大島清昭のレビュー一覧
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民俗学の知見を生かしたルポ形式の実話怪談を著す作家・呻木叫子が主人公の二作目。前作『影踏亭の怪談』は短編集だったのに対し、こちらは長編。
愛媛県の山間部にある"赤虫村"。廃寺に現れ、見たものに災厄をもたらす"無有"。空を歩き、冬の間の神隠しの原因とされる"位高坊主"。明るい光を放ち飛び回り、火災を招く"九頭火"。黄色い雨合羽姿で現れ暴風雨を予言する"蓮太"。そして、村の名家によって奉られ、名家の一族の願いのみを叶える"苦取"…。
独自の妖怪伝説がある赤虫村に叫子がフィールドワークに訪れた矢先、これらの妖怪伝説になぞらえたかのような不可解な状況で名家の人々が遺体となって見つかる。
今作も前回に引き続き、面白かった。"連続殺人"ということで、ミステリー色が強かったのも良かった。名家の人々が殺されたトリックなど説明できるところもありながら、刑事たちが遭遇した"無有"や、警察関係者に祟りをもたらした"はりの森"の存在、村を歩き回る"蓮太"の存在は、赤虫村に実際に怪異が息づいている様子が描かれており、おぞましい読後感があった。
この赤虫村の事件は、前作の短編集で描かれていた事件の合間に起こったとされる。ということは、前作の巻末の短編のラストに叫子に降りかかった災厄は謎のままかと思うと、三作目がどうなっていくのかがすごく気になった。どうか、叫子が無事でありますように。 -
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ネタバレ前作に引き続き、ミステリーとホラーのバランスが良く楽しめたと思います。
前作読んでからかなり間を開けてしまったので記憶違い?かもしれませんが今作の方が後味が悪くじっとりと嫌な気持ちになりました(褒め言葉)
文献からの引用が多く、改めて民俗学にも興味を持てる作品だと思います。
個人的にホラーミステリーは民俗学と親和性が高い気がするのですがどうなのでしょうか。
ハザコ男の怪談
シンプルに始終ヒトコワな要素が強かった事件かと思います。
事の発端になったハザコ男も、身内の不祥事を隠すために生み出された怪異なので当たり前ですが怪異かと思っていたら全然違ったというパターンでした。
人間の醜さが詰まっている……
入れ替えトリックかな、とは思った
蘆野家の怪談
とあるゲームをプレイしたばかりだったから本所七不思議と足洗い屋敷が出てきて少し興奮しました。
それにしても胸糞悪くて後味の悪い事件No.1だと思います。
何が、ってもし「蛍の好きなようにしなさい」がどうせ25歳で殺さなくてはいけないのだから、という意味だとしたら両親はどういうつもりでここまで……泣
自分が死ぬとしても殺せない、と手を止めた先祖がいる中で両親が普通に手を下そうと思っていたのたら胸糞悪いな、と
それに自分が生きる道を選べば家族を見殺しにすることになると知ってしまった蛍も可哀想で……
トロッコ問題に似ていると思ったのだけれど、知ってしまった以上家族を選ばなかった、という責任が彼女の中に残ってしまうのかと思うと胸糞悪い
少なくとも蛍はなにも悪くないのに
それにしてもてこの原理で持ち上げて出てくる、とは密室トリックの中でもかなり脳筋だったなとは思いました笑
冷蔵庫婆の怪談
これも、誘拐事件でよく出てくる議題(?)かと。なぜ、被害者は抵抗していないのか、自ら受け入れたのか、不審者を誰も目撃していないのか。よくあるのは警察官の格好をしていたとかでしょうか。
普通に上手かったと思います。子ども目線ではとても目立つ有名人で尚且つヒーローという絶対的な安心感のある立場を利用しているのだから酷いな、と。
ただ、結局なぜ冷蔵庫だったのか、目を潰していたのかが分からないままになってしまったのはもやもやしています。
それと子どもと会話している成人男性なんて今日日他人から見たらやや不審かなとは……
まあ、子どもと会話しているところさえ見られなければただの成人男性だし……
満月館の怪談
いやー、ちょっと最初から怪しいなとは思っていたんですよ、ギャラファンのふたり。
ただ、ここまで準レギュラーみたいな形で、しかも一人称視点があった淵脇さんが犯人とはね、びっくりしたようなしないような。
なんとなく謎の第六感から違和感は感じていたのですが……
ハザコ男から言われていたのに失念していました。なぜ、そうする必要があったのかを考えること。
全体を通して個々の事件が少しづつ繋がっていくのは前作と変わらず面白かったです。
冷蔵庫婆の件で出てきたミイラとブヨブヨした生物の方が少し気になるのですが……
もし続編が出るのならぜひ読みたいです。 -
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本当に最恐の幽霊屋敷でした。
単純にホラーなんだけど、読み進めていくとホラーの要素?アイテム?がどん増えていく。1つの事象と思っていると、気付くと周りには色々な事象が…。取り返しがつかなくなってしまう…。人がいっぱい死んでしまう…。それは"最恐"って言われちゃうよね。
でも私は途中から違和感を感じた。いくら何でも死に過ぎているよね?、と。そう思うと始めから怪しいかった。この怪しさが最後には分かるんだけど、この怪しさ以上の真相があり、どんでん返し。最終的にどうなってしまうのか?結末はホラーで終わるのか?それとも…。
ホラーを読んでいるとよく"幽霊より人が怖い"と思うことがあります。この作品は、幽霊が怖いのか?それとも人なのか?どっちになるんだろうか? -
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おどろおどろしい怪異の世界に硬質な論理ミステリィをひと匙加えたらどうなる?
主人公の怪談作家でありルポライターの梅木杏子(うめき きょうこ)が怪談ネタの取材先で遭遇するいわくつきの事件を解決する連作短編形式で描かれる本作。因習ある土地で事件は起きますが、トリックも犯人も存在し、主人公は怪談作家ではあるが霊能力とか超能力はないのであくまで論理的思考で解決していく。
しかし事件の果てに怪異の存在も明らかになり
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と、民俗学、本格ミステリ、ホラーが全部好きな作者さんが全部詰め込んだ内容となっております!
森博嗣氏のS&Mシリーズや京極夏彦氏の京極堂シリーズ。あとクトゥルフ系がお好きな人はぜひご一読を!
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呻木叫子シリーズ最新作です。
民俗学とホラーの組み合わせがとても楽しい。怪異や妖怪について民俗学的見地から様々な文献を紐解きながら発生の経緯や正体を探っていきます。
幽霊とか祟りは気の所為とか人間の仕業ではなく本当に存在するというスタンスですが、発生するのには論理的な理由がある…というミステリ要素が入ったホラーです。
連作短編集になっていて、オカルト系アイドルグループ「ギャラクシー・ファントム」の一員で未確認動物担当の淵脇飛鳥が未確認動物を探して日本各地を訪れた際に怪異や殺人事件に遭遇する話と、蘆野という女性が自身の家にまつわる呪いを調査する話が入っています。それらの話に毎回登場するのが呻木叫子です。
怪談蒐集家の呻木叫子は民俗学にも造詣が深く、怪異の謎を解き、ついでに殺人事件の犯人も推理してしまいます。
タイトルにもなっている架空の都市伝説「冷凍庫婆」がとても怖いです。でも、冷蔵庫を背負って子どもに声をかけ冷蔵庫の中に閉じ込めてしまう老婆の怪異ってインパクトがあって人気が出そう。