千野栄一のレビュー一覧
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私は同性ということもありテレザに感情移入してしまいトマーシュの人生というものに目を向けていられなかった。しかし最終章のテレザの語りで、確かにトマーシュはテレザのために何もかもを捨ててここに来たのに、テレザは何も失っていなかったことに気がつき、私こそがトマーシュの人生を軽く見ていた(無視していた)ことに気がついた。相手のために生きることは難しいにもかかわらず、誰かのために自分を捨てて下へ下へ行くということを選んだトマーシュの人生は、本当に軽々しいものなのだろうか?
一度は数のうちに入らない、人生は軽い、これはこの小説で言われていた言葉だが、カレーニン含む三人の人生は、確かに人生自体は軽いもの(傍 -
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最初は「軽い男の恋愛と思想の話」だと思って読んでいたけど、読み終える頃には全く違う印象になっていた。
この小説は、人生に「正解」や「答え合わせ」が存在しないことを突きつけてくる。人生は一度きりなので、選ばなかった選択肢と比較することはできない。だからこそ、どの選択も“軽い”とも“重い”とも言い切れない。
トマーシュの軽さは、単なる無責任さではなく、彼なりの原理や論理に裏打ちされたものだった。どこかキリッとした白ワインのような、無駄を削ぎ落とした軽さ。一方で、サビナの軽さはもっと直感的で、過去や意味を切り離していくような軽さで、夏に飲む強めの酒のようにあっけらかんとしている。この二人の軽さは -
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美しい距離(山崎ナオコーラ)でも感じた、一回きりの人生なら確率など問題ではなく、あるかないかの2択でしかないという不思議さ
「Einmal ist Keinmal
一度は数のうちに入らない。一度だけ起こることは、一度も起こらなかったようなものだ。人がただ一つの人生を生きうるとすれば、それは全く生きなかったようなものなのである。」これは本当に共感できる。一回きりしかないものを対象に確率を考えても、実際に起こったことと起こったかもしれないこと、その2種類しかない。
まるでrctをしたかのように正解不正解を語り推論するのはおままごとでしかない。
65偶然が次々と舞い降りて必然の形によみとれる(カッ -
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HHhHにプラハ愛を感じた2025年に続き、2026年は本書でプラハへの愛を感じて始まった。
社会主義政権下のチェコスロバキアで古本を集めるライフワーク以外にも、国際結婚した言語学者同士の子育ての様子やスラビストの国際学会に手探りで参加した体験のエッセイもあれば、言語学的なショートショートや各時代で大国の支配を受けたチェコならではの「匿名」の文化史といった変わり種も入っていて盛りだくさんだった。
早くNZ旅行記を書かないと。
- 島
- お行儀の良いSSでよかった
- チェルニー博士訪問記
- やはりカフカスにはロマンがある
- カルトヴェリとかアブハズとかチェチェ -
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新しい言語を学ぶための心得が書かれた良書。
まず第一に、自分が何故この言葉を学ぶのかを考え、その目的に即した内容を厳選して学ぶことが重要である。
例えばロシア語で書かれた論文を日本語に翻訳したいだけなら、読み方や書き方を知る必要はない。ある単語が母国語のどの単語に該当するかを知っていればいいし、堅い文章であれば文法も最低限のものだけでいい。これが仮に小説のような砕けたものになれば、スラングや細かい言い回しを知る必要がある。
一番ダメなのは、ただ闇雲に大量の語彙を覚えようとしたり完璧に使いこなそうとすることである。人は間違えるものであり、すぐに忘れるものであるということを忘れてはいけない。 -
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冒頭からニーチェの「永劫回帰」を持ってくるあたり、クンデラ氏の「自分の世界の様式」を表現し思索し実行している良作である。
永劫回帰から小説の主題である「存在の耐えられない軽さ」へ落とし込み、物語を通して深掘りしていく作品である。
人生も環境も自然も宇宙もあらゆる森羅万象が永遠に永遠に繰り返され、それらを乗り越える勇気(超人)へ至るとニーチェは言う。ニヒリズムではあるが、もう一度、同じ人生を歩みたいかと問う視点と、一度っきりの人生を全て奇跡的な偶然と捉え、その軽さの中で人生を歩みたいかと問う視点の両者の視点が読者をという「存在」という重さと軽さを同時に味わうことができ、深く思索することができるで -
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スラヴ語学で有名な千野栄一さんがずいぶん前に書き下ろした、外国語学習のためのコツや方法論などを惜しみなく(むしろ赤裸々に?)新書です。千野さん自身も様々な外国語学習をするにあたりたいへん苦労し、また、いわゆる「天才」と呼べるような大学者たちから教えを受けており、書いてある外国語学習法は非常に説得力があるものになっています。
本書の構成は一見学問としての体系とは異なる雰囲気がありますが、一学習者としてはわかりやすい順序になっています。すなわち、最初になぜ外国語を学ぶのかという目的をもとに目標を決定し、必要なものを用意し、それをもとに学習を進めるためのある程度具体的な方法を提示し、最後にアドバ -
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男と女の物語は地球上どこにもあるけれど、文学上の創作上の高尚とも思える比喩が普遍になって、やっぱり卑近に戻ってきたという感想だ。
「永劫回帰」などと、のっけから難しいと思わせるのが文学で、トマーシュがドンファンで、恋人となったテレザがかわいそう、と同情するのが普通でわかりやすいのか?
このふたりのお国がチェコだから運命の歯車が狂ってきた?
チェコ、遠い国の運命は北朝鮮の拉致事件が明るみに出てしまった今の日本でものすごくよくわかるということ。
あれかこれか、あのときああすればこうならない。
と、思っているひとが多いかもしれない。
運命?
なにがどうなって、こうなって