コーマックマッカーシーのレビュー一覧
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コーマック・マッカーシー氏のピュリッツァー賞受賞作品。まさにマッドマックスの世界。
おそらく核兵器が用いられたであろう終末戦争後の世界で、背景説明や情景描写のほぼない中、ただただ不条理な状況に置かれた父親と息子の旅路を描く。その道の先には絶望しかなく、しかし歩き続けるしかない矛盾。暗澹たる気持ちになる作品ではある。圧倒的暴力が描かれ、暴力や略奪や食人が暗に語られ、性悪説に基づくある種の残酷なリアリズムに達した描写はマッカーシー氏らしい。そうした過酷な環境下だからこそ父親が息子を守ろうとする気持ちや男として育てようとする生き様が際立つ。ラストは光明か暗闇かは定かではないが、少年から男にある巣立ち -
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ネタバレ原題はThe Crossing。
横切ること。交わること。交差点。
これを「越境」としたことで、イメージが果てしなく広がる。
マッカーシーの描く世界はとても冷徹だ。
神の視点に近いかもしれない。
この世に物語はない。陽は昇り、大地を照らし、沈む。または陽は昇る。
その中をビリーは生きる。
なぜ、生きているのかはわからない。
でも生きる。
ビリーは3度、メキシコへ渡る。
1度目は狼を送り届けるため。
2度目は親を殺され盗まれた馬を取り戻すために。
3度目は唯一の肉親である弟を救うために。
1度目は心の赴くままに、
2度目は自ら課した義務のために、
3度目は孤独に押し出されて旅をする。
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国境三部作の完結編。『すべての美しい馬』のジョン・グレイディがふたたび登場し、『越境』のビリー・パーハムとともに物語を織り成す。前二作と比べると前半部分は退屈な感が否めないが、後半からぐっと物語は面白みを増す。
本作品は純愛物語であり、マグダレーナに対するジョンの破滅的な愛の物語であり、エドゥアルドの歪んだ愛の物語でもある。理不尽かつ原初的な情感が漂うメキシコで過酷ながらも美しい情景を紡ぐ。エピローグのビリーの物語はやや意外(唐突感?)なものだが、アウトローの終わりを告げる物語として相応しいものかもしれない。荒々しくもロマンティックな時代の終焉に浸れる傑作の三部作であった。 -
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コーマック・マッカーシー氏の国境三部作の第二作目。
アメリカ南西部とメキシコを舞台に大自然と人々との関係を描く。雄大な自然と過酷な運命。出来事全てを等価に扱い、残酷さも慈愛も綯い交ぜにしてある意味で無関心かつ突き放す文体はとても哲学的。
主人公である16歳のビリー・パーハムは内的な衝動で行動し、ビリーを襲う不条理な運命はまるで聖書のヨブのよう。それなのにビリーの心理描写や感情変化はほぼ描かれる、メキシコで出会う人々の剥き出しの人間性との繋がりのなかで読者に伝えられる。
16歳にしてハードボイルドでタフガイ。しかし美しい情景が目に浮かぶ文章は詩的。魅力的な作品。 -
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ネタバレとても美しい小説だと聞いて、手に取った。
ここのところ、アメリカ文学を読んでいる。
「ジェームズ」「ハックルベリー・フィンの冒険」は南西部ミシシッピ河流域の小説、「エデンの東」は、カルフォルニアの小説、そしてこの小説はテキサスから国境を超えてメキシコへ渡る小説だった。アメリカは広いなあ。小説によって舞台になる土地の雰囲気が全然違うから脳内旅行が楽しい。
テキサスでカウボーイをしていた十六歳の少年ジョン・グレイディがお祖父さんの遺産の牧場が売られてしまうことを知り、アメリカに自分の居場所がないと思い、愛馬に乗って、親友ロリンズと途中で出会った十四才くらいの少年プレヴィンスと共に国境を超え、メキシ