ソン・ウォンピョンのレビュー一覧
-
ネタバレ 購入済み
話題のヤングアダルト……ということで読むのを後回しにしていたが読み出すと止まらず、遅読な私には珍しくあっという間に読了。感情を理解出来ないという主人公の語り口が淡々としており、不必要な描写がなく、結果的にかなり読みやすく仕上がっている。
いやあ……海外文学を読んでいると度々遭遇する理不尽な暴力に、誰も彼もがぶち当たって、そのたびに涙が溢れて止まらなかった。主人公は愛が理解出来ないというが、母や祖母の愛でもってよほど人間らしく育っていると思う。
偶々愛情と疎遠になってしまったゴニが周囲の人々によって怪物になろうとするのはどうにも痛々しく、悲しい。よくある事なんだけど、本来はとても素直な子供が環 -
購入済み
面白かったのです。時間をおいて読んでみると、いろいろと感想が変わりそうな作品。
タイトルから感じるような痛快さはそれほどないけれど、考えさせられる内容でした。 -
Posted by ブクログ
注!
ネタバレ設定にはしていないですけど、ところどころ内容に触れているので。
気になる方は読まない方がいいかもしれません。
生きることに疎外されてきた……、というより、自らを生きることから疎外されていたと思い込んでいる……、ていうかーw、ずっと生きることから阻害されてきたと思うことで、自らの不甲斐ない日常を「社会が悪いんだから仕方がない」とやり過ごしてきたが故に、自分しか見えなくなってしまった主人公の一歩前進二歩後退的な成長物語。
……と言ったら、怒られるんだろうか?(^^ゞ
一歩前進二歩後退の成長だから、読んでいていろいろ苦い。
でも、そういうエピソードは、読んでいるて意外にわ -
Posted by ブクログ
「感情を表現する言葉の欠如」を意味するアレキシサイミア
(失感情症)で、恐怖、愛、悲しみ、怒り、嫌悪といった本質的な感情を認識する脳の機能が欠如しているスン・ユンジェの物語。感情を過剰に表現する不良少年ゴニと、何も感じない静かなユンジェという相反しながらも、共に社会不適合者で普通にも平凡にもなれない二人が、互いの個性を補完し合い共感出来る存在になって行く姿に惹かれながら読む。
「僕の理解する限りでは、愛というのは究極の概念だ。規定できない何かを、かろうじて単語の中に閉じ込めたもの。でもその単語は、あまりにも気軽に使われていた。 ただ単に気分がいいとか、ありがとうという意味で、平気で愛を口にする -
Posted by ブクログ
ネタバレ物語の終盤で「感情を取り戻すかもしれない」示唆が出てくる構成は、少しきれいすぎるし、
物語として“回収”されすぎているようにも感じる。
でも、それを予感として提示するだけで、
完全に説明しきらないところは、この作品の良心だとも思った。
語り口が一貫して淡々としているのも良かった。
泣かせようとしないし、
感情移入を強要しない。
この本を読む前私は
「共感って意味あるのかな」という疑問を持っていた。
人はそれぞれ違う世界を生きていて、
不幸に見える人が不幸とは限らないし、
無口な人にも、豊かな内面世界がある。
それを知ってしまうと、
手を取り合って生きること、分かり合うこと、
共感し合う -
Posted by ブクログ
2020年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位作品
当時話題になっていた作品でしたが、読まず嫌いで放置していました。もっと早く読んでおけばよかったと、今更後悔してます。
これは一気読みでした。とても良かった。
読んでいる間の自分の顔、どうなってたんだろう?
感情の置き場がむずかしくて、素直に読めばいいだけなのに、どうしても気持ちが入ってしまう。そんな作品です。
こんなにも愛おしい物語って、そう多くないと思う。
人は誰かしらから愛されていて、誰かに触れられることで、ようやく“自分”が輪郭を持つ。
登場人物それぞれの存在が、それを静かに、深く教えてくれる。
読んでいて何度も胸が締め付けられる。気づけば突 -
Posted by ブクログ
ネタバレ物語が面白く、一日で読み切ってしまうほどぐいぐい読めた。
主人公・ユンジュは感情がない。感情に大切な脳の偏桃体(アーモンド)が小さいから、らしい。
そのため淡泊な描写で主人公の幼少期から学生までの成長の過程を描いていく。
ゴニが蝶を苛めるシーンは読んでいてつらかった。主人公となかよくしたいだけなのに、うまくいかない。
ゴニは愛をもらったことがないから、そういったコミュニケーションしかできないのだ。
最後はやや駆け足であり、ある種のご都合主義感が否めなかったが、そういうラストであってもいいか、と思えるほどには彼らの幸せを祈って読めていた。