くのまりのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレもうすぐ死んじゃうってわかってる人が主役の物語を読んだのは初めてかもしれない。死んじゃうのは悲しいはずなのに、とても温かい小説だった。
印象に残った文章がたくさんあった。
雫が「私、まだちゃんと生きている。」と生を実感していること、「私、もっと生きて、世界中のいろんな風景を見たかったなぁ」と本音を吐き出したところ、「きっと、私の人生は、生きることのままならなさを学ぶためにあったのかもしれない」と自分の短い人生の意味を悟ったところなど。
また、シマさんが「生かされているんだなぁ、って。だって、生まれるのも死ぬのも、自分では決められないもの。だから死ぬまでは生きるしかないんだよ」と言ったセリフ -
Posted by ブクログ
ネタバレ
この本は、死が波みたいに少しずつ、確実に寄ってくる。それは悲しいことでもないし、嬉しいことでもない。
小説でしか触れられない擬似体験だった。
読み進めるのが勿体無いと感じるほどに、
柔らかい文体と五感の表現が美しくて
お気に入りの一節を見つけると何度も読み返しました。
主人公が施設で過ごしたのはたった1ヶ月。
私が本を読んだのは2時間くらい。
でも、体感ではちゃんと“1ヶ月”だった。
時間の長さって、心が決めるんだなって思った。
そして、どれだけ死を受け入れる必要があっても
私が誰かに“死なないでほしい”と思うのは
生きることへの執着があるからで
それが健全だと思った。
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Posted by ブクログ
生き様が死に様 もうすぐ死を迎える人を迎える瀬戸内のホスピス、ライオンの家。
主人公の雫はなぜ1人でそこへ来たのか、初めはわからないが様々な登場人物との出会いや自分の人生を振り返る中でここに至るまでの雫の人生、そして心の動きが見事に描写されている。
作者の小川糸さんの作品は初めて読んだが、ここまで詩的で心理描写の見事な作品は読んだことがないと思うほどの表現力。
ストーリー展開もだが、小川糸さんの心が粋なんだろうなと感じる。もちろんそれを表現するだけの文章力が必要だが、読み終わった後の爽快感、これほど気持ちの良い最期を読めたのは幸福だった。
人類にとって普遍的に大切な価値観を見つけられる一 -
購入済み
気がついたら泣いていた
ライオンの家は、私の知っている寂寥感でむせ返えりそうなホスピスとは、全く違う場所だった。暖かくて美しく、そこは人が生きる場所。
おやつの時間や明日の約束を人参にして、精一杯生き抜くことが、これほどまでに美しいとは。当たり前に日常を送る私には、まだ感じ得ないものだ。
読んでいる間、悲しくないのに、気づいたら頬が濡れてた。なんて綺麗なんだろう。
この本との出会いに感謝。