鯨統一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
鯨 統一郎氏の元へ、
アメリカの無名作家の作品が送られてきて、
それを翻訳して出版してみた、という設定の
かなり実験的な作風の一冊。
文体がかなり変な感じなので、
はっきり言って読みにくい(^ ^;
セリフの前に、誰が喋ってるのかいちいち書いてあったり、
「心の動き」を括弧書きで全部説明しちゃったり、
何とも言えない変な感じ(^ ^;
取り上げているテーマはかなり壮大で、
「眠りとは何か」。
かなり荒唐無稽でご都合主義なエンディングは、
ある意味アメリカのベストセラーっぽいか(^ ^;
もしや壮大な何かのパロディーなのかも、
と思わせるような不思議な一冊(^ ^; -
Posted by ブクログ
ようやくクロニクルオブダンジョンメーカーの罠から逃れ、本の世界に帰ってこれた。
ただ、久しぶりすぎるからか短編だからか、はたまた内容かは分からないけど、そこまで良くはなかった。
クロニクルやりたいのを堪えて読んだって感じ。クロニクルを忘れるくらい没頭するかと思ったのに。
ミステリアス学園のミステリ研部員が紡ぐ短篇集をつないだ長編、フィクションと見せかけてノンフィクション。というか、作中作と見せかけて実話を元にしてるって、あくまで本の中の設定だから、現実の世界から見ればまだフィクションなんだけど・・・って感じで、あれよ!マトリョーシカよ。
で、最後はその「ミステリアス学園のある世界」と「現実世界」がリンクして、作者=ミステリアス学園のある世界の神、なんてメタメタミステリまで関わってくるんだけど、何より読みどころはミステリー用語とミステリー史の解説部分だと思う。
なにせクロニクルに心を奪われつつも必死に没頭しようとして読んだだけだから、用語のほうは「真面目に読むと役に立つんだろうなぁ」としかインプットされず、未だにこんな稚拙な感想文を書いています。
ただ、ミステリー史の方は役にたった!というか、感動した。
巨匠の域に達してる赤川次郎や吉村達也が実はほんの30年前の作家だったとか、母絶賛の折原一がちょうど彼女が30代前後の時にデビューしてるからとか、自分の評価と周りの評価がずれてる理由がすごくクリックした。
そして自分がいかに名作と呼ばれる本を読んでないかも実感。海外の作家はともかく、「趣味は読書、好きなジャンルはミステリーです」なんて言うなら、作中に出てきたタイトル8割くらいは読んでるかと思った。ショック。
前に茂にも言われたけど、年間ウン万作と小説が発表されてるんだもんね。厳選して話題作だけ読んだってKeep upできないわ。
なのに私の本棚を埋めるタイトル買いした本たち・・・そしてあるもの全て読みたい貧乏性の私・・・
今後は、「趣味は読書」っていうのやめます。
最後のミステリーマップに乙一とか伊坂が入ってるのが嬉しかったわ。
8/16/2012 -
Posted by ブクログ
文中に、古巣の劇団の名前が出てきて、妙にドギマギした。
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物語の設定が、小劇団なんですね。
小劇団なんですが、すごいです。
脚本家、演出家が別々にいて、マネージャーがいて、役者は5人で、美男美女だらけ。
そして、美女がふたり、主役の座を狙って相手を貶めようとして……。
うらやましい!
いやいやいやいや、いやいやいやいや。
といっても、そこじゃなくてね。
うらやましい! のはどこかというと。
もう一人、本業は医者だけど道楽の芝居に有り余る金を出資する男性、つまり劇団のパトロンが出てくるのだけど、これがうらやましい。
有り余る金を、道楽で芝居につぎ込む?
つぎ込みなさいつぎ込みなさい、さあ、僕の芝居につぎ込みなさい。
湯水のごとくに使いまくって、楽しませてあげますから。
しかも、劇団の方針、作品内容、配役には一切ケチを付けないとか、どんな神様だ。
神様だ! ネ申だ!
いいなあ。(本音)
金さえあればなあ。(ぼやき)
金くれよ。(脅迫)
面白い芝居、作りますよ。(約束)
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本編の謎は、さすが鯨統一郎氏一流の、人を食った解決。
一人八役。こういうことだったとは!
お見事としか言いようがありません。
お楽しみあれ。 -
Posted by ブクログ
ミステリ界の奇才、鯨統一郎氏の人気シリーズ一作目。
明治の文豪・森鴎外が、何者かに殺されかけて逃げていった先は、なぜか現代日本の渋谷だった。
というトンデモなところから始まり、渋谷のギャル女子高生に助けられ、現代の知識を貪欲に吸収していく森林太郎(鴎外の本名ね)、通称モリリン。
果ては時空を越えた殺人事件の謎解きへと発展し……。
と、まあ、トンデモです。(^^ゞ
鯨統一郎氏と言えば、歴史上の謎を独自の新解釈で解き明かすミステリを得意としている作家。
当然、この本もミステリです。
SF風味の味付けがなされていますが、あんまり関係ないです。
あの堅物のイメージがある森鴎外が、現代日本にかぶれていく様は、想像するだけで楽しくなりますよ。
なんというか、教科書の著者近影に、思うさま落書きをしているかのような背徳感。
そこを楽しむことができたら、こっちのもの。
なので、あまり大仰に構えずに、楽しみたい方向けのライトミステリです。
ちなみに僕は、個人的には森鴎外の作品はちょっとイマイチなのですが、森林太郎には、大変お世話になっております。
森鴎外の文学的功績としては、たとえば『舞姫』とか『ヰタ・セクスアリス』とか、その有名な小説がありますが、それらではなく。
本名の森林太郎名義で、ゲーテの『ファウスト』を本邦初訳したこと。
それこそが、僕にとっては一番の功績なのです。
実際に、大学時代、ドイツ文学を専攻していた僕は、ゲーテの『ファウスト』を中心に論文を執筆していました。
現代では、『ファウスト』も多数翻訳が出ているので、訳書によっては解釈が違うことが、ままあるわけです。
そこで、基本となる森林太郎訳の『ファウスト』を手に取り、そこから引用し、論文に役立てていたのです。
ただし、森林太郎役の『ファウスト』には、多数、翻訳間違いの箇所があります。
これは、のちの研究者たちのたゆまぬ努力によって一つずつ解明されていったのですが、そうはいっても、森林太郎訳は、他の訳書に比べて、日本語が伸びやかで、歌うような旋律で訳されていて、非常に楽しいのです。
平明で、美しい日本語、とでも言えば良いでしょうか。
原典の『ファウスト』は、全編が詩文で作られているので、非常にリズムが大事なのですが、韻を踏んだりリズムを取ったりと言うことを、のちの研究者たちは、「言葉のただしさ」に重きを置くために、若干殺してしまった。
でも、森林太郎役の『ファウスト』は、多少の解釈違いがあろうと、非常に軽快な訳文になっていて、それそのものが、翻訳物ではなく、一つの作品として成立しているかのようにすら思えたのです。
とにもかくにも、彼が『ファウスト』含め様々な作品を邦訳してくれたために、のちの文学者たちがとても助かったのは、言うまでもない。
文豪・森鴎外のすごさは、その「文学」よりも、こういった訳書において、わかりやすく発揮されているような気がする。
さて。
この作品ですが、ライトなミステリであり、同時に、渋谷を舞台にした活劇でもあり、そのSF的設定は、僕らがよくやる演劇と、相性がとても良さそうに思えます。
お芝居でやってみたいものですね。