ソン・ウォンピョンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「世の中に変化を引き起こすために必要なのは、いたずら、あるいは遊びだ。遊ぶように、不当なところに一針を刺す。そうすればいつかは何かが変わり、だんだん広がっていくだろう。」と、自分たちを傷つけた人に、ささやかな反撃をしていく主人公たち。
最終的に韓国社会は変わらないし、主人公たちの境遇も激変はしない。それでも「多少なりとも世の中を変えたい」と動くのっていいな、と思える読後感。
ゴンユンとのエピソードは特に辛かったが、主人公が「心の中を隠さずにただ表に出すだけでも、何かを変化させることができる」と思えたことに勇気をもらった。
挿入歌のように作中に登場する、明るく時に切ないジャズスタンダードと共に、 -
Posted by ブクログ
韓国の作家、ソン・ウォンピョンの短編集。短編なので、細切れ時間に読んで... なんて気楽に考えていたのですが、凄みのある内容で、「このテーマはどうですか、このテーマは....」と突きつけられる感じで、ページをめくる手が止まりませんでした。一気読みでした。この作家はすごい!不思議な世界に引き込まれました。非日常性、サスペンス的要素、底知れぬ深さも感じました。と同時に、ほんのりと希望や優しさも伝わってきます。
家、家庭がモチーフとなっています。人間の本質に迫る部分、現代社会が抱える問題への提言もあります。
タイトルにあるように「他人の家」をはたから見て読み進めているのに、読み終えると自分ごとと -
ネタバレ 購入済み
話題のヤングアダルト……ということで読むのを後回しにしていたが読み出すと止まらず、遅読な私には珍しくあっという間に読了。感情を理解出来ないという主人公の語り口が淡々としており、不必要な描写がなく、結果的にかなり読みやすく仕上がっている。
いやあ……海外文学を読んでいると度々遭遇する理不尽な暴力に、誰も彼もがぶち当たって、そのたびに涙が溢れて止まらなかった。主人公は愛が理解出来ないというが、母や祖母の愛でもってよほど人間らしく育っていると思う。
偶々愛情と疎遠になってしまったゴニが周囲の人々によって怪物になろうとするのはどうにも痛々しく、悲しい。よくある事なんだけど、本来はとても素直な子供が環 -
購入済み
面白かったのです。時間をおいて読んでみると、いろいろと感想が変わりそうな作品。
タイトルから感じるような痛快さはそれほどないけれど、考えさせられる内容でした。