東崎惟子のレビュー一覧
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購入済み
淡い独特の絵柄
淡い独特の絵柄が宇宙SFの雰囲気をとても盛り上げている。「漂流記」という題名が淡い絵柄やややとりとめがないようなストーリー展開を象徴的に表していてとても良い。銀河鉄道に対抗して馬車の宇宙船というものもノスタルジックさを狙ったのだろうな。
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ネタバレ東崎惟子さんの『クリムヒルトとブリュンヒルド』
東崎惟子さんによる「ブリュンヒルド」シリーズの第3部です。
王国はかつて神竜によって脅かされましたが、「竜殺しの女王」によってそれが葬られてから百年が経過していました。五代目女王の娘であるブリュンヒルドとクリムヒルト。
姉として、6代目の女王を目指していたブリュンヒルドですが王室の病に蝕まれ、それを果たせません。戴冠の日を迎え、クリムヒルトは女王となりますが、その日王国の闇を知ります。
やがて王国史から名を消された「暗愚の女王」とされるクリムヒルトでありますが、その後なにがあったのしょうか。真実を辿るストーリーです。
忠臣ウォレン、琥珀の竜ベルンシュタイン、槍のアニマなど、魅力的な人物が出てきます。
東崎さんの作品、このブリュンヒルドシリーズはファンタジーなんですが、相変わらずのテンションです。みなさん愛憎がギリギリと溢れてくる感じで、作品がそれぞれ短編的であることから、なんとなくシェイクスピアなどを想起させるんですよね。ドラマに溢れています。
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Posted by ブクログ
ネタバレ『竜殺しのブリュンヒルド』の続編的作品。
邪竜の脅威にさらされる小国ノーヴェルラント王国は、神聖な竜(神竜)と契約して守護を受けていた。その神竜と心を通わせる者こそ「竜の巫女」であり、その家系に生まれた少女・ブリュンヒルドは幼い頃から神殿で竜と会話し、月に七人の生贄を捧げる儀式を務めていた 。しかし、ブリュンヒルドは竜が生贄を食べる残忍な姿を目撃することで王国を襲う邪龍は本当に存在するのか疑い始める。
やがて、ブリュンヒルドは、従者ファーヴニル、王国の王子シグルス、王子に使える王国一の騎士スヴェンと共に神龍を倒すことを画策する。
読んでいて話の着地地点がどこになるのかわからなくなる作品。
神龍はいつ倒せるのか。シグルスは助かるのか。
ハッピーエンドになるのか、それともバッドエンドになるのか、なかなか見えない展開でした。
異世界転生物や軽めのファンタジー作品が多いライトノベル界で、この緊張感を出せる作家はなかなかいないように思えます。
『竜の姫ブリュンヒルド』もスリリングな作品でした。東崎さんの作品は、いつもギリギリのテンションで溢れています。
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Posted by ブクログ
ネタバレ神秘の島「エデン」で、少女ブリュンヒルドは島の守護竜と共に穏やかに暮らしていた。幼いころ、竜の血を浴びたことで、彼女は人間でありながら半竜となった。守護竜と愛し合う仲となるブリュンヒルド。しかしある日、ノーヴェルラント帝国の竜殺しの名門・ジークフリート家が島を襲撃し、守護竜は殺され、島も焼き払われる。竜の血をすすったブリュンヒルドはただ一人生き残り、ヨハン・ザックスという軍人に助けられる。襲撃の指揮を執っていたのは、彼女の実の父であるシギベルトだった。
守護竜との永遠王国で会おうという約束とは裏腹に、ブリュンヒルドはジギベルトへの復讐に駆られていく…
復讐劇のお話として面白いです。
ブリュンヒルドはジギベルトに復讐などせず、全てを受け入れ愛していれば、永遠王国で再び愛する人と一緒になれたはずです。でもブリュンヒルドはそれをしなかった。
東崎椎子さんはあとがきにて「わたしは勝利の物語として胸を張れます」と書いています。復讐は甘美な蜜の味、と言ったところでしょうか。
全てを受け入れて天寿を全うするブリュンヒルドでは、劇的なストーリーにならなかったはずなので。
「その一言で、わたしは明けない暗闇をいくらでも歩けると思えるのだ。」
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購入済み
シリーズ第一作にして最高作
作者自身が抱えていたかと推測される「情の業」を描くために、超越存在(「神」)が「理」でさえないことを暗示する設定になっていると思う。ただし作者がそれをどこまで意識し得ていたかははっきりしない。
推測だが、作者の持つイメージのカオスが筆を引っ張って書かせたかたちだろう。テクニック的に未経験な部分が多い未熟さ故に重厚な「情の持つ本質的破綻」を描き出す結果となった作品と思われる。
