くのまりのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この作品に並ぶ言葉の数々から感じたのは、この物語が「死」を語りながら、徹底して「生」を見つめているということでした。雫は何度も死を受け入れたつもりになりますが、その奥には、まだ生きたい、長生きしたいという正直な感情があり続けます。その揺れや未練、みっともなささえも、生きている証なのだと感じました。
また、「全部全部、当たり前なんかじゃない」という言葉が象徴するように、親の愛や日常、食べ物や健康は、決して当然に与えられているものではありません。この作品はそれを押しつけがましく語るのではなく、気づきとして静かに差し出してきます。その優しさが、わたしには深く残りました。
生きることは、誰かの光に -
Posted by ブクログ
ネタバレ死に対する見方がこの本通して変わった気がする
恐怖とかネガティブなことしか考えられらなかったけど、いいものなんだなとも思えた。
自分も宣告受けたら、このライオンの家のような場所にいきたい
雫が余命宣告され、乱れ、プレゼントを壊してしまうシーンは人間味があり、また作品を濃くしてるなあと感じた。
生きてることが、ありがたいんだなあとも感じた。
おやつの時間の前の朗読が好き。もも太郎の元気だったのに、病名分かり余命一年と告げられる。そこから弱音吐かないけど悪くなってって、だけど精一杯闘って。一度だけ泣いたのがお腹空いてアップルパイと答えた、この話が特に印象的。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの本のすべてが好きだ。
島や海の風景描写も、おやつのほっこり感も、登場人物も、みんな好き。
そんな感じで好きなところがありすぎるけど、いくつかピックアップ。
生きること、死ぬことについてたくさんのことを感じられるところがいい。
何もなく生きるという、ただそれだけのことがどれくらい貴重なのか。
この本では死の恐怖はあまり語られないし、死は怖くないものとして扱われる。ホスピスの話なのでどうしたって死は付きものだし、未知で怖いものという側面が出てくるはずなのに、むしろある種の希望を持って表現されているのは本当にすごい。
そして、登場人物がみんないい。
マドンナのかっこよさも好き。
六花の癒しも -
Posted by ブクログ
◼️死を描きながらも、生きる力をくれる物語
数年前、はじめて『ライオンのおやつ』を読んだのが、小川糸さんの小説との出会いでした。
その一冊で糸さんワールドにすっかり惚れ込んで、今回は再読です。
主人公・雫が、自らの死の運命を受け入れていくまでの心の変化が、丁寧に、丁寧に描かれていて。
一人称視点で物語が進むからこそ、後半は時間や場面の輪郭が曖昧になっていくような浮遊感があり、その表現が本当に凄まじい。
けれどそれは苦しさや痛みではなく、どこまでもあたたかく、前向きな感覚として胸に残ります。
瀬戸内の穏やかな気候、きらびやかな海の光、蜜柑やレモンの甘酸っぱい香り。
情景がふわっと脳内に浮か -
Posted by ブクログ
生き様が死に様 もうすぐ死を迎える人を迎える瀬戸内のホスピス、ライオンの家。
主人公の雫はなぜ1人でそこへ来たのか、初めはわからないが様々な登場人物との出会いや自分の人生を振り返る中でここに至るまでの雫の人生、そして心の動きが見事に描写されている。
作者の小川糸さんの作品は初めて読んだが、ここまで詩的で心理描写の見事な作品は読んだことがないと思うほどの表現力。
ストーリー展開もだが、小川糸さんの心が粋なんだろうなと感じる。もちろんそれを表現するだけの文章力が必要だが、読み終わった後の爽快感、これほど気持ちの良い最期を読めたのは幸福だった。
人類にとって普遍的に大切な価値観を見つけられる一 -
購入済み
気がついたら泣いていた
ライオンの家は、私の知っている寂寥感でむせ返えりそうなホスピスとは、全く違う場所だった。暖かくて美しく、そこは人が生きる場所。
おやつの時間や明日の約束を人参にして、精一杯生き抜くことが、これほどまでに美しいとは。当たり前に日常を送る私には、まだ感じ得ないものだ。
読んでいる間、悲しくないのに、気づいたら頬が濡れてた。なんて綺麗なんだろう。
この本との出会いに感謝。