あらすじ
新川帆立大絶賛! 創作大賞2023(note主催)「別冊文藝春秋賞」受賞作
「号泣しました。様々な痛みを抱えて生きる人々を、そっと包み込んで肯定してくれる優しい作品です。」――新川帆立(作家)
★感涙必至のお仕事ミステリーが誕生!★
~元看護師の著者が送る、命の物語~
完治の望めない人々が集う長期療養型病棟に務める看護師・卯月咲笑。ある日、意識不明の男性のベッド脇に見知らぬ女の子の姿が。それは卯月だけに視える患者の「思い残し」だった――。彼らの心残りを解きほぐし、より良い看護を目指したいと奔走する日々が始まった。ナースが起こす小さな奇跡に心温まるお仕事ミステリー。
感情タグBEST3
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ナースの卯月咲笑にはときどき視えてしまうものがあるようだ。どうやらそれは患者の「思い残し」のようで、死を意識したいときに現れる。
思い残しが成仏?消える?患者が思い残すことがなくなるように卯月は動いてしまう。時には危ない目にあうことも。
さて、卯月が視えるようになったきっかけとは?
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一人の女性ナースの成長譚です。
彼女とは全く違いますが私は持病を持っています。
その持病に囚われすぎると生活が困難になることを
実感しているので、最終的に彼女が出した答えは
私にとって同じ答えとして持っていてもいいかもしれない。
と感じました。
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患者の「思い残し」が視える看護師の卯月。
完治が望めない長期療養型病棟なので、話の内容は自然と重い物になる。
自分が死ぬ時も周りの人とお別れの時間を持てる病気が理想だと思う
最後の透子さんの送迎会での挨拶にジンときた
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新川帆立さんが言われるように、とても優しい作品でした。
主人公の卯月が真面目過ぎて、時にやり過ぎる、いや、生き急ぐようなところも見受けられ、ハラハラしながら読み進めました。
卯月が視えるようになった思い残し、そのきっかけは衝撃的ではありましたが、もう完全に吹っ切れたと思ってもいいのでしょうか。
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私も看護師。本当の看護師さんが描いた作品であり、作中に入り込みやすかった。思い残しがみえた時、それを解決するために患者さんのことを知ろうと努力し、寄り添っていく姿勢は素敵だと思った。長期療養型病棟は急性期と比べて患者さんの死が多い。でも、その中で死を温かいものとして受け入れられるように寄り添い向き合っていく姿に感動した。そして、共に働く仲間も優しくていいなって思った。色んなことを経験するからみえてくるものもあるって気づいた。私も患者さんの気持ちに最大限寄り添える看護師になりたい。
オペ室から長期療養型病棟に異動してきた透子がオペ室では患者さんが亡くなるのは負けだと思っていたけど、ここにきてそうではない死を学んだと話したシーンが心に残った。「ゆっくりと時間をかけて患者さんもご家族も先生も看護師もみんなで寄り添いながら迎える死です。そこではお看取りをしながら涙を流すことも、ご家族と一緒に患者さんの生きてきた余韻に浸ることも出来ました。負けではありませんでした」この言葉が温かい看護を表していた。
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看護師のお仕事小説。著者が元々看護師であったという経歴から、医療用語をわかりやすく説明しながらお話が進むので大変読みやすかったです。小説家としてのデビュー作品のようですが、物語構成の軸がしっかりあって素晴らしいなと思いました。
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看護学生である今、本当に出会えてよかったと思える一冊。看護師の方が書いているだけあって現場のリアリティがすごいし勉強にもなる。自分はどのような看護師になりたいか考えさせられる。
Posted by ブクログ
あなたは、『例えば今日死にますって言われたら、何か思い残すこと』があるでしょうか?
(*˙ᵕ˙*)え?