この手の著作は、元来は連作第二作につながるだけの力量を伴わないことが多いが、実際、連作第二・第三は、プロットとしては小綺麗だが、テーマの扱いは第一作の半分にも達しない浅薄なものに留まっている。つまり、わかりやすいが軽いものにしかなっていない。
これはつまり、作者が実際は連作全体にわたる十分な構想を持たないまま、構想の大部分は第一作で吐き出してしまい、以降は練りが甘いラフスケッチを文字化したにすぎない、ということだ。
予想したからそれほど失望はしなかったが、よほど時間を掛けて練り上げないと、別シリーズに取り組んでも、所詮ありきたりのプロットと人物描写の「良くあるシリーズ」に終わるだろう。
もともと格別優れた文章表現の才があるわけではないから、所詮は筋書きに頼るライトノベルしか書けないだろうと思われるが、それでも、第一作のイメージを主導した「情の極限のどうしようもなさ」の感性は持ち味だろうから、時間を掛けてイメージを練り上げる作家になることを期待する。
ただし。竜に絡めた人名から思わず期待したワグナーの楽劇『指輪』三部作に対応するイメージはシリーズを通して全く見られない。これほど認知度の高い人名を敢えて使うなら、せめて、人名採用先になったワグナーの楽劇の筋書きくらい、読んで消化する努力をして欲しい。身の程知らずも甚だしい借り方だ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作の終わりを読んで一番疑問に思ったのが、「続くの…?」だったが、なるほどそういうことか。
一瞬パラレルワールドかと思ったが、あの時代の前、ファルシオンやバルムンク、ジークフリートの成り立ちの話だった。
「ブリュンヒルドの物語」…そういうことなー。
そして相変わらず残酷。縹けいか作品よりは絶望ではないが、全然ハッピーエンドじゃなくて良い。
しかしコミックだとしんどいものは読みたくなくてハッピーなものを読みたがる最近なのになぜ小説だと構わないのか、我ながら不思議。
最初読み始めてたときはあの神竜の700年前の話かと思ったが、途中でエデンにいないから違うと気づいた。というかエデンどんだけあるんだろう。
そしてこの小国、某巨人話のように壁に囲まれているらしいが、どうやって成り立ってるんだろうか。こういうのって結構広くないと成り立たないのでは。まあ、広いんだろうな。こういうの、ついつい気になってしまうけど割とどうでもいいところばかり気になってしまう悪癖。
ファーブニルが裏切るように見えて愛に目覚めるか、目覚めなくてもブリュンヒルドをかばって死ぬとかそういう話だろう!と思ったけど合ってたような合ってなかったような。
ただ、神竜ですら愛を知っているのにそれを知らない自分は一体なんなんだ、という懊悩はなんか最近の自分に刺さるのでやめてくれ。しかももちろん特別な理由があったわけではなく、最後までそういう人間だったというだけ。まあ、自分はさすがに愛はある。猫好きだし子供も好きだし。ファーブニルは愛がそもそもないから恋愛も愛も区別してなかったが、共感できるのがファーブニルというのが悲しいといか中二病感あって嫌だなぁ。
前作もそうだったが、神竜がかなり神よりは人に近い感情を持ってておもしろい。今回はスヴェンがおかしかっただけという感じもするが、それでも人ひとりに負けるし、考えも別に全てがわかるとかでもなく普通にだまされ、普通に衝動で動き、考えもあっさり読まれたりしている。若干神性を失う感じはするが、わかりやすいのでヨシ!
本屋でこれを買ったとき、三冊目の存在も確認して、そのときは更に混乱したけどこういう流れならヨシ!安心して次も読める。まあ、次は次でこれまでの流れを更に良い意味で裏切ってくれるのかも知れないけど。
ちなみに文中にドミノ倒しとかいう表現が出てくると、読みやすいけどこの世界にドミノあるんかいとか思ってしまうので人々がなだれ落ちてきたみたいな一般的な表現のほうがいいのではと思ったりするけどでも他の慣用句だって語源とか言い始めたらどれもこういう世界にはないものばかりなわけでうーむ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読み終わって心がざわつくなんとも言えない余韻のお話だった。
勿論これは少女の復讐の物語なのだけど、彼女にとっての正義のお話でもあり愛のお話でもあり報いのお話でもある。
けれど彼女に他の道はあったのだろうか?と考えたとき、どうにもそんな選択肢は見つけられない。
何かが違っていたら、たとえばそう、彼女がもう少し弱かったら、もっと愚かだったら、竜をそこまで愛さなければ、彼女には別の道があったのかもしれない。
けれど否応なくこの道に進むしかなかった。
そんな運命の物語りだ。
ストーリー的にはほぼ一本道。
ただラストで作者の仕掛けに気づいて驚かされる事になる。
これがおそらく作者のデビュー作。
今度はこの作者の救いのお話が読みたい。