ダロンアセモグルのレビュー一覧
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第二次世界大戦後、アメリカは豊かだった。1950年代。
これはよく聞く話。
技術革新がなされ、それが労働者にも反映された、古き良き時代。
しかしそれが続かなかった。
機械化がどんどん進み、労働者は隅に追いやられた。切られた。
必然的に労働分配率は下がる。
理屈は分かる。それだけ設備投資に金が要るのだ。その金が利益を生む。
。。ここでまた、ミルトン・フリードマンが登場する。
企業は利益と配当だけ考えればいいと。フリードマン・ドクトリンと。
悪のように書かれる。フリードマン信者としては心外だな。
フリードマンは再配分を疑ってかかってる。私も同じ。うまくできるはずがない。
必ず恣意的なものになる。権 -
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例が細かく多様
言ってしまえば、核心は変わらず様々なケーススタディで繰り返し主張への説得力を固めていく形。でもそのケース内容が細かくて、じわじわと教養も広がって、既存の知識と結びついていく感じがして読みがいもあるし、主張内容も納得。
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ローマ人の物語の併読を推奨
民主政、共和政が過度にお気に入りの様子なので、少しおかしなこと言ってるのではないの、
みたいなとこもあります。
塩野先生のローマ人の物語で裏をとってください。
ローマは、王政、共和政、帝政、東西に分割、西、東の順番に消失になります。
ライン河、ドナウ河の南西部が最盛期の領土で、ルーマニア、当時はダキア、ローマニアと発音すべき気もします。
領土的には出っ張りもあります。
共和制で協議しちゃうと決定するのに時間がかかる、戦争仕掛けられて対応の協議に時間がかかるのとか、まずいと思いますし、
仕掛けた場合も同様です。そこで頭にいる皇帝が速やかに仕切るようにしたのが帝政ローマ。
初めの約200年はパスク -
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社会の繁栄と貧困の差は、政治と経済の制度の違いによって生まれたと説明する。
多数の資源を少数が搾り取る収奪的制度では、所有権が保護されず、経済活動のインセンティブも与えられない。少数は、自らの利益のために収奪的制度を維持し、手に入れた資源を利用して政治権力を強固にする。収奪的制度の下でも、政治的中央集権化化によって、ある程度の成長が可能だが、創造的破壊によるイノベーションが起こらないため、成長には限界がある。また、政治権力をめぐって闘いが発生するため、社会は不安定になる。
包括的政治制度では、政治権力が幅広く配分され、法と秩序、所有権の基盤、包括的市場経済が確立される。有史以来、収奪的制度 -
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世界に裕福な国と貧しい国が生まれた理由を歴史的に解き明かす。緯度や気候などの地理的条件、宗教や民族ごとの価値観などの文化的側面は、世界的な不平等の説明にはならず、経済と政治の制度が重要であると説く。
ヨーロッパの植民地としての歴史を持つ南北アメリカ大陸に相違が生まれた理由がおもしろい。スペインが支配するアメリカ大陸の植民地では、金銀の略奪段階が過ぎると、労働力としての先住民を分け与える制度であるエンコミエンダなどの制度を導入し、土地を奪い、労働を強制し、低い賃金と重税、高い商品を売りつけた。コンキスタドールとその子孫は大金持ちになり、先住民の生活水準は最低となる不平等な社会となった。スペイン -
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繁栄する国家と、逆に落ちていく国家。その違いを、地理や文化といった(役に立たない)理論に求めるのではなく、経済と政治に関する、歴史の中では小さな選択にあるされています。なぜイギリスが産業革命で成功したのか、他のヨーロッパ諸国はそうならなかったのか。少々の偶然の要素もあったのですが、違う制度を取った国々の差を広げこそすれ、そのベクトルを決めたのは、その選択にあったということ。
具体的な歴史を、読みやすく、読ませる書き方で書かれており、現代の我々が立っている位置が、どのように出来上がっているものなのか。また維持するために、何に注意していなければならないのかを教えていただきました。 -
