千野栄一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
面白かった、けど、全然消化できておりません。
まとまってないので箇条書きの感想になる。
・恋愛小説というより哲学書
・軽いと重いはどっちが良い?軽く生きる方が楽ではありそう(人に対してということではない、生き方や死に方)
・自分の生き方、欲求を捨て、愛する人のために生きるのは難しい、重い
・重さを受け入れるのは難しい、けど本当は重さを受け入れて生きていきたい
・母からの女としての生き方の呪縛
・俗悪なもの(キッチュ)とは偽善、まがいもの(デモ行進、カメラを向けられると子供を抱きかかえる政治家、お涙頂戴)
・途中で著者の思想が突然介入してくるのが面白い
・詩的、メタファーを感じさせる女性が、特別な存在となる(情事中の雷のくだり)
・幸福とは繰り返しへの憧れである
最終章はボロボロ泣きながら読んでしまった。
今までのドロドロした気持ちとか陰鬱さとか全部吹き飛ぶくらい暖かくて幸福だった。
印象に残っているのは、
「Einmal ist keinmal(一度は数のうちに入らない)、一度だけ起こることは、一度も起こらなかったようなものだ。人がただ一つの人生を生きうるとすれば、それはまったく生きなかったようなものである。(中略)」との文。
これが本当ならば、人生がこんなに軽いものならば、とても楽だろう。
実際は人間は歴史を生きて、思想を持ち、人と衝突し、悲しんで、苦しんで生きている。
これのどこが軽いんだろうか。人生は結局は重いものだと思う。 -
Posted by ブクログ
チェコでの暮らしについて語っているエッセイだと思ったら全然違った。
スラブ言語学者の著者千野栄一さんによる、言語と本への愛が詰まった1冊だった。
自分とは全く縁もゆかりもないスラブ言語、チェコという国、文化、それに関係する書籍について専門的なことが語られていて、知識がなさすぎて出てくる言語も、紹介されている本も、正直ほとんど内容はわからなかったけど、社会主義国での本屋や本の扱われ方、生活ぶりなどがよくわかって興味深い。
古本屋に何年も通って店主と仲良くなってからでしか譲ってもらえない古本なんて、本好きとしては憧れずにはいられない。
知識があったらもっと楽しめたかもしれないと思うと自分の無知さが悔しい。
東欧について少し勉強してみて、またいつか再読したいです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ軽さ(自由)と重さ(愛と責任)への考察と、自己欺瞞的な俗悪と、弱さの強さがこの本で一貫して強調されていた。
登場人物が基本的に自分の行為に意味付けをしたり、自分の思想と行動との首尾一貫性を省みたり、内省的で読み応えがあった。
共産主義国が故の監視社会から誘発された神経症くらいにしか、あまりプラハの春は関わっていなかったように思う。舞台移行の装置としては機能してたけど。
夢診断も急に入ってきたり、特にテレザに関しては他人のノートを覗き見しているかのような気持ちになった。
犬飼ったことないけど、犬が死ぬシーンでいちばん感動したかもしれない。
そこで二人の関係の不安定さと、テレザの生き物に対する公正さを表したんだろうな。
この本はテレザが魅力を発揮出来るように他の登場人物を出しつつ、作者がテレザには見合わないが描きたい思想を他の登場人物や舞台に合わせて露出しているように思えた。
トマーシュ
外科医 女好き 肉欲と愛情は別だという思想を持っている "そうでなければならない"という強迫観念に囚われていたが、最終的に使命だと感じていた外科として神秘をメスで暴くのも、女性の根本的なところを性的関係で暴くのも、手放した。
テレザ
マザコン持ち 依存的 文学的 トマーシュのみに固執し、他の写真家としての道や交友関係は全てとマーシュのための手段として扱っていた
性的なものを軽く扱い、テレザの若々しい女性性を低俗なものへ陥れる母親との関係が悪い
トマーシュへの愛情と献身を自覚していたが、最後田舎でエリート街道から落とされ老いぼれたトマーシュと象徴的な夢を見て、トマーシュと自分のパワーバランスを均等にしようとトマーシュの胃痛や愛情に漬け込んでいたこと、トマーシュを愛しているなら外国に留まったままでいればよかったことを自覚した。重さ側
ザビナ
画家 性に開放的で他人に執着しない 刺激と軽さを求め放浪する 罪悪感と暴力性の美徳に囚われている
トマーシュと性的関係、フランクと恋人関係にあったが、トマーシュはテレザと消え、フランクとは安定が見え始めた頃にかんけいをたった。軽さ側
フランク
