チャーリー・ジェーン・アンダーズのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「ジャケ買い」「タイトル買い」です。
ブックカバーデザインにやられて、タイトルの「を」のあとが気になって、でも久々の「二段」ページにおじけづいて5ヶ月、やっと読みました。
読み進めると、当初の印象の派手なSFファンタジーだけではなく、主人公ふたりの成長を通じた「心の旅」物語が見えてきた。
「孤立」と「孤独」
「孤立」は物理的な状態、「孤独」は心理的な状態。
ともに最初は傍からみるとそれほどでもないのに、自分でエスカレートしてしまう。その姿を見て周囲はさらに引く。
ふたりは「もがきあえぐ」も、自己の力に疑いがない反面、結果に自信もなく、それ故に「自分を肯定してくれる人」を憧れ、探し続ける。
ときおり登場するパトリシアの姉ロバータの言葉が、身勝手な自分の心に刺さる。
環境問題は、物語からはそれほどの問題提起を受けることなく、地球存亡の危機にあたってどちらが正しいのか、結論を問うこともない。
ただ人の心の多様性を容認することが、自然との共存の第一歩であり、それは無理をすることではない。
「増長しない」ということは、そういうことかな…。
ふたりの「心の旅」を通じて、次第に「多様性が必然で自然であること」が浮かび上がってくる。
ところで、
すぐれたAIの重要な仕事が「出会い系サイト」って、人類永遠のテーマですね。
また、
ロレンスの反重力装置で飛ばされたブリアは、異空間で何を見たのだろう……。
気になります。 -
Posted by ブクログ
タイトル&装幀買しました。2017年ネビュラ賞、クロフォード賞、ローカス賞、ヒューゴ賞長編小説部門の4受賞作品。鳥はさして出てきませんが、面白かった。近未来アポカリプスもの。
天才魔法使いのパトリシアと天才科学ギークのローレンス、美男美女の幼い頃から始まり、出会いや別れを繰り返しながら、どちらも地球を救おうとするが、どちらも破壊しようとしていく。科学と魔術という世界に引き裂かれるロミオとジュリエットタイプロマンスではあるが、あんまり恋愛色は強くない。設定がとても良い。鍵はペレグリンというAI人格と<樹>。大人向けのダークファンタジー。非常にロマンに溢れている。印象深いのは幼い頃のローレンスが2秒タイムマシンを作り、独りでMITで民間出資のDIYスペースシップ打ち上げを見に行くシークエンス。MITのオーボンパンでコーンマフィンを食べる小さいローレンス。ほんま初めて行くとMITのキャンパスはめちゃややこしいし、なんか寂しい。近くにあるハーバード大に比べると冷たい印象があるが(主観)、まざまざと絵面が浮かんでくる。さらにそこで出会い場面をもってきているのが天才を感じさせる良いシーンだと思う。ということで、原作のほうを読んでみようと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ現代スペースオペラのアンソロジー。スペースオペラとは言うじょう、波乱万丈ではまったくない。
〇イアス・S・バッケル「禅と宇宙船修理技術」ーロボット宇宙船が宇宙戦に生き残った戦争を起こした冷酷な独裁者の救助命令に逆らえないが。
・ユーン・ハ・リー「課外活動」ー七連合王国もの
〇アーカディ・マーティーン「あなたが王だと思っていたすべての色」ー女王のクローンが女王との決闘に臨み反逆を企てる。
〇アレステア・レナルズ「ベラドンナの夜」20万年周期で銀河を周回し記念イベントを行うが、実は種族は滅びている。哀愁漂う
・T・キングフィッシャー「金属は暗闇の血のごとく」
・チャーリー・ジェーン・アンダーズ「時空の一時的困惑」ーカルト惑星に侵入し盗みを企てる。ハチャメチャ喜劇
〇アリエット・ド・ボダール「包囊」ー母惑星から独立した宇宙ステーション人は母惑星の文化を装うため包囊を身に着ける。ベトナム系フランス女性作家の作品
・セス・ディキンソン「モリガン、光へと落ちる」)
〇ラヴィ・ティドハー「背教者たち」ーユダヤ教の背教者を探るため派遣された裁定者が背教し。
〇ベッキー・チェンバーズ「善き異端者」ーウィルスが寄生し超空間ナビゲート能力を得るが、共生がうまくいかずに。
〇アーニャ・ジョアンナ・デニーロ「クイーンズスロートへの旅路」ーMTFらによる女権帝国に対し男権主義者が反乱を起こし一時は帝国は滅亡しMTF狩が始まるが。
・アン・レッキー「審判」
〇サム・J・ミラー「惑星執着者」ー故郷の惑星へのゲートが閉じてしまい宇宙を放浪する男娼が武器商人と会い故郷の通貨を見つける
・カリン・ティドベック「スキーズブラズニルの最後の旅」 -
Posted by ブクログ
巨大宇宙SFってなんだ? と思っていたら、スペオペでした。あとがきではスペース・オペラを連呼しているんで、禁句と言うことはないと思うが、背表紙や帯の惹句には、どこにもスペオペとは書いてない。なんとなく不思議。
で、中身の方はニュー・スペース・オペラ以降の、アクションSFが主軸。一昔前のスペオペ・アンソロジーなら、もう少しB級感というか、やさぐれた感じを出してきたような気がするが、これはこれでいい。ただ、これはお約束なのか、どれほどとんがったSFガジェットをてんこ盛りにしていても、人情とか、家族関係なんかは今と変わっていない設定のお話がほとんど。多少の違和感はある。