ソン・ウォンピョンのレビュー一覧

  • 三十の反撃

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    30歳の非正規社員キム・ジヘ。平凡に生きている彼女が同僚と出会い、やり取りがキッカケで小さな反撃をしていく。

    ジヘと自分は年齢は違えど共感する言葉がたくさん出てくきた。
    理不尽な事に立ち向かおうとする姿に勇気をもらえる。
    大きく変わらなくとも何かを変えたいと気持ちを表し反撃をし、以前はただ平凡に生きようとしていたジヘの心の変化がとても良かった。

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    2024年06月08日
  • 他人の家

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    やっぱりこの人の本が好き。
    特にアリアドネの庭園は、SF小説が面白いと気づくきっかけになったかも。
    どれも話が違くて、どれも面白い。それがすごい。

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    2024年05月12日
  • 三十の反撃

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    なんだか『逆ソクラテス』を思い出しましたよ。

    男性の実家が裕福で、女性が厳しい生活状況というのが韓国あるあるな感じがしたけれど、韓国社会の実情が良く見える小説だった。
    日本も似たような感じだけど、本当に締め付けの強い社会になってしまっているなぁと実感する。
    身を守るために嫌なことに目を瞑り続けていても、結局守られることはないのだ。

    2024.3.10

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    2024年04月25日
  • 三十の反撃

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    人生はいつも競争で、上を目指し続けるしんどさ。
    見下したり見下されたり。
    生き苦しそうな社会で、諦めることや我慢することに慣れてしまった30歳の主人公が、偶然の出会いと仲間との行動をきっかけに小さな反撃を始め、最後には自分らしく踏み出していく姿に私も背中を押される思いでした。

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    2024年03月14日
  • 三十の反撃

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    主人公のキム・ジヘはよくある名前の通りに普通で平凡な三十歳。会社で非正規雇用で働いて、自分はこのままでいいのか、どうせこんな自分なんかじゃ何もできないと日々悩み、苦しんでいた。
    そんな最中に、世の中に反撃の狼煙をあげようとするギュオクと出会う。
    這いつくばりながらも、少しずつ勇気を出して一石を投じようとする。
    結局とても大きく世間を揺るがすような反撃はできなかったけれど、小さい範囲で、たとえ声をあげても届かなさそうな闇にだって、一人でだって、声を上げられるんだ、小さな反撃も繰り返せば何かが少しずつ変わっていけるかもしれない。
    そう思わせてくれる、爽やかな読後感でした。
    日本にも声なき声がたくさ

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    2024年03月02日
  • 三十の反撃

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    諸々たる世の事情、日本と変わらない。理不尽な事あるけど、ほんの少しの勇気と行動があっても良いと教わった。その先が変わる変わらない関係なく。

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    2024年02月08日
  • プリズム

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    この作者の特徴なのか、韓国の小説一般に共通している特徴なのかわからないけれど、登場人物たちが自分の気持ちを相手に伝える言葉がわかりやすい。人間関係はわりと複雑だが、自分自身の気持ちの向き合い方がストレートで、相手にも上手く伝えられているから(不器用で上手く伝えられないときもあるけれど)、読んでいてもやもやせず面白い。

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    2023年11月29日
  • 他人の家

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    人間心理のおかしみを悲喜さまざま、細やかに、ジャンルを問わずに描き上げた短編集でした。人の心に踏み込む心理表現の巧みさがほかの作品同様卓越していて、文章を追うだけでしみじみと感じ入るものがありました。

    表題作では他人がエゴを滲ませながら厳しい日々をやり過ごさなければならない現実をビターに描き、「四月の雪」ではつかの間触れ合った外国人との交流により仄かな未来がそっと浮かび上がるさまを、「箱の中の男」では「アーモンド」作中の出来事と被らせながら辛い日々を送る青年のささやかな救いを与える。

    どれもが単純ではない人の心情を繊細に描き上げ、また、明快ではないけれどそっと未来を指差すような温かさを滲ま

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    2023年10月01日
  • プリズム

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    それぞれ恋愛をしている4人の心の中を写した作品。恋愛はタイミングか、運命か。好きな人への嫉妬心から心を吐き出してしまい、深く周りを傷つけてしまう。自分の気持ちを抑えても苦しい、気持ちを伝えても、辛い結果になることもある。
    このあと、4人の恋模様はどう変わるのか、20年後の彼らをみてみたい。

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    2023年09月04日
  • 他人の家

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    ソン・ウォンピョン(손원평)さんの短編集。どの短編も登場人物の心理に惹かれる。自分にもそんな状況なら同じように感じる心があったかもしれないと思える。「箱の中の男」の弟の気持ちも分かる。見ないふりをしていればそれで厄介ごとは通り過ぎると。でもある突然の出来事であの時の女の子に出会えたのは、兄があの時に彼女を助けたからだった。それでまたある女性が助かったのだ。

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    2023年08月31日
  • 他人の家

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    8編の短編集。
    どれも人間心理を掴んでいるなあと…。

    zip〜家庭を築いた女の後悔ばかりのようで、身動きすることなく流されていく生活は膿んでしまっている。「家」から抜け出そうとしながらずっと出ることができない。これからも…。
    「このお話の終着点が、おまえだからだよ。」と孫娘に言ったのがこわい。

