仙川環のレビュー一覧
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家の事情でしかたなく実家の医院に戻って仕事をしていた成田真澄は、父の代から働き続けている看護師に嫌味を言われ、患者に愚痴や世間話ばかりを繰り返される毎日を嫌々すごしていた。ある日、どんぐり丘の入り口に倒れていたホームレスの死をきっかけに、自分の従妹やその友達など、原因不明の症状で死亡する人間が続出する。真澄は友達で獣医の渡良瀬や、県医大の研究医である亮子に相談しつつ、どこか高揚している自分を感じていた。
うーん。『繁殖』の時にも思ったことだが、やっぱり出てくる人間が残念すぎる。まず、最先端の都会の病院から田舎に引っ込んできたという主人公、家の愚痴ばかり、未知の病気への対応に関してもカリスマ性が全く無い。そして”狂犬病”という恐ろしい病を扱っているかもしれないという危機的状況の中で、どいつもこいつも色恋沙汰に左右されすぎ。もっと職業意識の高い人間はいないのか。嫉妬>病気 というのが強すぎて、リアルな恐さが全く伝わってこない。 -
Posted by ブクログ
仙川デビュー作
遡って今回初めて読んだ。なかなかいいじゃないか。特にスーパーヒーローや美人ヒロインが登場するわけではなく、臓器移植問題を大きく取り上げている。フィクション色が非常に濃い(つまり現実感がない=それぞれの人物の作り込みが弱い)と感じるけれど、荒削りの良さがある。
登場人物はそれぞれに不幸だ。特にヒロインはとっても不幸な感じがする。でも、それを乗り越えながら邁進する様や立ち直りのスタートを描くエンディングもいい。
もしかしたら、このヒロインの夫の選択は自分自身に極めて似ているのではないかと思ってしまう。この自分自身の発想が恐い。
さて、これがけっこう絶賛されたのか理解できるな。この後の作品をたくさん読んでいるんだが、このデビュー作品が一番いいんじゃないかと思う。横山作品の『ルパン』みたいに。 -
Posted by ブクログ
園児のために良かれと思って企画した農園実習がこんなことになるなんて・・・。収穫してきたネギやニンジン、そして近くの農家で飼われている鴨肉を使って鍋を作り、おにぎりと一緒にみんなで食べた。数時間後、園児達が次々と調子を崩して病院に運ばれ、中には意識が戻らない子供まで。おにぎりの管理が杜撰だったために起こった食中毒であろうと思われたが、農園実習を企画した原島聡美によると、保存は特に慎重に行っていたという。そして他にも腑に落ちない点がいくつもあり、調べ続けた結果なんと、カドミウムという思わぬものが検出されたのである。
途中までは良かった。一緒になって楽しんでいたくせに、事件が起きると手の平を返したように態度が激変する保護者たちと幼稚園側の攻防もありありと浮かんできた。しかし、中盤で物語の雰囲気がガラッと変わったというか、登場人物の印象がむちゃくちゃになった(苦笑)。責任感の強いまじめな2人かと思いきや、自分達さえよければそれでよいただのバカップルだったのか・・・。この小説で一番罪深いのは誰か?中盤以降の聡美の思考や行動には腹立たしいことこの上ない。放火は立派な犯罪。それを1人に押し付ける形になった上に、「私が待っててあげなくちゃ、支えてあげなくちゃ」って何様のつもりなのか。真相を知った他の人間も、隠ぺい工作を思いついて「それいいねぇ!」って子供みたいに盛り上がられても困る。テーマは興味深いのに、出てくる人間達が残念すぎる。