新城カズマのレビュー一覧
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ネタバレ――
SFはここまでできる。
楽しく読むためにはこんなにも注意深くならなくてはいけないのか、という恐ろしさもあるけれど、まぁそれはなんでもか…。
ほんとにひとことで云えば、情報過多作家である。短編から掌編まで、どんな細かな設定にもタグがぶら下がっていてそこからどこへでも飛べるような。そして飛んでいるうちにここが何処か解らなくなって、着地したら別の短編に居るような。まさにトラベラー。夏だしもう一回読むか。
本編もそうだけれど、伴名練による解説…解説と云うには膨大な新城カズマ論も情報過多。しかしこういうのがあると、不真面目な読み手である私のような人間は非常に助かります。
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Posted by ブクログ
一人称視点。主人公のぼくが語り部です。結果を先回りで伝えてくる割に、説明となる過程は主人公の回りくどい思考そのまま読むことになるので、非常に読みづらいです。しかし、たまに秀逸な情景描写があるのと、随所にワクワクする謎が散りばめられていることで先が気になります。読むのやめようかなと思いながらもギリギリ読み進めたくなる絶妙な
ラインでした。笑
これが計算なら素晴らしいです。
途中で時間跳躍の考察のために、参考になりそうなSF小説を集めるシーンがあります。名だたる傑作に並んで小林泰三の『酔歩する男』が出てきたのが何だか嬉しかったです。自分の好きな本が出てくると嬉しくなりますよね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人は自分の気分次第で壊せるものをそれぞれ持っている
お前はそれが人よりデカい
それだけだ。
という玄海師範の言葉がなんでかずっと刻まれている。
壊せるもの、の中に玩具やペットから始まり、
恋人とか家庭とかの人間関係が含まれているのがいかにも富樫さんっぽいけれど
要するにこれは誰に甘えるかという話なのかなって。
考えるべきことを考えないのも甘え、だし。
大切なものが大切なまま、側にあり続けると思うことだってもしかしたら、甘えだし。
なんとなく、解った気がする。
オレは取り残されたいんだね。いつだって。
取り残されて、それでもそうしている自分を、悪くないって思い -
Posted by ブクログ
#日本SF読者クラブ 悠有は「時を駆け抜ける少女」になった。1巻からのレビュー続きです。高校生5人組のプロジェクトは、騒動というか事件になり、悠有は時を駆け抜けた。青春も駆け抜けるもの。やはり青春SF小説だ。
1巻のレビューで本書のタイトルを「夏/あの時/往く人」と解釈したが、まあいい線いっていたと思う。「往く人」というよりは、そのまんま「旅人」だったけど。あと、喫茶店「夏への扉」がキーとなっていた。「難しい言葉が出てくる」とか「読むのに疲れる」とかいうレビューもあるようだが、そこは悠有のように駆け抜けて(?)読めばよい。
エピローグで、未来の出来事として大地震と原発事故が起きたとの記 -
Posted by ブクログ
あの夏、
放火事件が町を揺るがし、
隣市との合併問題が議会を揺るがし、
兄は精神病院の病室で頭の中だけ並行世界に住み続け、
友人は住基ネットにハッキングをしかけて、
BGMはシカゴのSaturdayInTheParkで、
そして僕らはただいつもの「夏の扉」で本を読んでいた、
あの夏。
マラソン大会のただ中3秒間だけ未来へ時間旅行をした
幼馴染を巡って、僕らがSFを読み漁り実験を繰り返して
「時空間跳躍少女開発プロジェクト」に夢中になったあの夏。
ジャンル:「頭のいい高校生が額つき合わせてうだうだ」系衒学小説。
小難しい理屈と、大量のSF本を元ネタに一説ぶちまけるのがメインであるかのよう