山本七平のレビュー一覧
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アニマによる支配の方が、最も非民主的なものである。本書で議論される内容だが、アニマとは魂。霊的なもの、というニュアンスだ。契約や法律ではなく、同調圧力や忖度、空気感で決定されていく手続き。
しかし、制度として霊的な天皇を組み込んだ日本社会においては、時に霊的な判断が勝ることは許され、それが民主主義と混同される。
ー 日本では大変面白いんでして、「イタイイタイ病裁判」のとき、上訴権を放棄しろという論調が新聞に出てくるんです。会社は控訴するなと。三審を受ける権利というのは、日本じゃ大新聞がいとも簡単に否定し、その結果簡単に失っちゃうんです… たとえデモクラシーじゃなくて、専制国家であろうとも -
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山本七平(1921~91年)氏は、東京生まれ、青山学院専門部高等商業学部卒、太平洋戦争に徴兵され、ルソン島で終戦を迎える。帰国後、書店勤務の傍ら、翻訳を手掛け始め、1956年に聖書学を専門とする出版社・山本書店を創業。1970年にイザヤ・ペンダサン名義で発表した『日本人とユダヤ人』は、300万部を超えるベストセラーとなり、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。以降、後に「山本学」とも呼ばれた、日本社会・日本文化・日本人の行動様式等に関する数々の作品を発表した。菊池寛賞(1981年)受賞。
本書『「空気」の研究』は、『日本人とユダヤ人』と並ぶ山本氏の代表作だが、初出は「文藝春秋」に連載された「「空気 -
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ネタバレトヨタ自動車元会長が「ぜひ読むように」とトヨタ幹部に薦めた本。マネー、外交、政治・・・このままでは日本は再び敗れる。キャッチコピーに惹きつけられて。
2004年初版、ちょっと古い気もしたがキャッチコピー補足をみて共感をもった。
~山本七平氏は戦時中フィリピンで生死を彷徨い捕虜となった。戦後三十年、かつての敗因と同じ行動パターンが社会の隅々まで覆っていることを危惧した山本七平が、戦争体験を踏まえ冷徹な眼差しで書き綴った日本人への処方箋が本書である。現在、長期の不況に喘ぐ中、イラクへの自衛隊を派遣し、国際的緊張の中に放り込まれた日本は生き残れるのだろうか・・・?執筆三十年にして初めて書籍化される、 -
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太平洋戦争での日本敗戦の教訓について考える人におすすめ。
【概要】
●陸軍専任嘱託として徴用され、ブタノールを製造する技術者としてフィリピンに派遣された小松真一氏が書いた『虜人日記』の敗因21カ条の分析
【感想】
●『虜人日記』には、太平洋戦争のときフィリピンに派遣されていた際のことが書かれている。何の力も顧慮せずに書かれたものであることから、ありのままの内容であるため、読めば有用な教訓が得られるであろう。
●著者が書いた、小松氏の敗因21カ条の分析を読むと、今日の日本社会に通ずる内容が多々あり、なるほど改善されていないと思われる点が多々ある。反省すべきではないだろうか。 -
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日本における「拘束の原理」を解き明かしていく本
久々に難しい(抽象的な)本を読んだが、日本人のメンタリティを雑に要約すると、
①日本人は一神教徒とは異なり、「絶対的な基準」がない
②それなら全てを相対化できると思いきや、「絶対化の対象が無数にある」状態
③基準や支点となる、「臨在感的把握」の対象を求める
④基準を失いたくないので、それが非科学的・非論理的であっても口にしない(基準となる側と隠し合う)
→空気の完成
⑤「それはおかしい」と誰かが水を差す
⑥「水」は我々の現実=通常性であり、結局は空気醸成の基となる(ここが難しい)
⑦別の対象へ転向→過去の「偶像」を破壊
↑これを繰り返す、「汎神