大島清昭のレビュー一覧
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僕の姉は怪談作家だ。「呻木叫子」という筆名で、民俗学の知見を活かしたルポ形式の作品を発表している。
ある日、その姉が自宅で異様な姿で昏睡しているのを発見した僕は、彼女が霊現象を取材していた旅館<K亭>との関連を疑い調査に赴くが……。
第十七回ミステリーズ!新人賞受賞作収録のホラー×ミステリ連作短編集です。
登場人物の1人から見た事件部分と、怪談作家の呻木叫子が書いたルポの原稿の2面から1つの話が読める形式になっていて、それぞれ少しだけ違う視界がリアリティがあって面白い。
ただ単にホラー、ミステリというのではなく、事件の謎解き部分はしっかりとあったうえで怪異としての恐怖も残すバランスが良い -
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実話怪談作家、呻木叫子のルポルタージュ形式の作品を軸にしたホラーミステリー短編集。
宿泊者が不気味な体験をする旅館、首のない女の幽霊が出るというトンネル、泥に塗れたお化けが上り下りする坂道、不可解な状況の事件について他人に話すと次は自分が犠牲者になるという都市伝説。
ホラーだと思って読み始めたら、きちんと論理的に解決するミステリーだった。ただ、どの事件もホラー部分によって引き起こされた感もあって完全に事件の全容を証明しきれない薄寒さが残るのがいい。
最終話、ほんのり不気味さを残しながらも人為的な事件の真相はきっちり解決させたあとの最後のページが怖すぎ…好き… -
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ネタバレ感想
ミステリ本来の楽しみもありつつ、最後まで読んだらこれはホラーだったと思い知らされた。
ゾクッとする読後感。
事件の猟奇性と動悸の乖離は賛否ありそう。
個人的には逆に狂気的にも感じたし下手に狂った動悸を捻りすぎると冷めちゃうからなんとも言えないかな。
あとなんで校庭の棺を『弐』にしたんだろう。
これ、作中で言及されてたら読み落としてるだけだからめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど。
ほぼ同時に設置したとしても場所的に一番最初に発見させる可能性がいちばん高い校庭に『壱』を置く方が効果的じゃないかな?と思ってしまった。
『弐』にすることによってもしかして『壱』があるかも、『参』やそれ以降がある -
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実はわたし、怪談は、あまり読まないんです。
でも、この本は本屋さんで見かけた時にあらすじを読んで、何か…気になったんですね。呼ばれた、とでも言いますか…。
感じるものがあったんです。あらすじを読んで改めて表に返した時、まず、装丁から目が離せなくなりました。指先は、本に触れたまま、もう離れませんでした。
なんて。
何書いてるんですかね。レビューを書けという話ですよ。
実はこの本、シリーズ3作目だったのにジャケ買いしてしまったせいで、そんなことも知らずに読んでしまったのですが、結果的にそれについては、全く問題なかったです。
4作の短編から構成されており、それぞれに呻木叫子と言う怪談作家が出てく -
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呻木叫子シリーズが怖くて面白かったので、こちらも読んでみた。
暑くて堪らないので、この作品で少しは涼しくなるかと思ったが、呻木シリーズほどの怖さはなかった。
ただ、孤島で起きた連続殺人事件、密室、見立て…とかつて読みあさった本格ミステリーの要素てんこ盛りでワクワクした。
また孤島の歴史と中国の妖怪が絡んだり、舞台となった館が凄腕占い師が建てたとあって癖がありそうだったり、現代パートでは調査会社の面々がゴーストバスターズみたいに様々な機器を駆使して科学的に現象を解明しようとしたり、興味深い。
過去の未解決連続殺人事件と、現在の調査パートが交互に描かれる展開で、どちらも一人また一人と殺されて行 -
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ネタバレ独特の妖怪伝承と固有の民間信仰が生き続ける愛媛県の山村、赤虫村。取材で訪れた怪談作家の呻木叫子は村の名家、中須磨家で連続して起きた、妖怪伝承をなぞるような不可能状況下での連続殺人事件を調査することとなる。
舞台となる赤虫村他の地名、登場人物、各「無有(ないある)」「九頭火(くとうか)」「蓮太(はすた)」といった妖怪、そして中須磨家に伝わる"苦取(くとる)"信仰……全編これクトゥルーネタがふんだんにちりばめられている(妖怪のディテールも元ネタの邪神に準じていたり)。パロディ的に用いただけかと思いきや、終盤になるとにわかに妖怪譚、実話怪談風にとどまらない様相も見せて、日本