三香見サカのレビュー一覧
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ネタバレ 無料版購入済み
王道展開
この作品は別途、単行本は揃えています。マガジンポケットの連載開始初期から気に入り、ずっと追いかけていて、単行本も予約して発売日に入手してきています。
隣り合っていても仲の悪い2校に通う若いお2人が知り合い、やがて……というのはロミオ&ジュリエット方式の古典的な舞台装置ですが、そこを踏まえつつ、何か見事な人間讃歌になっているような作品で、名作として残りそうな予感がしています。
1巻の時点ではまだメインのお2人が中心ですが、再読すると、後に色々と出てくる友人周りは概ねこの巻で出てきていましたね。
ケーキを一杯食べる薫子さんがとても可愛らしいです。 -
Posted by ブクログ
朔の妹さん、初登場時の笑顔からして厄介者かなと思いきや、普通にいい子そうで少し安心した
…ほんの少し、深い感情を垣間見えなくもないけれど
皆で友達の誕生日を祝うシーンって温かみに溢れていて良いなぁなんて思ってしまう。それぞれのプレゼントも朔に「似合うだろう」ってちゃんと考えてのものだし
ただ、読者として一番気になるのはやはり凛太郎のケーキになるわけで
とんでもない力作が現れたね!噂で聞くにはフルーツケーキって作るのが滅茶苦茶難しいとの声を聞いた覚えも有るのだけど!
朔がすぐに立って皿を取ってくると言ったのは、それだけケーキへの感動が大きく、そして真の感動は実食しないと受け止めきれないと直感できたからなんだろうなぁ
そして凛太郎のケーキはその直感を裏切らないわけだ。作り手の凛太郎が緊張する中、次々と心の底からの「美味しい」を告げる皆、それをじんわりと受け止める凛太郎の表情が本当に良い……!
誰かの為の努力は裏切らないね
他方で別の動きを見せたのは朔と昴ですか
初対面時こそ、友達を守る為に一触即発の空気を醸し出した二人。その後、千鳥と桔梗という壁を乗り越えて友達に成れた二人だったけど…
そうか、千鳥と桔梗というレベルの話ではなく一人の人間として相手に言ってしまった言葉を朔は気にしていたのか
それを改めて謝れた朔は偉いし、朔が友達として謝っていると判って少しからかうように受け止めた昴の様子も良かったな
昴は朔達に対してはあの件をそれなりに乗り越えられているのかな
朔と昴でこのような遣り取りが生じられるなら、薫子を守る為に一人で奮闘しようとする昴の無理を朔が支えて遣れるのではないかと期待してしまうけれど……
第1巻時点で仲良しグループとして成立していた凛太郎達4人。当たり前だけど、最初から何にも無しに仲が良かったわけではなくて
壁を感じさせずに親友の距離感を構築する翔平は今とあまり変わらないけど、他の三人は幾らか様子が違っていて、その筆頭は朔だったね
自己紹介時から印象最悪で居残り作業にも非協力的、しかもその理由は開かせない
協調が求められる学校空間でそのような態度に終止すれば対峙する人だけでなく、場の空気そのものが悪くなる。朔が悪者として扱われ、朔が露悪的に振る舞うのは自然の流れというもの
だから深い事なんて何も考えずに見たままを自分なりに解釈して朔の良い点を挙げられる翔平は本当に良い奴だよ…!おまけに絢斗や凛太郎も同じように朔の貢献を見た上で朔の悪くない点と落ち度を分けて主張して遣れているのも良いね
この瞬間に今の仲良しグループの土台が形作られたのだと判るよ
