佐藤賢一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『王妃の離婚』『双頭の鷲』『カルチェ・ラタン』などなど、重厚な歴史物が得意な著者の今回の舞台はローマ三頭政治時代のガリア、すなわちヨーロッパです。
カエサルってのはもちろん日本でも有名なかのジュリアス・シーザーことユリウス・カエサル。
当時広大なガリア地方はローマの支配下に置かれていましたが、ヴェルチンジェトリクスという若者が各部族に分かれていたガリアを統一し、ローマに戦いを挑みます。
解放戦争って奴ですね。
若く猛々しいヴェルチンに対し、カエサルが臆病な中年男として書かれているのが面白いです。
でもヴェルチンの方は性格とか母親の影響とか、『双頭の鷲』のデュ・ゲクランに似ているのが気になりましたね。親戚が心配性の参謀とかも。
この作者にとって「英雄」というのは皆こんな性格なのかな?
ローマの悪行に、どうしてもガリアを応援しちゃうんですけど、カエサルがエジプトに行ってクレオパトラと出会ったり、最後はローマでブルータスに殺されちゃうなんてことは誰でも知ってます。
つまり、ガリアは……。
歴史とは、戦争とは、こんなことばかりを繰り返しているんでしょうかね。 -
ネタバレ
う〜ん…。
2023年10月読了。
自分も日蓮宗に属する者なのですが、「法華経」の素晴らしさは(かろうじて)理解するものの、「日蓮」と云うあらゆる意味で“パワフル”であり、また他宗への攻撃も激しかった「アクの強さ」に正直付いて行けない気持ちが有りました。
かと言って、そこから分派した某宗教法人は、法華経を唱題しこそすれ、強引な勧誘,布施の徴収,どころか政治団体への票集めまで行い、代表者一人を祀り上げた「○○教」の如き存在には正直辟易しており、また本家(即ち日○○宗)にも近寄り難い雰囲気があり、何故この宗派は心穏やかに「信仰させて」くれないのかしらと、重ね重ね思ってきました。
本書で畫かれた日蓮上人が、そのまま実在の人物像と重なるのかどうかは分かりませんが、“強気な姿勢”の一端を垣間見た様な気持ちになりました。
又、他宗排撃の言葉は「間違った教えを弘めては、かえって禍を招くから」と云う理由からだったという理屈は、何とか飲み込むことも出来ました。
但し、この小説内で語られている経文等全てが「大乗仏教」の経典であり、それがブッダ本人の言葉では無い事は、多くの文献や歴史学からも指摘されている事実です。
その意味において、大乗仏教の経典の範囲内だけで“法論を戦わせる”事に何の意味が有るのか、かえって疑問を感じてしまった事も、偽らざる所感です。
勿論、「原始仏教」とて釈迦入滅から相当年数を経た後に作られたものですから、信じられるものは多くないのですが、そればかり気にしていては“仏教徒”として失格だとも思いました。
今作は、ひたすら法華経の布教に苦心する日蓮像ばかりが描かれ、些か「掘りの浅い物語」でしたので、著者自身の信仰などに影響されていたのかなとも推測しました。
著者には、法華経の教義も含めて、もっとスケールの大きな物語を書いて欲しかったです。法華経の智慧の醍醐味の素晴らしさ等、他宗と争うばかりではない視点も欲しかったです。そういう意味で辛い評価に成りました。やはり著者には「中世ヨーローッパ」を舞台にした物語の方がしっくり来るのでしょうか?これからの活躍を期待しています。