星野之宣のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
1年ぶりの宗像教授新シリーズの新刊ですよん♪ 「花咲爺の犬」「割られた鏡」「織女と牽牛」の3話収録。 「花咲爺の犬」では花咲爺伝説を、「割られた鏡」では邪馬台国、そして「織女と牽牛」では七夕を考察し、神話・伝承の裏側に隠された歴史的真実に迫るのはいつもどおりなんですが、「花咲爺の犬」での宗像教授は、まったくの傍観者ですな。作中披露される「正直爺・欲張爺説」にはなるほどと思ったけれど、宗像教授自身の説も知りたかったし、この最期は…腑に落ちません。ぶすぶすぶす。 「割られた鏡」では邪馬台国の真の所在に迫ります。地名を根拠にした宗像教授の説、ものすご〜くもっともらしくて、ものすご〜く説得力があるんですが…どこまで信じていいものなのか(汗)。 最新の邪馬台国論議では、どこが有力なのか、とても知りたく思いました(宗像教授が称える邪馬台国東遷説って、どっかで読んだ記憶がある。『ヤマタイカ』だっけ?諸星大二郎『海神記』だっけ?) 第2集で一番読み応えがあったのが、「織女と牽牛」でしょうか。織姫と彦星伝説という中国由来の日本の伝説と、あの有名なギリシアの伝説が繋がる驚き。織姫の遠い源流があの女性にあっただなんて!!そう懇切丁寧に比較しながら指摘されると、今の今まで結びつけて考えもしなかったことが、不思議でたまらなくなってくる。 そして作品では、現代のもう一つのロマンスが絡めて描かれていて、悲恋の恋人同士をなぞるかのようなロマンスの行方が、ちょっぴり切なかったりします(涙)。 押掛け助手である宗像教授の姪瀧は、今後レギュラー化するんでしょうかね?
-
無料版購入済み
煮詰めが甘い
タイトルから一見して受けるイメージとは異なり、地域の伝承などを考察しつつ、物語を進めるという形式。
荒唐無稽な怪異現象を扱っている…と言う訳ではなく、それなりに根拠のあるストーリー。
1巻冒頭の雰囲気が「MASTERキートン」と非常に良く似ており、驚いた。
ジャンル自体も民俗学・古代史が絡むという点ではかなり似ていると言える。
本作の続編となる作品がMASTERキートンと同じビッグコミック系列で連載されていることが関係しているのかと思ったが、本作自体は創価学会系列の「コミックトム」での連載。
つまりは関係ないという事になる。
(とはいえ、マスターキートンの連載終了が1994年で本作の連載開始が1995年から、実際に影響を受けている可能性は高いと思う)
主人公が独特の雰囲気の中高年のおっさんというところが逆に新しいといえるかも。
なお、絵自体に関しては作者の星野之宣が大御所ともいえる存在であり、タッチの古さこそ感じるものの全く問題はない。
一方、肝心のストーリーや伝承の検証がいろいろ甘く、そこが肝心な本作としては非常に不満。
まず、1話目から「架空の場所」を舞台としており、その時点でリアリティに欠ける。
2話目のオマケのように登場する若い男女など、完全に取って付けたような「軽薄な若者」であり、B級ホラー映画で真っ先に死ぬ男女カップルのよう。
さらに3話目の宗像大社沖ノ島に至っては女人禁制であり、神職といえど女性が勝手に(おそらく正規の許可も得ていない)上陸できるはずもない。
4話目の警官の行動にしても、素手の人間(被り物をしてはいるが)にいきなり発砲して射殺なんてありえない。
こういう細かい煮詰めの甘さ、安直さが非常に気になった。
作品にリアリティを持たせ、きちんと描くならこういう背景から始めるのが大事だと思う。
その点だけで大きな減点要素。
それに加え、やはり華の欠片もない主人公キャラでさらにマイナスというところ。