ダロンアセモグルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
世界には豊かな国(地域)と貧しい国(地域)があるが、それらを隔てる境界線が「包括的な政治・経済制度」か「収奪的」かの違いにある、という主張。「包括的」という言葉の意味するところは、自由主義や民主主義、多元主義といったイデオロギーを重視する政治であり、私有財産や市場経済を重視する経済制度を指す。
別に目新しくはない。日本の歴史教科書にはこの手のメッセージがすでに散りばめられている。啓蒙思想、西洋史観と言って良いかもしれない。実際に本書には「収奪的な政治・経済制度から包括的なものにうまく変革できた成功例」として明治維新が紹介されているが、深みは学校で学ぶ程度のものだった。でも本書には範囲の広さが -
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Posted by ブクログ
国家間の経済発展の違いについて分析された一冊。結論は単純明快で「制度の違い」だ。
隣の国、北朝鮮と韓国を例に挙げるとわかりやすいかもしれないが、収奪的な政治・経済制度と包括的な政治・経済制度のちがいによって、片や経済発展のインセンティブが阻害され、片や経済制度と政治制度が好循環に機能し、経済発展が進んでいく。結局は民主化バンザイってことなんだろう。
ただ、包括的な制度をとっている国においても、諸手を挙げてハッピーかといえば決してそうではない。貧富の差の拡大なんかもあって、包括的な制度と一括りにしても、細部に目を向けるとまだまだ課題は多い気がする。 -
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購入済み
訳者のあとがきがすべて
上下巻に分かれた大部な書物であるが、手際よくまとめられた訳者のあとがきがすべてを語っている。
「包括的」「多元的」「収奪的」という単語が頻出するが、普通に使われている意味とかなり異なるので私はいちいち下記のように言葉を置き換えて読み進めた。
包括的=>自由公正
多元的=>広範囲
収奪的=>専制的
基本的には、マルクスの主張とは逆に政治社会が経済を規定するという主張。納得できるところは多いが、なぜイギリスに「包括的」社会政治体制が発達し、フランスは遅れたのか、「偶然」で片付けているが腑に落ちない。
著者二人の経歴からも明らかなように、欧米特に英米中心の記述。東アジアに関しては粗雑な記