コーマックマッカーシーのレビュー一覧

  • 平原の町

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    国境三部作の完結編。『すべての美しい馬』のジョン・グレイディがふたたび登場し、『越境』のビリー・パーハムとともに物語を織り成す。前二作と比べると前半部分は退屈な感が否めないが、後半からぐっと物語は面白みを増す。
    本作品は純愛物語であり、マグダレーナに対するジョンの破滅的な愛の物語であり、エドゥアルドの歪んだ愛の物語でもある。理不尽かつ原初的な情感が漂うメキシコで過酷ながらも美しい情景を紡ぐ。エピローグのビリーの物語はやや意外(唐突感?)なものだが、アウトローの終わりを告げる物語として相応しいものかもしれない。荒々しくもロマンティックな時代の終焉に浸れる傑作の三部作であった。

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    2026年02月20日
  • 越境

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    コーマック・マッカーシー氏の国境三部作の第二作目。
    アメリカ南西部とメキシコを舞台に大自然と人々との関係を描く。雄大な自然と過酷な運命。出来事全てを等価に扱い、残酷さも慈愛も綯い交ぜにしてある意味で無関心かつ突き放す文体はとても哲学的。
    主人公である16歳のビリー・パーハムは内的な衝動で行動し、ビリーを襲う不条理な運命はまるで聖書のヨブのよう。それなのにビリーの心理描写や感情変化はほぼ描かれる、メキシコで出会う人々の剥き出しの人間性との繋がりのなかで読者に伝えられる。
    16歳にしてハードボイルドでタフガイ。しかし美しい情景が目に浮かぶ文章は詩的。魅力的な作品。

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    2026年02月13日
  • すべての美しい馬

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    ネタバレ

    とても美しい小説だと聞いて、手に取った。
    ここのところ、アメリカ文学を読んでいる。
    「ジェームズ」「ハックルベリー・フィンの冒険」は南西部ミシシッピ河流域の小説、「エデンの東」は、カルフォルニアの小説、そしてこの小説はテキサスから国境を超えてメキシコへ渡る小説だった。アメリカは広いなあ。小説によって舞台になる土地の雰囲気が全然違うから脳内旅行が楽しい。
    テキサスでカウボーイをしていた十六歳の少年ジョン・グレイディがお祖父さんの遺産の牧場が売られてしまうことを知り、アメリカに自分の居場所がないと思い、愛馬に乗って、親友ロリンズと途中で出会った十四才くらいの少年プレヴィンスと共に国境を超え、メキシ

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    2026年02月01日
  • ザ・ロード

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    なんだろう。
    物語としての抑揚は全くなく、ずっと1本の線をみているかのようで一気読み。
    特別な事も起こらないけど、ただ1日1日の生活を美しい言葉で表現していたり。
    何故か読み進めていた。
    家で読書をする時は、いつもYouTubeで雨と雷の音を流しながら読書をしていて、この本にはそれもぴったり。少年の名前も知らないけど、物語が続くならどうか、その考える力・想像力を無くさないで、無事に平穏な暮らしができていますように。他の作品の3部作と血と暴力も積読してあるので、読むのが楽しみ。

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    2025年11月29日
  • 通り過ぎゆく者

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    マッカーシーの遺作となった2作。翻訳作はほとんど読んだけれど、私は良い読者ではなかった。全ての現実は喪失の運命にあり、世界は非常さに満ちている。今のところ、これがマッカーシー作品を通じて私が得た理解の全てです。理解が及ばないながら、マッカーシーと同時代に生きてその作品を読むことができたのは幸運だった。

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    2025年11月23日
  • すべての美しい馬

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    米国文学の巨匠コーマック・マッカーシーの国境三部作の第一作目。テキサス州からメキシコに至る道はさながら青春ロードムービーのようであり、美しい情景が目に浮かぶような自然描写。牧歌的な叙事のあとに訪れる理不尽で強烈な暴力の数々。原初的な人々が織り成す激情の衝突は、近代アメリカが封殺した善悪を増幅したような沸騰する生命力を感じさせる。一番の驚きは物語終盤に完璧なタフガイに成長した主人公が16歳ということか。荒野に佇む余韻の味わえる良質な小説。

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    2025年08月27日
  • すべての美しい馬

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    ネタバレ

    テキサスからメキシコへ友人と家出同然で飛び出し、働き口も見つけ上々の新生活スタートとも見えたが··· 
    とにかく真っ直ぐなジョンのセリフが印象的
    殺るか殺られるかだ中間はない 等。

    少し読解力が追いつかなくて 追手は何故最後馬を連れて行かなかったのか等気になる点も·

    とにかく友人と旅をしている描写が面白く、後半からはジョンの行動に目が離せない。

    彼女が残ってくれたら恐らくあの行動にはでていない。

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    2025年04月06日
  • ザ・ロード

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    純文学性が高いが一気読みした。ポストアポカリプスものではあるが、SFという感じはしない。
    人間を食べるか食べないかは人として究極の善悪の彼岸だが、善悪というルールは世界の破滅と共に消えてしまった。そんな世界でも人を食べないと誓い、ひたむきに生きる親子はとても美しく、火を運ぶものを名乗ることには神話性も感じる。
    2018.3.22

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    2024年08月09日
  • ステラ・マリス

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    ネタバレ

    正直なところ、『通り過ぎゆく者』はそれほどじゃなかったのだけれど、こちらを読み出したら、俄然面白い。やー、すごい。さすがだ。コーマック・マッカーシーはこんなところへまで到達していたか。しかしやはり『通り過ぎゆく者』あってのこと。あくまで対であり、『通り過ぎゆく者』を先に読んでのことかと思う。そしてこの後もう一度『通り過ぎゆく者』いん立ち帰れば、更に良さそう。

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    2024年05月29日
  • ノー・カントリー・フォー・オールド・メン

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    映画を先に見てあまりのインパクトに原作も気になりやっとの思いで購入。改訂前の方?全然売ってなかった!

