北沢陶のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ大正14年、新聞社で記者として働く新波苑子は、自身が担当する悩み相談コーナー宛に、不審な投書を発見する。送り主は大手製薬会社社長の息子である丹邨孝太郎。助けを求めているのではと思った苑子は、伝手を便り、社長の娘である礼以の絵画の教師として丹邨家に潜り込む。孝太郎は、15歳の病弱な少年だった。自身も慢性的な咳に悩まされていた苑子は、発売前の丸薬を礼以からもらう。その劇的な効果に驚く苑子。しかしそれは、苑子を逃れなくするための巧妙な罠だった‥。
苑子は、丸薬に人に似た生き物の骨が使われていること、礼以が実は人魚(!!)で、丹邨家を支配していること、孝太郎と自分は丸薬の実験台にされていたことを知る。深窓の令嬢然としていた礼以の正体はあまりにギャップがあり、あんなに可愛かったのに‥と、少なからずショックを受けた。そして、社長秘書である白潟譲も実は人魚で、家族や仲間を礼以に攫われたため、助けるために社長秘書として働いていた。苑子は丸薬の原料には、礼以とは違う種族の人魚の骨が使われていること、おそらく白潟の仲間の人魚が犠牲になっていることまで突き止めるが、実験の影響で命を落とす。
主人公が物語半ばで死んでしまい、かなり驚いた。後を継ぐのは、苑子から調査内容を記した手帳を託された白潟と、姉の行方を探す苑子の妹、栄衣と、苑子の同僚の楢操。チャキチャキと物怖じしない栄衣と、苑子に対して冷めた目で見ていた操は、温度差はありながらも協力し合い、白潟と共に、丹邨製薬の秘密の工場に忍び込む。
そこで3人が目にしたのは、あまりに残酷でおぞましい光景だった。
白潟が助けたかった家族や仲間たちはすでに正気を失い、仲間を解体する"職工"まで担っていた。栄衣もまた、礼以によって変わり果てた苑子の姿を見せられる。栄衣、よく発狂しなかった‥。逆に発狂してしまった白潟の、"人魚の咆哮"により、3人はなんとか工場を脱出する。礼以は、発狂した白潟に食い殺されてしまう。それ以上の非道な事をしてきたのだから、当然の報いといえばそうなのだけど、主人公側にそこまでさせてしまうのが、私にはかなりの驚きだった。
工事内での一連の描写は、本当に何というか‥グロテスクで、悲しくて、痛ましかった。
正気を取り戻した白潟は、なんと、社長秘書として復帰する決意をした。社長の光将は、礼以の支配下で禁断の丸薬を作っていたものの、製薬会社の社長としての矜持はあったのだ。孝太郎や、病に苦しむ人々の為に真っ当な商売を再開した。
孝太郎が新聞社に手紙を出さなければ苑子は死なずに済んだけど、礼以の悪魔の所業は続いていたと思うと、複雑な心境ではある。人魚というファンタジー要素がありながら、あまりに暗くて陰惨な印象が強く残った。それでも、物語としては面白かった。
栄衣と操、白潟と光将には、苑子の犠牲を無駄にしない生き方をしてほしいと思う。
最後に。「骨を喰む真珠」というタイトルと表紙のイラスト、コワイけど綺麗。 -
Posted by ブクログ
夜寝る前に読んだらめっちゃビビってしまった。ホラー作家ってやっぱみんな文章うまいな。
①呪いは明るく輝いて 上條一輝
これおもしろかった!! タイトルもあ~そういうことねって納得。じりじりと忍び寄る絶望と、怪奇の正体に気づいたときの手遅れ感。するする読まされました。
②呪いの交換日記 北沢陶
これも不気味だった……。ホラーってこういうことだよね~って感じ。手に取ったらおしまいって理不尽すぎるよ。どうすりゃいいねん。
③ほらあな 澤村伊智
知っている作家さんだ! と思いながら読み、一番びびった。こええよ!!!!
