ラーシュ・ケプレルのレビュー一覧

  • 砂男(下)

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     連続してスウェーデン・ミステリに取り組む。

     「このヨーナ・リンナ警部シリーズは、当初より8作完結のシリーズで設計され、現にスウェーデンでは、最後まで書き継がれている様子だが、邦訳はこの後『契約』『交霊』の三作でストップしている。版元が8作までやり切るなら読者としてもつきあう気になるのだが、途中で投げ出されているのではどうにもならないね。残念!」

     とはヨーナ・リンナのシリーズ第一作『催眠』のレビューで自分が書いたもの。ファンはハヤカワ文庫の三作から6年間待たされ、今扶桑社ミステリで4作目を手に取ることができたものである。二作目、三作目を吹っ飛ばして、巷で評判の高いこの四作目に取りかかると、『催眠』も悪くなかったものの、催眠を使う医師とのダブル・キャストによりヨーナ・リンナという癖の強い刑事の特徴があまり出ていなかった。

     本書も、サーガ・パウエルという潜入捜査官とのダブル・キャストとは言え、ヨーナにとって因縁の事件がクローズアップされるとあって、シリーズ佳境という言葉が似合いそうなクライマックス感がたっぷりなのだ。おまけにサーガも凄く良い。

     それ以上に閉鎖病棟に収容されるユレック・ヴァルテルというシリアル・キラーが、かのハンニバル・レクターを想起させるサイコぶりで、小説世界を圧倒する。閉鎖病棟のシーンは一秒一秒(一頁一頁?)が息詰まる緊張感に満ちており、そこにややこしい変態新人医師が絡んでくることもあって、病棟全体が予測不能の時限爆弾の存在となる。

     一方で宇宙開発時代のソ連、またその支配下にあったカザフスタン、まだ移民を受け入れる体制になかったスウェーデンであれ、そこに亡命してきた移民の姿など、闇の歴史にまで遡る物語の深度と言い、作品世界の重層構造そのものにも驚かされる。

     意味深げなラストシーンも含めて、非常に人気のあるシリーズであることがわかる全体像となっている。是非、継続して翻訳を願いたいところだ。

     覆面作家であった著者は、その後、二人の別ジャンル作家夫婦によるものであることが判明しており、その筆力は本書でも相当に証明されている。今回のパートナーである美女サーガは、二作目から登場するらしい。遡って読まねばなるまいな。

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    2020年02月28日
  • 砂男(上)

    Posted by ブクログ

     連続してスウェーデン・ミステリに取り組む。

     「このヨーナ・リンナ警部シリーズは、当初より8作完結のシリーズで設計され、現にスウェーデンでは、最後まで書き継がれている様子だが、邦訳はこの後『契約』『交霊』の三作でストップしている。版元が8作までやり切るなら読者としてもつきあう気になるのだが、途中で投げ出されているのではどうにもならないね。残念!」

     とはヨーナ・リンナのシリーズ第一作『催眠』のレビューで自分が書いたもの。ファンはハヤカワ文庫の三作から6年間待たされ、今扶桑社ミステリで4作目を手に取ることができたものである。二作目、三作目を吹っ飛ばして、巷で評判の高いこの四作目に取りかかると、『催眠』も悪くなかったものの、催眠を使う医師とのダブル・キャストによりヨーナ・リンナという癖の強い刑事の特徴があまり出ていなかった。

     本書も、サーガ・パウエルという潜入捜査官とのダブル・キャストとは言え、ヨーナにとって因縁の事件がクローズアップされるとあって、シリーズ佳境という言葉が似合いそうなクライマックス感がたっぷりなのだ。おまけにサーガも凄く良い。

     それ以上に閉鎖病棟に収容されるユレック・ヴァルテルというシリアル・キラーが、かのハンニバル・レクターを想起させるサイコぶりで、小説世界を圧倒する。閉鎖病棟のシーンは一秒一秒(一頁一頁?)が息詰まる緊張感に満ちており、そこにややこしい変態新人医師が絡んでくることもあって、病棟全体が予測不能の時限爆弾の存在となる。

