あらすじ
社会主義国の古本屋では、良い本は店頭より奥にしまい込んである。店主と打ち解け、バックヤードに入れるかどうかで勝負が決まる――
戦後第1回目の交換留学生としてプラハに降り立ったときから10年間、古書を探さない週はなかったという言語学者が、本と出逢う喜び、愛すべき店主たちとの交流をユーモラスに語るエッセイ。
〈解説〉阿部賢一
目 次
Ⅰ 沈黙の通訳
沈黙の通訳
その一語
壁
島
魚
スライムの終焉
津波のロンド
英語夜話
チェルニー博士訪問記
小さなバイリンガリストたち
Ⅱ プラハの古本屋
共産圏の古本屋・1
共産圏の古本屋・2
共産圏の古本屋・3
プラハの古本屋
続・プラハの古本屋
ほろ苦い喜び
ストラホフ図書館への招待
辞書との縁
チェコの匿名辞典
チャペックのコロンボ風探偵小説
もっと長い長いお医者さんの話
古本のプラハ・'87
三つのミニコレクション
Ⅲ カルパチアの月
アドリアの海から
ワルシャワの秋
沖縄の熱帯魚
雨のプラハ
ウィーンの四日間
カルパチアの月
初出一覧
あとがき
解説
「古本」との新たな出逢い 阿部賢一
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
言語学者さんのエッセイ。
Tさんがビアホールに行って、隣の人たちと喋ったけど、英語も通じないから何いってるかわからない。数時間かけて聞き取り、その答え合わせに筆者が聞き取りをしたら5分で済んでしまってつまらなかった話。チェコ人の訛りから故郷を探る話。
社会主義国で家を建てるには、その材料を数年かけて自分で集めなきゃな話。うなぎは魚かどうか。言語はその人その人の概念で、国語によるものではない。グルジア語について。筆者の妻はチェコ人。チェコ人の名前は毎日の生まれた日の名前がある。(カレルという名前だと11/4生まれ)あとバイリンガルを育てるのはものすごく大変。
資本主義とは違って、古本屋では定価の1/3で買って2/3で売るので、希少本は古本屋を介さない取引になる。新しい本がでると、転売ヤーが出てくる。本屋で売ってはいけないブラックリストがあって、中世だったならカトリックに反対するモノ、現代なら社会主義に反するモノである。
コロンボより先に出た、チャペックの作品がある。探偵小説だが、なかなか粋に人情味のある作品群。作者はこの人の作品を集めているとのこと。オススメであるらしい。
Posted by ブクログ
自分が生まれるよりも前の本。戦後すぐにプラハに留学し、言語学者として生活をする傍らで、古本屋を巡り本を蒐集する。
最近出版業界は暗い話ばかりだったからこそ、「なぜ本を読むのか、そして集めるのか」について純粋無垢な気持ちを思い出させてくれる良書だった。
数年かけてやっとのことで本を入手する泥臭さも、仲良くなって初めて奥に入れてくれるシャイだけど人間味あふれる古本屋さんも、どこか懐かしさを感じる心地よい風景が浮かんだ。
Posted by ブクログ
プラハの古本屋を巡った言語学者のエッセイ。
古本屋を巡る筆者の生活や行動から、異国の言語や文化、歴史の一端に触れられたような気持ちがした。
私は読書家ではないが、探していたものを探し当てた喜び、意図せず貴重なものを見つけた緊張感にいくらか共感を覚えた。
読んでよかった1冊。
Posted by ブクログ
チェコ文学者、千野栄一先生のエッセイ集。
外国語や自身の子どもたちのマルチリンガル教育などについて書いた「沈黙の通訳」、旧共産圏での古本探しなど本好きにはたまらない古本屋談義が読める「プラハの古本屋」、主に東欧での旅行記などの「カルパチアの月」の三パートに分かれています。
書かれた時代が古いので、言い回しや話の持っていきた方に少し理解の難しい部分はあるけれど、語学好き、本好き、旅行好き、酒好きにはたまらない一冊です。
気になるフレーズがたくさんあって、たくさんメモりました✨
ああ、またチェコ語勉強しようかな☺️
Posted by ブクログ
