宮地尚子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前作の『傷を愛せるか』は、エッセイでも読者側にメッセージとして伝わるものが多く、そのひとつひとつがどれも感銘を受けていたのだけど、今作は作者の実体験を基に小説風に語られたエッセイ。
異国暮らしによって精神が不安定になったり、一方で平気な人がいたり、そんな人たちとカウンセリングしながら得られた気付きの話。
異国暮らし、そうでなくても文化の違うコミュニティで過ごす経験があれば今作も感銘を受けられたかもしれないけど、あいにくそんな経験がないので、その点では特に伝わってくるようなものがなかった。
ただ、『しなやかで回復力のある若い時期に住み慣れた場所から離れ、異国暮らしをすることは悪くない。それらはすべて貴重な体験になる。異文化の暮らしは数珠繋ぎで予想外の出来事が呼び込まれる』との話には、深く共感をした。
異文化に限らず、いろんな世界を知ることって大事よね。 -
Posted by ブクログ
1年前に購入し、積読をしていた本。
そして、積読をしていたことを忘れて2冊目を買ってしまった本。
と、いうことは。。
かなり私はこの本に興味があったということ。
「傷つき」というところが、私のビットに立ったのである。
この本にあるように、トラウマは厄介で、幾度となく自身のトラウマと対決してきた。
でも、完全に勝者になったわけではなく、やり過ごしている部分もかなりある。
「傷つく」ことは、特別なことではなく、誰にでもあること。
その事実を明示されただけでも、肩の荷が降りる感じがする。
結末で「寄り添って話を聞くことが1番大事」というような意味合いの文章がある。
ああ、それって傾聴だよなー。。と、思った。
傾聴、やはりすごいよなー。。
でも。。
たぶん、私がこのタイトルに求めていた解決方法は書かれていなかった。
まあ、そんな即座に速攻で解決する方法なんてないのよね。「ない」ということも、この本には書かれている。
やり過ごしつつ、対立しつつ、生きていくしかない。 -
Posted by ブクログ
I found it highly insightful, as many of its themes are closely connected to what I recently read in The Study of Killing in War. Reflecting on how books from such diverse fields are interlinked in unexpected ways made me realize that the more experiences we have in life, the deeper and more comprehensive our understanding of the world becomes. It also offered valuable perspectives on migration, making it a truly worthwhile read.
1. 従来の見解
•海外移住者には精神障害の発生率が高いとされてきた。
•その理由には主に2つの説がある:
1.社会選択説:もともと精神的に脆弱な人が移住する傾向にある。
2.社会起因説:移住先での異文化適応の困難が原因となる。
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2. 移住に伴う主なストレス要因
1.社会的・経済的地位の低下
2.言語の壁(移住先の言葉が話せないこと)
3.家族離散・別離
4.受け入れ国の友好的態度の欠如
5.同じ文化圏の人々と接触できないこと
6.移住前の心的外傷体験や持続的ストレス
7.老齢期・思春期など発達的に脆弱な時期での移住
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3. 上記の「逆」から見た、適応を促す条件
•日本での地位がもともと低かった人 → 地位低下によるストレスが少ない
•家族がストレス要因であった場合 → 家族から離れることがむしろ安定要因
•日本社会の非友好的さに疲れていた場合 → 新しい社会をポジティブに受け止めやすい
•同じ文化圏(サブカルチャー)に属する人々と接触できること → 精神的な支えになる
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4. PTSDの概念と社会的背景
•PTSD = Post Traumatic Stress Disorder(心的外傷後ストレス障害)
•1970〜80年代のアメリカで注目され始めた。
•きっかけは:
→ ベトナム戦争の敗北という国家的トラウマを、医療化(医学的診断)によって処理しようとした動き。
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5. アメリカ学界におけるユダヤ人の影響
•当時(おそらく現在も)米国アカデミアではユダヤ人の割合が高い。
•そのため、米国学界全体におけるユダヤ人の思想的・文化的影響は大きい。
•PTSD概念の受容や社会的議論にも、こうした背景が影響した可能性がある。 -
Posted by ブクログ
著者が1989~92年にボストンに留学していた頃に出会ったり調査・インタビューした人たちのことを、その7年ほど後に雑誌に書いて連載したものをまとめた本。著者は「『ミニ・エスノグラフィー:小民族誌』のような物語」と言っているが、エッセイのようなインタビューのような「あわい」の読み心地である。
渡米した日本人とひとくくりに言っても、性格も境遇も抱える困難や葛藤も人それぞれだ。
しかし、どこか共通しているのはなにかしらの問題が異文化生活の中で浮かび上がってきてはいるもののその原因というか源流は決して単純ではなく、日本にいた時から、その人の人生そのものから始まっているように感じることである。まさに一つ一つの「物語」を読んでいるような…。
だから、著者のかかわりによって問題が簡単に解決するというようなことはない。それぞれの葛藤を抱えたままの物語が続いていくのを、著者の温かくもフラットなまなざしとともに見守り、見送るのだ。
何も決着しない、病気や傷として個人の体験を決めつけない、そういう「あわい」の感じが本全体を優しく包み込んでいる。自分はつい白黒つけたがるタイプの性格なので、別にそうじゃなくたって、なにも決まったり分かったりしないまま流れてもいいのだよ、と頭をなでられているような気分になった。傷を愛せるかならぬ、あわいを愛せるか、というところか。