【感想・ネタバレ】外国語上達法のレビュー

あらすじ

外国語コンプレックスに悩む一学生は、どのようにして英・独・仏・チェコ語をはじめとする数々のことばをモノにしていったか。辞書・学習書の選び方、発音・語彙・会話の身につけ方、文法の面白さなど、習得のためのコツを、著者の体験と達人たちの知恵をちりばめて語る。言語学の最新の成果に裏づけられた外国語入門書の決定版。

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Posted by ブクログ

ミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』の翻訳等でも知られる千野栄一氏の語学指南書。初版以来これまでに何十回も増刷を重ねていることからも窺われるように、本書は非常に多くの読者を惹き付けてきた歴史的名著であり、歳月による風化を乗り越え、なおもずっと輝きを失うことのない新書の金字塔である。
筆者が何度も、語学の「語彙」や「文法」の重要性について語るのは勿論のこと、個人的に甚く感銘を受けたのは、そもそも言語習得において何よりも大切なことは「時間」と「お金」だと言い切っている箇所。それも、かなり序盤でこの命題を提出しているところに目を瞠った。巷間では、「語学の勉強において、大切なのは〜〜〜だ」といった言説が非常に多い。その「〜〜〜」の部分は、論者によって千差万別。先の「文法学習」を真っ先に挙げる人間もいれば、「音読」を唱える者もいよう。はたまた「英文解釈こそが全てだ」と嘯く専門家さえいる。あるいは、もっと抽象的な水準で――もはや当たり前のレベルで――「復習が大切だ」と改めて(?)声高に主張する輩も存在する。
こんな調子で、(時として低次元の)言語学習についての虎の巻が世に氾濫する中、この千野氏の著作は――あたかもどこ吹く風と言わんばかりに――そもそも「時間」と「お金」を費やせば費やすほど、語学は上達すると言ってのける。これは意外な盲点で、蓋し慧眼。そもそも我々は「大前提」から考えることを久しく忘れてはいなかったか?先に挙げた語学学習に関する百家争鳴の意見(「文法」・「音読」「英文解釈」そこに「シャドーイング」等を加えてもいい)は、改めて検討してみるに、どれも所詮は「具体的な勉強法」に過ぎず、そもそもこれらに対して「時間」と「お金」を割かなければ、上達するはずがないのだ。そして逆に、誰しも費用と手間暇を充分にかけ学習すれば、否が応でもその語学力は磨かれる。至って簡単な話だが、極めて大事な指摘である。
そして個人的な見解だが、語学の勉強において最も「時間」と「お金」が必要とされる学習法――本書の論旨に従えば、最も学習効果が高いもの――とは、とどのつまり「留学」に他ならない。外国語に最も長い時間触れることができ、さらに費用も高くつく。皮肉に聞こえるが、これが現実だし、言語習得に関しては、これが一番の近道であることは否定し得ないだろう。本書を読んで、作者の主張・意図(「まずは、語彙と文法をしっかり勉強しよう!」)とは別に、以上のような事をふと考えてしまった。さように、語学の勉強とはシンプルに見えるも、非常に奥が深いものなのだ。

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2025年05月15日

Posted by ブクログ

SNSで紹介されているのを見て、興味があったので読んでみた。
切れ味のある皮肉(であり事実)を交えながら進んでいく話がとても面白く、一気に読めた。

こうしたほうがいいんだろうなぁ……とぼんやり考えていたことが、確信に変わったような感じがする。

■実行に移したいこと
・少しずつでも毎日定期的に繰り返す。
(1日に6時間ずつ4日やるより、2時間ずつ12日したほうがいい)

・この外国語で単語を何語覚えるのかを定める。
単語の習得にいくつかの関門を設け、それをゴールと見立て、突破したときに盛大にお祝いをする。

・外国語の理解をよりよくするために、その外国語を支えている文化、歴史、社会など様々な分野の知識・情報を得る。

■心に残った言葉
・語彙の習得はどの言語でも同じだけ時間がかかり、日本であろうと留学先の外国であろうと、意識して覚えない限りどうにもならない。「外国語は好きなんだけど、単語が覚えられなくてね」という人は、自分が勤勉でないことを告白しているのである。(P50)

・[会話上達において困難の]第一は、完璧主義者がよく陥る、間違いをしないために黙ってしまうことである。[略]何もしなければ誤りを犯すことはないが、黙っていては会話は上達しない。会話では「あやまりは人の常」の精神が大切なのである。(P168)

