坂上泉のレビュー一覧

  • インビジブル

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    「インビジブル」
    見えない真実が炙り出す、戦争と人間の闇
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    ●第一章:引き込まれた「読みたい本」との出会い

    数年前、ふと目に留まった一冊のタイトルがあった。「インビジブル」。その当時、まだ手に取る機会はなかったが、「いつか読みたい本」リストの奥深くに、その名は確かに刻まれていた。そして今、ようやくそのページを捲る時が来た。
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    ●第二章:戦後大阪に交錯する、二人の刑事と「満州の影」

    物語の幕開けは、敗戦の傷痕が生々しい大阪。そこに登場するのは、対照的な二人の刑事だ。一人は理論的でスマートなキャリア組、もう一人は叩き上げで泥臭いノンキャリア。彼らが追う事件の背後

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    2025年07月12日
  • 新世代ミステリ作家探訪~旋風編~

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    めっちゃ面白かった。朝倉秋成がキャラ萌えに興味ないのは察してたけれど、ショーハショーテンのガラスの靴が割れたはすごい良いキャラなので、何か転換があったのかな? 今村昌弘がミステリ通ってないのは意外かも。白井智之は想像と違う感じの人。

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    2025年04月29日
  • 渚の螢火

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    坂上泉『渚の蛍火』双葉文庫。

    『インビジブル』は予想外に面白い警察小説であったので、本作にも大いに期待したいところだ。

    帯に書いてあったが、本作は今年の秋、某有料衛星放送でドラマ化されるようだ。

    舞台は本土復帰を目前に控えた沖縄で、当時は米国政府と琉球政府とに統治され、本土からはパスポート無しには渡航出来ず、通貨はドルという、日本人でも米国人でもないという非情な扱いを受けた沖縄の人びとの苦悩が覗える。さらには駐留する米軍による暴行や犯罪に苦しむ沖縄の人びと。

    そんな沖縄で、日本への返還を台無しにするような大事件が発生し、警察官たちは秘密裏に事件を解決するよう命ぜられるのだ。

    二転三転

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    2025年04月17日
  • インビジブル

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    坂上泉『インビジブル』文春文庫。

    初読み作家。日本推理作家協会賞、大藪春彦賞のダブル受賞の警察小説。

    水と油の正反対のコンビが連続殺人事件の謎に迫るという有りがちな設定なのだが、戦後間もない大阪が舞台とあって、なかなか興味深いストーリーが展開される。

    また、メインの物語とは別に描かれる満州に渡った男の過酷な物語からすると、間違い無くこの男が犯人なのだろうと思うのだが、犯行動機が見えて来ない。


    戦後の昭和29年。大阪城近くの三十八度線と呼ばれる場所で政治家の秘書が頭に麻袋を被せられた刺殺体となって発見される。

    大阪市警視庁の若手、新城洋巡査は初めての殺人事件捜査に臨むが、警視庁上層部

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    2023年07月11日
  • へぼ侍

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    ネタバレ

    インビジブルもそうでしたが、坂上泉先生の作品は奇を衒ったところがなく頭にありありと情景が浮かぶところが好きです。
    武功を立てて道場の再興を夢見る主人公の錬一郎をはじめ、登場人物が皆いきいきとしていて、史実を題材にしたフィクションだとわかっていても本当にあったことのように感じられました。
    個人的に、山城屋の娘と結局くっつかなかったところが良かったです。

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    2022年05月22日
  • 渚の螢火

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    本土復帰前夜の沖縄を舞台にした骨太サスペンス。胸が熱くなる感じではないが、登場人物がそれぞれのアイデンティティーを求めてもがく姿は読みごたえがありました。

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    2025年12月06日
  • 渚の螢火

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    小説としての面白さもあるが題材となっている外国だった時代から日本の地域の一員となる頃の沖縄背景が描かれていて興味深い。沖縄が好きなだけにより感情移入できた。

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    2025年09月21日
  • インビジブル

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    戦後の一時期の大阪警視庁を絡め、満州の闇を含めて描くミステリでなかなか面白かった。

    2941冊
    今年169冊目

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    2025年06月19日
  • インビジブル

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    ネタバレ

    戦後日本の社会、戦争被害者の境遇、それらの要素を全てが正反対な2人の主人公が事件解決のために紆余曲折しつつも進むという王道ミステリー小説にうまくまとめ上げた作品。文字数も難しい文字も多く、会話にはその当時さながらのこてこての関西弁が多く、読みづらい部分は多かったが、それ以上に物事のテンポが良く、ストーリーの進展が気になって熱中して読むことができた。

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    2025年06月18日
  • 渚の螢火

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    難しい時代の難しい場所を舞台にした作品で、サスペンスは最高ですし、終盤も含めて全編良かった。

    2916冊
    今年144冊目

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    2025年05月24日
  • 渚の螢火

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    1972年の復帰直前(の2週間)を描いたノンストップミステリー。奪われた100万ドルを追ううちに明らかになる真実や哀しい過去。
    複雑な出自を持つ琉球警察の主人公は自分のアイデンティティーに迷いながらも、真実を求め進む。
    良かった。復帰前後のヒリヒリ感(米軍への渦巻く感情を含めて)も伝わる。
    その時期の史実も織り込まれてて、巻末の解説からしても相当の知識量と調査量が分かる。
    沖縄にこの歴史があったこと、こういう感情が渦巻いていたこと。感じ取るのは難しくても忘れないようにしたい。

