坂上泉のレビュー一覧

  • 渚の螢火
    若い作者が沖縄をここまで描くとは。ミステリーの形をとった告発だと思った。「インビジブル」も良かったがすごい書き手だ。
    双葉社さん、もっといい表紙にしろよ。
  • 渚の螢火
    2022.8 真藤さんの宝島もスゴかったけれど、この小説も凄かった。へぼ侍、インビジブルに流れるハッピーエンドとは言えない渋み深みがこの小説にもある。
    若い作家だけど坂上泉さんの小説は好きだな〜
  • 渚の螢火
    五十年前まで、沖縄はアメリカの領土であった。
    太平洋戦争の敗戦からすでに半世紀が経過し、アメリカに占領された沖縄は日本とは違う外国であった。

    その沖縄が正式に返還されてから半世紀が経過する中で、アメリカ統治時代が如何なるものであったのか、返還に向けて起きた大事件に立ち向かう琉球警察の警察官たちを描...続きを読む
  • へぼ侍
    インビジブルもそうでしたが、坂上泉先生の作品は奇を衒ったところがなく頭にありありと情景が浮かぶところが好きです。
    武功を立てて道場の再興を夢見る主人公の錬一郎をはじめ、登場人物が皆いきいきとしていて、史実を題材にしたフィクションだとわかっていても本当にあったことのように感じられました。
    個人的に、山...続きを読む
  • 渚の螢火
    本土復帰を前に100万ドル強奪事件が起きる。
    ラストでたたみかけるように明らかになる真相に驚愕。
    沖縄本土復帰50周年を迎える今この時期に読めて良かった。
  • 渚の螢火
    2時間ドラマ的な粗さは、時々目につくけれど、途中からはスピードに乗って読み進められる。
     当時は、休日になることぐらいしか意識していなかった沖縄返還。たしかに様々な「問題」があったのだろう。政治や経済以外にも。生活する者たちにも。
     
     
     
  • 新世代ミステリ作家探訪~旋風編~
    前作も読んだけど、やっぱり面白いなぁ。
    デビュー10年以内という条件がいいのかも。

    記憶が薄れたからかもだけど、前作のほうが読み応えがあったかなあ。作家さんも好きな人が多く。

    読者遍歴聞くと似通った感じになるならかなぁ。

  • インビジブル
    舞台は戦後の大阪。政治家秘書の殺害事件で招集された大阪の警察官の新城と、東京から派遣された堅物のエリート警察官の守屋が、衝突しながらも事件を追って行く話。
    感想をまとめるのは難しいなあと思いつつ読み進めていたのだが、やはりなんとも難しい。しかしながら、事件解決に向けて面白く読み進めた。
    戦後のまだ本...続きを読む
  • インビジブル
    成長期の国家は、フロンティアを必要とするが、そこでは既存の秩序を超える荒ぶるものがおそらくある。そして、国家の進路が暗転し、そこから這い上がろうとするとき、従前の仕組みが孕んでいた矛盾を解消しようとして、無秩序、無頼、混沌が生まれる。そんな時期の大阪を舞台として、匂い立つようなリアルを感じさせる面白...続きを読む
  • へぼ侍
    大阪東町奉行所与力で剣術道場を営む父が鳥羽伏見の戦いで戦死、幼い頃より薬問屋で丁稚奉公をしていた志方練一郎は明治政府に剣術で仕官するべく西南戦争に17歳で志願兵として参加する。戦争を通して剣術が役に立たないこと、生死をかけた戦いの虚しさ、Pursuadeがこれからの剣術に変わるものと知り、除隊後東京...続きを読む
  • 渚の螢火
    2023-8返還前夜の混乱と今に続く差別の連鎖。近代史とも言える沖縄の苦悩が今も感じられる作品である。戦争はするもんやないね。
  • 渚の螢火
    1972年5月15日の沖縄の日本本土復帰を目前に控えた4月、円ドル通貨交換のための100万ドルが突如強奪される強盗事件が勃発する。
    この事案が明るみにでればせっかくの施政権返還にアメリカ側が難色を示す可能性があるため、琉球警察が極秘チームの本土復帰当別対策室を発足させ復帰までに解決させる至上命題が下...続きを読む
  • 渚の螢火
    1972年の本土復帰直前、復帰後に沖縄県警となる予定の琉球警察。大卒が珍しかった当時の沖縄で、東京の大学を卒業し、故郷の琉球警察に奉職、警視庁への出向から帰ってきたばかりの真栄田太一警部補は、輸送中に強奪された100万ドルの捜査を命じられる。当時のレートで、3億円事件を超える額、これが公になると、沖...続きを読む
  • 渚の螢火
    戦後、返還など沖縄の大変な歴史を改めて知りつつ、話はテンポよく進んでいく。
    結構なハードボイルドであった。

    ジャンルはミステリーだが、戦争に翻弄された悲しい悲劇、やはり文字の力で残していける小説は必要だ。
  • 渚の螢火
    沖縄の返還前夜の様子が当時の風俗、文化、歴史背景と共に描かれていて勉強になった。若い作家さん。これからが楽しみ。
  • 渚の螢火
    沖縄本土復帰ちょうど50年。

    これは、1972年の5月15日の復帰日直前に起きた100万ドル強奪事件を早急に解決すべく、琉球警察の捜査員が密かに動く物語である。

    日米両政府に知られぬよう指示され、少人数で動く捜査員。
    彼らの個性が際立っていて、ぶつかり合いながらもまとまっていくのをみることは気持...続きを読む
  • 渚の螢火
    昭和に生きた沖縄庶民の生活を背景に、沖縄本土復帰の裏事情をサスペンス風に描いた物語。戦争が招いた庶民の貧困や常に犯罪や危険と隣り合わせの女性や子供たちに遣り場のない痛みを感じた。
  • 渚の螢火
    5月15日に復帰50年の沖縄に行ってきたばかりで、その情景、空気感頭の中に漂わせながら没入出来た。まさに「本質は変わらない。彼らがこの地の支配者であり、我々はその使用人」50年経っても3者、4者?の関係は変わらない…。差別の構造も。
  • 渚の螢火
    本土復帰前の沖縄を舞台した昭和史サスペンス。1972年の5月に、沖縄の施政権がアメリカから日本に返還される直前に起こった100万ドル強奪事件を、琉球警察のメンバーが極秘捜査する。本土復帰前はドルが使われていたのを円に切り替える最中で発生した事件であり、アメリカ・日本両国の陰謀が渦巻く中での捜査になる...続きを読む
  • 渚の螢火
    沖縄の本土復帰を直前に、100万ドルの強奪事件が起こる。警視庁に出向していた琉球警察の真栄田警部補を班長に極秘任務で事件解決を命じられる。終戦から本土復帰までの沖縄の現状を知ることができました。基地問題、本土との経済格差、沖縄の犯罪傾向・・・。今年で本土復帰50年になり、このタイミングで読めてよかっ...続きを読む