千野栄一のレビュー一覧

  • プラハの古本屋

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    チェコ文学者、千野栄一先生のエッセイ集。

    外国語や自身の子どもたちのマルチリンガル教育などについて書いた「沈黙の通訳」、旧共産圏での古本探しなど本好きにはたまらない古本屋談義が読める「プラハの古本屋」、主に東欧での旅行記などの「カルパチアの月」の三パートに分かれています。

    書かれた時代が古いので、言い回しや話の持っていきた方に少し理解の難しい部分はあるけれど、語学好き、本好き、旅行好き、酒好きにはたまらない一冊です。

    気になるフレーズがたくさんあって、たくさんメモりました✨

    ああ、またチェコ語勉強しようかな☺️

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    2025年10月23日
  • プラハの古本屋

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    スラブ語学を中心とした言語学者さんによるエッセイ集。

    言語に対する造詣の深さが何気ない話題にも深みを持たせている。表題でもある共産主義国家における古書店の四方山話は登場する人たちみんなが書を愛し、書を愛する人たちを敬愛する姿が見られ、古書店好きとしては大変に心地よい話を読むことができた

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    2025年09月23日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    愛と性は別であると考えて、短期間に複数人の女性と交際を繰り返すトマーシュ。浮気と本気の線引きがあり、彼なりの優先順位がある。トマーシュの強さとテレザの弱さのアンバランスの描写が、読んでいて苦しかった。
    生き方の異なる2人が居れば、弱い方が耐えられない気持ちになるのは自然なことだと思う。
    親しい人から、自分は替えがきく存在なんだと感じた瞬間に私は冷める。だからテレザに共感はできず私はサビナに憧れる。自分を大事にしてくれる人を見つけ、自分の居場所を自分の力で見つけて生きたい。
    男女の性の価値観の違い。それによって生じる問題が政治的抑圧を背景に展開されていて物語に惹き込まれた。序盤以降は読みやすかっ

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    2025年08月28日
  • プラハの古本屋

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     ユーモアのある語り口で、読み終わったあとになんだかほっとするようなエッセイでした。本書は言語学者である著者がチェコの首都プラハの日々を綴った文章が並んでいます。

    「うなぎ」が「魚」かどうか、から言語が異なった意味で使われるゆれに語ったり、ビールを賭けて相手の出身地を当てることになったり……、ミステリ好きは、倒叙型のミステリである『刑事コロンボ』の話から、カレル・チャペックの同系統の作品の話に移行していく「チャペックのコロンボ風探偵小説」が楽しいかもしれません。

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    2025年08月28日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    著者のミラン・クンデラが巧妙なのは、同じ人間の中に「重さ」と「軽さ」を同居させていること。

    トマーシュは政治的信念については妥協しない重厚さを持ちながら、恋愛においては徹底的に軽やかだった。
    彼の性的な「軽さ」は、一人ひとりの女性との関係に深い意味や責任を求めない。でも、それは彼なりの一貫性でもある。
    興味深いのは、彼がテレザとの関係においてだけは「重さ」を感じていたこと。テレザは彼にとって唯一、軽やかに扱えない存在だった。
    つまり、トマーシュは自分なりの価値基準を持っていた。政治的信念は重く、性的関係は軽く。そのバランスが彼という人間の核心だったことだ。そして、その矛盾を抱えた姿に、どこか

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    2025年08月01日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    静謐な文体で紡がれる哲学的小説。

    自分という存在、そして今生きているこの人生は耐えられないほど軽いのか。それとも重いのか。この先ずっと、自問自答しながら生きていくことなりになりそう。
     


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    2025年07月16日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    存在の耐えられない軽さ、素晴らしい本だったな
    久しぶりに読後の余韻を深く感じている気がする
    人生の必然性と偶然性、私たちはどちらに導かれていくのかそしてそのどちらに抗って生きいているのか
    何も求めずにはいられない人間が自分がこれさえあれば生きていけるというものは何なのか
    第二次世界大戦でドイツの侵攻によって、その後もプラハの春で自由化の動きをみせるがソ連の軍事介入によって制圧されたチェコスロバキアの時代の中で語られるからこそこの物語がもつ哲学がとんでもないメッセージ性を持っていた気がする

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    2024年12月22日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    動乱のチェコで繰り広げられる、心震える男女の愛。

    愛や誤解が招く幸も不幸も全て描き、読者に、世界にそれを問う。「Muss es sein?」

    「一度は数のうちに入らない」が、人生に二度はない。そんな人生を我々はどう過ごすべきか。一瞬一瞬を大切に、重く扱い生きるのか。それとも過去を捨て軽やかにに生きるのか。

    答え合わせのない暗中模索の人生のゴールは見つからないかもしれない。けれど、その日を信じて、僕らは「そうでなければならない」行動を続けるしかないのである。

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    2024年11月07日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    私がこの作品を読もうと思ったのは「プラハの春」以後のプラハの雰囲気を知るためでした。この作品ではプラハの知識人たちが負うことになった苦難の生活の雰囲気をリアルに知ることでできます。また、この作品の中盤以降は特にこうしたソ連による支配に対する著者の分析が小説を介して語られます。これはかなりの迫力で息を呑むほどです。

