録されている作品を読んでいると、そんな時代の様相が彷彿と浮かび上がってくる。
     著者自身の古書店主だったときの体験がベースになっているのかと思われるもの、本に取り憑かれた人の妄念や浅ましさが描かれているもの

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    2023年12月08日
  • 本のお口よごしですが

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    古本屋さんの主人が古本にまつわるエピソードを書き綴ったエッセイ集。
    街に古本屋は中々入るのは敷居が高いけど、これを読んでちょっと興味が出て来た。

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    2023年02月18日
  • 世直し大明神 おんな飛脚人

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    ネタバレ

    前巻の巻末で安政の大地震に見舞われることが予告されていたもんで、いつ揺れるのか、誰か犠牲になるのかと案じながら読み進める。茂右衛門は残念だったけど、予見したかのごとく引退したのちで、十六屋を支える仲間たちは皆無事でよかった。まどかと清太郎だけど、惚れたはれたの恋仲については著者らしく有耶無耶というのかどういうのか。それよりも広く人間愛を大切に描かれるのだ。大塩平八郎の過激な秘蔵書である『鶴龍堂先生言行録』をめぐり悪党どもとの角逐あれども、この結末もやんわりと。この物足りなさが著者らしい。そう、過程が大事。

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    2021年10月11日
  • 犬大将ビッキ

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    年老いた2人の母と、愛犬のパピヨンのビッキの赤裸々な介護生活を書いたエッセイだ。
    ペット飼育に対する知識は古いものがあったが、2人の母へのそして、愛犬への愛昔の念が強く感じられる。
    表題の剽軽なイメージからは考え思いつかないほどの心に染みる内容だった。

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    2019年11月20日
  • 漱石センセと私

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    面白かったです。出久根さんは初めて読みました。
    より江という少女の視点で、夏目漱石や妻の鏡子を描く…というより、メインはより江の成長でした。
    より江と猪之吉とのあれこれがほとんどだったのですが、優しい目線でおおらかに読めます。
    描かれる出来事は、どの登場人物にとっても結構おおごとなのですが、穏やかに素直に描かれているので良かったです。
    鏡子夫人は悪妻でもなんでもなかったです。むしろ、漱石と付き合うにはこれくらいさばけていた方が良いと思いました。
    漱石の著作のモデルとか、エピソードの元になったものも色々と挙げられていて、また読みたくなりました。
    エピローグで、実際の久保夫妻が福岡にいたのを知って

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    2019年08月31日
  • いつのまにやら本の虫

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    古書店店主であり小説家でもある作者の古書店エピソード日記。本に対する愛情がひしひし。読書を楽しむ者の共感を得るこの手の本はもっとあってもよいと思えるジャンルと思う。
    自分も同じように読書に関するエッセイを書きたくなり、時折妄想してしまって読む妨げになってしまった。古書の価値にはあまり興味はないが人の価値観は千差万別と考えてしまう。

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    2019年02月02日
  • 佃島ふたり書房

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    ネタバレ

    内容(「BOOK」データベースより)
    佃の渡しが消えた東京五輪の年、男は佃島の古書店「ふたり書房」を立ち去った―大逆事件の明治末から高度成長で大変貌をとげる昭和39年まで移ろいゆく東京の下町を背景に庶民の哀歓を描く感動長篇。生年月日がまったく同じ二人の少年が奉公先で知り合い、男の友情を育んでいく。第108回直木賞受賞作品。

    書店のほんわか話かと思いきや、古書が熱かった時代の闇をはらんでいます。昔は本がとても大きな力を持っていたんだと読んでいてある意味うらやましい気持ちになりました。本を語り合ったり議論したりは楽しかっただろうな。
    色々盛り込み過ぎて商店がぼやけているのが残念。

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    2018年09月13日
  • 漱石センセと私

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    夏目漱石と樋口一葉に関しては一家言もニ家言も持ちあわせてる著者が、漱石センセに縁のある久保より江という俳人の半生を追う。わたくしは俳句に造詣なく、初めて知る女性だ。より江が少女時代に、漱石と正岡子規が彼女の祖父母の家に下宿していたようで、彼らとのほのぼのとしたやり取りが微笑ましい。やがて、医学博士にして著名な俳人となられる久保猪之吉と出会い、結ばれるまでの波乱万丈ってほどでもないけれど、当時の女性としては刺激的で自立した人生が描かれる。著者らしい温もりのある筆致で、漱石夫妻の微妙な関係や歩みもやんわりと。

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    2018年06月13日
  • おんな飛脚人

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    軽いですね。悪く言えば軽薄。でもなんだか明るくて、スピーディーで良いです。
    著者・出久根さんは古本屋のご主人。どちらかと言えば、ちょっと重い感じの作品が多かったと思うのですが、これは妙に軽い。飛脚問屋を舞台にしたせいでしょうかね。
    何も残らない作品だとは思いますが、爽やかな一気読みでした。

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    2017年11月08日
  • 御書物同心日記 虫姫

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    出久根さんの本は、何故か肌触りの悪さみたいなものを感じることが覆いのですが、これは殆どそんなことが無かったですね。なかなか良い出来です。
    一つには古本屋・小泉屋の娘・おしんの存在が大きくなった所為かも知れません。話全体に少し色気が出てきたのが良かったのかな。
    あまり高い評価はしていませんが、一気に読み終えました。

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    2017年10月30日