     一方で宇宙開発時代のソ連、またその支配下にあったカザフスタン、まだ移民を受け入れる体制になかったスウェーデンであれ、そこに亡命してきた移民の姿など、闇の歴史にまで遡る物語の深度と言い、作品世界の重層構造そのものにも驚かされる。

     意味深げなラストシーンも含めて、非常に人気のあるシリーズであることがわかる全体像となっている。是非、継続して翻訳を願いたいところだ。

     覆面作家であった著者は、その後、二人の別ジャンル作家夫婦によるものであることが判明しており、その筆力は本書でも相当に証明されている。今回のパートナーである美女サーガは、二作目から登場するらしい。遡って読まねばなるまいな。

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    2020年02月28日
  • 砂男(下)

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    そんな事ではないかって思ってたけど
    それにしてもね
    一晩で読み終えた
    そのくらい止まらなかった

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    2025年08月29日
  • 蜘蛛の巣の罠(下)

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    ヨーナシリーズ。
    警察高官がどんどん殺される。しかも残虐極まりないやり方で。ユレックの洗脳を受けた者の仕業か、それにしてもサーガの無謀さに最後迄ハラハラさせられた。凄く疲れて読み終えた。

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    2025年04月22日
  • ウサギ狩り人(下)

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    ネタバレ

    【上下合わせての感想です】
    うーん。
    への字というか逆さVというべきか…

    前作に次ぐ、うーん。
    4作くらいまでが良すぎたのかなあ。前作であれっと思った気持ちのままに、うーん。どうものめり込めなかった。

    良いところ
    ・連続殺人が派手で飽きない

    個人的に気に入らないところ
    ・翻訳者がコロコロ変わるのは仕方ないとしても翻訳メモリ残して欲しい。アーニャがアンヤになってるって違和感ありすぎ…
    ・殺人者目線のおかげで意図はわかったものの、今までの作品のように緊張感がない
    ・奥さんを亡くして自分のせいで恋人?愛人?を無くしたばかりでまた昔の恋人とより戻してるヨーナって、どうなの?おかげでまた…作品を通じて1番の殺人者はもしかしたらこの人では…

    とはいえもう、次の本に手が伸びてる。文句は言いながらもヨーナシリーズ沼にハマりきってるのはもう、認めるしかない。

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    2024年05月23日
  • つけ狙う者(下)

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    ネタバレ

    うーん。


    この前が良すぎたからの失速感。

    ヨーナが帰ってきたのは想定内なんだけど、え、ちょっとやりすぎ…のはちゃめちゃが。作品が進むにつれてここまでボロボロになられると、読みながら心配になってしまう。
    暗いサスペンスだからどこかで主人公には逃げ場としての暖かさや光、強さを期待しちゃうんだよね。本作ではまるで、止まり木のない長距離飛行を強いられた渡り鳥みたいな気持ちだった。辛くてもヨーナがそこにいなくて。いやね、いるんだけどなんかどうも信頼できない。きっとこの人が犯人を見つけるんだ、ってお約束はあるんだけど、あまりに暴力発砲略奪なんでもござれの問答無用で…

    ヨーナのかわりのマルゴットが臨月で、え、まさかの?とかハラハラしたけど無事産まれてよかったと思いつつ、臨月の意味は?とか納得感がないんだなあ。サーガもちらっと出るだけで、うーん、誰にも安心して寄り添えないよ…

    まあ最後のページのヨーナは、そうだろうね…なんだけど、え、このままアウトローで関わるのかな。できればまっとうに犯罪を解決してもらいたかったが…さあどうなるんだろう。