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    2025年05月09日
  • インビジブル

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    ネタバレ

    大阪市警視庁・・・GHQが産んだ時代のあだ花である自治警察が警察法改正で現在の警察体制になる時代背景が、物語の本筋によく絡み独特の景色を読者に見せてくれる
    若手である新城洋巡査にとっては初めて帳場がたった殺人事件捜査だが、鼻持ちならぬ国警出向者(帝大卒エリート)守屋と組ませられ衝突しながら相手を理解する構図がうまい
    この時代の一面を知った気分にさせる一冊です

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    2025年05月06日
  • インビジブル

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    戦後間もない大阪。警察は地方自治体が運営する「自治警」と、より広範な領域を担当する「国警」の二つに分かれていた。そんな中、議員秘書が殺害される事件が発生し、次々と同じ手口の殺人が続く。大阪府警視庁(自治警)の叩き上げの若い巡査・新城と、国警から派遣されたエリートの守屋は、異なる価値観や立場を持つ者同士ながら、コンビを組むことになる。対立しながらも互いの過去や信念を知るにつれ、少しずつ信頼を築き、事件解決のために奔走していく――。
    本作では、戦後の混乱期における大阪の街や人々の姿が生き生きと描かれ、時代の息遣いが伝わってくる。歴史に疎い読者でも、その世界観をしっかりと味わえるほど、細部まで丁寧に

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    2025年04月14日
  • へぼ侍

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    錬一郎は明治維新で没落した家を再興すべく西南戦争へ参加する。
    そんな彼を待っていたのは、一癖も二癖もある厄介者ばかりの部隊だった。

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    2024年11月12日
  • 新世代ミステリ作家探訪~旋風編~

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    近年、活躍が目覚ましいミステリー作家10名へのインタビューをまとめた作品。

    私にとっては著作を読んだことがあったり、積んでいたりする作家さんが大半。そんな彼らの作家としてのバックボーンや創作に関することは、とても興味深く読めました。

    これらの面白く読めたのも、インタビュアーの若林踏さんが持つ話を引き出す力に依ると感じています。氏のきらりと光る分析力、古今の作品に対する理解力あってのクオリティ。

    このインタビュー集はシリーズ2作目とのことで、1作目も気になるところです。

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    2024年09月23日
  • インビジブル

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    敗戦後10年頃の混沌とした社会
    「戦後」という言葉の時期と意味は、人によって異なる。
    いつの時代もうまく立ち回り自己の利を溜め込みのしあがる人、前を向いて進むことができずに過去を引きずりながら底辺で死んだように生きる人。

    横溝正史の描く風景と松本清張の描く社会情勢が生暖かい空気のなかで匂い立ち、横山秀夫の警察小説の雰囲気も醸し出してくる。

    極めて重い題材を関西弁の軽やかさでかわしながら核心へと迫っていく展開で、直木賞候補にノミネートされたのも頷ける。

    えーもんみせてもろたわ、おおきに。

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    2024年07月25日
  • 新世代ミステリ作家探訪~旋風編~

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    前作も読んだけど、やっぱり面白いなぁ。
    デビュー10年以内という条件がいいのかも。

    記憶が薄れたからかもだけど、前作のほうが読み応えがあったかなあ。作家さんも好きな人が多く。

    読者遍歴聞くと似通った感じになるならかなぁ。

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    2023年12月21日
  • インビジブル

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    舞台は戦後の大阪。政治家秘書の殺害事件で招集された大阪の警察官の新城と、東京から派遣された堅物のエリート警察官の守屋が、衝突しながらも事件を追って行く話。
    感想をまとめるのは難しいなあと思いつつ読み進めていたのだが、やはりなんとも難しい。しかしながら、事件解決に向けて面白く読み進めた。
    戦後のまだ本当に汚くて先の見えない時代だなあと感じた1冊だった。

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    2023年11月14日
  • インビジブル

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    成長期の国家は、フロンティアを必要とするが、そこでは既存の秩序を超える荒ぶるものがおそらくある。そして、国家の進路が暗転し、そこから這い上がろうとするとき、従前の仕組みが孕んでいた矛盾を解消しようとして、無秩序、無頼、混沌が生まれる。そんな時期の大阪を舞台として、匂い立つようなリアルを感じさせる面白い小説だった。

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    2023年08月05日
  • へぼ侍

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    大阪東町奉行所与力で剣術道場を営む父が鳥羽伏見の戦いで戦死、幼い頃より薬問屋で丁稚奉公をしていた志方練一郎は明治政府に剣術で仕官するべく西南戦争に17歳で志願兵として参加する。戦争を通して剣術が役に立たないこと、生死をかけた戦いの虚しさ、Pursuadeがこれからの剣術に変わるものと知り、除隊後東京の慶應義塾で学び、大阪にて出版業界にその人ありと呼ばれる人物となる。歴史を基にしたにしたフィクション。

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    2023年02月18日