④劣化コピー 背筋
口に関するアンケートはぜんぜん怖くなかったんだけど、これはめっちゃこわい!
⑤壱本樹様 三津田信三
冒頭の語りでこれは合わないかもと思ったけど、読み進めるうちに恐怖。小屋に隠れたシーンとかドキドキした。
⑥「しばらくゆっくり休んでください」芦花公園
え、どういうこと?? と思いながら読み、たぶんこういうオチかな……? と推測した。
なんか怖いというより、ちゃんとした会社だなあという感想だけが先に来た(笑)
仕事や私生活が忙しいと真っ先に読書量に変化が出る。ほぼ二ヵ月ぶりに読んだ本がホラーってどういう心境なのかしら。なんにせよ読み切れてよかった。 -
Posted by ブクログ
北沢さんの新刊(と言ってもちょい前だけども)おもしろかった~
耽美な世界観とミステリー調のホラーは大好きなので、嫌いなはずではなかった。主人公が大変オムファタル的な存在として描かれているのだが、てらいない描写で大変好みであった
「をんごく」と共通するバディもの、しかも片割れが怪異に飲み込まれて様子がおかしくなっちゃうやつ。こんなのもう大好きに決まっているんだから。一番おいしい部分なんだから。
もうこれにどう立ち向かえばいいんだよ…の絶望からのそういう方向!?への展開がわくわくしててよかった
時代物×耽美×ホラーに隠されたヤングケアラーとか加害が横たわっていた。花をちぎられるシーンは性加害のメタファーっぽい気がするんですけどどうなんだろう
北沢さんの作品、本になっているものは基本すべて目を通しているがいまのところどれも好きなおもしろさなので今後も楽しみ -
Posted by ブクログ
大正時代の大阪が舞台ということで、読みにくそうだなぁという先入観がありました。この先入観から、本作のみならず、古い時代設定の作品をこれまで避けてきた者としては、読み始めるまでのハードルが高く感じていました。
しかし、朝宮運河氏の「ベストホラー2025」の国内部門第二位にランクインしていた本作、これがモチベーションとなり重い腰を上げて読みました。
結果、懸念は杞憂でした。
多少、大正時代特有の単語などがありますが、読めないほどではありませんでした。ただ、意味を理解できた方が良いことには変わりありませんので、知らない単語が出てくる都度調べながら読みました。
ストーリーはもちろん面白かったです。あらすじとか第1章とかを読んだ時点では見当も付かない方向に進みます。
ある真相が判明した時、「そうきたか」と感心し、俄然読書スピードが上がりました。
メインの題材も中盤の転換も好印象です。
終わり方も、好きでした。ちょっとだけですが、想像の余地を残されているのが良かったです。
ホラー小説としての恐怖度としては低い方だと思います。なので、ホラー小説苦手な人にもおすすめです。 -
Posted by ブクログ
この雰囲気、世界観は唯一無二ではないでしょうか
北沢陶さんといえば、大正ゴシックホラーの書き手というイメージが定着しつつあります
いや、もう定着したと言ってもいいでしょ
デビュー作の『をんごく』、2作目の『骨を喰む真珠』、それに続く3作目の『花檻の園』もその雰囲気、世界観を十分に魅せてくれます
北沢さんが目指しているのは美しさとおぞましさが同居した作品とのこと
今後も恐怖と幻想に満ちた、北沢さんならではの大正ゴシックホラーから目が離せません!
ちなみに毎度のことながら内容には一切触れていません
なので、ひとつだけ
表紙を見てください
美少年と花が描かれています
これが本作の内容です
で、私にはこの表紙の美少年がyukimisakeさんに思えてならないのですw
そして、本作では「カイボーッ」と叫んで行われる悪ふざけがあります
yukimisakeさんならきっとこの「カイボウ」は大好物だと思います