鯨統一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレバカミスの大家、鯨統一郎による連作短篇集。第1章では本格ミステリの定義が語られ、それ以降も「トリック」「嵐の山荘」「密室講義」「アリバイ講義」「ダイイング・メッセージ講義」「意外な犯人」など、短篇ごとにミステリの要素をテーマにした物語が展開されていく。各章は独立した短篇ながら、登場人物にはつながりがあり、前の章で殺された人物がフィクションとして扱われるなど、独特なストーリー展開が特徴だ。ミステリアス学園のミステリ研究会のメンバーが、一人ずつ減っていくという「そして誰もいなくなった」を彷彿とさせるプロットが進む中、途中でその仕掛けすら意表をついて変化する。
個々の短篇の完成度は高いとは言えないが、全体のプロットには感心させられる。特に、登場人物が徐々に減っていく構造が秀逸で、この作品の大きな魅力となっている。ただ、キャラクターの魅力はやや薄く、またバカミスとして狙った要素が散見される割に、短篇の結末や物語全体のオチがやや弱いと感じた部分が惜しい。
文章自体は稚拙ではなく、読者を引き込む力はあるため、テンポよく読み進められる。また、作中でさまざまなミステリが紹介されている点も楽しめた。しかし、最後のオチが期待外れで、もう少しパラドックスを活かした斬新な解決を期待していた。プロットの良さだけが際立つ作品だと感じる。
総じて、個々の短篇の出来や結末に改善の余地はあるものの、全体の構成とアイデアは魅力的。評価は★3とする。 -
Posted by ブクログ
暴漢に襲われ、記憶を失った女性に
次々と「恋人」や「夫」と名乗る男が現れる。
さらに、主人公を婚外子として認知した大金持ちの、
遺産相続も絡んできな臭い話が展開していく...
という粗筋だが、何というか...赤川次郎ばりに
次から次へと「これでもか」と事件が起きる
「怒濤の展開」(^ ^;
これを鯨氏独特の文体で書かれると、
何とも不思議な魅力のある作品に仕上がる。
鯨氏の書く本は、誤解を恐れずに言うと
「粗筋を読んでる」っぽい印象を受ける。
登場人物のセリフがとてもあっさりしていて、
心象の補足や、時にツッコミを地の文で入れる、
という文体がそういう印象を与えるのだろうか。
セリフがあっさりしているので、
登場人物によって微妙な口調や口癖の使い分けもなく、
ある意味「リアリティがない」とも言えるか。
情景描写も「デジタルな」印象で、
繊細な目線や細かい季節感などはあまり感じない。
これだけ書くと「悪口」みたいに見えるかもだが、
この粗筋っぽさは「とても映像化しやすい」
とも言える気がする。
実際に鯨作品はよくテレビドラマ化されてるようだし(^ ^
本として読んでいるときも、あっさりしている分
「読者が勝手に登場人物や舞台を想像できる」余地がある。
「文学として完結いて感動できる」というより、
「読者のイマジネーションを刺激する」読書体験。
これはこれで中々の快感だと思います(^ ^
で、この作品も、「怒濤の展開」で盛り上がると
「ここでコマーシャルだな」みたいに、
いつのまにか脳内で勝手に「二時間ドラマ化」して
読んでいる自分に気づいたりする(^ ^
最後の最後がちょっと強引で、無理繰りまとめた、
という感じがしなくもないので、★三つ(^ ^;
例によってミステリなので、あまり細かく内容を書けず。
あしからず(^ ^;