・言語はそれだけで単独に使われるのではなく、必ず何かある状況の中で使われる。この状況は、いろいろな情報を言語に与える。従ってこの状況がよく分かっていれば、その言語の理解が容易になる。そして、その言語が伝えている内容が具体的に把握されれば、その言語の理解がより容易になることは自明のことである。ここに、レアリアが大切な理由がある。(P184,185)

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2024年10月05日

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古い本なので辞書についてなど、内容が古い箇所もあるが、語学学習についての本なので現在でも問題なく通用する内容だった。
特に最後の「レアリア」については大いに納得した。
レアリアというのは、「現実的な知識や情報」のことである。それらを知らなければ、いくら語学が出来ても誤訳をしたり誤解をしたりし兼ねない
また、様々な知識(レアリア)の獲得が語学習得に有利だというのは、学生時代よりも記憶力は悪くなったけれど、レアリアが増えたおかげかある面では昔よりすんなりと英語を理解できるという実感を持っているので、目から鱗とともに大いに納得した。

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2023年02月12日

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外国語上達に必要なモノ
答え:お金と時間

まさに真理。

“外国人に日本語を教え、その代わりに外国語を学ぶというのはよく聞くが、そうやって外国語に上達した人に会ったことがないのは、お金を使ったことがないからであろう”

1985年に書かれてますが、今読んでも充分に学ぶことがあります。巷には色々な外国語学習のメゾットはありますが、これ読めば全て解決するような気がします。

◯外国語上達のポイント
なぜこの外国語を習うのか、という意識が明確であること。

まずは、やみくもに千個単語を覚える。そして、三千語覚えれば、テキストの90パーセントは理解できる。

発音は初めが大事。最初に間違えると矯正がほぼ不可能。発音は個人差が激しい。

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2021年01月30日

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外国語学習に関して当たり前の事が書かれています。
外国語の学習は、
1 強い意志 2 お金 3時間
が必要だよと。

ただ現代における外国語の学習環境は、
情報革命以後、かなり変わった。

一言で言えば、キャリアにおける外国語学習は、
終了したと思う。その代わり、より趣味的な要素が強くなるだろうと思う。

AI技術の応用で自動翻訳が凄まじい勢いで、
発達しているが、それと外国語学習の有無は、
同列的に考えてはいけない。

あくまで、外国語学習は、外国語を通じて、
異文化に触れ、異文化を背景に持つ人たちと触れ、
考え方の幅が広がり、そして自分をより深く知ることにほかならない訳だからだ。

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2019年12月15日

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数えてみると購入してから今までに6回も読んでいるが、語学に関するエッセイでは最高の本。何度読み返しても新鮮でおもしろい。

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2019年10月19日

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"外国語を身につけるための心構えと、学習の際に気にかけるべきことが端的にまとめられた良書。
なぜ、その言語を学ぶのか目的と目標を明確にしなさい。
そして、何より必要なものは、お金と時間。その言語の語彙と文法を学ぶこと。
最低3年から4年、語彙数は4000語~5000語覚える必要がある。
彙を覚えるのも戦略的に、使用頻度が高いものから目的に応じて範囲を広げていく。
学習書は薄く、頻度の高い優しい語彙から練習を繰り返すようなものが理想。

やっぱり、英語から・・・時間管理といかに習慣にするかがカギ。"

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2018年11月23日

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ネタバレ

1986とは思えないくらい古風な文体。
外国語上達には、お金と時間が必要、語彙と文法を覚える。よい教科書と良い教師と良い辞書が必要。
外国語学習はスタートダッシュ。欲望から衝動まで待つ。まず1000語確実に覚える。4-5000語が当面目標。辞書引き引きでよいなら2-3000語。>今学期終わったら1000語単語帳片づける。来季始まるまでに。
文法を10P分にまとめる。それを暗記する。
p115各課の単語20と簡単な文法事項。それを使った作文。できなかったところ記録。反復練習。
よい辞書。探している語が出ている。その語に自分の読んでいるテキストに合う訳が出てkる。訳のほかにも必要とする文法事項が手出来る。熟語が出ている。よい用例が上がっている。読みやすい。引きやすい。持ち運び便利。安い。前書きを読んで選ぶ。頻度数への配慮、当該語を母語とする人のチェック、読みやすく使いやすく、訳語の日本語がこなれている。辞書は多いほど良い。
発音。最初が肝心。だいたいキモがある。それを区別するには。>うーん。できないとこやるしかないんだけれド。
会話。些かの軽薄さと内容。レアリア。現実的な知識と情報。
外国語学習は短時間でも毎日。

