ソン・ウォンピョンのレビュー一覧

  • プリズム

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    ネタバレ

    この4人の関係性こそ「プリズム」の象徴のように思いました。決してハッピーエンドではなく綺麗な恋愛の形ばかりではないけれど、それぞれが少しずつつながり合ううちに、影響を与え合っていく。前2作ほどの盛り上がりや出来事はありませんが、大人だけれどまだピュアな面を持つ男女の心の動きに、懐かしさのような気持ちを抱きました。

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    2022年08月04日
  • アーモンド

    購入済み

    「コンビニ人間」を想起させる

    「共感能力の低い主人公」と「"普通"を理解しつつ、そうは振る舞えない社会不適合者」との交流は村田沙耶香著「コンビニ人間」を想起させる。作者のソンウォンピョンが「コンビニ人間」の作者と同世代の同性であることも興味を引く。

     日本の「コンビニ人間」は、ああいった結末で芥川龍之介賞を受賞したわけだが、韓国の「アーモンド」はどういう結末を用意しているのか?

     純文学と、エンタメ小説との違いがあるから、どちらがどうとは言えないが、私はコンビニ人間の終わり方が好きだった。ただ、この本のような終わり方を好む人も多いだろうなとは思う。

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    2020年07月27日
  • アーモンド

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    ネタバレ

    生まれつき感情を持たないユンジェのことを悪く言うとき、人は「サイコパス」と言う。けれど、いわゆるフツーの人の罪とは言えない行動の中に「サイコパス」的な無関心さと残酷さを感じる。無実の級友を疑っておいて誰一人自分は悪くないと言ったクラスメイト、地球のどこかで起こっている戦争のニュースを聞き流す人、目の前でおきた事件を傍観する人。
    人の心の中にある無関心と非共感は、生まれつき扁桃体が小さくて特別なユンジュとなんら変わらないんだなと思った。

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    2025年12月14日
  • アーモンド

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    扁桃体が小さい故に失感情症の青年が主人公の物語。
    一人称の心理描写がほとんどなく、感情移入・共感の余地なし。そこが良い。

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    2025年11月19日
  • 三十の反撃

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    ネタバレ

    特に印象に残ったのは、ユ・チーム長の存在。
    彼女はいろんなことを諦めさせられてきた人なのだと思う。
    納得できないことやおかしなことも、「それで物事が回るなら」と受け入れて働いている。
    ギュオクのように声を上げる強さもあるけれど、ユ・チーム長には“黙ってやる強さ”がある。
    その姿が、妙に心に残った。

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    2025年10月18日
  • アーモンド

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    ネタバレ

    扁桃体(アーモンド)が人より小さく感情を感じることができない 16才の高校生ユンジェの喪失と再生、そして成長の物語。
    感情を感じない主人公が周りの人々と関わりを持つなかで少しずつ感情らしきものが芽生える。特に、激しい感情を持つ少年ゴニとの出会いは、ユンジェの人生を大きく変えていく。残酷さの裏には愛がある…韓国文学特有なよい物語でした〜


    「ばあちゃん、どうしてみんな僕のこと変だって言うの」
    「人っていうのは、自分と違う人間が許せないもんなんだよ」
    扁桃体(アーモンド)が人より小さく、怒りや恐怖を感じることができない十六歳の高校生、ユンジェ。
    そんな彼は、十五歳の誕生日に、目の前で祖母と母が通

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    2025年10月17日
  • アーモンド

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    主人公のユンジェは失感情症で、自分の感情を認知して言葉や表情で表すことができない。
    
    どんな時も無表情な彼は、周りからも気味悪がられます。
    
    自分の気持ちさえわからないから他人の気持ちも想像できないし、相手の気持ちを汲み取って適当な言葉をかけることもない。
    
    『ばあちゃん、どうしてみんなは僕のこと変だって言うの?』
    『人っていうのは、自分と違う人間が許せないものなんだよ。』
    
    一般的に円滑に見える人間関係というのは、「共感」というコミュニケーションの上に成り立っているのだということに改めて気付かされます。
    
    同じベクトルの

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    2025年09月07日
  • アーモンド

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    残虐なシーンはあるけれど、内容は大人向けというよりは中高生の時に読んだ方が響く本。とても読みやすいが、フェミニズムや若者の生きづらさが最近のトピックである韓国文学を期待して読むと少し物足りないかも。映画化に向いている小説。

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    2025年09月01日
  • アーモンド

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    海外小説は読みにくいと感じることが多かったけどこの本は非常に読みやすい。無駄な言葉や文がなく淡々と書かれているからかな。
    「ほとんどの人が、感じても行動せず、共感すると言いながら簡単に忘れる」 たしかに。蝶の場面のユンジェのように、共感してるようで実は自分事には捉えていない、自分と切り離して考えてて、それって共感なのか?っていうことあるよなぁ。

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    2025年08月13日
  • TUBE(チューブ)

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    ネタバレ

    一度にひとつだけのことをする。簡単そうで意外と難しい。感覚を研ぎ澄ますのも大切だな。おじさんは変われたのかな?ふりだしに戻ったように見えて、レベルアップしてるに違いない。と信じたい。