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「世界には四種類の国がある。先進国、発展途上国、日本、アルゼンチンだ。」ノーベル賞経済学者のサイモン・クズネッツの有名な言葉だそうだ。1914年のアルゼンチンは50年ほどの経済成長を達成し世界で最も裕福な国の一つだった。しかしその後は独裁主義と民主主義の間を行ったり来たりした。民主主義と言ってもペロンの正義党は巨大な集票組織による利益供与の賜物で権力は著しく集中していた。そして2001年には経済危機を迎え先進国から果て得ん途上国へと滑り落ちていった。
日本は逆に19世紀中頃までは中国とともに鎖国政策の元で停滞していたが完全な中央集権の中国とは違い、薩摩藩が琉球を通じた交易で密かに力を蓄えてい -
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ジャレド・ダイアモンドは「銃・病原菌・鉄」で文明発祥と伝播には栽培可能な穀物や家畜が反映する社会を生んだ原動力となり東西には伝播しやすく自然環境の異なる南北には伝播速度が遅いと唱えた。それは一つの強力な仮説だが本書の調査結果によると歴史的に野生の牛や豚が棲息した地域の分布はヨーロッパからアジアの非常に広い範囲に及び米の原種はインドから東南アジアにかけて広く分布している。小麦の原種も肥沃な三日月地帯だけでなく地中海東岸からイラン、アフガン、中央アジアの「スタンズ」にまで広がっている。ダイアモンド自身も「文明崩壊」で同じ島でありながら崩壊しつつあるハイチと発展を目指すドミニカの違いを書いている。ま
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本書の主張は極めてシンプルだ。収奪的制度をしく国家は衰退する。なぜならイノベーションへのモチベーションが起こらないから。国家を企業に置き換えるととても分かりやすいのではないかと思う。苦労してイノベーションを成し遂げたとしても、単に収奪されるだけで報奨がなければ、モチベーションが上がらないのは当然だ。では何故収奪的制度がなくならないのか。権力の掌握は富の独占を生むからだ。そうした体制において、イノベーションは既存権力を脅かす存在として排除される訳だ。これはリアルでわかりやすい。
興味深いのは、ルーズベルトがニューディール政策を推進するために、最高裁判所判事の任命権を大統領の与える法案を通そうとし -
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ネタバレ世界にはなぜ豊かな国と貧しい国が存在するのか、本書は、政治・経済上の「制度」による違いがその理由であることを古代ローマから、マヤの都市国家、中世ヴェネツィア、名誉革命期のイングランド、幕末・明治期の日本、ソ連、ラテンアメリカとアフリカ諸国、現在の中国といった広範な事例を用いて説明するもの。
これからの日本を考えると、既得権益に縛られずに、世の中のニーズに応じた創造的な技術・仕組み・取組みが自由活発に進められる社会により良く変えていくことが重要で、政治・行政としてもその基盤を作ったり、後押しすることが役割になろうと感じました。
今後の日本、また世界を考えていく上で必読の良書です。ちなみに、筆 -
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ネタバレ世界にはなぜ豊かな国と貧しい国が存在するのか、本書は、政治・経済上の「制度」による違いがその理由であることを古代ローマから、マヤの都市国家、中世ヴェネツィア、名誉革命期のイングランド、幕末・明治期の日本、ソ連、ラテンアメリカとアフリカ諸国、現在の中国といった広範な事例を用いて説明するもの。
これからの日本を考えると、既得権益に縛られずに、世の中のニーズに応じた創造的な技術・仕組み・取組みが自由活発に進められる社会により良く変えていくことが重要で、政治・行政としてもその基盤を作ったり、後押しすることが役割になろうと感じました。
今後の日本、また世界を考えていく上で必読の良書です。ちなみに、筆 -
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2014年30冊目。
包括的政治制度が包括的経済制度を生み出し、それによって勃興する新しい層が多元性を生み出して包括的政治制度を支える好循環がある一方で、
収奪的政治・経済制度を持つ政権を打倒したところで、新たな政権は同じ制度を繰り返す、更には強化してしまうという悪循環も存在する。
悪循環を断ち切り好循環へと転じる歴史的事例は確認できるものの、それは生半可なことでは起こらないという印象を受けた。
「国家の貧しさは、エリートによって意図的に生み出される」という大きなメッセージを受け取った。
リーダーの良し悪しが政治において決定的だとは聞いていたが、その重いが強まった。
これからの世界の発展を