小室直樹の一覧
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ユーザーレビュー
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戦後の一番の問題は、なぜこのような規範に従っているか考えないこと。
日本人が知らずうちに強く信じ込んでいる”日本教”を構造神学から読み解く。日本教には教義(組織神学)が存在しない。古来より天変地異が多かった日本では、歴史感覚に乏しくつねに「今」だけで、その瞬間ごとに生まれる「空気」が教義となる。情
...続きを読む緒における美的感覚が即規範化し、「空気」を通してみた事実である”実情”に対して
行動することが正直であるとされる。事実を事実として言うのは嘘つき、事実に対して行動すれば不正直。情緒規範であるため論理は通用せず、人の外面だけでなく内面の規範まで求められることになる。事実に対応する「実体語」を機能させる、「空体語」に対して行動することが規範化される。天皇を「実体語」として尊敬することは意味をなさない。戦前もまた天皇制ではなく、天皇信仰は空気によるものであった。
本書は1981年のものであるが、冒頭で「1980年代というのは、日本の骨組みそのものにガタが来ているのではないか」と予言しており的中している。
Posted by ブクログ
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日本人の思考の根底に佇むものを取り出して日本教と名前をつけ、外国(主にキリスト教圏)とどう違うのか比較されているのが面白かった。また、日本教がどのように成立してきたのか考察されているのも興味深かった。
ただ、日本教の問題点の解決策がなかったのが残念。そもそも、そういう視点で書かれてはいないのかもしれ
...続きを読むないが。
浅見絅斎、崎門学
Posted by ブクログ
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日本は不思議な国で、
学校教育に宗教を教えることは、あまりしない。
一種タブー化している。
また、宗教に対して、複雑な感情を持っている。
学校教育に、戦前国家神道を組み込んで、
結果失敗したと思っているからだ。
ただ、宗教と教育というのは、
切っても切り離せないモノだということを、
学んでいない。
...続きを読むというか、意図的にやっている。
ここら辺が、現在の日本の教育の
「根本的なちぐはぐさ」を生んでいるかもしれない。
宗教なんて、よくわからない。
宗教なんて、恐ろしい。
それが「普通」だと思っている。
宗教は個人に規範と道徳を与えるが、
多くの日本人にはそんなものはない。
小室氏は、それをアノミー、無連帯と呼び、
戦後、日本人が、バラバラになった有様の病巣を、
そこに求めている。
個人、個人が繋がりたくても、その手段が、
多くの日本人にはない。
ただ、「バカ騒ぎする」ことだけが、繋がれる道具だと思っている。
じゃあ、「宗教」を持てばいいかというと、問題はそれほど単純じゃない、
日本人は、みな「日本教」の信徒であるからだ。
これが一種より深刻な問題として、日本人にのしかかっている。
じゃあ、いったい日本人は、何を基準に行動しているかというと、
明確なものはない。
日本人の若い人が、世界的に見て、
異常な不安を抱えているのは、誰でも知っているが、
その原因にあるものが、
行動規範というものが、日本にはないからだ。
何が良くて、悪いのか、そんな当たり前なことも、
多くの日本人からすれば、「わからない」のである。
これは、考えてみれば、非常に恐ろしい。
もっと恐ろしいのは、
何が良いのか、悪いのか、その時の「空気」で決める。
日本型の集団犯罪の動機を見ると、個人の動機が見えにくい場合が多々ある。
その時、その場のノリでヤリマシタという場合がかなり多い。
この意味で言えば、誰だって、犯罪者になりえる。
「あの人もやっていたから、私もやりました」
「あの空気に逆らえず、ずるずると、やってしまいました」
空気が日本を支配し、日本人は、空気を読むことを、
24時間行わないといけない。
山本氏は、日本人は皆、空気を読むことを根本教義とする
「日本教」の信徒という。
つまり、「空気」を読めることが、日本人の日本人たるゆえんで、
読めない人は、日本人とは言えなくなる。
その空気を読むことを、コミュニケーション能力と言い、
その能力の高い低いが、学校や企業の集団、組織で「うまくやる」、
最も重要な能力の一つとなっている。また、日本における就職も、
専門知識を重視されるわけでなく、組織、集団の中でのコミットメントを、
重視される。
当たり前だが、集団や組織を活性化・発展させる上で、
集団や組織が目指す「目的」は非常に大事になる。
その目的は、広い意味で、集団や組織を形成する個人へ「利益」として、
還元されるべきものだろう。
しかし、日本では個人の「利益」よりも大事なのは、
「空気」を読むことで、個人の利益よりも、
集団、組織の維持を「目的」としている所に、
数々の悲劇の種が隠されている。
少なくない人が、日本社会に違和感を持つときに、
この「空気」を読むことへの嫌悪感を持つ。
なぜなら、それは、全く論理的ではないからだ。
合理的な思考をしていれば、少なくない人が疑問を持つ。
日本での人間関係は常に緊張状態を強いられ、
多くの理不尽を生んでいる。
緊張したくなければ、徹底的に空気を読んで、
組織、集団に染まらなければいけない。
個人の意見や論理的整合性は、あまり必要とされていない。
あくまでも、個人に求められるのは、組織・集団を維持する
ための「空気を読む」能力である。
今、日本を滅ぼそうとしているのは、
この日本教かもしれない。
日本は、歴史上、外部からの圧力によって変化したが、
変化の仕方は、全く変わらず、その時の「空気」によるものだった。
現在、起こっている社会的変化は、
おそらは、多くの日本人を破滅と導くだろう。
その兆候は、噴出している。その問題を外に求めるのは、
やはり、日本人らしい行動様式かもしれない。
先の大戦で、空気を多分に読んだ国民は、合理的な行動をして、
結果、世界の文脈では、破滅的な不合理な行動をした。
そして、取り返しのつかない犠牲を生んだ。
戦後も、その’文脈と根本的には変わっていない。
今も、その時の空気と同じことが日本で発生している。
ばつが悪いのは、国民自身が、率先して、空気を読んで、
破滅に行こうとしていることだ。
これだけ、クレージーな国は、
世界にはあまりないだろうと思う。
Posted by ブクログ
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日本人の特性を社会学と宗教学の異なる視点からアプローチしている。非常に面白い一冊です。是非読んで頂きたい。
Posted by ブクログ
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いいですね〜 小室節。
そして、憲法改正が巷間話題になっている今こそ、こちらの本は広く読まれるべき内容です。
故・小室先生は問います。
「日本国憲法で、何が何でもこれだけは守らなければならない、これが有効でなくなったら憲法の存在意義なんて雲散霧消してしまうと言う条文はどれか。これぞ民主主義の精華と
...続きを読む言うべき条文は?」
もちろん第9条ではありません。
Posted by ブクログ
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