スラブ語学を中心とした言語学者さんによるエッセイ集。
言語に対する造詣の深さが何気ない話題にも深みを持たせている。表題でもある共産主義国家における古書店の四方山話は登場する人たちみんなが書を愛し、また書を愛する人たちを敬愛する姿が見られ、古書店好きとしては大変に心地よい話を読むことができた
Posted by ブクログ
ユーモアのある語り口で、読み終わったあとになんだかほっとするようなエッセイでした。本書は言語学者である著者がチェコの首都プラハの日々を綴った文章が並んでいます。
「うなぎ」が「魚」かどうか、から言語が異なった意味で使われるゆれに語ったり、ビールを賭けて相手の出身地を当てることになったり……、ミステリ好きは、倒叙型のミステリである『刑事コロンボ』の話から、カレル・チャペックの同系統の作品の話に移行していく「チャペックのコロンボ風探偵小説」が楽しいかもしれません。
Posted by ブクログ
言語学者による古書と人との出会いを綴られた話。当時の時代背景もあるが、バックヤードにある貴重な古書と出会うためには、客としてというよりも店主と友人のような信頼関係を結ぶことが大切なのだろうと感じた。(それは今も変わらないのかもしれないが…。)
欲しかった古書を手に入れた喜びと読んだ感動は多少味わえているのだが、これはいろんな方と共有したいものでもあるし、手に入れて喜ぶ姿を見てみたいとも思わされた。まぁ単純に古本屋に興味を持っただけなのだが。
Posted by ブクログ
ひとつの章が短く独立した内容で読みやすい。
専門用語でわかりにくいところもあるけど、東欧の昔の空気感が伝わってきて良い。以前行った旅先の描写にエモさを感じ、東欧を旅した人、旅したい人には良いかも。著者の専門分野の領域は、興味のある人は深く読むと良くて、一般的には昔の東欧の雰囲気や古本を巡る駆け引きを楽しめば良いと思う。りんぼう先生にちょっと似てるな、昔の知識人てそうなのかな。ちょっと上から目線が鼻につく。
Posted by ブクログ
HHhHにプラハ愛を感じた2025年に続き、2026年は本書でプラハへの愛を感じて始まった。
社会主義政権下のチェコスロバキアで古本を集めるライフワーク以外にも、国際結婚した言語学者同士の子育ての様子やスラビストの国際学会に手探りで参加した体験のエッセイもあれば、言語学的なショートショートや各時代で大国の支配を受けたチェコならではの「匿名」の文化史といった変わり種も入っていて盛りだくさんだった。
早くNZ旅行記を書かないと。
- 島
- お行儀の良いSSでよかった
- チェルニー博士訪問記
- やはりカフカスにはロマンがある
- カルトヴェリとかアブハズとかチェチェンとか、アルメニアとかアゼルバイジャンとかおセットとか
- 小さなバイリンガリストたち
- 一番面白かった
- 子育てほど冒険的な大規模プロジェクトが他にあるだろうか
- チェコの匿名辞典
- 匿名辞典の存在にチェコみしか感じない
- チャペックのコロンボ風探偵小説 / もっと長い長いお医者さんの話
- ロボットを命名したという蘊蓄しか知らないカレル・チャペック
- 幅広いジャンルを書いていたよう、著者訳の作品をどれか読んでみようかな
- 三つのミニコレクション
- 蒐集という本能
- 多言語で出版されている自分の好きな本を集めてみたくなった
- ウィーンの四日間
- おしゃれな大岡裁判
- この文は二重表現かも
- アカデミアの空気がかっこいいな
Posted by ブクログ
スラブ言語を専門とする著者が、貴重な書物を求め、当時プラハで古本屋巡りしたエピソードをまとめた本。本書内で出てくる書籍がどういったものなのか、日本語訳のタイトルを見ても正直よくわからないし、どれほど貴重で重要なものなのかも理解できなかったが、インターネットなど存在せず、情報が限られ移動にも大変苦労の多かった時代、そして共産圏ということも加味すると、人脈や運が頼りの書籍探しはさぞかし大変だったろうと想像に難くない。しかしその一方で、その苦労を乗り越えた末に手にした本に対する思い入れはひとしおで、その経験は素敵だなと思う。今の時代とは異なる、本を手に取る感動を味わえるのは羨ましいとさえ思う。