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2018年05月31日

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古典的名著。

個人的なことだが、自分も第二外国語を学習中である。

本書にあった「語彙と文法」は、まさに実感。


とにかく、刺激と再認識させられる知見が多い。

名著。

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2017年06月17日

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外国語上達のtips(コツ)が分かる。

外国語学習の導入にもモチベーションアップにも最適。

出版年は古いが、内容は色褪せない。

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2016年12月23日

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身も蓋もないことも多々書いてあるけど、外国語に限らず勉強の基本みたいなことも学べる、かな。高校1年生のときに初めて読んだんだけど、今でも折に触れて手に取っちゃうな。

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2016年11月09日

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1年前からドイツ語を勉強しているが、まったく身についているという自覚がなく、いまだに簡単な文しか話せない。
この本では、外国語をマスターするには時間がかかるとは書かれているが、効果的に勉強する方法はあると書かれており、それを実践すればもう少し上達するだろうと思わされる。
後書きには本書に何度も登場する、イジー・トマン博士のことばが述べられており、(この本を読んだ時間を無駄にしないために)「今日のうちに、ここに述べられたことの一つでも応用する気になってください」というもの。千野先生が教えてくれた方法を今日から実践したいと思う。まずは単語を真剣に覚えよう。

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2016年09月18日

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外国語を使って商談をするのは結構キツくて、時々修羅場を迎える。一対一なら身振り手振りとスマホを駆使して誤魔化すが、用意していたナレーション付きのプレゼンに対しアドリブを求められた時、頼り切っていた通訳代わりの方が欠席で自力で対応せざるを得ない時など。

何とかならんかと思うが、こればかりは地道な努力をするしかない。自然な翻訳ガジェットが普及してくれれば良いのだが、まだその時は来ていないらしい。

そんなあなた(私のこと)に、この一冊!

何が響くかはその人次第だと思うが、私に響いた二点を紹介してみたい。響いたと言っても、慰められた、勇気を貰ったという感じに近い。

一つは、母国語でも語彙は完全じゃなくて、幾つになっても読書では知らない言葉に出会うし、日々、新たな言葉も生まれてくるよねーという話。だから、もう〝ある程度“で飛び込んでしまえ。それと文法なんて正確じゃなくて良い。

もう一つは、「必要なシーン」だけ乗り切れればいいだろ、という話。これだ!つまり、その国で美容室に行くなら美容室用のシナリオを覚えてしまう。商談なら商談のシミュレーションを。今ならそれをAIに自然な感じに訳して読ませる事もできるし。

ということで、この本のおかげで完璧主義に向けた地道な努力から遠ざかった気はするが、プレッシャーからは随分解放されたのである。

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2025年09月21日

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語学を覚える時に大切なことは、語彙と文法。これが基本中の基本。語彙は、まず1000語を目指してやるべき。

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2022年05月13日

Posted by ブクログ

中学生や高校生に読んでもらいたい本。
三単現のsより、なぜ語学を学んでいるか考えることが重要。その通りですよね。

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2022年01月31日

Posted by ブクログ

 スラヴ語学で有名な千野栄一さんがずいぶん前に書き下ろした、外国語学習のためのコツや方法論などを惜しみなく(むしろ赤裸々に?)新書です。千野さん自身も様々な外国語学習をするにあたりたいへん苦労し、また、いわゆる「天才」と呼べるような大学者たちから教えを受けており、書いてある外国語学習法は非常に説得力があるものになっています。
 本書の構成は一見学問としての体系とは異なる雰囲気がありますが、一学習者としてはわかりやすい順序になっています。すなわち、最初になぜ外国語を学ぶのかという目的をもとに目標を決定し、必要なものを用意し、それをもとに学習を進めるためのある程度具体的な方法を提示し、最後にアドバンストなことが書いてあります。2021年の感覚からすると「もっと今では便利な教材が普通にあるのにな」と感じる部分もありますが、本書の出版年を意識しながら読めば十分脳内修正しながら読めるものと思います。
 近年急速に発達しているという聞く第二言語習得理論の研究結果を直接的に利用しているわけではないため100%真に受けることはできないのかもしれませんが、少なくともこうした方法で多くの学者・学生たちが外国語を身に着けてきた実績は本物であること疑いありません。本書はそうした学習指南書のうち、長年評価され読み継がれたものの一つとして安心して読むことができる書籍の一つであると感じました。