    アリアドネの庭園〜予測したくない未来。
    たぶんこれに近い未来かも…と思うとモヤモヤ。

    他人の家〜ルームシェアで暮らす部屋の不自由なところと値段に折り合うところ。だがそれも期限がある。どうする、どうなる…。

    箱の中の男〜アーモンドの番外編。途轍もない経験をすると他人の存在を行動を過剰に意識してしま

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    2023年06月10日
  • プリズム

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    ソン•ウォンピョンさん4冊目。今回も表現が美しいなぁと思った。4人の中では、ジェインに感情移入したかな。後半イェジンにはイライラ。ドウォンも好きになれなかった。大人って色々抱えていて、一筋縄ではいかなくて、面倒だね。私も大概な大人だけど。あと、この本を読んで、私は恋愛小説あんまり好きじゃないことに気付いた

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    2023年05月19日
  • 他人の家

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    "たぶん僕は、相変わらず箱の中に潜んで安全な人生を夢見るだろう。すでに凝り固まってしまった大人の心はそう簡単に変わるものじゃないから。それでも、誰かに向かって遠く手を伸ばすことはできなくても、握りしめた手を開き、誰かと握手するくらいの勇気なら、ときどき出せたりするんだろうか。"(p.206)

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    2023年05月18日
  • プリズム

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    4人の男女の恋愛物語。読者は4人の内面を受け取ることで、本音でぶつかっているのか、建前で恋愛しているのかよく分からない展開に興が乗る。どこにでもあるような恋愛のようでも個人の性格や気持ちの動きは異なる。だからこそ人は恋で悩んだり、恋バナで盛り上がったり、人の恋愛にちょっかいを出したりするのだろう。それが人の営みであるかのように。胸がキリキリ痛むことはないが、少しの不幸や少し明るい未来を感じられる小説である。

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    2023年05月13日
  • プリズム

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    ネタバレ

    「アーモンド」、「三十の反撃」のソン・ウォンピョンさんの恋愛小説。四人の男女の心を繊細に描写している。イェジン、父親が子牛を売ったお金で買ってくれた大きなプレゼントボックスに入っていたピラミッドの形の三角プリズム、それを一番気に入っていた。光を虹にかえる魔法のおもちゃ。でも棚の上に置き忘れたそれを見つけて取るときに取り落とし、足の甲に落ちた時の痛さと脚についたひっかき傷。美しすぎるものはいつか傷を残すのか…。ランチタイムの休憩に外でコーヒーを飲んでいてよく見かける人がドウォンだった。ただそれだけだったのだが…。ドウォンの携帯にスミンのメッセージがもう九通目。返信がほしいというメッセージだ。ドウ

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    2023年04月14日
  • 他人の家

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    著者初の短篇集。8本の短篇が収録されている。
    これまでソンさんは長篇作家だと思っていたが、短篇も滅法うまくておもしろい。男女の機微や親子関係、韓国社会を風刺した作品など、1篇ずつ違っていて、次はどんな作品だろうとわくわくしながら読んだ。中にはあの『アーモンド』と直接つながった作品もありびっくりした。
    「四月の雪」、「他人の家」、「箱の中の男」が特に好みだった。

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    2023年03月26日
  • 他人の家

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    巻末の「作者の言葉」にはっとする。
    世間の風潮と考えが外れるものは
    排除しようとする今の時代だからこそ
    自分と他人を
    じっくり見つめることが大事で
    たった一人の自分であり続けるためにも
    他人への視線は
    静かな眼差しであるべきなのだ、と。
    まさにその言葉通り
    誰かが誰かを見つめ、思うことで
    自分自身を知ろうとする短編集だった。

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    2023年03月22日
  • プリズム

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    表現が美しくうまく言語化出来ない気持ちを表してくれていた。
    恋愛中にしか感じることのない感情を思い出させてくれる良い本だった。

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    2023年02月23日
  • プリズム

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    4人の男女の季節と共にゆらめき移ろいゆく関係性を、繊細に、けれど明快に描き上げた作品です。

    それぞれの持つ個性、抱えていた過去、今も持つ秘密。それらが、芽生えた恋情を後押ししたり、邪魔をしたり影響させていく。「とにかく好きだから」でなんとかなった(かもしれない)十代ではない彼らは、だからこその選択をして、それは新たな悲しみや傷も生んでしまう。

    けれど、確実に未来へは進んでいく。
    そのうちに、受けた傷もいつか未来の日向にかざせばプリズムのように美しく光る、自分の糧になるのかもしれないと、ささやかに思わせてくれる温かみのある物語でした。

    簡潔だけれど柔らかな比喩や言い回しが巧い訳文が今回もと

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    2022年12月29日
  • プリズム

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    ソウルで働く4人の男女の恋愛模様の1年間。夏から始まって次の夏までに、簡単に言ってしまえば出会いや別れ、愛と友情などの記録なのだが、その揺れ動く心の中をとてもよく表現されていて、うまくいくのかどうか結果も気になりつつ、うまくいってもそうでなくても面白かった。
    ただ、彼らが好きかと言うと、誰も好きではなかったのが、少し残念です。

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    2022年10月14日