Posted by ブクログ
言語学者の著者による、古本屋などに関するエッセイ。
これを読んでると、著者の先生は本当に本がお好きなんだなあ、とわかる。と同時に、古本屋の店主の方々と本への愛で繋がっていて、国を超えて本好きってわかり合えるんだな…と感じた。言語にもとても堪能だった様子も伝わってくる。
個人的に古本屋は敷居が高くて入りづらいんだけど、常連さんと店主さんの関係がとても素敵だった。
Posted by ブクログ
1987年に単行本で出版されたものの文庫化。
書物、言語、旅行好きには今読んでもとても楽しめる。
一昔前の教養人という感じの余裕を感じさせる文章が心地よい。
Posted by ブクログ
よく日本にいてもわからないことがある。それをAIで簡単に分かったときのわかるは、かなり低い解像度な気がする。そして特に余白がない中で理解する。そのことと、この本で書かれた、プラハの飲み屋での話はすごくリンクした気がする。
Posted by ブクログ
インターネットが普及している現代では集書もきっと当時より楽にできるのだろうけど、著者のように時間をかけて古書を探す、それはきっと貴重な本以上に価値のあるものを手にすることができる時間なのだと思う。
知らない地域や知らない作品が多く、読んでいるうちに心が折れそうになったが、古本に触れたくなるような温かいエッセイだった。
Posted by ブクログ
おもしろすぎる!期せずして『バベル』の次に読んだのも最高のつなぎ方だった。
千野先生の周りに集まる言語の強者たち。その会話や議論がおもしろくないわけない。「津波」に対応する単語をめぐって奔走したり、他言語の専門家を訪ねたり。そしてそこには必ず本とアルコールがある。
気さくで洒脱な筆致に、すごく楽しい毎日で豊かな人生だなぁと感じつつも、お子さんのバイリンガル教育のくだりでは、改めて知とバイタリティの化物ぶりに触れたような気がした。
Posted by ブクログ
チェコに精通する著者が書いたエッセイ集。社会主義時代のチェコスロバキアにおける古本屋が、日本を含めた資本主義社会の古本屋と何が異なるのか、チェコ語に「津波」に該当する単語がなく説明に困ったこと、バイリンガルの教育の難しさなど、チェコにまつわる話が本書に詰まっている。
Posted by ブクログ
すてきなおじさまのお話。プラハをはじめ、いろいろなところで起きた出来事を教えてくれている。視点が一般の人と違いおもしろい。
おしゃれですてきなダンディな方を想像しました。
Posted by ブクログ
古書ヲタクなチェコ語を中心とする日本人言語学者の千野英一氏の1987年刊行のエッセイ集の文庫本。
かなりの古書のフリークっぷりが詳細に綴られています。教養のある方々のウィットに富んだジョークは本当に心が豊かになるなぁと、お酒を片手に読みたくなる一冊です。
Posted by ブクログ
海外旅行したくなるような作品だったが、専門的すぎてもう少しチェコでの生活面にフォーカスする部分があってほしかった。
少し前に書かれた本であることから体制や時代背景の理解ができてない部分もあり少し読みにくく感じた
Posted by ブクログ
社会主義国の古本屋。良い本に巡り会うためには、店主と仲良くなってバックヤードに入れるかどうかが鍵となる。研究者には分かるのであろう貴重な本の名前が並び、なんだか私も研究者になったつもりになってしまう。本と人のエッセイ集。
Posted by ブクログ
表題になっている後半の古本屋の話より
前半のプラハでの留学時代や
多言語に関する話題のところが
私には興味深かったです。
とはいえ共産圏の古本屋が
どのように営まれていて
どうやって欲しい本を手に入れるかは
経験者じゃないと語れないかも。