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    2025年08月12日
  • 他人の家

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    ある作家の短編集とは思えないほどSFからミステリー、心温まる物語までバラエティに富んでいる。アーモンドの番外編「箱の中の男」が印象的。起きたことに“もしも“はありえず、誰かのつらさと喜びは紙一重で、しかしそのつらさと喜びは色鮮やかに多種多様なのだ。

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    2025年08月10日
  • 三十の反撃

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    「ジヘ(知恵)」を「ミスワイズ」って呼ぶのがとてもいいな
    9ヶ月で正社員打診が来るのか。いいな。私5年かかったぞ
    ジヘの非正規ならではの切なさはよくわかったけど、最終的になんか素晴らしい会社に入社できてチーム長になってたしで、いいなぁ
    あとは英米の小説よりよほど「わからんこの風習」みたいなのがぼこぼこっとあるのが韓国の小説。留置所から出てくると豆腐食べるとか
    ウクレレ教室のささやかな発表会は良かった
    「舞」という字を指してムインが説明した内容
    「・・・舛という字で、入り乱れるという意味です。つまり燃え尽きて残った灰が、再びめまぐるしく乱れ飛ぶのが舞いなんです」

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    2025年07月17日
  • TUBE(チューブ)

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    ネタバレ

    パク・シリョンの発する言葉が刺さる読書体験だった。

    そのまま感じること。
    一度にひとつのことだけする。
    なんでも手当たり次第つかんでみる。

    生きるうえで真理な気がした。
    スマホをみながら、そしてイヤフォンをつけながら歩いていたりすると、周囲の環境や美しいものに気づかず、鈍感になってしまっているんだろうなあ
    自分なりに物事を観察して、「感じること」を大切にしていきたいなあ

    Urban Tumbleweed思い出された

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    2025年06月18日
  • 三十の反撃

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    閉鎖的な日々と息苦しさから出ていきたいのに変われない主人公が少しずつ変わってゆく。3年半前に職場で戦いぬいた自分と重なり、その先で充実していると思えるキャリアに切り替えられたので行動の大切さが身に染みる。あの時の私を励ましてくれるようだ。

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    2025年04月27日
  • プリズム

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    それぞれ事情や秘密を抱える4人の男女の恋愛の物語。

    ハッピーでキラキラした恋愛ではなく、4人それぞれの人間性や恋愛へのスタンス、不安、コンプレックスがリアルに描かれている。
    全体的に曇り空のような、仄暗さをまとっているけれど、間違えながらも幸せを掴もうとする4人の姿が良かった。

    ☆3.0

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    2025年04月08日
  • 三十の反撃

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    観客でしかない人も尊重しつつ、それでもどこかでステージに上がるのだ、ということがメッセージなのかなと感じた。
    「反撃」の爽快さ、その成功体験から人間がガラッと変わる、ということを、ストーリーとしては求めがちだが決してそうではない。もっと波のある、挫折と小さな喜びとを繰り返すそんなプロセスで、複雑な世界の中で人が変わる、そんな印象を持った。

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    2025年04月03日
  • 三十の反撃

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    初の韓国文学。
    正直韓国の情勢とかその時代背景とかを知らないので、中々入ってこなかった。
    言うことで変わることはあるかもしれないけど、やり方とかがあまり好ましくはないかな。正統にいってダメだったからなんだろうけど。

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    2025年03月10日
  • 三十の反撃

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    ネタバレ

    NOを、YESを、言おう。

    ありふれた名前のジヘはインターンをしている。ある日コーヒーショップで有名人に啖呵を切っていたギュオクが会社にインターンとして現れて、2人は会話をするようになる。ギュオクは遊びと言いながら、言いたいことを言い、ちょっと騒ぎを起こす活動を持ちかけてきて——。

    よくならない社会に、価値を見出せない労働、気の合わない同僚、わかってくれない家族、だんだんと気持ちが離れていく友人。受け流すのは難しくないけど、そんな人生でいいのか。声をあげても変わらないかもしれない。相手に与える打撃は一時のものかもしれない。でも自分を縛る理不尽にNOを言い、自分のしたいことにYESを言えたら

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    2025年02月26日
  • プリズム

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    世界がコロナ禍になる前に書かれた小説、と言われると時代の転換点のように感じてしまう。
    ここに描かれるのは出会いや別れを経て成長し、変わっていく若者たちの姿だが劇的な展開はなく淡々としているのが実に良い。妙に肩肘張らず、カッコつけてないとでも言うべきか。ゆったりと読むのに丁度いい小説だった。

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    2025年02月15日
  • TUBE(チューブ)

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    とてもまっすぐなストーリー。
    目には見えないけど、
    人それぞれみんな、乗り越えてきたものがあるんだ。

    一生懸命やったのに上手くいかず、自分の人生がめちゃくちゃだと言っている主人公に、バスの運転手のおじさんが「よくやったと思います。とてもよくできました」と言うシーンは感動した。

    伝えたいことがシンプルに伝わってくる本だった。

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    2025年01月10日