さてさてのレビューは唐突な質問から始まることが定番化しています。しかし、流石にこれは度がすぎるかもしれません。『今日死にます』なんて不謹慎にも程があるとも言えますし、そんな前提の先に『思い残すこと』の有無を問われても何か思い浮かべることは困難だと思います。
とは言え人の人生は思った以上に儚いものです。日々報道されているニュースを見ていてもある日突然に命の営みを奪われることがある現実に衝撃を受けもします。そのことを深く考える際には、この世に未練を残す幽霊の話が繋がっていくことも理解できるような気もします。
そうです。古の世から、人は人の未練を思った以上に意識します。化けて出るといったことがあり得るかもと感覚的に理解してしまうのもそのためだと思います。
さてここに、人の『思い残し』に光を当てる物語があります。リアルな看護の現場を舞台に描かれるこの作品。そんな舞台にまさかの『思い残し』を視るこの作品。そしてそれは、人が『思い残す』ことの意味を噛み締める物語です。
『夜の長期療養型病棟は、静かだ』と、『深夜二時』、『見回りをするためにナースステーションを出』て思うのは主人公の卯月咲笑(うづき さえ)。『急性期を脱してからの療養に特化した』『長期療養型病棟』に勤務して間もなく六年という卯月は『死亡退院率、つまり病棟で亡くなる患者が、一般的な病棟では八%程度なのに対し、ここは四十%と言われている』こともあって、『なるべく心地よい環境で過ごしていただきたい』と思いながら日々の看護に勤めています。『次に見回りをするのは男性の四人部屋で、意識のない患者ばかりだ』と思いつつ、『ドアから入って左手前』の『大岡悟さんのベッド』を見る卯月。『五十歳の男性で、もともとは植木職人だった』と、『黒々とした角刈りと凛々しい眉毛が、目を閉じていても意志の強そうな印象を与える』大岡の『ベッドの足側に立って呼吸の確認のために腹部を照ら』します。『そのとき、喉まで出かかった悲鳴をなんとか飲み込』み、『とっさに足を一歩引』いた卯月。『そこに見えたのは、ベッドの柵を握っている小さな白い手』でした。『大岡さんの顔を照らさないように気を付けながら、手の持ち主にそっと光を当て』ると、『ベッドサイドに、十歳くらいの女の子が立ってい』ます。『あどけないかわいらしい子で、黒いサラサラの髪を二つに結っている』女の子は『靴もスリッパも履いておらず、靴下だけ』で、『柵をぎゅっと握りながら、大岡さんのほうに顔を向けてい』ます。『気持ちを落ち着けるために一つ大きく息を吐いた』卯月は、『夜中の病棟に子供がいるはずがない』、『さっきの見回りではどこにもいなかった』、そしてよく見ると、うっすら透けている』と思います。『何度視てもやっぱり慣れない』という卯月は、『そこにいるのは、本物の女の子ではなく、大岡さんの「思い残し」なのだ』と思います。『私はあるときから、患者が「思い残していること」が視えるようになった』という卯月は、『これは一種の能力なのだろうか。そこにいるはずのない人、あるはずのないものを視てしまう。それは私にしか視えていないらしい』と感じています。『あたかもそこにいるかのように視えるのだけれど、触れたり交流したりはできない。私が一方的に視ているだけで』、『私を認識していないのだろう』という『思い残し』。そんな『「思い残し」は、どうやら患者が死を意識したときに現れるらしい』と考える卯月は、『ほかの部屋のすべての見回りを終えてから、もう一度大岡さんのベッドサイドへ行ってみる』と、『女の子はやっぱりそこにい』ました。『寂しそうな目をしている』女の子を見て、『この子はいったい、誰なのだろう。今どこで、何をしているのだろう』と思案する卯月。『ナーススステーションへ戻』った卯月は、『タブレットで大岡さんのカルテを確認』します。『独身で家族はいない』という『仕事一筋の職人』である大岡。『マンションの木の剪定中に』『脚立から落ち』たという大岡が『思い残している女の子とは、いったい誰なんだろうか』と考える卯月。『思い残し』を視ることができるという看護師の卯月が、『思い残し』の真相を探り、『思い残し』を解決していく姿が描かれていきます。