……それはそれとしてあの雰囲気の原因となった3年にはガチ謝罪して欲しいレベルの案件だけども(笑) 朔ってば完全に被害者じゃないか(笑)
そして次の主題は凛太郎による薫子の為のケーキ作りですか
誰かの為にケーキを作って喜ばせ、それに喜びを貰って。そのように感じられるようになった凛太郎は昔の凛太郎から大きく成長している
それを実感した両親が凛太郎の知らぬ場所で感動している様にこちらまで感動してしまう……
だから凛太郎の両親は今の凛太郎の振る舞いを応援しているという形になる。なら、薫子サイドは?というと、まずは彼女のバイト先から言及する形に
実の親のように薫子の恋路を心配している定食屋のご夫婦はもう表情の全てが善人さをアピールしてくる
そんな二人だからただのバイトである筈の薫子も当然のように心配して
美代子の目の表情からすると試験は合格といった感じなのかな
薫子から「いい人」と言われる凛太郎は彼女の方こそ「いい人」と言える。そのような関係を築ける二人が不充分な恋仲の筈がないんだよね
いや、本当にお似合いのカップルですよ
あと、おまけ漫画で食べ過ぎを気にした薫子がそれを気にしすぎるあまりギクシャクするのではなく、彼と一緒の時間を楽しみたいと思うがままに振る舞うシーンは良かったな
薫子がそのように振る舞うから凛太郎も幸せを感じられる
やっぱりとてもお似合いのカップルですよ! -
Posted by ブクログ
凛太郎が薫子の為に努力を重ねて作り上げるたった1つのケーキ。そこまでの『特別』を籠められたら先にある答えはたった1つだけのように思えてしまうけど、二人はそういった答えへ安易に飛びつかず、むしろケーキに籠められた想いをじっくりと味わうんだねぇ
今回は誕生日を理由として『特別』に作った
けれど「また作る」と約束したならそれはイベント的な『特別』以外の意味も含む事が出来て
だから凛太郎もケーキ作りをもっと上手くなりたいと願えるようになったのだろうな
今回の件は薫子の誕生日を祝う意味に留まらない大切な日となった気がするよ
もはや「いつものメンバー」になりつつある6人での海遊び
千鳥と桔梗の壁なんて感じさせず、男女の壁も感じられず。とても和気藹々に過ごす凛太郎達
その中でたった一人だけ引け目のようなものを漂わせていたのが昴ですか…
思い返せば昴と凛太郎達の出会いは最悪の一言で、その後はすれ違いを解消できて距離を縮められたと思っていたのだけど、昴は昴個人が持つ素質によって凛太郎達と完全に混じり合えているとは思えていなかったのか…
放置したら余計に拗らせそうな心の問題
それを薫子が仲介して、更には昴自身が勇気を見せて解決に向かおうという動きには感服してしまう
男性が苦手という本人にはどうしようもない意識。これに付き合わせていたとなれば、翔平のように謝るのはもしかしたら当然の展開
けど、ここで昴がそういった苦手意識を自覚し、開陳した上で「ここにいたい」と言うシーンにはじーんとしてしまう
そんな昴に対して朔がきっぱりと「友達」だと言ってのけるシーンが更に素晴らしい
男性陣としては当たり前のように受け容れていた昴の存在。でもそれは当たり前だからこそ、時にはちゃんと言葉にして伝えなければ相手の心に響かない時がある
朔達はそんなタイミングで最高の言葉を贈ってみせたね
加えて、昴が欲しがっていたドーナツをひっそりと買っていた朔はもう満点に近い動きをしていたけども
昴の親友である薫子としては親心に似た心境で見てしまうだろう昴の変化と成長
