宮地尚子のレビュー一覧
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手元に置いておきたいと購入。心の支えになったり、前向きになれたりする本。
心に残った文をいくつか↓
【○(エン)=縁なるもの】より
受験生の飛び降りニュースをテレビで見て
「ま、わかるがこんなことみんなも経験することだしな」
加南は心の中でこう答える
「でもパパ、私たち当人にとっては「こんなこと」じゃない。パパは大人で受験よりも苦しいことをけいけんしてるから「こんなこと」になるのかもしれない。あたしが中学の時、死ぬほど嫌だった髪の悩みも、今はもう忘れかけているのと同じ いつだって今の悩みがいちばん。あの幼い日に悩んだ重さは、その内容はちがっても 今、悩んでる重さとほとんど違わないはずなの -
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ネタバレトラウマに関するトピックが網羅されており、読ませるための構成も洗練されている。最初の一冊として最適。当事者、当事者を支援する人にはここから先に進むことが必要。
<メモ>
・DSMは統計的なエビデンスを出すためだが、時間経過や潜在的な病理が見逃されがちという意味で浅い、という批判もある。P30
・家庭に責任を押しつけ、うまくいかないときだけ批判するという社会の風潮は百害あって一利なし。かえって孤立をもたらし、虐待がはびこってしまう。P64
・アダルトチルドレンという呼称は言い得て妙な部分がある。P67
・PTSDを持つ人に薬物依存が多い。P68
・リストカットの心への鎮痛効果は高い。P70
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Posted by ブクログ
臨床の精神科医を経験後に、文化人類学の研究に入った著者のデビュー作。『傷を愛せるか』に比べたら確かにやや若い感じの文章。
もともとボストン在住の日本人からの聞き取り調査を元にしたハンドブックを作成したが、書籍化するまでに時間が経過して新しく書き加えたものらしい。内容としてはエッセイとエスノグラフィーの間くらいの感じ。
海外赴任、アメリカンドリーム、逃避、受験落伍者の留学など、それぞれの事情を抱えて外国に暮らす日本人の心情をよく聞き取っており、共感できたり、息苦しくなったりする。2000年ころまでの調査だけど不思議と時代を感じさせず、人の心は変わらないというあとがきに妙に納得した。 -
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1.読みたくなったキッカケ
読書会の課題本になったため購入。
これまでこういった内容の本には触れてこなかったため、新しいジャンルの本を読むきっかけとしてもいい機会だと思った。
2.著者の紹介
一橋大学大学院教授。精神科医の医師として臨床を行いつつ、トラウマやジェンダーの研究を行っている。
3.本の構成と読みやすさ
「2時間で読める教養の入り口」とあるように、非常に読みやすい内容。
かといって、内容がスカスカとかいうわけでもなく、著者の考えがコンパクトにまとめられているように感じだ。
構成としては、序盤で傷つくとはどういうことかをまとめ、終盤で、その癒し方をまとめている。
4.本の序章のま -
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2時間で読める教養の入口というキャッチフレーズのシリーズ。1時間で読める。トラウマ研究および臨床の第一人者の著者の書なので、事例みれられ、分かりやすく、しかもツボをきちんと押さえられている。もう少し深く学びたい人は著者の書に進めば良いと思う。著者のトラウマ理解のモデル、環状島も出ており、このモデルは当事者と支援をするものにっって非常に理解しやすいモデルである。まやトラウマはコミュニケーションエラーから起こり、そしてコミュニケーションの回復から起こるが、現代的なコミュニケーション、オンラインとリアルという「二つのコミュニケーション」への言及もされている。特にコロナ禍以降、この状況が広がっており、