ソン・ウォンピョンのレビュー一覧

  • プリズム

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    4人の男女の季節と共にゆらめき移ろいゆく関係性を、繊細に、けれど明快に描き上げた作品です。

    それぞれの持つ個性、抱えていた過去、今も持つ秘密。それらが、芽生えた恋情を後押ししたり、邪魔をしたり影響させていく。「とにかく好きだから」でなんとかなった(かもしれない)十代ではない彼らは、だからこその選択をして、それは新たな悲しみや傷も生んでしまう。

    けれど、確実に未来へは進んでいく。
    そのうちに、受けた傷もいつか未来の日向にかざせばプリズムのように美しく光る、自分の糧になるのかもしれないと、ささやかに思わせてくれる温かみのある物語でした。

    簡潔だけれど柔らかな比喩や言い回しが巧い訳文が今回もとても響いてきて、この作者さんと訳者さんのコンビは絶妙だな、と思えました。

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    2022年12月29日
  • プリズム

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    ソウルで働く4人の男女の恋愛模様の1年間。夏から始まって次の夏までに、簡単に言ってしまえば出会いや別れ、愛と友情などの記録なのだが、その揺れ動く心の中をとてもよく表現されていて、うまくいくのかどうか結果も気になりつつ、うまくいってもそうでなくても面白かった。
    ただ、彼らが好きかと言うと、誰も好きではなかったのが、少し残念です。

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    2022年10月14日
  • アーモンド

    購入済み

    「コンビニ人間」を想起させる

    「共感能力の低い主人公」と「"普通"を理解しつつ、そうは振る舞えない社会不適合者」との交流は村田沙耶香著「コンビニ人間」を想起させる。作者のソンウォンピョンが「コンビニ人間」の作者と同世代の同性であることも興味を引く。

     日本の「コンビニ人間」は、ああいった結末で芥川龍之介賞を受賞したわけだが、韓国の「アーモンド」はどういう結末を用意しているのか?

     純文学と、エンタメ小説との違いがあるから、どちらがどうとは言えないが、私はコンビニ人間の終わり方が好きだった。ただ、この本のような終わり方を好む人も多いだろうなとは思う。

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    2020年07月27日
  • 三十の反撃

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    あとがきにあった、人のこころに広がっていくような作品を作っていけたら、と。
    立ち上がりから目立つことはないどこにでもいるアルバイトで30歳の不確定な私。その私の日常が徐々に変化していく物語。物語全体が読み手にジワーッと広がっていく物語。
    後半、昔の同級生とのやり取りでガツンとくらい、考えさせられたセリフがあった。悪役のように見せてるけど、言われて傷つく言葉はまさに正しい、実をついているのではと。

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    2026年09月23日
  • アーモンド

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    本屋大賞の翻訳小説部門1位ということで、気になったため読みました。韓国の小説は初めて読んだけど、翻訳が素晴らしいのかすんなり読めた。

    主人公の真っ直ぐな気持ちやセリフが良かった。ユンジェの周りに、温かい人たちがたくさん居てくれたことや、ゴニやドラと出会えて良かったなと思った。お母さんやおばあちゃんとの描写もとても好き。

    最後、死んだのか?生きてるのか?が分からなくて気になって気になって、、。あまり深く考えなくて良いところなのかな?

    感情を持たない主人公の目線なので、淡々と語られてはいくけど、描かれ方によってその場の光景や雰囲気がよく分かってしまうようで不思議だった。

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    2026年09月21日
  • アーモンド

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    ネタバレ

    生まれつき扁桃体が小さく、感情をうまく感じ取ることができない少年ユンジェが、母親や祖母、シム博士、そしてゴニやドラとの関わりを通じて、少しずつ人の感情を理解していく物語。

    物語の最後には、友達を守るために自分を犠牲にして行動するところまで成長したのだと思う。人との関わりの中で少しずつ変化していくユンジェの姿は、この作品の大きな魅力だと思う。

    ただ、私は「感情を理解すること」と「感情を感じること」の境界が少し曖昧に感じられ、そこに引っかかってしまった。

    ユンジェは母親から感情について教えられてきたため、相手が「嬉しそう」「悲しそう」といった、相手の感情の状態を認識することはできる。しかし、それは「感情を理解している」ということなのだろうか。それとも、単に相手の状態を認識しているだけなのだろうか。