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    2024年08月18日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    ネタバレ

    プラハの春とは、1968年のチェコにおける民主化・自由化運動である。作者のクンデラはこれを文化面で支えた作家だった。だが、この運動はソ連の介入によって鎮圧され、その後「正常化」の時代が始まる。この時代にクンデラは数々の弾圧を受け、1975年フランスに亡命した。これが本作の背景として描かれる。
    この作品は風変わりな小説である。小説家はふつう、登場人物の行動をあれこれ解説したがらない。むしろ、解説のいらない文章を書くのが小説である。ところが本書では、作者であるクンデラ自身がたびたび表に顔を出す。これは恋愛小説に仕立てたクンデラの思想であり、あるいは思想について書かれた恋愛小説である。

    外科医のト

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    2024年05月04日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    大大大好きな本。昔は恋愛とか自意識に責められ辛くて読めなかったが、やっと22歳になって読めるようになった。

    地獄のような生活から出てくるこのタイトルがすごい。

    結局この本は同じことをいろんな例えで言っているのだ。人生は一回きりでやり直しも繰り返しも起きない。もし何かが一回しか起きなかったのであらば、それは起きなかったことと同じ。こんなに耐え難く辛い人生も、実は1回しかないし、耐え切れないほどの軽さだったのだ。

    この軽さは実は幸福なのである。


    最後に好きな言葉。
    ⚪︎
    地球が爆弾で震撼しようが、祖国が毎日新たに侵略され略奪されようが、すべての隣人が連行され処刑されようが、これらすべての

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    2024年01月03日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    タイトルからかっこいい。
    一回読んだら終わりという作品ではなく、生涯傍らに置いて節目に読み返せば、また違った印象をうけそう。哲学的で?な箇所も味わい深い名作。

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    2023年09月18日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    「人間というものは、ただ一度の人生を送るもので、それ以前のいくつもの人生と比べることもできなければ、それ以後の人生を訂正するわけにもいかないから、何を望んだらいいのかけっして知りえないのである」

    ご冥福をお祈りします。

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    2023年07月13日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    10年おきぐらいに気になって読み返し、そのたびに新たな発見がある。
    哲学的ながらも文学として心地良いテクストで、気がつくと没入して読んでいる。
    人生の最後にどういう心境で読むことができるか、自身の価値観が映し出される名作。

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    2023年04月30日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    存在の耐えられない軽さ

    1.動機
    読者レビュー「読んでみたら?の外国文学」にあったためです。
    外国文学は、年に一冊読むか?読まないか?です。
    結論、出会えてありがとうございます の書籍となりました。

    2.舞台
    ソ連に侵攻されたチェコが舞台です。
    著者の故郷です。
    チェコが開放されて、解禁となった著書であると後書きにありました。

    3.主人公
    外科医。応援でたまたまチェコへ。
    外食先のレストランで1人のウェイトレスと出会います。
    そのウェイトレスは、彼が読む書籍が、自身と馴染みのある同じ書であったため、彼に惹かれます。
    そして、2人は、ソ連侵攻後に、夫婦となります。

    4.書籍より
    「人生の

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    2023年03月19日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    何度も読みたい作品

    オススメされて読んだが、この小説をきっかけにミラン・クンデラにはまった。
    数年経ってもう一度読んだとき、今と違う感想を抱くんだろうと思う。

    是非手にとって読んで欲しい

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    2023年01月31日
  • プラハの古本屋

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    よく日本にいてもわからないことがある。それをAIで簡単に分かったときのわかるは、かなり低い解像度な気がする。そして特に余白がない中で理解する。そのことと、この本で書かれた、プラハの飲み屋での話はすごくリンクした気がする。

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    2025年11月10日
  • プラハの古本屋

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    インターネットが普及している現代では集書もきっと当時より楽にできるのだろうけど、著者のように時間をかけて古書を探す、それはきっと貴重な本以上に価値のあるものを手にすることができる時間なのだと思う。
    知らない地域や知らない作品が多く、読んでいるうちに心が折れそうになったが、古本に触れたくなるような温かいエッセイだった。

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    2025年11月02日
  • プラハの古本屋

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    おもしろすぎる!期せずして『バベル』の次に読んだのも最高のつなぎ方だった。

    千野先生の周りに集まる言語の強者たち。その会話や議論がおもしろくないわけない。「津波」に対応する単語をめぐって奔走したり、他言語の専門家を訪ねたり。そしてそこには必ず本とアルコールがある。

    気さくで洒脱な筆致に、すごく楽しい毎日で豊かな人生だなぁと感じつつも、お子さんのバイリンガル教育のくだりでは、改めて知とバイタリティの化物ぶりに触れたような気がした。

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    2025年10月25日
  • プラハの古本屋

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    チェコに精通する著者が書いたエッセイ集。社会主義時代のチェコスロバキアにおける古本屋が、日本を含めた資本主義社会の古本屋と何が異なるのか、チェコ語に「津波」に該当する単語がなく説明に困ったこと、バイリンガルの教育の難しさなど、チェコにまつわる話が本書に詰まっている。

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    2025年09月07日