秋谷りんこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「ナースの卯月に見えるもの」の作者による訪問看護師の新シリーズ。
正直、卯月の「思い残し」や桃井の「家の怪異」が見えると言う設定が最初は受け入れがたく、読むのを躊躇っていたが、振り回されていたのは、卯月シリーズの1、2巻目までで、それ以降は上手く付き合い、終末期の患者さんへの卯月の接し方を読んでいるうちに、すっかりハマってしまった。
卯月は病院の看護師だったが、本作の桃井は訪問看護師。
自ら介護を必要とする人の元へ赴いて、健康状態を確認する。
その家庭の中に何か問題があれば、家の中が歪んで見えるなどの「家の怪異」が見える特殊能力が桃井にはある。
でも、その能力を全力で解決するのではなく、利用者さんやその家族に寄り添いながら、その怪異の元を解決していくので、話に無理がない。
正直、この春、親族が在宅介護になるまで、訪問看護師さんの仕事をあまり理解してなかった。
今もあまり理解してないが、今作を読んで、バイタルや体調の確認だけでなく、髪を洗ったり、清拭を行ったり、リハビリの手伝いをしたり、限られた時間でさまざまなことを行っていることが分かり、勉強になった。
この作者さんのいいところは、患者さんや利用者さんに思い入れ過ぎないところ。
看護のパートももちろんありながら、必ず同僚たちとの食事のシーンがセットになっている。
大変な仕事だからこそ、美味しいものを食べて、また明日から頑張ろう!と読んでいるこちらもエールをもらえる。
元看護師さんだった作者さんだからこそ、描ける看護師の日常なのかな。 -
Posted by ブクログ
「人生最高ごはんが更新されちゃった」って、
なんていい言葉だろう。
しかも
人生最高の朝ごはん、
人生最高のごはん甘いものバージョン、
人生最高のカレー、
…って、
人生最高がひとつだけじゃないところがいい。
たくさんの人生最高を見つけるという幸せ。
「自分の人生で」最高というのも、すごくいい。
その人の人生ドラマ、人間ドラマが垣間見られるし。
そして人生最高ごはんを誰かと語り合う、そのひとときがとっても貴い。
どん底の1日に出会った瞳と乃果が
食べることは生きること、をモットーに
おいしいごはんを共有しながら、
絆を深め、お互いに支え合って、過去を乗り越えていく。
食事が美味しそう過ぎて、つられていくつかの食べものを食べちゃった。
心も身体も満たされた。
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Posted by ブクログ
「ナースの卯月に視えるもの」5冊目。
卯月が働く院内ホスピスに二人の看護師が異動してきたところから始まる物語。
異動してきた個性的な二人の行動を通して、常に人の死に近いところにいる医師・看護師が患者の死に対してどのように向き合っているのか、そのありようが垣間見える今回。
患者の死に対して『泣きたいくらい悲しいけれど、泣いている場合じゃない……』という葛藤を一生抱え続けなければならない医療従事者の立場がなかなかハード。
患者の苦痛を完全に消し去って意識もしゃきっと最後まで本人らしく過ごせたら一番いいが現実にはなかなか難しいとか、負の感情を持つ患者であってもその気持ちは否定せずにそれを尊重した上でどうしたらよりよい終末を迎えられるかを考えるとか、卯月が看護師として語る言葉は、一方、患者の身になって捉えてもなかなか切ない言葉だと思える。
今回も色んな患者さんの話があったが、その中では、短い命の中で作家を目指して小説を書く彼氏のために、彼が新人賞に応募した原稿を自分の手で一冊の本にしてプレゼントした彼女さんの姿がとても印象に残った。
そういう佳い話ではあるのだが、話の展開はワンパターン化してきていささかのマンネリを感じるところ。
患者さんは誰もが「思い残し」はあっても恬淡としているように見え、卯月も彼女なりに悩みはあるとはいえ患者のみならず後輩への対応もそつなく行えるようになってきて、それもこれも話が丸く収まっていくのがちょっと物足りない。最後の話などでき過ぎではないかしらん。
作者さんのあとがきに『彼女の歩みを、これからも一緒に見守っていただけたら幸いです』とあったので、まだまだ話は続きそうだが、付き合い続けるかはちょっと考え中。 -
Posted by ブクログ
完治の望めない人々が集う長期療養型病棟に勤める看護師・卯月咲笑。
ある出来事をきっかけに、患者さんの「思い残し」が視えるようになる。
「思い残し」が現れるのは、患者が死を意識したとき。
彼らの心残りを解きほぐし、より良い看護を目指したいと奔走する日々が始まった。
患者さんたちの思い残しの原因が意外と危ない事件と繋がっていたり、
卯月が「思い残し」が視えるようになったきっかけが
とても切なく悲しい出来事だったなど、
装丁から予想していた物語とは少し違っていて、
いい意味で予想外な展開だった。
「例えば今日死にますって言われたら、
何か思い残すことってある?」と卯月が友人に問う場面は、
自分自身も問われてるようで、考えてしまったな…
回復の見込みがない患者さんが多い長期療養型病棟。
ゆっくり時間をかけて、患者さんもご家族も先生も看護師もみんなで寄り添いながら迎える死。
死は悲しいことだけれど、受け入れ方や迎え方などを
考えさせられる物語でもあった。
看護師の普段の仕事内容もよく分かり、
看護の大変さやミスが許されない常に気を張った現場に頭が下がる思いだった。
続編もまた読んでみたいと思う。