ソン・ウォンピョンのレビュー一覧
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「コンビニ人間」を想起させる
「共感能力の低い主人公」と「"普通"を理解しつつ、そうは振る舞えない社会不適合者」との交流は村田沙耶香著「コンビニ人間」を想起させる。作者のソンウォンピョンが「コンビニ人間」の作者と同世代の同性であることも興味を引く。
日本の「コンビニ人間」は、ああいった結末で芥川龍之介賞を受賞したわけだが、韓国の「アーモンド」はどういう結末を用意しているのか?
純文学と、エンタメ小説との違いがあるから、どちらがどうとは言えないが、私はコンビニ人間の終わり方が好きだった。ただ、この本のような終わり方を好む人も多いだろうなとは思う。 -
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ネタバレ扁桃体(アーモンド)が人より小さく感情を感じることができない 16才の高校生ユンジェの喪失と再生、そして成長の物語。
感情を感じない主人公が周りの人々と関わりを持つなかで少しずつ感情らしきものが芽生える。特に、激しい感情を持つ少年ゴニとの出会いは、ユンジェの人生を大きく変えていく。残酷さの裏には愛がある…韓国文学特有なよい物語でした〜
「ばあちゃん、どうしてみんな僕のこと変だって言うの」
「人っていうのは、自分と違う人間が許せないもんなんだよ」
扁桃体(アーモンド)が人より小さく、怒りや恐怖を感じることができない十六歳の高校生、ユンジェ。
そんな彼は、十五歳の誕生日に、目の前で祖母と母が通 -
Posted by ブクログ
主人公のユンジェは失感情症で、自分の感情を認知して言葉や表情で表すことができない。
どんな時も無表情な彼は、周りからも気味悪がられます。
自分の気持ちさえわからないから他人の気持ちも想像できないし、相手の気持ちを汲み取って適当な言葉をかけることもない。
『ばあちゃん、どうしてみんなは僕のこと変だって言うの?』
『人っていうのは、自分と違う人間が許せないものなんだよ。』
一般的に円滑に見える人間関係というのは、「共感」というコミュニケーションの上に成り立っているのだということに改めて気付かされます。
同じベクトルの -
Posted by ブクログ
「ジヘ(知恵)」を「ミスワイズ」って呼ぶのがとてもいいな
9ヶ月で正社員打診が来るのか。いいな。私5年かかったぞ
ジヘの非正規ならではの切なさはよくわかったけど、最終的になんか素晴らしい会社に入社できてチーム長になってたしで、いいなぁ
あとは英米の小説よりよほど「わからんこの風習」みたいなのがぼこぼこっとあるのが韓国の小説。留置所から出てくると豆腐食べるとか
ウクレレ教室のささやかな発表会は良かった
「舞」という字を指してムインが説明した内容
「・・・舛という字で、入り乱れるという意味です。つまり燃え尽きて残った灰が、再びめまぐるしく乱れ飛ぶのが舞いなんです」 -
Posted by ブクログ
ネタバレNOを、YESを、言おう。
ありふれた名前のジヘはインターンをしている。ある日コーヒーショップで有名人に啖呵を切っていたギュオクが会社にインターンとして現れて、2人は会話をするようになる。ギュオクは遊びと言いながら、言いたいことを言い、ちょっと騒ぎを起こす活動を持ちかけてきて——。
よくならない社会に、価値を見出せない労働、気の合わない同僚、わかってくれない家族、だんだんと気持ちが離れていく友人。受け流すのは難しくないけど、そんな人生でいいのか。声をあげても変わらないかもしれない。相手に与える打撃は一時のものかもしれない。でも自分を縛る理不尽にNOを言い、自分のしたいことにYESを言えたら