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2021年10月18日

Posted by ブクログ

語彙・文法の章は参考になる。後はやや冗長か。
結局はよく使われる部分にフォーカスし、ひたすら繰り返し学習せよという話。使えるレベルで言語習得しようと思うと、そりゃそうだよなーという内容を改めてちゃんと教えてくれる。

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2021年09月15日

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ラストの1/3がどうしても眠くなってしまって読み進められなかったので諦めました。
最初の方の章では自分の経験や考え方とリンクするところがあって面白かったし、読みやすかったです。
語学の勉強が好きなのですが、その一方で単語の暗記が生まれてこの方ずっと嫌いで、でも先生が作中でおっしゃっているようにそれをやらないことには語学はお話にならないので自分に鞭打ってボキャを増やしたいです。。はぁ。。

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2021年04月20日

Posted by ブクログ

勉強ってやみくもにするものではないと思っています。絶対的に覚えなければならないもの。きちんと把握しなければならない規則。そして、思考する。やみくもにならないための指針と基準。それらに則ってできればこんなに楽なことはありません。

この書では、母語ではない言葉、外国語を学ぶときのための指針を提示してくれています。しかも、ご自身の経験と根拠を示しながら。

あ・・・間違ってはいないんだ、と自信につながる一冊でした。

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2020年07月19日

Posted by ブクログ

やみくもに語学を勉強せず、目的を持て。

これが本書で最も大事な部分だと個人的には思う。

何のためにその言語を学ぶのか?
それが分からず勉強しているのは、弁護士を目指してるのに、保育士の専門学校に進学するみたいな話なわけで。

語学に限らず、何事にも言えること。

収穫としては、「音声学を学び、軽視しがちな語彙を重視し、惹きつけられる先生から学び、金を払え。学びはじめはまず1000語。そして何より継続。」といったところか。

所々時代錯誤を感じる学習法は否めないが、版を重ねているだけある普遍的な内容だったなと思う。

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2020年06月01日

Posted by ブクログ

ただやみくもに外国語習得を開始するのではなく、戦略を立て、無駄のない努力をしたいところである。本書は、過去の自分の方法ではダメだったのだと気付かせてくれた。早速スマホで単語帳アプリをダウンロードし、1000語の暗記から始めている。また、友人にお金を払い、毎週一回一時間半の授業をしてもらうように依頼した。生涯をかけて、5カ国語を楽しめるようになるのが目標だ。

以下、本書より抜粋。
「言語の習得にぜひ必要なものはお金と時間であり、覚えなければ外国語が習得できない二つの項目は語彙と文法で、習得のための三つの大切な道具はよい教科書と、よい先生と、よい辞書ということになる。」

「もし、辞書を引き引きその言語で書かれたテキストを読みたいというのであれば、二~三千語で足りる。ここまで覚えれば、その言語に関しては一応の”上がり”である。」

「もし、あなたが学習しようとしている言語に語の頻度数を示す資料があったら、それは絶対に見る必要がある。」

「外国語の習得に際して、語彙に関してはこれまであまり無視されていたので、もっと関心を持つ必要があり、語彙の習得にもっと計画的に時間をかけることが絶対に必要である。」

「一冊の学習書の中の変化表を全部切り抜いてビッシリ貼り直すと、大体10頁内外になる。(言語により異なる)もし読者の方がモノにしようと思っている外国語の骨組みが、10頁を完璧にモノにすればできると分かれば、誰にでも勇気がわいてくるに違いない。」

「先生は各人に小さなノートを用意させ、それを単語帳にする。毎時間の最初に、その時間で扱う文法事項の手短な説明があり、ごく少数の語彙が与えられてから授業が始まる。授業の圧倒的大部分の時間は、母語から外国語への翻訳にあてられる。まず語彙を覚えるための易しい短文が繰り返し当てられ、新出の語彙が覚えられたのが確認されると、その日の文法事項がその作文の中に組み込まれてくる。学生が単語でつっかえると、すぐ小さなノートにその単語を書き加えることを要求し、更に、その語が入ったいくつかの分を訳させる。そのノートの単語は学期が深まるについれて一人一人で違ってくるので、やがて学生を当てるとき一人一人からノートを提出させ、それを見ながら作文が要求される。」-ブラジミール・トグネル先生の授業方法

