古賀紅美の作品一覧
「古賀紅美」の「ウサギ狩り人」「クライ・マッチョ」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「古賀紅美」の「ウサギ狩り人」「クライ・マッチョ」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
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Posted by ブクログ
クリント・イーストウッドという生涯の憧れだった映画俳優が、91歳になるというのに、新作映画で主演も監督も請け負っていることにまず驚愕した。原作ノヴェルとして新たに翻訳され発掘されたこの作品は1975年の作品だ。ぼくがに三日に一回というペース(深夜の5本立てなども含む)で映画館という映画館のスクリーンに噛り付いていたアメリカン・ニューシネマの時代に映画人の誰からも振り向かれることなく、映画化もされなかった本作が、今、この時期に翻訳されるとは! まさにイーストウッド映画のお裾分けのように、映画を未だ観ていないぼくが原作に出会えた。しかも映画は上映中。完全に同期しているのだ。
ちなみにイーストウッドと言えば、セルジオ・レオーネ監督のマカロニ・ウエスタン、続いてドン・シーゲル監督に始まったダーティ・ハリーという恰好いい憧れのガンマンという印象が強かった。しかしその頃にも『センチメンタル・アドベンチャー』などのロード・ムーヴィーでリアルで弱い男というディープな役も演じていたので、彼の人間的厚みは、監督業を請け負う以前から実はとても強く感じていた。
監督としてもビッグヒットを連続させたし、イーストウッドが好むタイプ映画はヒューマンで、哀愁に満ちていて、暖かい血が流れているレアな印象が強く、それでいてセンチでロマンティックで、心を摑むものばかりだった。とりわけ小学校の頃からカウボーイの代名詞として最初から好きだったぼくのような夢見心地人間には。
さて本書はそんなイーストウッドのイメージそのままの物語として読める一作である。しかも、どちらかと言えば、先に挙げた『センチメンタル・アドベンチャー』の系列なのである。主人公はかつてヒーローだったものの、負傷して引退を迫られるロデオ・カウボーイ。話はシンプル。ロデオの興行主は、老いた主人公マイク・マイロに引退を言い渡し、その直後、別の仕事として、メキシコ人の妻との間にできた息子の誘拐を持ちかける。国境を越えてメキシコへゆき、少年を誘拐してテキサスへ帰ってくるというミッションである。
とはいえ、巻頭は派手なアクション・シーンに始まる。警察の銃撃を受けて国境付近でトラックを疾駆させるシーン。そして、本章はその三か月前から改めて語られる構成となっている。ロード・ノヴェルのスタート。言葉の通じない異国への旅。
ディテールが豊かである。情緒的で、純文学的ですらある。マイクの心の振幅、これまでの人生や今後への不安が語られる。主人公は、メキシコの地での新たな経験を通して、次第に心の中に歪みが膨らんでゆくのを感じてゆく。
メキシコ人の少年ラフォとの合流。彼らが追跡から逃れて身を隠す小さな町の家族との出会い。野生馬と並走するトラック。美しいシーン。夜には暗すぎる路地裏。狭い道。貧困層。犯罪者集団。テキーラとサボテンの国である。展開にスピーディさはなく、揺れ動く心的スリルや新しい文化や人々への出会いへの驚きの方が強い。メキシコという土地での粗っぽくも新しい体験や予想外のできごとに驚かされ、何かが揺れてゆく。
良い物語とは、物語を通して主人公が変わるもの、と誰かが言っていたように思う。本書の主人公マイク(ぼくの中ではイーストウッドそのものでしかないのだが)が、どのように変わってゆくかというところに、豊かな読みごたえを感じる。良い物語の骨格をしっかりと備えた作品なのだ、これは。娯楽サービス満点の昨今の人気ミステリーがいつか失ってきてしまったものを、むしろ改めて感じさせ、ああ、ぼくはこっち側(本作)の人間で、こういう読書が好きなのだ、と改めて自覚させられた一作なのだった。
なかなか表現しにくいけれども、今のぼくにとっては、完璧なタイプの(その代わり古い)小説である。本書が半世紀も後に日本語に翻訳された幸運、さらに未だ観ぬ映画作品への期待が残されている幸福に、改めて感謝、そして何よりも、Viva! Eastwood!
Posted by ブクログ
ラーシュ・ケプレル『ウサギ狩り人(下)』扶桑社ミステリー。
ヨーナ・リンナ・シリーズ第6作の下巻。
不気味な童謡に準えて連続殺人を繰り返す狡猾なラビットハンターの正体と犯行目的の謎、ヨーナ・リンナの捜査と推理力など読み所がとても多く、非常に面白い。例えるならば、スウェーデン版『悪魔の手鞠唄』といった感じかな。
ヨーナの捜査により少しずつ見えてくる被害者たちの関係。30年以上前の陰惨な事件がラビットハンターの動機なのか……
そして、いよいよ下巻の中盤でラビットハンターの正体と犯行の目的が明らかになる。
4年の刑で刑務所に服役中の元国家警察警部ヨーナは完全釈放を条件に一時的に釈放され、連続殺人犯・ラビットハンターを追う。当初は政治テロと思われていた殺人事件は全く別の方向へ向かい、国家警察の威信を失落させることになる。ヨーナはラビットハンターが10人の殺害を計画していることを突き止めるが、国家警察に裏切られ、再び収監される。
その間にもラビットハンターは次々と獲物を仕留めていく。狡猾なラビットハンターに敗北を認めた国家警察はヨーナを警察に復職させるが……
何とも意味深なエンディング。まだまだシリーズは続くようだ。
定価1,100円
★★★★★
Posted by ブクログ
ラーシュ・ケプレル『ウサギ狩り人(上)』扶桑社ミステリー。
まさかのヨーナ・リンナ・シリーズの第6作。前作でシリーズは完結したかと思ったのだが……
4年の刑で刑務所に服役中の元国家警察警部ヨーナが連続殺人犯を追うという何とも信じられないストーリー。上巻を読んだ限りでは犯人の正体も目的も全く不明で、この先、どのような展開になるのか読めない。しかし、面白いのは確か。やはりミステリーというのはこうではなくては。
ストックホルムの高級住宅街で、コール・ガールを呼んだ男がコール・ガールの目の前で突然現れた黒ずくめで目出し帽の男に射殺される。コード・プラチナの通報で現場に急行したヨーナの元相棒の公安警察の捜査官サーガ・バウエルが目にしたのは無惨にも射殺された外務大臣の姿だった。
サーガが唯一の目撃者であるコール・ガールのソフィア・ステファンソンに聴取すると犯人がシリアのテロ集団と関係する囚人の名前を口にしていたことが分かり、次に首相の命が狙われている可能性が疑われた。
4年の刑で刑務所に服役中の元国家警察警部ヨーナの元にある人物が面会に訪れる。ヨーナは刑務所内からテロ集団を操る囚人のサリム・ラティエンに接触する。そして、ヨーナは国を揺るがす凶悪犯を追跡するために警察に一時的に復帰するが……
定価1,100円
★★★★★