    例えば、ゴニがユンジェの感情を引き出そうとして蝶を殺そうとする場面で、ユンジェは蝶が「苦しんでいる。やめろ」と言う。この時点でも、ユンジェはすでに他者の苦痛を認識し、それに対して「やめろ」と行動を起こしている。では、物語を通してユンジェが新たに獲得した「感情を理解する」とは、これと何が違うのだろうか。

    相手の感情を認識すること、感情の意味を理解すること、そして自分自身の中にその感情が芽生えること。その違いがこの物語の中では私にはやや曖昧に感じられたため、ユンジェの成長を十分に実感できなかった。

    これは私の読解の仕方によるものなのかもしれない。それでも、今回はどうしてもそこが気になってしまった。
    機会があれば、再読してみたいと思う。

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    2026年09月16日
  • プリズム

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    男女4人の大人の恋愛小説でアーモンドとはまた違った作品です。

    恋愛についてダイレクトに書かれていて韓国は日本と似ている部分も多く見られますが、結構直接的な物言いでオブラートに包まない印象を持ちました。

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    2026年08月23日
  • アーモンド

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    "共感"という現代人に少しずつ欠けていっているであろう人間の脳の機能について、テーマとなる愛をまといながら進むストーリー。
    でも印象としてはハードボイルドさが強すぎ。笑

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    2026年08月18日
  • 三十の反撃

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    前回読んだアーモンドが良かったのでこちらも。

    なかなかに重たい話だった。
    社会的に弱い立場の人間が集まってヘイトを起こすけど、結構なにも変わらない。まわりはどんどん進んで焦りを感じるというもの。
    搾取されて声を上げること出来ないではなくて、やらない人たちにとって、ギュオクの行動は勇気ずけられる。
    ただ、一時の騒ぎにしかならないのだとしても。

    韓国の社会事情には詳しくないが、日本でも生きずらさを感じている人はいると思う。
    挑戦することへ尻込みしてしまう歳だからこそ行動を起こせず、ただ黙って静観してしまう。
    みんなが自分の満たされない人生にこのままでいいのかと自問自答していく。
    何だかとても考えさせられる話だった。

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    2026年08月02日
  • アーモンド

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    ネタバレ

    感情が無い場合の物事の捉え方がこんな感じなんだなとわかり勉強になった。感情がないと物事を捉えられなさそうだが、感情が無いからこそ鮮明に理解できている部分があるような?なんか言葉にできないんですがそんな感じに思いました。最後ハッピーエンドでよかった…!

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    2026年07月25日
  • 三十の反撃

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    韓国のお国事情はよく知らないが、日本の閉塞感と似ているのかも?

    大学を出た人でも自分の希望する会社に入れるのは難しく、入れたとしても会社都合で簡単に切られる。労働人口は少子化の影響で減っているはず。どこの会社も人手不足のはず。大企業程、会社を守る(利益)を優先して人を育てる努力をしない。いつからこんな風になってしまった。

    1988年生まれ(その少し前から)の日本人も同じような状況だったと思う。
    そして今、なんとか中堅くらいまで勤めてやっと下の子が入ってきたら、その子たちには「働き方改革」ということで残業は極力させるなとか言われて。何故か「働き方改革」は自分たち世代にはそれが適用されない!そんな世代の人たちを身近にみる。

    がんばれ!自暴自棄にならないで!上の世代の人間はあなた達より先に寿命を迎える。次の時代を作るのはあなた達世代なんです!それまで心身共に健康である事を願っています。

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    2026年07月20日
  • アーモンド

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    2020年の本屋大賞・翻訳小説部門第1位。

    脳の扁桃体の異常で、感情というものがわからない高校生の主人公・ユンジェ。
    祖母と母親が通り魔に襲われた時も、ユンジェは恐怖や怒りを感じることはありませんでした。
    そんな彼は当然、クラスメイトからも浮いた存在。フラットに目立たず学校生活を送ろうと努めます。
    ある日、ユンジェの家(古本屋)にやって来た人物。彼の頼み事を引き受けることから、彼の生活が少しずつ動いていきます。