「先生は授業の最初の日に葉書程度の大きさの紙に、氏名・専攻・住所・電話を書いて提出させ、これがその後の授業で重要な役割を果たした。まず出席をとって、欠席の人のカードを抜き、その裏面にその日付をつける。そして残りのカードをよく切り、裏返しにしてから、授業では順に当てていかれた。一巡するとよくカードを切り、学生に自分の順番を予測させないようにし、しかも皆が公平に当たるよう配慮して、質問の難易で学生にひいきのないように、裏にしたカードをめくるまで誰に当たるかわからないようにふせておき、そして質問に答えられない学生がいると、カードにどの変化ができなかったかを記入して、次の週には必ずそれを復習させるのである。」-ヨゼフ・クルツ先生の授業方法

「繰り返しは忘却の特効薬である」

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2020年05月12日

Posted by ブクログ

【感想】
別の本で佐藤優が称賛していたので購入。
30年以上前に出版されたにも関わらず、非常に読みやすい本でした。
まぁ30年も経って学習ツールは大きく変わったが、本質は今も昔も変わらないだろう。

外国語の習得に必要なものは「目的と目標」「語彙」「文法」「学習書」「教師」「辞書」「発音」「会話」「文化や歴史」。
とりわけ重要なのは「目的」で、次いで「語彙」と「発音」なのだろうと読んでいて思った。
やっぱり、明確な必要性がないと切羽詰まって勉強しないから、なかなか習得できないでしょうねー。

個人的に英語が必要不可欠な環境ではないし。今後そうなるかも明確ではない。
習得するに越した事はないにしても、実践する場がなかったら時間と費用の無駄になりかねない。
そもそも、こういった本を読んでいるだけでは画餅で終わるどころか、習得に大してそもそも高いハードルを感じてしまう・・・

趣味程度で取り掛かるのは考えが甘すぎるのか?
まぁ、そのあたりの費用対効果を考えた上で取り組もう。
TOEIC高得点GETという目標を元に頑張ってみるか。


【内容まとめ】
1.「何故この外国語を習うのか」という意識が明白である事が絶対に必要である。
外国語がモノにならない人は、目的意識の不足がその原因である。

2.数多く外国語ができる人がいても、その中で読み書き話せると三拍子揃ってできる言語は1つか2つで、3つという人は少ない。

3.覚えなければいけないのは、語彙と文法
文法は骨と神経、語彙(単語)は血肉。
血や肉がなければ、人間ではなく骸骨にすぎない。

4.まず、よく使う千の単語を覚える。
千の単語を覚えるのは、その言語を学ぶための入門許可証こようなものであり、これを手にしてようやく助走成功するようなものである。

5.「発音」は、外国語を学ぶための重要な前提。
外国人は文法上のミスのある文の方が、ひどい発音で話された文よりもむしろ理解ができる。


【引用】
外国語コンプレックスに悩む一学生は、どこようにして英・独・仏・チェコ語をはじめとする数々のことばをモノにしていったか。
辞書・学習書の選び方、発音・語彙・会話の身につけ方、文法の面白さなど、習得のためのコツを著者の体験と達人達の知恵をちりばめて語る。


・目的と目標
・語彙
・文法
・学習書
・教師
・辞書
・発音
・会話
・文化や歴史


p6
才能の差は確かにある。
しかし、ある言語を習得できるかどうかは、その習得の方法により多くの事が依存している。


p20
外国語を習うとき、なんでこの外国語を習うのかという意識が明白である事が絶対に必要である。
外国語がモノにならない人は、目的意識の不足がその原因である。


p26
ごく稀にしか起こらないハイジャックのインタビューのために全スチュワーデスにその分野の応答ができるように英語教育するというのは全くと言っていいほど無駄である。
人間の能力には限界があって、寿命も限られているのであるから、必要なだけの英語が出来ればよく、それで十分なのである。


p29
色々と数多く外国語ができる人がいても、その中で読み書き話せると三拍子揃ってできる言語は1つか2つで、3つという人は少ない。


p38
・上達に必要なのは、お金と時間
人間はそもそもケチなので、お金を払うとそれを無駄にすまいという気が起こり、その時間が無駄にならないようにと予習・復習をするものである。
また、習得には繰り返しが必要なため、どうしても時間が必要になってくる。