“完治の望めない人々が集う長期療養型病棟に勤める看護師・卯月咲笑。ある日、意識不明の男性のベッド脇に見知らぬ女の子の姿が。それは卯月だけに視える患者の「思い残し」だった ー。彼らの心残りを解きほぐし、より良い看護を目指したいと奔走する日々が始まった。ナースが起こす小さな奇跡に心温まるお仕事ミステリー”と内容紹介にうたわれるこの作品。そんなこの作品は、2020年からnoteで小説を発表し始め、『創作大賞2023』で「別冊文藝春秋賞」し刊行に至ったという秋谷りんこさんのデビュー作になります。”二十代から三十代にかけて十三年ほど看護師として働いていました”とおっしゃる秋谷さん。この作品を語るにはこの側面に触れないわけにはいかないと思います。まずは『看護師』の”お仕事小説”としての側面から見ていきましょう。作品中には『看護師』でならではの記述が全編にわたって散りばめられています。
『夜勤の朝は忙しい。病棟の起床時間、六時になったら病室のカーテンを開けて、部屋が冷えない程度に窓を少しだけ開ける。ほとんどの患者は自分で洗顔ができないから、蒸しタオルで顔を拭く。点滴の交換、血圧や体温などのバイタルサインの測定…バタバタとしているうちに、日勤の看護師たちが出勤し始める』。
『看護師』さんと言えば夜勤はつきものだと思います。この作品ではそんな看護の現場がリアルに描かれていきますが、そのリアルさの根底には13年にわたって病棟勤務をされてきた秋谷さんの経験が活かされているのは間違いありません。夜勤から日勤者への交代をさりげなく描く場面にも本物の『看護師』ならではの視点が見え隠れします。夜勤自体にもこんな表現が登場します。
『夜勤明けは、眠気よりも脳の活気のほうが勝っていることが多い。一番眠いのは朝の四時から五時頃で、それを過ぎてしまうと、逆に脳が興奮してくるのだ。おそらく、本来ならば眠っているべき時間に活動しているから、自律神経のバランスがおかしくなるのだろうと思う。新人の頃、先輩たちから「夜勤明けのショッピングには気を付けて」と言われたけれど、今ならその気持ちがよくわかる。変なテンションで何でも買ってしまいたくなる』。
少し長い引用になりましたが、とても興味深い感覚が記されています。振り返ってみれば私も過去に何度か徹夜をした経験はあります。確かに夜が明けるか明けないかという時間帯がきつかったような記憶は残っています。その先に、『変なテンション』というものが待っているわけですね。『早く帰って休んだほうがいいのにどこかへ行きたくなる』という感覚になるという点も記されていますが、このあたりは夜勤が日常という生活を送られたからこそ書ける描写だと思います。
『ナースステーションの中では、看護師は基本的に何も食べたり飲んだりできない。衛生的な問題が一番大きいけれど、患者やご家族が見たら不快に思うかもしれないという理由もある。私語もなるべく控えなければならないし、泣いたり爆笑したりすることもできない』。
これは、病棟には必ず存在する『ナースステーション』のことを記したものです。命を預かる現場でもある病棟ですからこのあたりはやむを得ないところもあるのだと思います。だからこそ、その対になる場所のことも記されています。
『ドア一つ隔てて、患者にもご家族にも顔を合わせずに済む休憩室というのは、看護師にとっては仕事中のオアシスみたいな場所だ…看護師だけが集まり、束の間「白衣の天使」という役割から解放される場所』。
物語では、そんな『休憩室』で語られる『医者への文句くらい、吐き出したい』という場面も描かれています。小説の中で『看護師』を描いた作品は他にもあります。そんな中にあってこの作品で描かれる『看護師』の姿は極めて人間味を感じさせるものです。プロフェッショナルな仕事の場面も描かれていますが、一人の人間を感じさせる『看護師』の世界の舞台裏を見ることのできるリアルな描写の数々、これこそがこの作品の何よりもの魅力だと思いました。
そして、このリアルな看護の現場の描写と対になるものがまさかのこんな表現の登場です。