それに寄り添おうとするから凛太郎は逆に昴の変化の理由は自分ではなく薫子自身にあると考えてしまうのだろうなぁ
でも薫子はそんな風には考えて無くて。それどころか凛太郎ともっと会える時間を無邪気に楽しみにしている
そこにはほんの少しの意識のズレがあって。ズレている部分については修正のために言葉を尽くす必要があって
それが凛太郎さえも予想外な告白に繋がったのかもしれない
凛太郎にも薫子にも予想外過ぎた四文字の言葉
制御なんて出来ないし、そもそもあの場では邪魔が入って続きを伝えるなんて出来なかった
そこで凛太郎が勇気を出して言葉の続きを伝える為に自分から会う約束を交わすなんて思わなかったなぁ……
ここまで二人を見守ってきた読者にとってはこの先の答えなんて決まりきっていると思える。それでも緊張するかのような想いで待ってしまうその瞬間
いやはや、次巻も楽しみですよ -
Posted by ブクログ
昴が気不味さを感じてしまうくらいにイチャイチャ感を醸し出す凛太郎と薫子の会食。それを盗み見る翔平が嫉妬を覚えるのも当然というくらいに甘酸っぱい
まさかその雰囲気から凛太郎が口にしたのが朔達への悔いであるとは思わなかったよ…
又と無い友人だから大切にしたい。隠し事なんてしたくない
でも千鳥と桔梗の険悪さを思えば、簡単に明かせる話ではない。そのリスクは前回の昴が示してくれた通り
でも今の凛太郎にとって薫子や昴との繋がりも大切。そんな彼女らに及ぶかもしれないリスクを理解してなお、「本当にごめん」「お願いします」と請う凛太郎は良い奴だし、朔達にどれだけ友情を感じているか判るというもの
だから薫子と昴は快く受け入れるのだろうし、聞いていた朔達も認識を改めるというもの
その状態なら不良がちょっかいを掛けてきたとしても何の危険も無いわけで
昴と薫子を守ろうとした凛太郎を守る翔平達の構図はとても良かったよ!
いや、それにしても絢斗は強すぎたけども(笑)
凛太郎は朔達と仲直りできて、きっと翔平達の中でも昴達の印象は変わって。でもその状態ではどこか一方通行。そこから本当に和解する場が用意されるとは
交わされる感謝と謝罪。それはどれも心が籠もった真摯なものだから相手にストレートに届く
また、翔平の単純さにも救われた形だね。第1巻の頃こそ、桔梗から向けられる嫌悪に同様のものを返していた彼だったけど、薫子や昴が悪意ではなく善意を投げてくれるなら彼だって相応のものを返す
特にあの揉め事を覚えてないと言ったのは良かったね。まさに水に流すといった所か。だから朔もそれに続けられる
まだ小規模な集まりとは言え、千鳥と桔梗が壁を超えて和気藹々とする様はとても心が温かくなるものだね
お礼の形で行われた凛太郎と薫子の水族館デート。とても甘酸っぱいです……
楽しそうで幸せそうで。交わされる言葉と視線が二人の中でとても暖かな意味を持って積み重ねられていくのが手に取るように伝わってくるよ…
そう見ると、途中で迷子の面倒を見る事になったのは傍から見ればデートが邪魔されたように映るかもしれないけれど、互いに優しさを積み重ねていく二人だからこそ、みかの面倒を見ていてもデートは邪魔されていないとも捉える事が出来るんだよね
みかから見れば凛太郎と薫子はとても大人でデートをしているように見えて。だからか、凛太郎はみかから「好き」の意味を教われたのかもしれない
凛太郎の中ではっきりした形となった薫子への気持ち。その感情はこれからどうなっていくのかな?