p41
・覚えなければいけないのは、語彙と文法
まずは単語を覚えなければいけない。
いい教科書、いい教師、いい辞書。

文法は骨と神経、語彙(単語)は血肉。
血や肉がなければ、人間ではなく骸骨にすぎない。

単語を覚えるおいう作業は単純であり、ゴールがなく、面白くない。
それにも関わらず、単語を覚えなくては習得に支障をきたす。
この矛盾を解決しなければならないのが外国語の学習である。


p51
・まず千の単語を覚える。
千の単語を覚えるのは、その言語を学ぶための入門許可証こようなものであり、これを手にしてようやく助走成功するようなものである。
この段階では、理屈なしにただ覚えるだけである。

→まずは頻度の高い単語から。
何年に一度しかお目にかからない語を覚えるなんて、記憶の負担になっても、得るところはほとんのない。


p95
・語学書は薄くなければいけない。
1冊読み終えればその言語が完璧に習得されるなんて本はない。
また、ありあまる時間をすべて外国語習得にのみ捧げるというのも現実的ではない。
従って、大きな本は駄目なのである。
語学書は薄くなければならない。とりわけ、初歩の学習書はそうでなければならない。


p108
まず第一に、語学教師はその語学がよくできていなければならない。
→語彙、文法、発音。知らない事ははっきりと「知らない」と明言できる。

第二に、教え方が上手であるということ。
限られた知識であっても、それを整然と教えられる人の方が役に立つ。

第三は、教える事に対する熱意や、先生の個人的な魅力。
この先生についていかないと損をするというような気持ちにさせる全人格。


p144
・「発音」は、外国語を学ぶための重要な前提。
外国人は文法上のミスのある文の方が、ひどい発音で話された文よりもむしろ理解ができる。


p199
・繰り返しは忘却の特効薬
外国語の習得は始めたら規則正しく、たとえ短い時間でも毎日することが大切。

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2018年11月22日

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外国語を学ぶ方法に関するエッセイといったところ。「外国語」なので、英語に限っておらず、むしろそれ以外の言語についても語られていて、面白い。

イメージ的に大昔の本かと思ったら、1986年ということで、意外と最近だと思ったのは、そういう年齢だからか。

何よりも単語、まずは単語。その上で文法かな。
108)

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2018年10月12日

Posted by ブクログ

初版が86年で、16年時点で47刷に達していことからも、良書と期待して手に取った。
1語でも語彙を増やすに時間をつかうべきかと思った。が、それでもなお読みたかったし、200ページに収まってる内容は、移動時間を殺すのに都合が良かった。

読み終えて思うのは、非母語を難なく扱えるようになった人は、賢く謙虚で、でも自信のある人だなと。しかし問題はぼくの中国語である。良い自習書もあり、先生もおり、なんなら中国語がつかえる国にすんでいるのに、この体たらく。
この本に照らし合わせると、発音無視しすぎ・覚えるべき基本語彙がみえてない・ゴール設定できてない。ってことに、耳が痛すぎる。

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2017年06月23日

Posted by ブクログ

書いてあることは奇をてらうものでもなんでもなく,語をしっかりと覚えておくことに始まる非常にオーソドックスで真面目なことです。でも,その背後にwill powerと目的の明確化がないと,ただただ時間を食うだけです。


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 外国語を習うとき,なんでこの外国語を習うのか,という意識が明白であることが絶対に必要である。この反対の例が“教養のための外国語”とやらで,こんな気持でフランス語やドイツ語を学ばれては,フランス語やドイツ語が迷惑である。フカフカしたじゅうたんの上で,数々の教育機器に恵まれ,ネイティブ・スピーカーのいい先生のいるカルチャー・センターで,よい教科書と,よい辞書があってもうまくこれらの外国語がものにならない人は,目的意識の不足がその原因である。(p.20)

大学生というのは,本来時間はあるがお金のない人たちであり,社会人というのは,いささかお金があるが時間のない人たちである。このことからも明白であるように,資本主義というのは時間をお金にかえる制度なのである。(p.39)