    ちなみに翻訳?校正?があまりいけてない気もするんだけど。ヨーナとエリックのセリフが違ってたり誤字があったり。諸々踏まえてこのシリーズでは1番辛い評価にて。

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    2024年05月22日
  • 鏡の男 (下)

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    気がつけば今回ヨーナは孤軍奮闘だった。ノーレン、エリック以外かつての仲間・家族は周りにおらず、本筋からはちょっと離れた番外編的な話だったのかな。事件解決に執着するヨーナはかっこいいがちょっと常軌を逸してきたな。

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    2023年10月29日
  • 砂男(下)

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    まだまだ続く感。スンマとルーミはどこでどうしているんだろ?ヨーナはどこへー?
    はやく続きを読みたい。

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    2023年09月20日
  • 墓から蘇った男(下)

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    壮絶。爽快感は ...ないですね。訳者あとがきにもありましたが、ヘトヘトになりました。残りページ数から話の展開が全く分からず祈りながら(?)読みました。

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    2023年08月19日
  • 鏡の男 (上)

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    ある雨の朝、ストックホルムの公園でジャングルジムに吊された少女が発見された。現場に駆けつけた国家警察刑事ヨーナ・リンナは遺体を一目見て驚愕する。彼女は五年前の誘拐事件で行方不明となった被害者だった……。警察は監視カメラの映像から、現場近くで犬を連れていた男の逮捕に踏み切る。強引な取調べがおこなわれるが、その男・マルティンは精神病を抱えていて供述は要領を得ない。だが、警察内で唯一マルティンを目撃者だとみなすヨーナがエリック・マリア・バルクのもとで催眠療法を試みると、途端に彼は饒舌になりある名を口にする──。

    シリーズ第8作。
    「正しいのは私でしたね」ヨーナのセリフと久しぶりに出会ったような気がする。それとも見落としていたのか。下巻に続く。

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    2023年06月08日
  • つけ狙う者(下)

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    凄まじい作品でした。みんな満身創痍。恐る恐る読み進める必要がありました。事件が解決するのを信じて。ヨーナの後任が妊婦っていう設定がいいですね。スウェーデン社会の象徴でしょうか。そして前作のラスト同様、ヨーナどうなるんだ〜。

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    2023年02月12日
  • つけ狙う者(上)

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    感想は下巻で。ヨーナは長身なので全く合ってないが、何故かスターウォーズのルーク・スカイウォーカーをイメージしてしまった。隠者生活してたからか。

    0
    2023年02月12日
  • 砂男(下)

    購入済み

    ハラハラしました

    展開のリズムのよさに、どんどん引き込まれました。
    サーガの行動にもドキドキしましたが、主人公のヨーナの思い切った行動の場面にも、ハラハラしました。
    ユレックの気持ちも分からなくはないけど、と、少し胸が熱くなりました。

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    2022年10月03日
  • 墓から蘇った男(下)

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    あまりに多くの方がなくなっていくので、シリアルキラーのモンスター感が返って薄れ、薄味になったのでは。こんなにすぐに辿りつけるもんですかね。そして老人のよう、って表現なのにあまりに万能すぎて、引くレベルです。それなのにちょっとあっけない。冗長な描写もあり、かなり満腹気味。

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    2022年05月30日
  • 墓から蘇った男(上)

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    久しぶりのこの感覚!超人?と言わざるを得ないようなスーパーサイコパスシリアルキラーの登場に、北欧ミステリーの真髄を見ました。とことんやってくれます。途中、誉田哲也氏の作品で見たようなグロ描写が出てきて打ち震えましたね←病気。これ、結末来るの?と思いつつ上巻終了。

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    2022年05月29日
  • 墓から蘇った男(下)

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    その怪物は、ひとの人生を破壊し、犠牲者からすべてを奪った。その魔の手はヨーナに及んだ。ヨーナは、妻スンミと娘のルーミを守るため彼らが亡くなったと見せかけ、高い代償を払った。一方、怪物の捜査に覆面捜査官として携わった公安警察の警部サーガは、父と和解し、腹違いでダウン症の妹ペレリーナに愛情を注いでいた。そんな矢先、パトロール中のヨーナに、国家警察長官カルロスから、ドイツ連邦刑事庁の警部が連続レイプ魔の死亡事件について大至急連絡を取りたがっていると電話が入る――二人の軛は断ち切れるのか?

