あらすじ
社会主義国の古本屋では、良い本は店頭より奥にしまい込んである。店主と打ち解け、バックヤードに入れるかどうかで勝負が決まる――
戦後第1回目の交換留学生としてプラハに降り立ったときから10年間、古書を探さない週はなかったという言語学者が、本と出逢う喜び、愛すべき店主たちとの交流をユーモラスに語るエッセイ。
〈解説〉阿部賢一
目 次
Ⅰ 沈黙の通訳
沈黙の通訳
その一語
壁
島
魚
スライムの終焉
津波のロンド
英語夜話
チェルニー博士訪問記
小さなバイリンガリストたち
Ⅱ プラハの古本屋
共産圏の古本屋・1
共産圏の古本屋・2
共産圏の古本屋・3
プラハの古本屋
続・プラハの古本屋
ほろ苦い喜び
ストラホフ図書館への招待
辞書との縁
チェコの匿名辞典
チャペックのコロンボ風探偵小説
もっと長い長いお医者さんの話
古本のプラハ・'87
三つのミニコレクション
Ⅲ カルパチアの月
アドリアの海から
ワルシャワの秋
沖縄の熱帯魚
雨のプラハ
ウィーンの四日間
カルパチアの月
初出一覧
あとがき
解説
「古本」との新たな出逢い 阿部賢一
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Posted by ブクログ
単行本としては40年ほど前の作品なので、昭和のエッセイのあの感じがまたたまらないね。
この時代の本って、作者の思想の純度が高いというか。自分に無い視点なのに拒否感なく入ってくるのが素晴らしいよなー、とか。
言語学者である筆者をして「ことばでもって何でも言い表せると思っているが、それが大きな間違いである」と語るのが素晴らしいね。端的に言語の限界を語りながら、確かになー、と実体験を感じさせる内容だ。
資本主義の現代日本では想像もつかないような、社会主義の古本屋でのルール。
本の流通が特殊で少ないからこそ、それを本当に求める人たちが同じ価値観かどうかを交流の中で確かめる。本にも価値はあるが、それと同時にその過程にも同じくらい価値があるのだな。
Posted by ブクログ
珍書に関する記述は少しマニアックすぎて飛ばし読みした。全体としては面白い。共産主義下の古本屋業界など、この本を読まねば知りえなかった不思議知識が得られたのは面白いけど。カフカが女性的な喋り方をしていたこととか笑
一番よかったのはやっぱり沈黙の通訳?だなあ。言葉の通じないもの同士がこんなにも多くの情報を正確にやりとりすることができるのか、と驚嘆した。
古書店主と探書家のつながりも面白い。常連になることって面白いよなあとここでも思う。
Posted by ブクログ
私も大学時代に言語学を学んでいたので、言語に対する書物に対して興奮する気持ちはよく分かります。社会主義体制の頃のチェコの様子がよく分かりました。古本屋にまでその統制が行き届くということが面白かったです。それにしても、本をくれる優しい人が多い!
Posted by ブクログ
新聞の広告欄で紹介されていた本で普通のフィクション小説だと思っていたら日本の言語学者がプラハで中古本を手に入れる事がいかに困難であるかを訴えかけた本(違うw)。日本語以外の外国語を習得された人、しかも多言語を扱う人って素直にすごいなぁと思うし、また習得しただけではなくその語源や表現法まで学ぼうとする人の行動を読んでいると自分の中で眠らせていた何かに火が付きそうだ。本を集めているとだんだん辞書・辞典に向かい始めるというのが面白く、自分も本棚はかつて小説などが並んでいたがほとんどを処分し、今一段すべてを占拠しているのは辞書(表現読解国語、漢字、英和、和英、英英、古語、ことわざ、類語例解、広辞苑など)。作者が駆け回った東欧の地名が出るたびにネットで風景を検索してしまい思った以上に読む時間がかかった。なによりタイトルに引き付けられたのは少し前に読んだ『
シークレット・オブ・シークレッツ』がまさにチェコだったので風景が重ねやすい。いつかはイタリアって思っていたけど、チェコも行きたくなるなぁ...