千野栄一のレビュー一覧
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スラヴ語学で有名な千野栄一さんがずいぶん前に書き下ろした、外国語学習のためのコツや方法論などを惜しみなく(むしろ赤裸々に?)新書です。千野さん自身も様々な外国語学習をするにあたりたいへん苦労し、また、いわゆる「天才」と呼べるような大学者たちから教えを受けており、書いてある外国語学習法は非常に説得力があるものになっています。
本書の構成は一見学問としての体系とは異なる雰囲気がありますが、一学習者としてはわかりやすい順序になっています。すなわち、最初になぜ外国語を学ぶのかという目的をもとに目標を決定し、必要なものを用意し、それをもとに学習を進めるためのある程度具体的な方法を提示し、最後にアドバ -
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男と女の物語は地球上どこにもあるけれど、文学上の創作上の高尚とも思える比喩が普遍になって、やっぱり卑近に戻ってきたという感想だ。
「永劫回帰」などと、のっけから難しいと思わせるのが文学で、トマーシュがドンファンで、恋人となったテレザがかわいそう、と同情するのが普通でわかりやすいのか?
このふたりのお国がチェコだから運命の歯車が狂ってきた?
チェコ、遠い国の運命は北朝鮮の拉致事件が明るみに出てしまった今の日本でものすごくよくわかるということ。
あれかこれか、あのときああすればこうならない。
と、思っているひとが多いかもしれない。
運命?
なにがどうなって、こうなって -
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ただやみくもに外国語習得を開始するのではなく、戦略を立て、無駄のない努力をしたいところである。本書は、過去の自分の方法ではダメだったのだと気付かせてくれた。早速スマホで単語帳アプリをダウンロードし、1000語の暗記から始めている。また、友人にお金を払い、毎週一回一時間半の授業をしてもらうように依頼した。生涯をかけて、5カ国語を楽しめるようになるのが目標だ。
以下、本書より抜粋。
「言語の習得にぜひ必要なものはお金と時間であり、覚えなければ外国語が習得できない二つの項目は語彙と文法で、習得のための三つの大切な道具はよい教科書と、よい先生と、よい辞書ということになる。」
「もし、辞書を引き引き -
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ページを開くと共産主義が垂れ込める東欧の暗さが流れ出てきた。予期していなかったから驚いた。
「存在の耐えられない軽さ」というこの言葉自体にめちゃくちゃ惹きつけられるのはどうして?
心理描写がとてもとても巧み。トマーシュ、テレザ、サビナの心の中、問題意識がどれも面白い。(トマーシュの浮気の理由はどんな欲求やねんって感じでウケつつ面食らった。サビナの一生の悲しさには鬱々としてくる。テレザの「裏切りに快感を覚える」のもなんじゃこりゃ!?というかんじ。)
でも私が今まで抱いたことのない感情がそこにはたくさんあった。そしてそれが手に取るように克明に分かった。
哲学的な恋愛小説だから、恋愛について考 -
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【感想】
別の本で佐藤優が称賛していたので購入。
30年以上前に出版されたにも関わらず、非常に読みやすい本でした。
まぁ30年も経って学習ツールは大きく変わったが、本質は今も昔も変わらないだろう。
外国語の習得に必要なものは「目的と目標」「語彙」「文法」「学習書」「教師」「辞書」「発音」「会話」「文化や歴史」。
とりわけ重要なのは「目的」で、次いで「語彙」と「発音」なのだろうと読んでいて思った。
やっぱり、明確な必要性がないと切羽詰まって勉強しないから、なかなか習得できないでしょうねー。
個人的に英語が必要不可欠な環境ではないし。今後そうなるかも明確ではない。
習得するに越した事はないにし -
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初版が86年で、16年時点で47刷に達していことからも、良書と期待して手に取った。
1語でも語彙を増やすに時間をつかうべきかと思った。が、それでもなお読みたかったし、200ページに収まってる内容は、移動時間を殺すのに都合が良かった。
読み終えて思うのは、非母語を難なく扱えるようになった人は、賢く謙虚で、でも自信のある人だなと。しかし問題はぼくの中国語である。良い自習書もあり、先生もおり、なんなら中国語がつかえる国にすんでいるのに、この体たらく。
この本に照らし合わせると、発音無視しすぎ・覚えるべき基本語彙がみえてない・ゴール設定できてない。ってことに、耳が痛すぎる。 -
Posted by ブクログ
書いてあることは奇をてらうものでもなんでもなく,語をしっかりと覚えておくことに始まる非常にオーソドックスで真面目なことです。でも,その背後にwill powerと目的の明確化がないと,ただただ時間を食うだけです。
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外国語を習うとき,なんでこの外国語を習うのか,という意識が明白であることが絶対に必要である。この反対の例が“教養のための外国語”とやらで,こんな気持でフランス語やドイツ語を学ばれては,フランス語やドイツ語が迷惑である。フカフカしたじゅうたんの上で,数々の教育機器に恵まれ,ネイティブ・スピーカーのいい先生のいるカルチャー・センターで,よい教科書と,よい辞書があってもう