新城カズマのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
まず述べておきたいのは、この本は「物語工学論」としては良いのだが、「キャラクターの作り方」としては非常に微妙だということだ。
社会論的、文化論的、神話論的見地からキャラクターを類型化する内容は非常に興味深いし、多く出典を引く様式は好ましい。例はやや古臭い物が多いが(新しくともエヴァ程度で、前世紀の物ばかりだ)、祖型を探る以上はこれも仕方のないところだろう。
しかし、既存のキャラを分析するならともかく、魅力的なキャラを想像するためのハウツー本としてはあまり期待できない。祖型を意識してキャラを考えることも、フローチャートに当てはめることも、決して無駄ではない。しかし、本書の中で言う表現を借り -
Posted by ブクログ
“どうして?
簡単な話だ。仮に悠有を追いかけたとしよう。運良く(この大群衆の中から)見つけて、つかまえたとしよう。そうなると、やることは決まってる。ぼくはいうんだ。ちょっと口を尖らせながら。かってにいなくなるなよ、と愚痴ってから。なんで急にいなくなってんだよ、と問いつめて。確かめて。
そしたら、何がおきる?
ぼくは理解してる。自分がその答えを知らないってことを。想像もできないってことを。そいつはナイト的不確実性だ。ぼくの遥かなる霧笛、喉にたまってしまった無数の違和感。スヌーピーあんちゃんの警告だ。
ようするに、ぼくは確かめたくなかったんだ。
悠有が何を見つけたのか。何を思い出したのか。確定した -
Posted by ブクログ
“「当然じゃん」ぼくはできるだけコージンを刺激しないよう、慎重に返事をする。代わりに雨の中を走れと命じられるくらいなら、追従者になったほうがましだ。「場所は問題じゃないって。さもなきゃ、これまでにも同じことが起きてたはずだし」
「違うな」
「なんで」
「その理屈だと、おまえの幼なじみは、これまでにも何度か消えたり跳んだりしてることになるぜ」
「…………」
たしかにコージンのいうとおりだった。『跳んだ』場所に原因がないのだとしたら、悠有本人に原因があることになる。それでも問題は単にそちらへ横滑りしただけだ。つまり真の問題はこうだ……なぜ今年の夏が初めてなのか?
「あのさ、もしかしてさ」
「うわ」