秋谷りんこのレビュー一覧
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シリーズを通して大切に描かれてきた「命に寄り添う看護」が、これまで以上に深く胸に響く作品でした。
患者さん一人ひとりの人生や家族への想い、叶えられなかった願いが丁寧に描かれるエピソードには、やっぱり自然と涙があふれてしまいます。単に悲しいだけではなく、最期までその人らしく生きようとする姿が温かく描かれているからこそ、切なさの奥にある命の温もりに触れることができました。
また、卯月自身が直面する私生活のドラマと成長ぶりも見ごたえがあります。兄夫婦の事情で姪を預かる多忙な日々や、患者家族とのトラブルを抱える恋人の樹を親身に支える場面、そして現場で新しく加わった仲間とともに悩み、支え合いながらナースとして頼もしくなっていく姿がとても印象的でした。
そして、シリーズの象徴である「思い残し」が視える設定が、今回はホスピスで生きる人々の物語へと自然に溶け込んでいたのも見事です。特殊能力を前面に押し出さないことで、人と人とのつながりや看護の温かさがよりストレートに胸へと届いてきました。
読み終えたあと、ホスピスは「亡くなるのを待つ場所」ではなく、「最期まで自分らしく生きるための場所」なのだという強い思いが心に残ります。命の終わりを描きながらも、生きることの尊さを優しく教えてくれる、シリーズらしい深い余韻に満ちた感動作でした。 -
Posted by ブクログ
秋谷りんこ先生は「人間の見えない心の声」を可視化するのが本当に上手い。そして最新作の『桃井ナースはこころも看ます』では、身体だけでなく心まで看てくれちゃう出血大サービス付きだ。
こんなの、間違いなく即買いでしょ。
そもそも、なんで家の中に怪異が現れるんだ!
考えてみたら当然なんだけど、家の中って「自分の素顔」を一番出せる場所なんだよね。
学校とか会社、人間関係、将来への不安。
そういう外では絶対に吐き出せないドロドロした感情が溜まる場所、それが「家」でしょ。そんな「見えない心のSOS」を、家の中に現れる怪異として可視化しちゃう設定が絶妙で、とにかく凄すぎる。
中でも特に刺さったのが、第二章の『あなたの隣で、あと少し』だ。部屋が水浸しに見える怪異の裏にある、登場人物たちの「心の涙」の真相が切なすぎる。「何かあったときに、一番に相談できる人がいる安心感」。それがどれだけ尊いことか。もし自分の大切なパートナーが……と想像しただけで、私の家の中は土砂降りどころか、大倒壊してしまう。
私の家はどうだろう?部屋の中がお花畑に視えるくらい平和ならいいけれど、ぶっちゃけストレスMaxな今の心の中を覗かれたら、かなりヤバい怪異がいるかもしれない。そんな、人間が一番隠したい素の領域に、看護師としてそっと寄り添い、伴走し心の歪みを少しだけ直してくれる桃井ナースは、
やっぱり最高にカッコいい。
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出だしから恋人が浮気して逃げるなんて不穏な雰囲気でしたが、駅で偶然出会ったもう一人の主人公とも言える乃果がごはんに連れて行き立ち直る所からスタートし、終始ほっこりしたストーリーが展開されて行きました。
どれも美味しそうで食べると元気になれそうな品々です。
食べる事は生きる事、そして美味しいごはんは人を幸せにする…そんなシンプルながら間違い無い事を思い出させます。
身体が元気なら心も元気になる筈、だからこそツライ時こそ美味しいごはんを食べて身体、そして心を労るってのが大事なんでしょうね。
確かに身体がツライ時は心も気落ちしますし、逆に心がツライ時は身体も不調になりますもんね。
そんな時こそ美味しいごはんで心と身体を癒す訳ですね。
作中家族とのすれ違いやアルコール依存の父親からのネグレクトなんかも有りますが基本的には読みやすいストーリーでした。
それにしても恋人や夫婦以外にも運命の出会いって有るんでしょうね。
今作における主人公と乃果、そして2人の主人公と白猫の様に掛け替えのないパートナーとの出会いは運命としか言いようのない巡り合わせって有ると思います。 -
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前作・「こころのカルテ」に続くシリーズ2作目
物語は前作から2年の月日が流れた所から始まります。
2年間の潜入診療中止期間に
新たな学びを得て成長した主人公
そんな主人公と一緒に組む事になった新人潜入師の
心の葛藤など
様々な形の希死念慮に立ち向かって行く医療チームの物語です。
死にたいと思う気持ちにも
追い詰められた被害者だけではなく
他者を追い詰め傷付けたが故
結果的追い詰められて死ぬ事に逃げ道を求める人の心
など
また新たな視点での診療行為が描かれています。
人の心の闇を可視化して診療して行くと言う視点が
とても興味深い作品です。
主人公の気持ちの葛藤や成長など
気付くと自分自身も気持ちを寄り添いながら
読みいってしまいました。
とても温かみのある1冊です。 -
Posted by ブクログ
「希死念慮」所謂”自殺願望”、これはれっきとした精神の病
そんな精神疾患を抱えた患者を救うべく
新たに実践され始めた診療行為・潜入診療
そして疾患のある患者の心に潜り
診療行為を行う潜入師の活動と
患者達の心の中の問題との向き合い方
また潜入師自身が抱える心の闇
そんな見えない心の中を可視化して描かれた
医療ファンタジーです。
現実に毎年2万人を超える自殺者がいる日本
どのようにしていけば
自らの命を絶とうとする人を
一人でも多く救えるか
そんな儚い思いを
元・精神科看護師だった作者が
この作品に込めていると思います。
好きな一冊になりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレいつも通り悲しい話が多かった。
藤久保さんの楓堂先生との最後のデートは読んでいて辛い。近藤先生の最後の合唱コンクールでの指揮は良かったなあと泣きそうになる。
それぞれのすれ違いから、疎遠になっていた学生時代からの親友に声をかけたら、すぐに駆けつけてきて全く昔と変わらない楽しい時間が過ごせた話を読んで、元気なうちに声をかけていたらなあと思った。会いたい人には会いたい時に会おうと思える話だった。
それと楓堂先生のいちごオレにも悲しい思い出があるとは思わなかった。
卯月と樹の中がこんな状態になっているとは思わなかったが、お互いの気持ちが確かめ合えてホッとする。