    映画のシュガー訳わからんかったけど原作も訳わからん。普通に話してると思ったら次の行で平然と人殺しててめちゃ怖かった。
    第一章のベルの語りがこの恐怖の全てを物語ってるわ…
    生きてると何が起こるかわからないけど、こういうサイコパスと遭遇せずに一生を終えたすぎる

    ヒッチハイクで出会った女の子とモスの会話だけがこの物語の唯一の癒し

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    2024年05月26日
  • ザ・ロード

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    凄い言葉を生むための物語。

    胸に押し当てたいほど美しいものは全て苦悩に起源を持つ。それは悲しみと灰から生まれる。
    - 63ページ

    かたちを喚び起こせ。ほかになにもないところでは無から儀式を創り出しそれに息を吹きかけよ。
    - 86ページ

    善意が見つけてくれるんだ。いつだってそうだった。これからもそうだよ。
    - 326ページ

    全て凄い言葉。言葉に、“凄さ”を付与するための話。

    「火を運ぶ」という言葉が多義的に解釈されている。解釈に一側面を付け加えるならば、これは“律”だ。そして律は、人間の主観なしには作り得ない。人間が作るものには全てが信仰が含まれる。それは律であっても例外ではない。

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    2024年05月06日
  • ノー・カントリー・フォー・オールド・メン

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    追われる男、追う男、その跡をたどる男

    雨と銃と血の匂いのする物語は、ストーリーの矛盾を回避しようともせず、ひたすら“何か”を描き続ける。
    作者は、暴力と流血の中に、この世界と人の絶望を、独特の文章で綴る。

    「できることが何もないなら、そもそもそれは問題ですらない」
    そのことが、また、絶望につながる。

    わかったようでわからないこと……唯一無二のこの読後感は、嫌いではない。

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    2024年04月03日
  • 悪の法則

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    おれにわかるのはあんたが自分のした間違いを何とかしようとしている世界はあんたが間違いをしてしまった世界とは別の世界だってことだ。
    あんたは今自分が十字路に立って進むべき道を選ぼうとしていると思っている。でも選ぶことなんてできない。受け入れるしかない。選ぶのはもうとっくの昔にやってるんだから。

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    2024年03月26日
  • ザ・ロード

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    荒廃した世界をひたすら南に進む父と子の話。
    父として、息子としての考え方や心情態度の変化がおもろい。

    火を運ぶ者たちである。

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    2024年02月16日
  • ノー・カントリー・フォー・オールド・メン

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     荒野に放置された弾痕の残る車輛と複数の死体、多額の現金と麻薬を見つけたら、そのまま放置して警察に連絡するに限る。現金を持ち帰り、再度現場を訪れるようなことをすると、地の果てまで追われることになる。

     冒頭から物語に引き込まれ、ストーリーや登場人物の行動、セリフに引っ張られ、終盤まで連れていかれる。章立て冒頭の保安官のモノローグの印象が残っているうちに、主人公と追手が繰り広げる逃走劇が脳内に入り込んでくる。ストーリーが脳内に入ってくるのは、著者の作品『ロード』でも同じだ。その文体がそうさせるのだと思う。

     主要な登場人物はすべて戦争経験者だ。オールド・メンの条件が戦争経験のように思うが、ア

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    2023年10月31日
  • ブラッド・メリディアン あるいは西部の夕陽の赤

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    一言で、血なまぐさい。
    しかし、人間の本性というか、根っこというか、生物の一種としての存在としてというか、そういう部分では、もしかしたらこういう感覚や行為はあるのかもしれない。
    読み進むのに楽ではないところもあるし、この本を読んでいる間はずっと鼻の奥に血の匂いがあるような感じまでしたが、人間とはどんな生き物なのかということをマザマザと見せつけてくるような感じという点では、すごい存在感がある一作。
    読む人は選ぶのかもしれないけれど。

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    2023年10月28日
  • ザ・ロード

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    ただ歩くだけでどんだけ引っ張るんだ?という前半だけど、徐々にこの世界のありようが明らかになってきたりそれなりの物語の起伏もあってまあまあ楽しめる。

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    2023年10月15日
  • 越境

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    舞台は1940年代のアメリカ・メキシコ国境地帯。主人公の少年は、三度び国境を越え、馬に乗ってメキシコの地を延々と放浪する。
    一度目は捉えた雌狼を生まれた地に送り届けに、二度目は盗まれた馬を取り戻すために、三度目は生き別れた弟を探しに。
    主人公は孤独な旅を逞しく続けるが、その過程であらゆるものを抗いがたい暴力によって喪失していく。
    壮大で厳格な喪失の物語である。

    文庫本で600ページを超える大作だが、最初の1、2ページを読んだところで、あまりの読みにくさに挫折しそうになった。
    独特な言葉遣いと長いセンテンス、詩的な情景描写、短い言葉を交わすだけのダイアログ、場面の切り替わりのわかりづらさ。

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    2023年09月23日
  • ザ・ロード

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    動植物は死に絶え、人が人を喰らう終末世界で続けられる父子の「火を運ぶ」旅。善とは何か、生きるとはどういうことか…。全く光の見えない絶望的な情況の中で「破滅後」しか知らない少年の純粋さが胸を打った。

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    2023年08月23日
  • ノー・カントリー・フォー・オールド・メン

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    血と暴力の国含めて3回目。やっぱり面白い。けど、これに関しては映画が素晴らしすぎる(映画も3回見てる)。

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    2023年08月09日