『私はあるときから、患者が「思い残していること」が視えるようになった。これは一種の能力なのだろうか。そこにいるはずのない人、あるはずのないものを視てしまう』。
えっ!という衝撃がまず読者を襲います。
『そこにいるのは、本物の女の子ではなく、大岡さんの「思い残し」なのだ』。
そんな風に表現されていくまさかのファンタジーがこの作品のもう一つの側面です。これにはビックリ!しました。『看護師』のリアルな”お仕事小説”と思って読み始めた物語が、まさかのファンタジー世界の登場で一気に緊張の糸が切れてしまう感覚です。作者の秋谷さんはこの作品にファンタジーを持ち込んだことをこのように説明されています。
“このような不思議な設定にしたのは、私が看護学生時代に初めて向き合った患者さんの死を、いまだに忘れられないからかもしれません”。
患者さんの死と看護学生だった時に初めて向き合われたという秋谷さん。”昨日まで一緒に過ごしていた患者さんが、今日にはもういない”という思いの先に”その場でボロボロ泣きました”と語られる秋谷さん。
“私が知らないうちにあっという間に亡くなってしまったあの人は、最期に何を思っていたのか、汲み取りきれなかった思いを今なお知りたい。そういう気持ちが小説に滲み出ている気がしています”。
そんな風にこの小説のことを語られる秋谷さんの気持ちを思うと、『看護師』の”お仕事小説”に、ファンタジー世界が登場したこともある意味で自然と感じてきます。そして、この『思い残し』の存在こそが物語を前に、主人公である卯月の『看護師』としての生き方を前に進めてもいくのなのです。
この作品は六つの短編が連作短編を構成しています。それぞれの短編には卯月が勤務している病棟に入院する患者さんが登場し、そんな患者さんの近くに卯月が『思い残し』を視ることで展開していきます。どのような感じか三つの短編で見ておきましょう。
・〈2 誰でもきっと一人じゃない〉: 患者-関茂雄、六十歳の男性、間質性肺炎で入院。もって二ヶ月程度と言われる関の看護をする卯月は、『三十代くらいの女性』で、『手には何かを握りしめている。よく見ると、それはお金だった』という『思い残し』の姿を目にします。
・〈3 苦しみと目を合わせて〉: 患者-熊野哲也、四十二歳の男性、末期の肝臓癌。『入院して半年、病状から考えればずいぶん持ちこたえている』という熊野の看護をする卯月は、『色が白く細い女性で、口元にアザがある』、『かなり若い女性』という『思い残し』の姿を目にします。
・〈4 一歩前に踏み出すために〉: 患者-小林えり、三十八歳の女性、脳炎の後遺症で『麻痺と精神症状が強く残っている』。『家族の希望もあって身体拘束がされている』という小林の看護をする卯月は、『幼稚園くらいの年齢で』、『にこにこと笑って、楽しそうにしている』、『幼い男の子』という『思い残し』の姿を目にします。
注目したいのは患者さんというより、『思い残し』の姿です。上記でご紹介した三つの短編に登場する『思い残し』は、『お金』を握りしめた三十代の女性、『口元にアザがある』若い女性、そして『幼稚園くらいの』幼い男の子というように、その姿はマチマチです。これだけでは当該の患者さんと『思い残し』の関係性は全くわかりませんし、実際私も読み進めないと全くピンと来ない存在ばかりでした。物語では、『思い残し』の存在が気になる卯月が、まるで探偵のごとくその真実を探っていく姿が描かれていきます。しかし、それは容易なことではありません。
『まったく知らない人ならまだしも、仲の良い同僚に噓をつくのは、罪悪感がある。でも「思い残し」のことを言ったら、おかしな人と思われてしまうだろう』。
そうです。リアルな看護の現場だからこそ、そこに『思い残し』のことを語る余地などないわけです。視えてしまうが故の卯月の苦しみもそこには描かれていきます。
『私たちがやらなきゃいけないのは、入院している患者の看護であって、「思い残し」の解消ではない。でも、視えてしまったんだもの。解消しないと、気が済まない。諦められる気はしなかった』。
