あらすじ
新川帆立大絶賛! 創作大賞2023(note主催)「別冊文藝春秋賞」受賞作
「号泣しました。様々な痛みを抱えて生きる人々を、そっと包み込んで肯定してくれる優しい作品です。」――新川帆立(作家)
★感涙必至のお仕事ミステリーが誕生!★
~元看護師の著者が送る、命の物語~
完治の望めない人々が集う長期療養型病棟に務める看護師・卯月咲笑。ある日、意識不明の男性のベッド脇に見知らぬ女の子の姿が。それは卯月だけに視える患者の「思い残し」だった――。彼らの心残りを解きほぐし、より良い看護を目指したいと奔走する日々が始まった。ナースが起こす小さな奇跡に心温まるお仕事ミステリー。
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Posted by ブクログ
著者の秋谷りんこさんはnoteで知りましたが、さすがの創作大賞受賞作品だなと思いました。とても面白かったです!
長期療養型病棟の看護師さんのお話でしたが、「思い残し」という要素が加わっていることで、ミステリー作品としても読むことができて楽しかったです。
本の題材としては急性期の病院が舞台のものが多いと思いますが、本作は慢性期の病院で、慢性期ならではの難しさを知ることができたと思います。急性期と違って患者さん一人ひとりの目標を立てるのが難しいですよね。でも卯月は、超短期目標を掲げて、患者さんの望みやQOLの改善に向けて全力で寄り添って勤めていて、最終章の「病めるときも健やかなるときも」は感極まって泣いてしまいました。
一つひとつの章のテンポも良いですし、医療の専門用語もすぐに解説が入るので躓かずに読めます。映像化しても素晴らしい作品ができるのではないかと思います。
これは私だけだと思いますが、この作品を読んでいると何故かお腹が空いてきます、食べ物の描写が多いから?(笑)
Posted by ブクログ
前半、「思い残し」のためにここまでする?と卯月の危うい行動にヒヤヒヤしたけど、背景を知って腑に落ちた。
だんだんと「思い残し」との付き合い方も変化して行ったけど、最初の2つは卯月の無茶が結果的に良かったのだと思うと、少し複雑。
Posted by ブクログ
13年の看護師経験のある作者のリアルな医療「お仕事小説」。
実は、本格ミステリーが好きだというインタビューの言葉通りに、死亡退院率四〇%と言われる長期療養型病棟に勤める5年目の看護師である主人公が、終末期の患者の「思い残し」の問題解決に奔走する6つのエピソードから成る。
でも、この作品はそんなファンタジーなエンタメ要素よりも病棟での男女の体臭の違いであったり、「正解のない看護」、夜勤明けのテンション、都市伝説的な“看護師あるある”など看護師視点の「お仕事小説」としての面白さだと思う。
作者の看護師としての「思い残し」?看護観を余すことなく詰め込んだミステリー要素の愉しみもある読み応えのある作品だった。