あらすじ
イスラムがわかれば世界がわかる。稀代の大学者、小室直樹の「真骨頂」、そして今こそ必読の書。2001年に起きた「911」の後、緊急刊行された名著を新装版として出版。今もなおイスラムと世界の対立構造は変わらず、日本人のイスラム世界への理解も十分とは言えない。争いの絶えない世界で、日本人はどうイスラム教を、キリスト教を、自らの信仰を理解すればいいのか? 宮台真司氏(社会学者)による解説を収録。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
本書は同時多発テロ翌年の2002年に上梓され、2023年に新装版として再刊されたものです。
いつもの小室作品の如く、「イスラム原論」と銘打ちながら、直接イスラム教の説明に割かれているのは約400ページのうち三分の一もないかもしれません。
しかしながら、キリスト教や仏教、はたまた(規範のない)日本教にも筆が及ぶ中で、それら宗教との対比がイスラム教を理解するための補助線として絶大に効いているのが小室先生の真骨頂!
特に第二章の、ユダヤ教に始まる「一神教の系譜」などは息もつかせぬ面白さでした。
イスラム教に対して欧米や日本では正確な理解がなされていないようですが、本書を読めば世界史におけるイスラム教の立ち位置や他の宗教との関係、またイスラムの論理がよく理解できます。
本書の最後では、「たとえビンラディン氏を捕縛し、アルカイダやその他のイスラム過激派を壊滅させようとも、イスラムとアメリカ、ひいては欧米社会との対立は終息することはないだろう。」と断言されており、果たして本書刊行から20年以上経過した今も状況は?
資本主義登場以前は、世界最先端の文明を誇っていたイスラム社会。イスラム教の本質を知ることは、相互理解の大いなる手助けとなるはずです。