物語は、そんな卯月が視えてしまうが故の葛藤と戦いつつ、それでも患者のことを思い、『思い残し』の解決に奔走していく姿が描かれていきます。リアルな看護の”お仕事小説”に『思い残し』というファンタジーが交錯する物語は、やがて当初感じた違和感を卯月の思いの力で消し去ってもくれます。そして、そんな物語が至る結末、そこには自らの原点に立ち返るかのような出来事を前に、あくまでも『良い看護を提供しよう』と決意を新たにする卯月の『看護師』としての生き方を見る物語が描かれていました。
『「思い残し」みたいに、患者の内面を視てしまうというのは、果たしていいことなのか、わからなくなる』。
『患者が「思い残していること」が視える』という『一種の能力』を持つに至った『看護師』の卯月。この作品には、そんな卯月が六つの短編でそれぞれの患者さんの近くに視える『思い残し』と対峙していく姿が描かれていました。看護の現場を十三年にわたって見続けてきた秋谷さんのリアルな”お仕事小説”に魅せられるこの作品。まさかのファンタジーがそんなリアル感と対になる面白さを感じるこの作品。
“看護師たちが一人の人間として、何を思い、喜び、憂いているのか、表現したい。その一心で本作を書き始めました”とおっしゃる秋谷さんの思いを強く感じるファンタジーな物語でした。
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著者の秋谷りんこさんはnoteで知りましたが、さすがの創作大賞受賞作品だなと思いました。とても面白かったです!
長期療養型病棟の看護師さんのお話でしたが、「思い残し」という要素が加わっていることで、ミステリー作品としても読むことができて楽しかったです。
本の題材としては急性期の病院が舞台のものが多いと思いますが、本作は慢性期の病院で、慢性期ならではの難しさを知ることができたと思います。急性期と違って患者さん一人ひとりの目標を立てるのが難しいですよね。でも卯月は、超短期目標を掲げて、患者さんの望みやQOLの改善に向けて全力で寄り添って勤めていて、最終章の「病めるときも健やかなるときも」は感極まって泣いてしまいました。
一つひとつの章のテンポも良いですし、医療の専門用語もすぐに解説が入るので躓かずに読めます。映像化しても素晴らしい作品ができるのではないかと思います。
これは私だけだと思いますが、この作品を読んでいると何故かお腹が空いてきます、食べ物の描写が多いから?(笑)
Posted by ブクログ
ある事件から患者の『思い残し』が見えるようになった卯月 咲笑。
ある日、意識不明の男性のベッドに、見知らぬ女の子の姿が、、、それは、、、。
日々の仕事に悩み、迷いながらも、より良い看護を目指し、一歩一歩進んで行きます。
この作品に、自身も看護師として働いていた秋谷さんの温かい眼差しを感じます。
Posted by ブクログ
前半、「思い残し」のためにここまでする?と卯月の危うい行動にヒヤヒヤしたけど、背景を知って腑に落ちた。
だんだんと「思い残し」との付き合い方も変化して行ったけど、最初の2つは卯月の無茶が結果的に良かったのだと思うと、少し複雑。
Posted by ブクログ
ミステリーだがあまり注目されない
療養型病棟が舞台で新鮮だった
看護の大変さがわかる内容で
死と向き合う人たちの葛藤を思い残しという
表現でよく表現している
Posted by ブクログ
秋谷りんこのナースの卯月に視えるものを読んだ。
看護師の卯月は一緒に暮らしていた人の突然の死から、勤めている長期療養施設で、患者さんの思い残しがみえるようになる。
結構評価が高かったので期待しすぎてしまたようだ。
著者は実際に看護師として働いていた。
実際患者さんの死と向かい合うのは、医者も大変だが看護師も大変だと思う。
自転車仲間や知り合いにも看護師さんは要るが、こちらから仕事について聞いたりはしないので生の声は聞いてないが、私が入院したときもいつもの笑顔で頑張っている姿は素晴らしいと思う。
ドラマになりそうな話だった。