20・21話の展開はこれまた良かったなぁ
凛太郎が薫子との繋がりをすぐに話せなかったのは千鳥と桔梗という壁が有ったのもあるけど、翔平達にどこか壁を作っていた面も理由としてあった
そんな壁の一つが実家問題か…。家業をバカにされた経験から二の足を踏んでいたからこそ、翔平達を家に招くのは勇気が要ったし、翔平達が明るく受け容れてくれるシーンには安心してしまう
友人にも見せた事がなかった空間で話されるのは凛太郎が今の姿になった理由
凛太郎がしょーもないと謙遜してしまう金髪とピアスの理由。楽しみを見いだせない日々の中で見つけた美味と笑顔。あの料理人を真似たのはいつか自分もその人のようになりたいという憧憬も有ったのだろうな…
様々な否定により自分を明かす事に怯え壁を作っていた凛太郎。そんな彼の話を聞いて、その怯えをぶっ飛ばすが如く彼を肯定し、そして「友達になりたい」と言ってみせた翔平の姿にこちらまで感動してしまったよ…… -
Posted by ブクログ
不良とお嬢様に拠る恋愛物語なんて古今東西幾らでも存在しているから、本作もその類かなと読み始めた当初は思っていたよ
読み進めると、それが思い込みによるものだと実感させられる。そういう内容だったね
隣り合うお嬢様学校と底辺学校。唯でさえ立地的な難しさが存在しているのに、桔梗学園の女生徒は千鳥高校の生徒を嫌悪し、釣られるように千鳥高校の生徒も桔梗学園の女生徒を敵視して…
思春期の少年少女なら自分と遠い筈の存在が近くに居るとなれば、はしゃいだって可怪しくないのに、この対立が鉄のカーテンの如く両者の間に存在しているわけだ
ここで面白いのは主人公である凛太郎も学友に明かせないもう一つの顔が存在している事かな
実家がケーキ屋で偶に店頭に立つ。それは底辺校在籍で目つきの悪い高身長の少年という肩書に反するものだから友達に明かせない
桔梗学園との間に壁がある学校で凛太郎は学友に壁が有る
そう考えると、その壁をひょいっと飛び越えてきた薫子はどれだけ衝撃的な存在だっただろう。おまけに凛太郎を見た目で判断しないし、優しい人だと言ってくれる
短い人生の中でこのような人にどれだけの人が出会えるのかと思えるくらいに奇蹟的な出会い
そんな薫子が壁の向こう側と言える桔梗学園の生徒であった点は凛太郎にとってもう一つの衝撃だったと言えるのだろうね
2つの学校の間には凛太郎と薫子にお構いなしに対立が存在している。だから薫子が校門で待つなんてドキドキイベントも要らぬ諍いを呼び込む問題行動にしかならない
でも、これって全ては相手を自分勝手に判断しているから生じる問題で
作中で凛太郎が気付いたように、相手を見た目とか肩書で決め付ければそれこそ無関心や敵対しか生まない
まだ薫子の想いの一端に気づけた訳じゃない。それでも彼女に真正面から謝れた凛太郎は偉いね
二人は異なる学校の生徒で、薫子が凛太郎のケーキ屋に訪れることは会っても頻繁ではない。なら、繋がりは薄い
そこで試験勉強という学生なら等しく訪れるイベントを契機に関わりが生まれる展開は良いね
赤点の凛太郎と学年上位の薫子。これもある意味、見た目や肩書で決めつけた状況。それを元手に自身と薫子は遠い存在と決めつけてしまえば凛太郎が諦めるのは当たり前の話
でも、ここで薫子がそもそもお嬢様ではないし、成績を落とさないように努力していると知れるのは良い意味で常識をぶち壊してくれる
見た目とか肩書とかではなく、相手を見て。そうして薫子を見る凛太郎の目が変わっていき、少しずつ凛太郎自身が変わっていく展開は良いね
その象徴となったのは昴への対応か
桔梗学園の生徒で銀髪で敵対的な言動。翔平や朔のように威圧的な話し方になるのも当然の展開
でもここで凛太郎は朔を諌め、自分から積極的に謝る姿勢を見せているんだよね。それは対立を緩める第一歩となるように思えたよ
ひとまず、二人にとって大きな問題を遣り過せた状況。そこで始まるのが勉強会デートですか
デートに慣れぬ二人による甘酸っぱい遣り取りはとてもこそばゆいものでしたよ
凛太郎と薫子、二人のこういった遣り取りがいつまでも続いて欲しいと思ってしまう
それだけに昴の再登場は何が起こるか判らない爆弾のように思えてしまうけど……