善良で誠実なエリート 妻子を持っていながら刺激的なザビナに傾倒する ザビナと別れ学徒と付き合い愛し合いながらも、ザビナを内面で規範化、神格化し、"ザビナのために"紛争地域へ政治運動をしに行き現地民に殺された
改めて振り返ってみると、こんなにもメタファーや哲学が詰め込まれた重厚感のある作品なのに、なんであまり没入も共感もできなかったんだろうと思うと、テレザやザビナの女性特有の弱さを美徳や武器として扱う自己欺瞞的な所に同族嫌悪があったのかもしれない
フランクのヒロイズムな自己欺瞞にも辟易とした
テレザの夢診断やヒステリックなどの弱者を利用しつつ暗い顔で自己分析をする所は、まるで受験期の自分を見てるみたいで不快だった -
Posted by ブクログ
『チ。』の魚豊先生の生涯ベストの本とのことで(更新された?)手に取ってみました。
哲学系かな?と思ったら、ストーリーが展開されて掴めるような掴めないような、不思議な読書感。
ハッとするような、書き留めておきたいような核心を突く部分があったり、気が抜けない面白さがありました。多分本質は掴めてない気がする…。
知ってるか知らないか、の
オイディプースの話興味深かった。
いいなと思ったところ↓
P112
「人がまだ若いうちは、人生の曲はまだ出だしの数小節のところなので、それを一緒に書き、(トマーシュとサビナが山高幅のモチーフを交換したように)そのモチーフを交換できるが、もう年がいってから出会うと、二人の曲は大なり小なりできあがっていて、一つ一つのことば、一つ一つの対象がそれぞれの人の曲の中で何か別な意味を持つのである。
もしサビナとフランツのあらゆる会話を注意深くたどるとすると、二人の間の誤解から大きな辞典を作ることができるであろう。われわれは小さい辞典で満足するとしよう。」
→樹木希林を思い出した。
P169
「傘がぶつかりあった。男たちは礼儀正しく、テレザとすれ違うとき、傘を頭上高くあげて、その下を通り抜けられるようにした。しかし、女たちは避けなかった。じっと正面を見つめたまま、誰もが自分の弱さを相手が認めて、避けるのを待っていた。傘の出会いは力の測り合いであった。テレザは最初のうちは避けていたが、自分の礼儀正しさにけっしてなんのおかえしもないことを理解してから、他の女と同じように傘を手にしっかりとにぎりしめた。何回も激しく相手の傘とぶつかったが、誰も「失礼」とはいわなかった。たいていは何のことばもなく、二、三回「ばかったれ」とか、「くそ!」と、いうのを耳にした。」
→なんかわかる。
P264
「愛はメタファーから始まる。別なことばでいえば、愛は女がわれわれの詩的記憶に自分の最初のことばを書き込む瞬間に始まるのである。」 -
Posted by ブクログ
ネタバレプラハの春に参加していた作者が、(おそらく)自身の経験を元に、その時代の中で愛し合う男女を描いたクンデラの代表的な小説。トマーシュとテレザの深いけど苦しい愛、トマーシュとサビナの良好で軽い愛、フランツとサビナの始まりと破局、他にもトマーシュと元妻、息子等、人間関係が多岐に渡って描かれている。
特にトマーシュとテレザの愛は多面的に描かれていて読み応えがあった。本当に愛しているけど、トマーシュは女漁りをやめられないし、テレザもそれは分かっている。読んでるこっちは「そんな男やめなー?」て思うけど…
一人ひとりの人間の精神の深さ、意外性が緻密に描かれているところは好きなんだけど、比喩が多いしそれが私の直感と噛み合わないので咀嚼するのに結構疲れた。重さと軽さに関しての話もそういう比喩の中で語られていくので頭に入らなかったな〜。 -
Posted by ブクログ
ネタバレポリグロットである著者の作品。言語学習の才能はないがここまでできるようになったという著者の背景を振り返ることで、言語学習の門は誰にでも開かれているということを教えてくれています。
他の言語学習の本にも書かれていますが、やはり繰り返すことが一番重要なのだと再認識させてくれます。さらに、お金と時間を惜しまないことも重要だと書かれています。最近では無料で勉強できるアプリなどいろいろな教材が溢れていますが、やはりきちんとした教材でないとデタラメなことを書かれているなと感じることはあります。出版されている教材でも怪しいのはありますが。。。
英語に限らずですが、他の言語を学習していると、日本語の発音は種類が少なく不利になると感じますが、日本語にしかない発音もあるのは知りませんでした。たしかに言われてみれば、外国語で同じような発音はないなーと新しい発見もありました。
そういえば某番組で、ロシア語は格変化が多少違っても通じるよ、といったことを聞いたことがありますが、ここに書かれていることとは真反対でしたね。