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卯月咲笑、長期療養型病棟のナース。悲しい過去があり、その後患者の「思い残し」が視えるようになる。夜勤明けなどに走り回って患者のことを知り、できることをしようと一生懸命。そばにいてそっと寄り添ってくれるような、作品。お仕事本は勇気をくれるから好き。作者も看護師経験があり、リアルに描かれている。
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13年の看護師経験のある作者のリアルな医療「お仕事小説」。
実は、本格ミステリーが好きだというインタビューの言葉通りに、死亡退院率四〇%と言われる長期療養型病棟に勤める5年目の看護師である主人公が、終末期の患者の「思い残し」の問題解決に奔走する6つのエピソードから成る。
でも、この作品はそんなファンタジーなエンタメ要素よりも病棟での男女の体臭の違いであったり、「正解のない看護」、夜勤明けのテンション、都市伝説的な“看護師あるある”など看護師視点の「お仕事小説」としての面白さだと思う。
作者の看護師としての「思い残し」?看護観を余すことなく詰め込んだミステリー要素の愉しみもある読み応えのある作品だった。
Posted by ブクログ
お話はフィクションだけど、日々人の生死に間近で接していたら、こうゆうのを実際に視たり感じたりする人はいそうな気がする。
どのお話もよかったけど最後の“病めるときも健やかなるときも”がすごく感動した。
亡くなる前に病室で開催された結婚式。
“死が二人を別つときがきても、きっと気持ちは変わらないのだろうと思えた。心の中にいる大切な人を想いながら、しっかり生きていく。それが、残された人にできることなんだ。”
と言う言葉が印象的。
千波との果たせなかった想いを重ねて卯月自身の心残りも少しでも解けたのかな思う。
そもそも卯月の勤務する長期療養型病棟というところがどういうところなのか初めて知った。回復を望めないという状況で、いかに患者の心に寄り添いながら死を迎えるのか。それを考え、葛藤し話し合いながらよりよい看護に向けて誇りを持って日々取り組んでいるということがよくわかる。
看護師さんたちを尊敬するし、感謝しなければいけないなと思いました。
Posted by ブクログ
私は事故で入院生活が長かったので、この本を読みながら、私を看護してくれた看護師さんたちのことを思い出した
名前こそ忘れてしまったけど、今でも会えば全員の顔はわかる
いろんなことを思い出させてもらった1冊
Posted by ブクログ
看護師のお仕事小説
こんなに丁寧にわかりやすく看護師の仕事が書かれている本は初めて読んだと思います
看護師の仕事って
大変だし、辛いし、報われないことも多い
無力感に苛まれることもある
それでも
あなたがいてくれて良かった
ありがとうございます
そう言われることで、この仕事をやっていて良かったってそう思えるんだよなって思い起こされることが多かったです
看護の仕事は素晴らしい
Posted by ブクログ
元看護師が書いた医療系のミステリー(?)。
死に近づいた患者が「思い残し」があると、病床の側に人が出てくるようになり、あるきっかけで見えるようになった看護師の卯月がその思い残しを解消しようと助けて行く。それが事件、事故を見つけることになる。最初のうちは、そこまで立ち入って行くのか、探偵まがいかと思ってしまう。やはり熱中し過ぎて医療ミス寸前まで行き、徐々にフェードアウトして行く。
同性との恋愛、結婚が何度も出てくる。帯に号泣とあったが、あまり泣けない。過酷な医療現場の状況に大変さを強く感じる。
長期療養病床で終末期医療なので死の様相が濃い。自分も辿る道と思うと、できる限り家族や医療関係者の手を煩わせたく無いと思ってしまう。
Posted by ブクログ