 語彙の習得が分布の習得と違う大きな特徴は,言語による難易がないことである。語彙の習得はどの言語でも同じだけ時間がかかり,日本であろうと留学先の外国であろうと,意識して覚えない限りどうにもならない。「外国語は好きなんだけど,単語が覚えられなくてね」という人は,自分が勤勉でないことを告白しているのである。そして,この自称“記憶力の悪い”人がひとたび天皇賞となると,舌をかみそうな馬の名前だけでなく,馬の血統,経歴,所属厩舎名から,重馬場での対応能力,さらに騎手の性質までそらんじているのだから,記憶録が悪いということに同意するわけにはいかない。必要なのは超満員の電車の中でも〇や△や◎の記号の意味するところを必死で学習するその熱意で,単語の習得にはそれがないことが問題なのである。そして,あんな込んだ電車の中ででも赤鉛筆を使って大事なポイントを区別するという効果的学習を,単語の習得に際しては使わないということである。(pp.50-51)

 ある外国語を習得したいという欲望が生まれてきたとき,まずその欲望がどうしてもそうしたいという衝動に変わるまで待つのが第一の作戦である。そして,その衝動により,まず何はともあれ,やみくもに千の単語を覚えることが必要である。この千語はその言語を学ぶための入門許可証のようなものであり,これを手にすれば助走成功で,離陸が無事に済んだとみなしていい。もしこの段階で失敗したときは,あきらめた方がいい。翼や車輪が壊れたままで飛び上がろうとするのは,どだい無理というものである。ただ,同じ言語を二度目にもう一度アタックするのは最初のときよりつらいことは,知っておく必要がある。一度始めて中断した場合は,それまでに学んだ知識は二度目のとき役立たないのみか,かえって妨害になる。(p.52)

 もし千語をモノにできれば,その言語の単語の構成がなんとなく分かるようになり,千五百にするには最初の千語の半分よりはるかに少ないエネルギーで足りるようになる。そして千五百語覚えさえすれば,もう失速することはない。ただし,この千語なり千五百語を覚えるというのは確実に覚えることで,なんとなく霧の中にあるような覚え方は意味がない。確実な五百語は不確実な二千語より,その言語を習得するのに有効である。(p.53)

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2022年10月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ポリグロットである著者の作品。言語学習の才能はないがここまでできるようになったという著者の背景を振り返ることで、言語学習の門は誰にでも開かれているということを教えてくれています。
他の言語学習の本にも書かれていますが、やはり繰り返すことが一番重要なのだと再認識させてくれます。さらに、お金と時間を惜しまないことも重要だと書かれています。最近では無料で勉強できるアプリなどいろいろな教材が溢れていますが、やはりきちんとした教材でないとデタラメなことを書かれているなと感じることはあります。出版されている教材でも怪しいのはありますが。。。
英語に限らずですが、他の言語を学習していると、日本語の発音は種類が少なく不利になると感じますが、日本語にしかない発音もあるのは知りませんでした。たしかに言われてみれば、外国語で同じような発音はないなーと新しい発見もありました。
そういえば某番組で、ロシア語は格変化が多少違っても通じるよ、といったことを聞いたことがありますが、ここに書かれていることとは真反対でしたね。

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2019年07月28日

Posted by ブクログ

語学が苦手と称する著者が外国語を習得する方法を解説したもの。
・何の目的で学ぶのかを決めること。(全て完璧になる必要はない。)
・上達に必要なのは時間と金。
・少しでも繰り返す。
・発音は音声学の知識が役立つ。

今更だが、役立つアドバイスだと思った。

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2021年08月08日

Posted by ブクログ

言語学者である著者が、みずからの体験を紹介しつつ、外国語学習の要諦について語った本です。

古い本ですが、本書で紹介されている外国語学習のコツは、こんにちでも参考になるところは少なくないと思います。また、著者自身の体験だけでなく、語学の達人とされる人びとの驚異的なエピソードなども紹介されており、上品なユーモアがあっておもしろく読めました。

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2018年07月01日

Posted by ブクログ

語学を学ぶのにどこまで自分に必要なのかを見極める事が
大事と言うのには納得。
(例えばウェイターは注文の取り方や接客に必要なフレーズに特化すれば容易に多言語をマスターできる。)
勉強は目的意識と計画が大事!

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2018年06月19日

Posted by ブクログ

さきに種田先生の本読んじゃったから少し、見劣りしたかな、、、、
たぶん相性の問題なのかなと思うのだけど、あんまりこれを読んで、語学学習が面白いだろうとは思えなかった。
でも、レアリアの項とか、1項ずつまとめを書いてくれたとことか、会話の項はとてもよかった!
発音の項は耳が痛かった

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2016年03月06日

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