宮地尚子のレビュー一覧
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被災地支援を知るために手にとったブックレットでしたが、読み進めるにつれて、別の「現場」でも応用できる考え方が紹介されていることに気づきました。
トラウマの中空構造に関しては、「語られないこと」をも大切にされていることが伝わってきて、胸がじんわりしました。
「環状島」について知ったのは、このブックレットが初めてでした。
「ウチ」と「ソト」に分かれていて、どこにいるかで感じることがまったく違うこと、
「仲間」になれるのは「ウチ」の人だけで、「ソト」の人は「味方」にはなれるけど「仲間」にはなれないことなど、
説明されると「ほんとにそうだ〜!」と、深く深く納得のいくことばかりでした。
「環状島 -
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宮地自身の著書『環状島』にある、トラウマを持つ人と支援者との関係の「環状島」モデルによる説明と、東日本大震災への適用がまず語られる。そのあとに、被災者、支援者、被災地から遠い人、と説明が続き、最後に震災トラウマと復興ストレスについて語られる。
『環状島』はやや手ごわい本だが、その理論部分を著者本人がわかりやすくまとめてくれてあるのがありがたい。キーになる本のガイドも文中で詳細になされる。
具体例の例示などもあるが、実際今回の震災に関わる中で同様のことを見聞きし、そもそも環状島モデルが阪神大震災の後に考え出されたことに思いをはせた。
被災者、支援者はもちろんのこと、そのどちらにも属さず、 -
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「人生の軌跡」が特に印象的。
人生の分岐は二元論ではなく、常に幾つものY字路を進んでいく感覚が、自分の中にもある。
Y字路を選び続けると、自分がどの方向に進んでいるのか、堂々巡りのように回り続けているのか、周りから大きく外れてしまっているのか、そうした方向感覚がわからなくなる。
それでも選び続けていく。戻りたい、とは思わないから、常に望んだ道を選択しているのだろうとは思う。
ただ、その先がどこに続いているかはわからない。
どこへ進んでいるのか分からないのに、心の中にコンパスは確かにある。私が私たる為の、いや、私である理由そのものとして、価値観というコンパスがある。
コンパスは進むべき方向をお -
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ネタバレ数ヶ月前に読み終わってそのままにしていたこの本。今日、終戦記念日に付箋を貼っていたところをパラパラと読み直してみた。
つけた付箋のうち、一つはアメリカにあるベトナム戦没者記念碑に関するものだった。自己イメージに負の歴史をうまく統合できないのはどの国も同じようで、ベトナム戦争にまつわるこの記念碑はその他の戦没者慰霊碑と比べても、地中にめり込むような低い位置にひっそりと置かれているらしい。著者の最初の印象は「みじめだな」だった。
著者はこの記念碑に突然ブルドーザーが来て大量の土で埋め立てられ、その後そこから木々が育ち森になる白昼夢を見たという。そしてご本人はこの米国にとっては負の遺産、歴史の傷 -
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異国の地で変化を受け入れ、
戸惑いながら揺れながら生きる人々の語りをつづった1冊です。
人の傷を物語として書き記すということは、ある種の暴力性みたいなものがあると、常々思っていて。
物語にした瞬間、言葉にできない複雑さを排除してしまったり、矛盾や迷いやまだ名前のない感情も一つの筋書きに回収されてしまったり。
でもこの本では、
言葉にならないもの、
あわいにあるものを大切にすくいあげようとしている姿勢が文章の端々から伝わってきます。
この「あわい」という考えがとても好き。
こちら側とあちら側
傷ついた人と傷つけた人
きっぱり線が引けるほど人間は単純ではなくて、誰もが、傷と傷でないもの -
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ネタバレこれは完全に自責なんだけど、もっと具体的にトラウマや傷のことについて書いてるかなって期待してたらやっぱりエッセイなのでそんなことはなかった。
でも最終章ら辺はよりその辺に触れられてた感じはしたな。というか、やっぱり最後に持ってくるだけあってこのタイトルの核心たる"傷"に触れてる話にはなるよね。
深く傷ついた人や奥底まで沈みこんで独りきりになった人はこの考えにたどり着くんだろうけど、精神科医でカウンセリングもしたりして、なこの人はそりゃあ思い至るよなぁ。
一端の人間程度に世界も制度も変えられなくて、そもそも自分以外のことを変えられるなんて到底できやしない。その手助けはできるか -
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著者はボストンで活動した精神科医とのこと、ボストンという地は絶妙。表題はちょっとひねりすぎかなと思うし今流行りのナラティブという言葉も頻出するがあまりそぐわない気もする。それよりはルポエッセイという感じ。移住者とその心に起きたことにフォーカスを当てているということだけで十分に興味深い。
PTSDという語句が日本で定着したのが阪神淡路大震災というのも、そういえばそうだったかもしれない。
P64 移住に伴うもっとも大きなストレス要因
1社会的経済的地位の低下 2移住した国の言葉が話せないこと 3家族離散もしくは別離 4受け入れ国の友好的態度の欠如 5同じ文化圏の人々に接触できないこと 6移住に先 -
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SNSで話題で気になってた本。
トラウマ研究を専門とする精神科医であり医学博士、臨床でカウンセリングも行う著者。専門家だからって、傷つかないわけではない。ストレスを感じないわけではない。落ち込んだり、無力感や罪悪感に苛まれることもある。
“専門家”というフィルターを通すと、私たちはどうしてもその事実を忘れてしまいがちであることに気づいた。プロであっても一人の人間。そんな反応が起こることは当然のはずなのに。
傷を負った人に対して、できないこともある。解決できない問題もある。けれど、ただ見守るという形で寄り添うことはできる。その辛さを、問題を、一緒に見つめる。それだけで癒しになることもある。こう