宮地尚子のレビュー一覧
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傷を愛せるか、というテーマについては後半部に書かれていました。そこに至るまでは、筆者の人柄が分かる日常の記録となっており、個人的にはあまり興味が持てませんでした。とはいえ、精神科医の思考や感覚について知ることなんて普段はできないので、頭の良い人はこんな風に物事を捉えているんだ、と新たな発見になりました。肝心の傷に関する部分ですが、筆者の経験をベースに優しい言葉で書かれており、非常に学びになりました。一冊の中でその部分を更に膨らませて書いてくれれば良いのにと思ったため⭐︎3としましたが、読みやすく、自傷や自殺に関連する領域で働く方にはおすすめできます。
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著者が1989~92年にボストンに留学していた頃に出会ったり調査・インタビューした人たちのことを、その7年ほど後に雑誌に書いて連載したものをまとめた本。著者は「『ミニ・エスノグラフィー:小民族誌』のような物語」と言っているが、エッセイのようなインタビューのような「あわい」の読み心地である。
渡米した日本人とひとくくりに言っても、性格も境遇も抱える困難や葛藤も人それぞれだ。
しかし、どこか共通しているのはなにかしらの問題が異文化生活の中で浮かび上がってきてはいるもののその原因というか源流は決して単純ではなく、日本にいた時から、その人の人生そのものから始まっているように感じることである。まさに一 -
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Xで見かけて気になったので読んでみました。
NHK出版の"学びのきほん"というシリーズに含まれる一冊で、トラウマやジェンダーの研究をされている専門家・宮地尚子さんによる執筆。
易しくわかりやすい文章で、「傷つく」「傷つける」「傷つきを癒やす」など、そのときの心について向き合い、ゆっくり考えることがにできた。
生きていくなかで、傷つくことも、傷つけることも避けられないものなので、それをいかに回避するかではなく、うまく付き合ってやっていくかが重要なのだと受け入れることができたように思う。
傷つきを耕すことで、豊かな人生にしていけるよう意識してみたい。 -
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※自分が読みたかったものとは少し違ったので評価を下げています
親からの見えない加害を受け、トラウマの克服法を探して本を読んでいます。
結論からいうと私にとってはそこを緩和するもの、脱することができるアイデアを得られるものではありませんでした。
本書は全く学びにならないということはなかったですが
DVの記載において加害者=男、被害者=女
のような記載が目につき気になりました。
上記気になったので全体通して熟読というよりパラ読みになってしまいました。
記載が難しい箇所だとは思いますが
逆のケースもままあると思うので、その記載は避けていただきたかったです。
また親の不仲による子への影響の記載は -
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出産を視点を変えて、「ははがうまれる」ととらえるのはかなり斬新です。「いいこと日記」は特にいいです。残念ながら「ハンカチ落とし」というゲームがわかりません。著者も?マークを付していますが、処女出産、意味不明。英語から説き起こすのは、著者に限らず不可、他の言葉ではと突っ込みたくなります。成長は成熟では?日本でも少なくなりましたが、畳に座った目線は外国でも通用するのでしょうか?疑問です。ひらがなに、柔らかさや、あたたかさ、包み込むような感じを持ちますが、何かが始まる前の未分化な感じや、白紙や白地図に近い感じを私は持ちません。アウェイ感は「疎外感」とは違う気がします。
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PTSDが西洋的概念であることを始めて知った。
それにしても、心に傷を持つ・・ということは言葉としては古いでしょうから、その困難を克服しながら(克服できなかった者は排除され、淘汰されたのでしょうが)生きてきたのでしょう。
それもまた進化の歴史だったのかもしれません。
とはいえ、戦争や原爆、原発のような人的なトラウマはなくそうと思えばできること。
その上、自然災害にはない、さらに深くて、長期にわたって解決できない心の傷を負うこともある。
著者は、トラウマの説明に終始せず、それと如何に関わっていくかということまで言及している。
医学的立場で書かれているというより、人道的、人間的立場に立って表現され