秋谷りんこのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
シリーズ2作目。
死にたい気持ちを治療する潜入心理士という仕事。
患者さんには、素直に助けてあげたいと思える人もいれば、そうでない人もいる。医療現場ではそこを区別してはいけないけど、人間だからどうしても感情が入ってしまう。新人潜入師の綾川の姿を見て、その難しさがわかるような気がした。
大きな犯罪を犯した人に対する治療の報道を見た時にも、同じような気持ちになったことを思い出したりして。
潜入師の大変さは前作でも感じたけど、やっぱり負担が大きくて大変。でも、もし自分が患者だったとしたら、深層心理まで入り込まれて…というのは、嫌だなということも強く感じた。
こんな治療も将来実現するかもしれないけど、お世話にならないようにしたいななんて思ったりした。 -
Posted by ブクログ
シリーズ2作目、シリーズ化されたのを知り手に取った。
前作から約一年、内容を忘れてしまっていないか心配だったけど、主人公・ゆんの成長と後輩の登場に月日の流れを感じつつ、一気に物語に引き込まれた。
前作でも感じたのだが、人の心の中ってどうなっているのだろう?
やっぱり人の心に入るのって怖いよなぁ。もしかしたら帰ってこれないで飲み込まれてしまうかもしれないし、「死にたい」というネガティブな気持ちだとなおさら。真っ暗な洞窟に入るようで躊躇ってしまう。
本作で特に興味深かったのが、4章の「誰を救うのか」だ。
患者がある事件の加害者だったら?救う側も人間だ、どうしても私情が入ってしまう。
「救いたい命、救いたくない命」という葛藤は医療従事者の使命と私情がぶつかり合うリアルな描写が、自分ならどうするか?とついつい、チームの一員のつもりで、ゆん達と一緒に考えてしまう。
希死念慮の【絡み】も絶望、渇望、贖罪、炎上、自責、と様々。
救う側も心の中で負の感情を目の当たりにして精神的にきつそう。
希死念慮【絡み】になる前に「心がちょっと詰まったな」と感じた時に治療するのが一番よいのだろうけど、心療内科ってやっはり敷居が高く感じてしまうから拗らせちゃうんだよね。
先日読んだ窪美澄さんの『夜空に浮かぶ欠けた月たち』のように「心の避難所」を持っていれば違うけど、現実は難しい。
ちょっと悩んだら美味しいごはん食べて忘れるのが一番。
ゆん達も過酷な任務の後に『人生最高ごはん』で心をリフレッシュしてほしいな!
現実はそんな甘くないか。 -
Posted by ブクログ
著書の秋谷りんこさんお得意の特異な能力を持つ看護師の物語。
特異な能力といっても宮部みゆきの『クロスファイア』のように「人間火炎放射器」や筒井康隆の『七瀬シリーズ』のような「テレパス」ではない。
主人公の桃井は訪問看護師、訪問先で怪異が見える特異体質をお持ち。
もしかしたら、幽霊が出てくるかもと手に汗握りながら、恐る恐る読み進めた。
案外この特異能力が看護師の仕事に役立っていて便利で捨てたものではない。
元看護師とあって描写もリアリティーがあり、各章の話も在宅医療や介護と近い将来、自分もお世話になるかもしれない身につまされる話ばかりで他人事ではない!
訪問先にはどの家庭にもありそうな問題が怪異となって現れ桃井の特異能力と看護師のスキルで心も体も謎も解きほぐしてくれ、奮闘する姿に元気をもらえる。
ふと、著者が描く、ナース卯月と桃井ナース、潜入心理士月野ゆんのコラボしたオールスター医療ミステリーも面白いかもと妄想が暴走してしまう。友情出演やニアミスなんかも想像しただけでワクワク感が止まらない。
そんな「贅沢な能力者の饗宴」読んでみたいと思うのは私だけだろうか。