長期療養病棟に勤める看護師卯月。卯月が特殊な能力を持ってしまい、患者が気になっている「思い残し」を見ることができる。最初はその「思い残し」を解決したい気持ちに従って動くのだけれど、ナースとして毎日丁寧に仕事をしていくうちに、患者さんやその家族に丁寧に寄り添っていくことの大切さに気がついていく。そして自分の専門性をどのようにしていくかも見つけていく。看護師が成長するためにプリセプターという仕組みで少し先輩の看護師が新人看護師に寄り添って成長の見守りをするということや、看護師さんたちが何を考えたり、ミスを犯さないようにどう気をつけているかなど、現場の様子がとてもわかりやすく描かれていて、最後まで一気に読んだ。
Posted by ブクログ
患者の思い残しが見えてしまうという、少し不思議な出来事を解決するために奔走してしまうナース卯月。
体も動けない患者、それぞれが抱えている思い。日々お世話していると、それを何とかしてあげたいという優しい気持ちになるのでしょうか。
それにしてもナースの仕事は大変だと、感謝の念を感じます。
実体験に基づく描写がリアルで、話に入り込みやすい本でした。
Posted by ブクログ
人生で初めて20日間入院し、看護師さんにお世話になったため、読んでみようと思った。主人公には病人の想いが視え、その想いが果たされるような行動をする。
最後は一気に読み終えた。次作も読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
実際のナースも患者の心境に想いをはせることはあるだろう。弱って床に伏せる人にも生き生きと活躍していていた時代や場面があった。心は病室になんていない。思い残しは誰にでもあるだろう。純粋な若い看護師の主人公は、愛する人を突然失った時から、患者の思い残しを視る能力を得た。実際は多忙な看護師に、自分が視たものの確認などできないだろうが、患者の心を想う気持ちはわかる。著者は元看護師だそうだ。医療用語の説明もわかりやすい。
Posted by ブクログ
「思い残し」が視える看護師の卯月。
人生をやり残しなく終えることが出来る人は、ごくわずかだと思う。
死ぬまでにやりたいことを日々考え、自らは生きていくこと。
そして、誰かのために自分が出来ることをやること。
両方を忘れないで、毎日の時間を大切に過ごしていきたい。
Posted by ブクログ
看護師卯月咲笑は、死期が迫った患者の『思い残し』が見える。
『思い残し』を解決して、患者に寄り添いたいという優しさ溢れる話だけではなく、看護師の仕事の厳しさとやりがいも味わえる。
劇的な展開もなく、感情が揺さぶられることもないが、いい話だなあとしみじみ味わった。
続編が2冊あるようで、いずれ読んでみたいと思う。
Posted by ブクログ
中堅ナースの卯月が患者の側に見える『思い残し』を解決しながらナースとして、人として成長していく姿を描いた物語。元看護師の著者が書いただけあって、臨床の患者像や疾患像などはわかりやすいが矛盾なく描かれていた。看護師だけでなく、それに関わるスタッフ(作業療法士と言語聴覚士、救急救命士など)の姿が出てくるのも珍しいなと感じた。物語は、6人の患者の『思い残し』との物語なのでボリュームも少なく、ドップリと言うよりサラッと読める内容で、通勤通学で短時間に読むにも適しているかも。続編ももう少し時間を開けて読んでみたい。
Posted by ブクログ
主人公の卯月は長期療養科の看護師である。ある日を境に卯月は患者の思い残しが見れるようになる。その思い残しを取り除いていくお話し。医療に携わってる人や大事な人の生死に直面した人にはより考えさせられる1冊だと思う。最初の方はそこまで肩入れする必要があるのかなと思ったりもしたが、同僚の看護に対する想いがこもっていて心に残った。
Posted by ブクログ
長期療養病棟で働く看護師の卯月咲笑。彼女はある時から患者さんの「思い残し」を視ることができるようになった。
その「思い残し」が何なのか気になる卯月は調べ始める。
偶然見かけた監禁された少女、DVを受けている女性、受取詐欺に手を染めた青年など、思い残しとなる人は様々。患者さんも意識がない人や末期の患者さんなどこれも様々。
卯月はその人たちの思い残しを知る事で人生の一部を垣間見る。
卯月自身も忘れられない悲しみを抱えていて、その悲しみと向き合うことで前に進んでいく。
1人の女性の成長物語。