    生い立ちから複雑でいろいろくぐり抜けてきた同級生・ゴニとの出会い。出会い方が特殊で、それによって厄介者のゴニの抱える憤りもさらに伝わってきます。
    常にトゲトゲのゴニとクールなユンジェのやり取りの変化や、走るのが大好きな女の子・ドラの存在もよかった。
    何かによって突き動かされていくユンジェ、感情じゃないとしたら何なんだ、というところ。
    そこでポイントとなるのが母親・祖母の言葉。どれもユンジェへの想いが詰まっていて、それをユンジェがちゃんと理解しよう、大事にしようというところも熱い。

    ラストはびっくりポイントがいくつもあり、とりあえず納得しましたが…うーん。帯の煽り文句も相まって少ーし興ざめ。そういうものなんかなぁ、いい話ではあるけどなぁ。

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    2026年06月28日
  • 三十の反撃

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    社会と、人と、家族と、自分と…亀裂、歪み。そして、変容。
    ストーリーは、自身と重なり、共感する部分もあり、読みながら、自然と涙腺が緩んでくる文章もありました。でも、それは普段の涙のように、眼が潤み、涙となって体外に溢れるのではなく、眼球の裏側で潤み、涙が体内に、内側に向かって流れるような感覚だった。

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    2026年05月23日
  • TUBE(チューブ)

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    不屈、なのだが省みることの大事さをかんじる 立ち直りのプロセスはマインドフルネスみたいだと思った いい人間になるとは自分で自分のことを好きでいられるよう努力し続けられることなんじゃないか

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    2026年05月10日
  • 三十の反撃

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    なかなか人生のレールに乗り切れない、そんな人の葛藤ストーリー。ってとこかしら。ちょっとヘヴィだったなぁ

    2026.5.1
    67

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    2026年05月01日
  • 三十の反撃

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    財閥系企業への就職を願いながらも、カルチャースクールで非正規社員で働き、コンビニ食と半地下の部屋で食いつなぐ日々を送るミレニアル世代で30歳のキム・ジヘ。
    職場では単調で無益な雑用に幻滅しながらも、現状打破の糸口を見いだせず出口のない閉塞感に苛まれる。そんな中、後輩のイ・ギュオクの影響で、鬱積した不満をマイクロアグレッション(些細な攻撃)で晴らす様子が、ユーモアと哀しみを交えて描かれる。背景にある現代の韓国社会(日本も大差ないけれど)の構造的歪み、格差と分断という非情な現実について考えさせられる一冊でした。

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    2026年02月18日
  • 他人の家

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    ある作家の短編集とは思えないほどSFからミステリー、心温まる物語までバラエティに富んでいる。アーモンドの番外編「箱の中の男」が印象的。起きたことに“もしも“はありえず、誰かのつらさと喜びは紙一重で、しかしそのつらさと喜びは色鮮やかに多種多様なのだ。

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    2025年08月10日
  • 三十の反撃

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    「ジヘ(知恵)」を「ミスワイズ」って呼ぶのがとてもいいな
    9ヶ月で正社員打診が来るのか。いいな。私5年かかったぞ
    ジヘの非正規ならではの切なさはよくわかったけど、最終的になんか素晴らしい会社に入社できてチーム長になってたしで、いいなぁ
    あとは英米の小説よりよほど「わからんこの風習」みたいなのがぼこぼこっとあるのが韓国の小説。留置所から出てくると豆腐食べるとか
    ウクレレ教室のささやかな発表会は良かった
    「舞」という字を指してムインが説明した内容
    「・・・舛という字で、入り乱れるという意味です。つまり燃え尽きて残った灰が、再びめまぐるしく乱れ飛ぶのが舞いなんです」

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    2025年07月17日
  • TUBE(チューブ)

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    ネタバレ

    パク・シリョンの発する言葉が刺さる読書体験だった。

    そのまま感じること。
    一度にひとつのことだけする。
    なんでも手当たり次第つかんでみる。

    生きるうえで真理な気がした。
    スマホをみながら、そしてイヤフォンをつけながら歩いていたりすると、周囲の環境や美しいものに気づかず、鈍感になってしまっているんだろうなあ
    自分なりに物事を観察して、「感じること」を大切にしていきたいなあ

    Urban Tumbleweed思い出された

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    2025年06月18日
  • 三十の反撃

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    閉鎖的な日々と息苦しさから出ていきたいのに変われない主人公が少しずつ変わってゆく。3年半前に職場で戦いぬいた自分と重なり、その先で充実していると思えるキャリアに切り替えられたので行動の大切さが身に染みる。あの時の私を励ましてくれるようだ。

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    2025年04月27日