    読後、叫びたくなります。間違いなく。

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    2022年03月08日
  • 墓から蘇った男(上)

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    オスロの集合住宅の住民から悪臭の苦情が寄せられ、警官が向かった先には、腐敗が進行し、腹部を膨張させ両足の開いた男の死体があった。一地方警察官として勤務し、数週間後に警察庁の警部に復職することになっているヨーナのもとに、色を失った監察医ノーレンが訪れる。死んだ男の冷凍庫には多数の切断された人体のパーツがあり、その中に亡くなったヨーナの妻スンマの頭蓋骨があったというのだ。スンマの墓が荒らされたことにショックを受けるヨーナは、かつて対峙した怪物の狂気に満ちた記憶を蘇らせる……。

    シリーズ第7作。版元が変わって、次々と翻訳が出るのは、本当にありがたい。凄惨な描写を振り払うかのような物語の推進力は健在。

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    2022年03月07日
  • ウサギ狩り人(下)

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    ネタバレ

    北欧ミステリーの1作。作者のラーシュ・ケプルは1人ではなく2人の作家、日本では珍しいパターン。本作は作者の6作目で、シリーズものになっている1作。全作は翻訳されておらず一部のみ。主人公のヨーナ警部が監獄に入っているところから始まる。1人目の被害者が外務大臣ということでテロが疑われ、ヨーナが服役している刑務所に首謀者がいるという設定。ヨーナが捜査協力者になり釈放されるところから始まるのがちょっと荒唐無稽ではあるが、連続する殺人の犯人は異常者ではなく、深い憎しみ底にあった者であり、復讐だったというところからリアリティが増してくる。最後は少しお決まりの勘違い人種の愚かさ故に人生を狂わされた人たちの悲劇がトリガーだったということになるが、伏線が重なりあい、時にはそのシーンいるかなぁと思うところはあるが、メインキャラの人生も重なりシリーズものらしさがうかがえる。北欧のミステリーらしい(?)重厚な小説だった。

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    2022年01月03日
  • ウサギ狩り人(上)

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    ストックホルムの高級住宅街。売春婦の目の前で客が撃ち殺された。公安警察警部サーガが緊急出動するが、犯人はシリアのテロ集団と関わりのある男の名前を口にして、現場を立ち去ったあとだった。唯一の目撃者を尋問すると、犯人の頬には長い髪の束のようなものが垂れ、被害者に童謡をきかせ、ゆっくりと時間をかけて止めを刺したという。4年の刑で服役中の元国家警察警部ヨーナの元に、意外な人物が訪れる。ヨーナは国を揺るがす凶悪犯を追跡するために、復帰する。

    シリーズ第6作。相変わらず先が見えない、でもグイグイ読ませる作品です。下巻に続く。

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    2021年10月17日
  • つけ狙う者(上)

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    国家警察の警部ヨーナ・リンナが姿を消してから8カ月――彼の後任となったのは、 臨月間近のマルゴット・シルヴェルマン。いま彼女が担当しているのは、独身女性の 連続惨殺事件だ。どの被害者も残酷なまでに顔面を傷つけられていたのみならず、犯人は、犯行の直前に被害者の姿が映った映像を警察に送りつけていた。目撃者もなく、 被害者どうしの接点や共通点もないなか、警察は過去の犯罪歴から強迫的な執着を持 つ性犯罪者の洗い出しを進めるが、容疑者らしき人物は浮かんでいなかった……。

    砂男に続く、シリーズ第5作。情け容赦ない描写が続く。

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    2021年10月10日